2018年06月10日

6月〜7月のリマインダー

・藍色夏恋 デジタルリマスター版

2018年の台湾映画祭で上映されたにもかかわらず、あまりの人気で入場できなかった人続出。
ついに再上映となりました。この映画は本当におススメです。
恋愛映画…なんですが、ただのアイドル映画に終わらないのが良いところ。
ちょっぴり切なくて、だけどポジティブ。

チェン・ボーリンの出世作。このころは金城武にちょっと印象が似てる気がする…。

6/16(土)〜6/22(金) 上映時間 21:10
ケイズシネマ(新宿)にて

↓上映館のスケジュールページ。作品紹介のページもあるのですが、そちらはネタバレとなっております(謎)。
作品を思いっきり楽しみたいかたは、作品紹介のページは見ない方がいいかも。
http://www.ks-cinema.com/schedule/

台湾文化センターの上映会

こちらはなんと「入場無料」の嬉しい催し。それだけに競争率が高いので、頑張りましょう。
だいたい1か月〜3週間前くらいに、HPから申し込む形になっています。
字幕つき、終わった後に作品解説もついてます。

これから抽選が行われる作品としては 『停车』がトップバッターで、7月9日昼12時申し込み開始予定。

以下、台湾naviのHPより。申し込み方法など詳細は台湾文化センターHP https://jp.taiwan.culture.tw/ をご参照ください。

◆7月28日(土)14時〜 『停車』(2008年) 監督:鐘孟宏(チョン・モンホン)
出演:張震(チャン・チェン)、桂綸鎂(グイ・ルンメイ)、戴立忍(ダイ・リーレン)
台湾を代表する監督の一人鐘孟宏の記念すべき長編第一作。独特の色彩の映像とブラックユーモアで台湾の人と生活を切り取った秀作。

◆8月26日(日)14時〜 『52Hzのラヴソング(原題:52Hz, I love you)』(2017年)監督・脚本:魏徳聖(ウェイ・ダーシェン)
出演:小玉(シャオユー)、小球(シャオチョウ)、スミン、米非(ミッフィー)
バレンタインの一日に起きる様々なカップルたちのラブストーリー。17曲のオリジナルソングで綴られる
トーク:作品解説、監督とプロデューサーの仕事

◆9月22日(土)14時〜 『奇人密碼−古羅布之謎』(2015年)
監督:黃強華(ホアン・チャンホア)、黃文擇(ホアン・ウェンツァ)
台湾の伝統的な人形劇「布袋戲」をベースに、新キャラクターとオリジナルストーリーで創り上げた冒険ファンタジー映画。
日本と合作して成功した「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」の原点。トーク:作品解説、布袋戲の魅力

◆11月29日(木)19時〜 『拔一條河』(2013年) 監督:楊力州(ヤン・リージョウ)
出演:(ドキュメンタリー)
2009年に台湾の中南部および南東部で発生した水害の直後、子ども達と外国人花嫁たちが村人を勇気づけて復興に向かった感動のドキュメンタリー。
トーク:作品解説、金馬奨レポート

ロシア・ソビエト映画祭
「アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語」、「マチルダ」ら24本2回上映。
国立映画アーカイブにて7月より

http://www.nfaj.go.jp/wp-content/uploads/sites/5/2018/06/NFAJprogram2018No04.pdf

・凱旋上映!バーフバリ 完全版

上映中。長尺のインド映画なので、今後なかなか再上映は難しいと思われます。これこそ映画館で見るべき作品。気になる方はこの機会にぜひ、劇場で王を称えよ!

http://baahubali-movie.com/theater2.html

ユジク阿佐ヶ谷等、一部の映画館では前編の「伝説誕生」のリバイバル上映も行われます。
posted by 銀の匙 at 11:39| Comment(0) | 催し物 リマインダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月06日

2018年 ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン(3日目)有楽町会場

ラ・フォルジュルネ3日目にして最終日。

本日は夕方から、2プログラムに参戦です。

会場周辺は賑わいつつも混雑はしていない、ちょうどいい塩梅の人の入り。

まずはB7会場にて、M325 シルクロードの音楽を聴きました。

実は、最終日1プログラムだけ聴きに来るのもなんだかな、と思い、追加で購入したチケットでしたが、これが大当たり。

見慣れない民族楽器を操るカンティクム・ノーヴムと和楽器(三味線、尺八、琴)の競演。

なぜか最後のナンバーが「こきりこ」…。マンドリンでこきりこ、ブロックフレーテ(かな?)でこきりこ、ノリノリで良い演奏でしたが、なにゆえこの選曲???

ともあれ、日本人観客はみんな知ってるこのナンバー、当然のごとく盛り上がり、熱狂のうちにプログラムが終了し、残るはM316最終公演のみ。

このプログラムは、毎年の目玉奏者が出るのに終わる時間が遅いため、当日でも確実にチケットが手に入ります。帰宅の交通に支障がなければふらっと来て最高の音楽体験。良いですね〜。

と、大人しくAホールで座っていると、池袋会場の最終公演からハシゴしてくる観客を待つので開場が10分遅れになるとのアナウンス。場内は、そんな人いるんだ…! とざわついていました。

後で聞いた話では、ホールAばかりでなく、B5の最終公演・チェンバロ奏者でチケット瞬殺になっていたピエール・アンタイさんは持ち時間30分オーバーだったらしい。お客さん、きっと感涙にむせんでたことでしょう。

最終公演のロマバンド、パヴェル・シュポルツル&ジプシーウェイは超絶技巧で凄かった。持ち曲のトランシルヴァニア幻想曲、ババイのカプリス・ツィガーヌという曲を演奏してくれました。

その後、ウラル・フィルが登場し、ルイス・フェルナンド・ペレス のピアノでラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 op.43、アレクサンドル・クニャーゼフのチェロでカザルス:鳥の歌、ブロッホ:「ユダヤ人の生活」から「祈り」

そして、ウラル・フィルだけでドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 op.95「新世界より」から第4楽章、
〆はエカテリンブルク・フィルハーモニー合唱団も登場して、伝承歌:行け、モーゼよ、と、ヴェルディ:オペラ《ナブッコ》から「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」と盛りだくさん。

クニャーゼフは渋い魅力があった(息継ぎの音が大きくて、静かな曲を弾いてても、チェロって力が要るんだなと思いました)けど、全体に、選曲のせいか熱狂というよりは良演で〆ました、という雰囲気でしたが、アンコール(ナブッコをもう1回演った)も終わり、ルネ・マルタンさんも袖に引っ込み、オケも退場して、家路を急ぐ人たちが立ち上がったあと、とても素敵なことが起きました。

オケが全員はけたときには拍手ももうまばらだったのですが、舞台には最後に合唱団が残っていました。せっかく素晴らしい歌を聴かせてくれたのに、ラストが寂しいなんて残念すぎる、せっかく立ったしお見送りの拍手をしよう、と思ったら、皆さん同じ思いだったらしく、合唱団が退場を始めた瞬間にいきなり拍手の音が大きくなり、合唱団が全員退場するまで、拍手はどんどん大きくなって続いていました。

終わり良ければすべてよし。今年のフォルジュルネも最高でした!


posted by 銀の匙 at 03:10| Comment(0) | 舞台/パフォーマンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月05日

2018年 ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン(1日目、2日目)有楽町会場、池袋会場

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皆様こんにちは。
今年もゴールデンウィークのクラシック音楽の祭典、ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン鑑賞/出演してまいりました。

期間中さまざまな用事に襲い掛かられ、レポートとしては遅きに失しましたが、ちょっとした感想ということで。

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まずは第1日目、5月3日。

この日の東京地方は早朝まで凄惨なお天気で気を揉みましたが、午前のうちに天気が回復して一安心。聴衆としては夜の1プログラムだけ聞きました。

今回は銀座/有楽町の東京国際フォーラムと池袋の東京芸術劇場、2つの会場での開催でした。

フォーラム会場はガラス棟と会議棟の間に例年イスとテーブルを大量に出していて、お祭り気分を盛り上げているのですが、第1日目は数が少なく(天気のせいかも)、椅子取り合戦に敗れた人たちが相当困ってました。

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第1回目からブースを出している帝国ホテル。テイクアウトのカップも気合い入ってます。

聴いた方は1つだけでボリス・ベレゾフスキーの:「カルトブランシュ」つまり、曲目はおまかせ。何を演奏するかも分からないのに物凄いチケット争奪戦でした。しかし残念ながら、こちらが疲れていたため、演奏の途中で気が遠くなりそうに…。ダメじゃん。


第2日目、5月4日。

池袋会場は東京芸術劇場前。こちらはコンサート用のホールなので、音は断然国際フォーラムより良かったです。ただ、有楽町会場に比べると、会場周辺がかなり寂しい感じだったのは否めませんでしたが、隣の公演で無料公演が始まるとお祭りらしい雰囲気になって一安心。

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こちらもテーブルやイスが出してあったのですが、酒盛りを始めるグループ(どう見ても音楽を聴きにきた感じではない....)が何組も占拠していて、あまりいい雰囲気とは言えませんでした。これは今後の課題ですかね。

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プログラムが終わったあと、お気に入りの池袋の東口公園に出かけたところ、そこでもラ・ファルジュルネのイベントの一環として無料公演をやっていました。

こちらの方が断然雰囲気が良かったです。

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さて、初の池袋開催ということでチケットも取りやすく、穴場だとは思っていましたが、座席をみてビックリ。一番前の席で、レミ・ジュニエ様のど真ん前。今年の運をすべて使い果たしたとしか思えない...。

おっとその前に、エカテリンブルク・フィルハーモニー合唱団とウラル・フィル、ドミトリー・リスでグレチャニノフのミサ・エキュメニカop.142を聴きました。

東京芸術劇場のコンサートホールはさすがの威容。

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(開演前の様子。もちろん、始まる前に携帯はオフ)


しかし驚いたことに、上手側の舞台番前の1ブロックががら空き。何が起こったんだろうと、始まる前にお客さんもざわついていました。ツアーがキャンセルにでもなったのかしら…? と、皆さんささやいていましたが…。

気の毒なのは演奏者の皆さんで、舞台に出てきた途端、一瞬、えっ...?と表情に出してしまった人もいました。演奏は素晴らしかったのに残念。

この公演に限らず池袋はほとんどの公演に残席があり、本当にもったいなかったです(来年はそうは行かないかも知れないけど)。

でも、来年も池袋地区で開催してくれるかどうか、このままではかなり微妙かも…。

とにかく、おかげさまで今年は至近距離からレミ・ジュニエ様を拝むことができました。

プロコフィエフのピアノ・ソナタ第8番 変ロ長調op.84はホントに長調か…?という感じの曲ではありました。超ラッキーな席でしたので、手の動きがばっちり観察できました。指さすように指1本だけ鍵盤に置く弾き方や、休符でかなり離れた鍵に移動するときにも、手を鍵盤に滑らせているというのが興味深かったです。


ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」からは「ロシアの踊り」「ペトルーシュカの部屋」「復活祭の市場」。

少し線が細い感じの演奏で、奇妙な異国の空間というよりは、水に浮かぶアメンボの不思議な動き、と言った風情。それはそれで大変面白かったです。

夕方からはもう一度、エカテリンブルク・フィルハーモニー合唱団の歌を聴きました。

最初の曲はラフマニノフの晩祷から、「わが霊や主を称えよ」。アルトソロと合唱団の掛け合いの曲ですが、これが大変素晴らしい出来で、最初から滂沱の涙になってしまいました。

この曲に限らず、どの曲にもソロ箇所があり、合唱団メンバーが歌っていましたが、どの人もレベルが高く、しかも終わりに行くにつれてさらに元気になっていくようで、いやはやロシアの人の体力恐るべし、と思いました。

本日は夕方より2プログラムを聴く予定です。

それでは皆様、よい休日を!

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posted by 銀の匙 at 12:40| Comment(0) | 舞台/パフォーマンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月29日

パディントン/パディントン2(ストーリーに触れています)

「くまのパディントン」シリーズが大好きで、繰り返し繰り返し読んでいました。

暗黒の地ペルーから密航し、ロンドンのパディントン駅でブラウンさん一家に拾われた子グマの物語。
礼儀正しいジェントル熊(?)のパディントンは、おっちょこちょいだけど街の人気者です。

ブラウンさん一家の日常や骨董屋のグルーバーさんと楽しむ「お11時」のお茶など、お話から垣間見える古き良きイギリスの暮らしに憧れたもんです。

そんな児童文学の傑作を、生きてるようなモフモフのCGで映画化? しかも舞台は現在? 

いやいやガッカリするだけだもん、絶対観ませんよ☆ と思っていたんですけど…。

泣けるから絶対観ろ!という周囲の推薦の辞も何だかなぁと思いながら観始めたら、いきなり原作にないペルーでの回想シーン?が始まり、CGはやけにリアルで可愛くないし、パディントンのおっちょこちょい具合が何となく下品でウザいし、街並みは現在のロンドンだし、子どもたちは現代っ子で小憎らしいし、本のちょっとレトロな良さが全然出てないなぁとガッカリ感半端ありませんでした。

最初はね。


拾ってくれたブラウン一家からも、お母さん(おや、ルーシー・モードさん↠記事はこちら じゃありませんか、また画家の役なのね・笑)を除いては、厄介者扱いのパディントン。そこがまた原作ファンにはガッカリなのですが、ともかく役場に連れて行くか、他に引き取ってくれる人を探そうということになり、パディントンがロンドンに来るきっかけを作った、英国からの探検家を尋ねることになります。

ところが、探検家協会に行ってみると、ペルーに行った人なんかいませんとけんもほろろの扱い。諦めきれないパディントンは資料室に潜入し、ことの真偽を確かめようとするのでした...。




パディントンの造形がややブキミだと思っていたのも最初のうちだけで、挿絵じゃなくて本当のパディントン(というのも変な表現ですが)がいたら、こんな感じだろうなあと納得してしまう演出恐るべし。

そして、バンクス一家の趣味や隣人の職業など、ちょっとした設定も伏線になっていて、鮮やかに大団円につなぐ脚本はお見事のひと言。BBCの「シャーロック・ホームズ」しかり、「ラブ・アクチュアリー」「キングスマン」しかり、パズルのように鮮やかにピースをはめていく劇作の上手さはさすがイギリス。

実はレトロなスパイスも、1では探検家協会のシーン、2ではお話のカギとなる飛び出す絵本のシーンなどに、しっかり効かせてあります。ロンドンの名所を取り上げて、ちゃっかり観光アピールしているのも微笑ましい。

中南米っぽいバンドが狂言回し的に登場し、映画のあちこちに移民排斥への異議申し立てのメッセージが挟まれているのは、時節柄よく理解できるんだけど、ここまで露骨にこのお話に絡ませなくても…と思いかけてハッとしました。

ペルーからの密航者・パディントン。トボけたクマの挿絵の横にそんな文字が躍っていると大げさでユーモラスですが、実は原作者もパディントンに戦争孤児や移民の姿を重ねていたのかも知れない。映画の冒頭、戦争のときに孤児を進んで引き取った、優しいロンドンの人たちを想起するシーンがありますが、原作者の意を汲んで追加したシーンなのかも知れません。

という訳で、原作へのリスペクトもしっかり込められたシリーズ2作、吹き替えキャストの豪華さにびっくりですが、大人の皆様には上級階級からロンドン子までバラエティーに富んだイギリス英語を楽しめる字幕版もおススメです。

泣けるかって? う〜ん、すみません、私はつい、泣いちゃいました...。


関東地区と近畿地区では5月中旬までの上映です。お見逃しなく!





おススメの辞は以上で、以下はご覧になった方向けにちょこっとだけ、個人的感想です。


最後にイギリスに行ってから、もう10年以上経ってしまいましたが(月日の経つのは早いですね)、ロンドン・オリンピックの成功で、かなり多文化共生的な雰囲気になったと聞いている一方、EU 離脱など非寛容な動きがあることも耳にします。

そんな中で、世界に向けて、しかも子ども向けの作品で正面切ってメッセージを打ち出してきたのは素直に偉いと思うし、制作者の良心を感じますが、別の意味でイギリス(と、その遺伝子を受け継いでいるであろうハリウッド)のスゴさも感じました。

この映画は、かつての英国の偉大な探検家たちがやらかしたことを皮肉り、移民といえば泥棒と見なす同胞をたしなめていて、とても勇気があるし立派だと思います。こういう面をちゃんと描いて反省してから、名誉をはく奪されてもクマたちを守った探検家やパディントンを助けた町の人たちを描いている。

それは良いんだけど、そもそも、近代以降、世界のあれこれの紛争(とその結果としての難民流出)の原因を作ってきた立役者は誰あろう、大英帝国様じゃないですか。

ロンドンにいる移民には、元のイギリス植民地からやってきた人たちも少なくないはず。

なのにいつも、いつの間にかイギリスがちゃっかり正義の味方の側に回ってるんだけど、ホントに良いのかしら?

「敗戦国&植民地経営組のおめーが言うな」と突っ込まれそうだから、これ以上の追究はやめておくけど、イギリス人は本当に賢いな…と思い知らされてしまう今日この頃なのであります。




posted by 銀の匙 at 16:57| Comment(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月22日

コードネームは孫中山(行動代號:孫中山)  (表記以降、お話の結末に触れています)

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大阪アジアン映画祭でグランプリと観客賞の2冠を獲得した作品という、おうわさはかねがね伺っていたのですが、何せその後も数回しか上映されず、どうしてもお会いできませんでした。

今回、台湾文化センターでの無料上映にチャレンジ。ネットで先着順だったのですが、主催者によれば募集後8分で満席になってしまったとか。

見れば人気も頷ける面白さ。だって、この絵づら↑ですよ(笑)
さすが大阪の観客の皆様はお目が高い。

相当笑ってちょっとホロっと来る、イー・ツーイェン(易智言)監督による脚本も、街中でスカウトされたという高校生キャストの演技も秀逸でした。

舞台は台湾のどこにでもありそうな高校。

学級費を払えとしつこく催促されたアーツゥオ(阿左)ですが、そんなお金はどこにもない。そこで突飛な作戦を思いつきます。それは、倉庫に置かれた孫中山像を盗み出し、くず鉄屋に売ってお金を稼ぐこと。

計画に乗った3人の仲間と共に周到な準備(笑)を整えていると、その前に立ちはだかる驚愕の出来事(あり得ないし・笑)が!!

果たして彼らは無事、孫中山像を売り飛ばして学級費を支払うことができるのでしょうか!?



学校の備品を盗んで売ろうだなんて、とんでもない…とは一瞬も思えないのは、主役のアーツゥオ君がどう見ても人懐っこい良い子だから。なかなか頭も良いのに、どこか天然ボケが入ってほんわかしたアーツゥオは、演じた・懷雲くんの素のまんま。

(こちら↓に・懷雲くん編のメイキングがありますが、とても可愛らしい) https://www.youtube.com/watch?v=Tc3U04sA-1s
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彼の前に立ちはだかる、影のある少年を演じたウェイ・ハンディン(魏漢鼎)との対比も良かったです。

今回、字幕にもトボけた味わいがあり、かなりの人が字幕で笑ってました。

無名の高校生たちが主役のこの映画、大作でもないしキャスティングも地味(有名な俳優さんも出てはいるけどほんの脇訳)、でも見ればきっとお気に入りの1本になるはず。もっとたくさんの人に観る機会がありますように、と心から願っております!

終わったあとのトークショーで2人のその後についても紹介がありました。

この映画の後、・懷雲(ヂャン・ホワイユン)くんはアリエル・リンが主演の映画に出演、魏漢鼎(マシュー・ウェイ・ハンディン)くんは《再見,在也不見》という作品に出演しましたが、学業を優先し、大学に進学したそうです。

所属はイー・ツーイェン監督の事務所だそうですが、今後も俳優を続けるかどうかは彼らに任せると監督は仰っているのだとか。

ということで、ストーリーはあまり知らない方が面白いと思うので、未見の方はここまで。ネタバレOKの方は、どうぞ以下もご覧ください。








さて。


監視カメラ対策に、お面を用意し(安かったけど粗悪材料なので顔がかぶれるらしい・笑)、色仕掛けで倉庫のカギをゲット、かなり重めの女子が載っても壊れない台車も用意してリハーサルまで済ませた彼らが、学校近くの路上で発見したのは1冊のノート。そこには何と、同様の孫中山像強奪計画が記されているではありませんか!!(マジか…)

アーツゥオは持ち主を探し出し、計画の実行日を聞き出して先駆けしようと尾行します。

ノートを回収したのは同じ学校の、どこかミステリアスな少年。この尾行シーンがまた笑えます。

ついに2人は直接ことばを交わすことになるのですが、どちらがより銅像を盗む資格があるかを競い合う「貧乏自慢」のシーンが切実なんですけど、どことなく可笑しい。

人の良いアーツゥオは、野良猫のように警戒心の強い少年に、一緒に組もうと呼びかけ、計画の詳細を説明し、準備した品々を置いた隠れ家に彼を案内してしまいます。

互いを紹介しようとアーツゥオと仲間が隠れ家を尋ねると、そこはもぬけのから。

抜け駆けされたと知った仲間は怒りますが、アーツゥオは余裕しゃくしゃく。自分たちも彼らと同じお面をつけて出かけ、彼らが首尾よく銅像を運び出したら、それをドラックに載せて運び出してしまえばいい。

事はアーツゥオの思い通り進むのですが、対抗グループは首尾よく倉庫に忍び込んだものの、なかなか出てきません。

守衛が連続ドラマを見てるうちに運びださないとバレる、と焦るアーツゥオ。1人、また1人と様子を見に行ったメンバーが戻らないため、ついに4人とも倉庫の中へ。なんと、銅像が重すぎて台車に載せられなかったのでした(アホか…)

8人がかりでようやく銅像は台車に載り、順調かと思いきや、無情にもドラマが終わってしまい、守衛とその彼女に発見されてしまいます。しかし、ブキミなお面が功を奏したのか、キョンシーの真似が効いたのか、彼らは守衛をビビらすことに成功(というか、守衛はこの機に乗じて彼女とよろしくやっているわけですが)銅像を軽トラに積み込みます。

とここで、対抗グループ側は人数が多いことに気が付き(遅いよ!)、つかみ合いの事態に。

何とか振り切って車を発進させたアーツゥオでしたが、走って追いかけてきた例の少年がケガをしたらしいのに気づき、心配して車を止めてしまいます。救いの手を拒んで、あくまで自分1人で銅像を手に入れようとする少年でしたが、何と、どこかで荷台から銅像が落ちてしまったことが発覚。

戻ってみれば台湾の繁華街・西門町の交差点に鎮座まします孫中山像が…。

あくまで協力を拒む少年とアーツゥオが取っ組み合いになっていると、ついにパトカーが来てしまいます。

ニュース沙汰になるわ、生活指導の教官には絞られるわ、結果は惨憺たるありさま。

ひと教室に集められ、おとなしく反省文を書いて提出した生徒に、教官は、また警察に戻りたいのか、最初から書き直せ、3000字以上書け!と命じます。

少年たちは自問します。

最初からって、最初はどこなんだ。

学級費を催促されたところから?

一週間前に孫中山の銅像を見つけたところから?

もっと前、卒業旅行の経費が払えないところから?

いや、おやじの工場が倒産したところから?

そこでまた、彼らの「貧乏自慢」が始まります。倒産なら任せとけ、じいちゃんのじいちゃんのそのまたじいちゃんから貧乏で…。

すると例の少年が一喝します。自分たちの孫の孫の代まで、貧乏でいいのか!

後日、スーパーで試食していたアーツゥオの前に少年が現れます。今までアーツゥオが何度名乗っても自分の名前を明かさなかった少年は、最後に自分がシャオティエン(小天)だと教えます。

お前は賢い。俺は腕っぷしが強い。2人が組んだら、きっと大きなことが出来るはずだ。

いつも秘密の計画を相談してきた歩道橋に仲間たちが集い、俺たちも乗るよ、という合図で、映画は爽やかに幕を閉じます。




日本で言えば「二宮金次郎」みたいな、どこにでもあった銅像が文字通りお蔵入りしていて、それが学校の廊下だの、日本でいえば歌舞伎町か新橋みたいな場所の交差点だのに突然出現する様子が、本当にあり得なくて笑っちゃうんですけど、そうは言ってもこの銅像は「二宮金次郎」でも「ハナ肇」でもなく、国父・孫文/中山先生なのだから、そこはやはり重みが違います。

交差点に銅像置きっぱなし事件がニュースになり、レポーターが「高校生のいたずら」としながらも、何か他に意図があるのか捜査中、と付け加えていたように、場合によっちゃ冗談ごとじゃ済まないし、ひと昔前なら高校生じゃなくて監督が警察にお世話になってたかも知れないなあ...と感慨深いものがございました。

手に「三民主義」と書いた本をお持ちの孫文先生、立場によって毀誉褒貶・見方はいろいろございましょうが、彼が象徴していることの1つは封建社会の終焉。

私は、どう頑張っても身分を変えることは出来なかった昔より、もっと言えば、国父様でジョークを飛ばすと要注意人物扱いだった昔より、現代はずっと進歩してると信じたいけど、現実はまだこんなものなのかと思って観るひとも多かったことでしょう。


上映後、解説トークで伺ったのですが、台湾でも貧困はかなり深刻な問題で、その大きな理由の1つは独り親家庭が多いこと、そして突き詰めれば離婚率が高いことだと仰っていました。


映画では、どこまでも諦めないで、何とかしようと考える子どもたちの姿を、ユーモアいっぱいに描いているところに救いがありました。現実にはなかなか難しい問題だけど、100年前の孫文先生の時代に比べたら、まだまだ庶民にだって未来は変えられると思わせてくれる作品です。

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2018年04月08日

ブラックパンサー

この映画で何が驚いたってキャストですよ。

ビルボとゴラムが夢の競演!

聞いてないよ! 
皆さんご存じなんですよね? 私は本当にビックリしましたよ…だって、黒人キャストだけって聞いてたんだもん。

でも、マーティン・フリーマンとアンディ・サーキス、このビッグな2人が出演を快諾したであろうイカす映画、それがこの「ブラックパンサー」なのであります。

予告を観たときは、セレブがパワードスーツを着て暴れまくる、いや、正義のために戦う、アイアンマンかバットマンの黒人版なのかなと思ってましたが、全然違います。

いちばん近い映画はもしかして…「バーフバリ」?
いちばん近い小説はもしかして…「吉里吉里国」?

とにかく、音楽、衣装、アクション、ガジェット、そしてシンプルでぶれないメッセージに至るまで、映画の根底の部分のカルチャーがこれまでのヒーロー映画とかなり違っていて、とても新鮮でした。

日本の映画やアニメを初めて観た外国の人のワオ!って感激はこんな感じなのかも。

お話はアフリカののどかな農村国、ワガンダから始まります。そこは世界で一番夕日が美しいとされているところ。逆にいえば、それ以外は何もない場所です。

しかしワガンダはなぜか世界中にスパイを放っており、その一人の元へ突然ワガンダ国王が現れます。

動揺するスパイ。彼は国家の最高機密である謎の鉱石・ヴィブラニウムを持ち出していたのです。国王は彼に、帰国して評議会に出るよう促します。しかし…。



この後、お話は子ども世代に移り、超高層ビルが林立する中をリニアモーターカーやらVRで動くマシンやらが行きかうもんのすごいハイテク都市が舞台になるので、てっきり遠い未来のお話かとしばらく状況が呑み込めなかったんだけど、つまりワガンダは表向きは農業国で、地下では謎の鉱石のおかげで超未来的なハイテク国だったのです。

ワガンダは長きにわたってこの秘密を守り、繁栄を謳歌してきました。しかし、自分たちが良ければそれで良いのか、と考える人たちが現れます。彼らは、弱い者たちを守るために最強の鉱石で作った武器をばらまき、
決起させるのだと息まきます。

ワガンダの新国王ティ・チャラは苦悩します。もちろん武器をばらまくことは阻止しなければならない。だが、このまま他人の不幸を見て見ぬふりでよいのか…?

しかし、ちんたら考えている間に、彼は国王の座を追われることになってしまうのでした!



どこかの元大統領を思わせる、良い人なんだけどイマイチ煮え切らない指導者の下で、事態は最悪の方向に転がっていく、というストーリーが現実味ありすぎなんですけど、大丈夫です! 彼にはしっかり者のハイテク妹、しっかり者のキングマザー、しっかり者のキレッキレアクション女将軍がついてるから。

要所要所で女性が大活躍しますが、みなキャラが立っており、「政治的な正しさ」のために女性科学者をキャスティングしてるみたいなレベルではありません。白人ももちろん大活躍。アンディ・サーキスの嬉々とした怪演をお見逃しなく!

マーティンがアメリカ人役はちょっと納得いかないけど、まぁいいや。相変わらず良いように巻き込まれてるわこの人。

で、映画を観ていて思いました。アフリカの小国に素晴らしいハイテク医療、世界を驚かせるハイテク技術がある、という事態は言うにおよばず、映画のメッセージそのものが今はファンタジー。

でも、本作品は黒人による黒人のためのダイバーシティ称賛映画の枠に留まらず、観た人を変えるパワーを秘めています。

ゆめ、エンタメの力を侮るなかれ!

立川シネマシティで観ました。
ドラムや槍(!)、効果音の素晴らしい本作品にピッタリの爆音上映。
良い映画館をお持ちの、お近くにお住まいの皆様がうらやましい!
posted by 銀の匙 at 11:27| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月25日

【revised】二代妖精之今生有幸(Hanson and the Beast) 表記以降、ネタバレ注意

【revused】最初の5分間視聴できるリンクを追加しました

hongmen.jpg

お姫様抱っこシーン(『項羽と劉邦 White Vengeance』)で名高い二人が6年目には…

haibao2.jpg
こうなります、とネタになってました。なんでこんなことに(トホホ)

袁帥(ユエン・シュアイ=ウィリアム・フォンが演じます)は、団結動物園の飼育係としてゾウ舎に住み込みで働く傍ら、逆玉の輿を目指してせっせとお見合いする毎日。

金持ちマダムとレストランで会ったはいいものの、釣書を出すなりせせら笑われ「結婚なんて思い上がりも甚だしい、まあ顔は悪くないから、特殊プレイに付き合うなら金は出すわよ」と言われ、さすがに怒ってテーブルの上のケーキを持ち上げ...たけど、そのままゾウ舎まで持って帰るという情けない三十路男です。

これしきで落ち込む余裕もなく次のお見合い場所に向かうと、そこに現れたのは清楚な美少女・白繊楚(バイ・チェンチュ=リウ・イーフェイが演じます)。しかし、彼女は金魚鉢から水を飲んだり、自分をキツネの精だと言ってみたり、ちょっと頭のネジが緩んでいる様子。

そこへ、ガラの悪い三人組が袁帥を探しにやってきます。どうやら彼らは借金の取り立てに来たようなのですが…。

        * * *

オモテ看板としてはいちおう、コメディータッチの人×妖ラブストーリー、なんですが、とにかく主演のウィリアム・フォンが捨て身過ぎる。

冒頭からまさかのストリーキングは序の口で、女装させられるわ妙な被り物はかぶらされるわ散々な目に遭うのですが、捨て身なのはフィジカル面だけじゃございません。

・蘭陽演劇大学は出たものの5年も芽が出ず(ご本尊さま下積み10年)

・「琅琊壮士榜」「抗日神鵬侠侶」などにご出演
  (ご本尊さまがかすってもいない人気作品の、三番煎じっぽいタイトル…)

・お見合いに励む毎日(ご本尊さま曰く親に騙されて)

・イケメンなだけが取り柄で、名前が袁帥(=生まれつきイケメンという意味。しかしながら劇中は自虐ネタ扱い)

・英語名までHanson(and the Beastで「美男と野獣」ってあなた…)

・でもさっぱり結婚できず(ご本尊さま高・富・帥(笑)なのに)

・相手につられて思わず上海語をしゃべり(ご本尊さま上海出身)
(↓こちらは会員用のサイトですが、最初の5分視聴できます。最後にウィリアム・フォンが話している
セリフが上海語です。
https://v.qq.com/x/cover/y6hdzchhaapdqtp/j0025r7uqfo.html)

・芸人の分際でサービス精神に欠けると罵られ
 (ご本尊さま別作品インタビューにてご披露済み)

・道端で倒れていると、痩せすぎだとか腹筋はあるとか言われ
 (ご本尊さま別作品インタビューにてご披露済み)

・やむを得ずとは言えワンピースをご着用あそばされ
 (ご本尊さま幼少のみぎりご着用済み)

・お相手は映画出世作のヒロイン、リウ・イーフェイ
 (今回は虞美人が(ほぼ)覇王なんですけど)

・そもそも、映画のタイトルからして「二代妖精」
 (ご本尊さま「富二代」(富豪の跡取り)との噂)

・あなたの隣にも妖怪がって…国民のお義父さまがなぜここにっ!
 (小説家・映画監督の韓寒がカメオ出演。いいお友達(笑)ですねっ) 

etc.,etc.,ご本人を知らない観客は『白蛇伝』の焼き直しかコレ、と思うでしょうが、知っている皆様には「進ぬ 電波少年」「テラスハウス」あたりかと…って、リアリティー・ショーかっつうの!

ファン・サービスというか内輪受けというか(こんなことやあんなことまで知ってる自分がイヤ( ;∀;))、ご本人にまつわるネタがストーリーに絡んでいるんですが、これは知っている人しか観に来ないという前提なのか、国民の常識として知られているのか何なんでしょう??

ここまで来ると、ゴシップを逆手にとったパロディというより、まさかホントに劇中の袁帥同様、巨額の製作費を負担した作品がコケて、借金返済のためにこんな映画に出演しなくちゃいけなくなったのかしら、と心配になってしまいます…おっと、こんな映画呼ばわりは失礼でした。

実は、けばけばしい予告映像やポスターを観て、どんなクズ映画かと思いっきりハードルが下がっていたせいか、案外ちゃんとした映画だったのでちょっとホッとしたのでした(あくまで「案外」ですが…)。

特にタイトルロールは、短いですが上海の旧市街と新市街の両方をバックに撮られていて、なかなかオシャレ。

それに、袁帥は情けないとはいえ割合ふつうな人で、コメディ部分はもっぱらリウ・イーフェイの担当。こっちは本当にここまでやるかな捨て身の演技で、その根性の座りっぷりには敬服いたしました、いちおう美人女優さんなのに…。

彼女に比べれば、ウィリアム・フォンの捨て身度は全然足りてませんが、そこそこのルックスで良い人なんだけど影が薄い一般人、の人物造詣はお見事でした。課題があるとすれば「おどろく」演技かな...。

妖怪管理局局長・雲中鶴(=李光潔が演じます)と入れ替わったところの演技は結構面白かったです。李光潔の方は、短いながら自身に扮した袁帥を演じるシーンがあり、上手い俳優さんだなと思いました。

お話の方は予測可能な範囲内に終始しちゃったのと、もうちょい「お笑い」にも力を入れて欲しかったって感じですかね。このポスターのノリが本編にも欲しかった…。ちなみに、本作品、サブタイトルが付いてるってことは続編作る気満々なんでしょうね...。画皮と違って、8まではどうかと思うけど。

huapi8.jpg
画皮8への出演はやめとこう

ということで、DVD鑑賞になる方が大半かと思いますが、この映画、単なるファンサービス映画かと思えばまたそれもちょっと違うのかもね、と個人的には思いましたということで、お話の詳細が分かっても良い方は以下をどうぞ。
(以下、ネタバレです)







一時期、マジメな文芸作品に舵を切ったかと思ったのに、最近またぞろ微妙な作品に、しかも大量に出演しておられますウィリアム・フォン(冯绍峰)さん。

まさか本当に借金のカタに売られたのでは…(ぶるぶる)と思わなくもない今日この頃、まあこの映画に出演したのはプロデューサーがヒットメーカーの陳国富さんということもあるのかも。

それから劇中のセリフにある通り、前回超ド級文芸作品《黄金時代》に出演したとき、巨匠アン・ホイに「俳優なんてサービス業なんだから」と言われたのが引っかかっているのかも。(インタビューで断片的に見たので、どういうシチュエーションで言われたのか分からないけど、監督も余計な事を…)

それはともかくこの映画、ドアタマのナレーションからしてすでに堂々のネタバレです。

むかしむかし、妖怪管理局のせいで、人間と妖怪は結婚どころか友だちにさえなれなかったけれど、パパがお見合いしたあの日からすっかり変わってしまったの

ってことは、画面には出てこないけど、ナレーションしている子(最後に袁份(ユエン・フェン)=缘分(ご縁がある。いま風にいえば、きずなちゃん?)という名前だと分かります)が「二代妖精」なんですね。

でもって、ってことは、彼のパパ・袁帥(ユエン・シュアイ)は無事結婚したわけで、途中はともかくハッピーエンドは予約済みって訳です。

しかも、話全体は「むかし人間に助けられた妖怪が、恩返しのためにその妻になって助ける」という内容から一歩も離れないので、ナイトクラブとか「横店」(中国の映画村)とか上海の街並みとか、舞台装置は現代風なものの、何かどっかで観たな...という印象は拭えません。

結局はウィリアム・フォンとリウ・イーフェイのファンのためのアイドル映画だよね、という結論も動かしがたいものはあるのですが、そんな、まともに品評されないエンタメ映画だからこそ、こっそり仕掛けたこともあるのでは、と勘ぐってしまうアマノジャクな観客(←私)。

この映画はいちおうコメデイですが、香港の喜劇王・周星馳の映画とは違い、ある意味コメディの王道を行く作品。つまり、動作やセリフで観客を笑わせるというよりは、チクチクと世情を風刺するタイプのコメディなんですね。

タイトルの《二代妖精》にしても、ウィリアム・フォンが主演したからネタっぽく流してもらえるけど、すぐ連想されるのは「富二代」という言葉。これは、金持ちのボンボンばかりが幅を利かす、情けない世情を示します。

主人公の袁帥は、中味よりは見てくればかりをもてはやす、最近の風潮のアイコン。

彼は、俳優を夢見て演劇大学に入り頑張ったけれど、そんな夢の世界でさえ、求められるのはとにかくカネ、カネ、カネ。ファンだと言ってすり寄ってきた人物に出資を持ち掛けられた挙句、映画は失敗。同じ映画人の仲間から、借金の取り立てに追われる毎日。

カネが原因で父親は心を病んで入院生活。自分の資本は顔だけなので、金持ちと結婚することで借金を返そうとします。

そんな彼にもいちおう矜持はあり、夜のお相手にという提案に激怒する一方、幼いころ袁帥に助けられ、美女に変化して恩を返しに現れた銀ギツネの妖怪・白繊楚に、自分が女だったらナイトクラブで働いて借金を返すのに、と言ってしまいます。

本当にナイトクラブに稼ぎにいった白繊楚を探しに行く袁帥。そこには、同じく彼女を人間の「汚染」から遠ざけようと画策する妖怪管理局の長、雲中鶴が乗り込んできます。

なかなか白繊楚を連れ戻せない雲中鶴は、袁帥がカネに困っているのに目をつけ、手助けをすれば多額の報奨金を支払うと約束するのでした。



結局、袁帥に危害が及ぶのを恐れた白繊楚は囚われの身になってしまうのですが、それを救いに行こうとする袁帥が、妖怪は袖の下は受け取るのかとか、何とかコネを探そうとするあたりもさりげなくチクチク来るし、人間と妖怪を引き離すために妖怪管理局が画策する陰謀も、見方によっては(何せ勤め先が「団結」動物園ですものね)結構チクチクやってるな〜という印象です。


物語の舞台が上海なのも効いていて、資本家や外国人の支配から逃れるために革命を起こした土地柄のはずが、一夜あければ夜総会(ナイトクラブ)が林立し、地獄の沙汰も金次第の革命前に逆戻り。


袁パパのような昔気質の人にしてみれば、同志を大勢亡くした挙げ句の果てがこの有様では、アタマがおかしくもなろうと言うものです。


風刺があるから作品が高尚という訳でもないし、そもそも、高尚な作品が上でエンタメが下とは夢にも思っていないのですが、袁帥と一緒で、見てくれももちろん、骨も観てね、ということでしょうかね。

2017年 
肖洋監督作品
posted by 銀の匙 at 14:13| Comment(12) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月18日

バーフバリ 伝説誕生/バーフバリ 王の凱旋(表示以降 ネタバレあり)

(以下、「ネタバレ注意」表示以降で、ストーリーの細部に触れています)

大作映画も数あれど、自分の観た中では大作感歴代堂々ナンバーワンの映画でした。

轟音と共に流れまくる滝、荒れ狂う稲妻、画面狭しとウンカのごとく沸き起こる兵士などなど、物量、風景、画面のエネルギー、とにかく凄まじいスケールで冒頭から押しに押しまくります。

全編ツッコミどころ満載!というかほぼツッコミどころしかないのですが、最初こそ、何このムダな大作感…と思っていたのに、気づけばどんどんエスカレートする荒唐無稽さ、「300」のナナメ上を行くキレッキレの戦闘シーンの連続に、これこそVFXの正しい使い方だよなぁ、やっぱり映画はこうじゃないと等と感心を通り越して感動している始末。

ヒーローはあくまでも強く賢く茶目っ気もあり、次から次へと(インド映画的に)カッコいいシーンを見せられているうちに、髭むさいオヤジ(ごめん!)という第一印象が、映画が終わるころにはあら不思議、いかすイケメンに思えてしまうインド映画マジック、まさに「レジェンド」のタイトルに恥じません!

お話の方は、どことなく「■−ド・オブ・ザ・リング」とか「ゲーム・オブ・ス■ーン」を彷彿とさせる、物語世界の場所紹介から始まります。

今こういうの流行りよね〜と醒めつつ見ていると、背中に矢の刺さったおばさんが、凄まじい水量の滝をバックに、赤ん坊を追っ手から逃がそうと急いでいます。

セリフからすると自分の子ではないらしく、でも乳母の割にはものすごい大仰なセリフ回し。真面目なシーンなんだけど、例によってムダに大げさな上、スケキヨとかアルウェンとか自分の中にいろいろなものが去来して笑わずには見られませんでした...。

で、この赤ん坊はシヴドゥと名付けられ、あっという間に髭むさいオヤジ凛々しい、しかしなぜか滝を上りたがる若者に成長。流れついた木彫りの仮面の持ち主を探そうとするうち、とうとう滝上りにも成功します。

そこで見たのは、野郎ども軍団に追われて走る、か弱い美女。助けようかと機を伺うシヴドゥですが、なんと女は無敵の剣士。その上、あたりに伏兵がおり、野郎ども軍団はもろくも壊滅してしまいます。

興味を覚えたシヴドゥは女戦士の後をつけてアジトに潜入し、何とかかんとかという王国何とかかんとかという王妃が捉えられていること(名前長いんだもん)、彼らがその解放を目指していることを知ります。

正直王妃はどうでもよく、女戦士をナンパしたいがために宮廷に潜入したシヴドゥは、首尾よく王妃を奪還します。そこへ追っ手が到来、老人ながら凄腕の剣士が斬りかかってくるのですが、彼はシヴドゥの顔を見るなり、その場に崩れてしまいます...



物量大作戦とVFXがウリの映画かと思ったら、なかなかどうして脚本が面白く、前後合わせて5時間越えの長丁場が短く感じるくらいでした。

今回リバイバル上映だったので一気に観ることができましたが、前編の「伝説誕生」が、ちょっと何、そこで終わる!!??という超絶クリフハンガーだったため、間を空けて後編の「王の凱旋」を観た人は続きが気になってしょうがなかったでしょうね...。

現在、後編だけが上映中ですが、有難いことに冒頭、秀逸な前作のストーリー紹介がついており、実は私もそれを観て、前編の登場人物がよく理解できました(笑)

ですので、後編だけ観ても面白いです。

じわじわファンが増えたこともあってか、春休み以降、再上映や特集上映が予定されています。音楽も素晴らしいので、この先予定されている、立川シネマシティでの極音上映はねらい目かも。他にも、お近くで上映があれば、ぜひ!

ストーリーの結末が分かってしまっても十分面白いとは思いますが、これからご覧になる方はお楽しみということで、ここまで。続きをお知りになりたい方は、以下↓の「ネタバレ注意」表示以降もご覧ください。

キネカ大森で観ました。
特集上映をありがとう。キネカ大森を称えよ!!

では謹んで、ネタバレ感想に参りましょう。







この映画は簡単にいうと、

1)主人公シヴドゥ(実はマヒシュマティ王国の王位継承者マヘンドラ・バーフバリ)が成長するお話
2)シヴドゥの偉大な父の事績とその悲劇を、一部始終を知る忠臣カッタッパが回想するお話
3)マヒシュマティ王国の真の王であるシヴドゥが、簒奪者を倒して王位につくお話

の各パートから成り立っています。

前編の「伝説誕生」は1)と、2)の前半、後編の「王の凱旋」は2)の後半と3)を語ります。

見てると、サル山のボスと一緒で並外れた力の持ち主じゃないと王は務まらないな、というのが率直な感想ですが(違)、当然インド映画はそれだけじゃありません。

マヒシュマティ王国は豊かなな富と広大な領地を持つ強国でしたが、生まれたばかりの王子バーフバリを残して国王と王妃が急逝したため、王座が空位となってしまいます。

王兄は国事を見ることができず、その妃、シヴァガミが家臣の謀反を防ぎ、国事を代行するようになりました。王の遺児バーフバリとシヴァガミの子バラーラデーヴァには等しく王位継承権があり、国母と呼ばれるようになったシヴァガミは、どちらか優れた方を王位につけると宣言します。

しかし二人は優劣つけがたく、侵略してきた部族の長をどちらが倒すかで決着をつけることになりました。バーフバリは族長を追い詰めたものの、最後のとどめを刺したのはバラーラデーヴァでした。しかし、シヴァガミはバーフバリを王とすることに決めます。敵を倒すことのみにかまけていた従兄と異なり、バーフバリは民を傷つけないように心を砕いていたからでした。

「百人の敵を倒す者を英雄と呼ぶ。
だが、一人の命を救うものは神である」


さすが国母様、言うことが違います!

そこまで聞いて、武勇と人徳を備えた偉大なるバーフバリ王に一目お会いしたいと、シブドゥの育ての母は切望しますが、忠臣カッタッパは悲しげに、バーフバリ様は味方の裏切りに遭って亡くなられ、会うことは叶わないと告げます。驚く一同にとどめを刺すように、カッタッパは声を上げます。

「その裏切り者は私なのです」



劇終!


ってここで終わりかよーー!!と、エンドロールと共に映画館に阿鼻叫喚の声がこだましたことは想像に難くありませんが、安心してください! 続編の「王の凱旋」は日本でも全国でバッチリ上映中です。

では、急いで続きを見ることにいたしましょう。

危機が降りかかるたび、国母様が、

かったっぱ〜!!

と叫ぶや、背後から飛び出して一撃で相手を倒す、忠臣にして天下無双のカッタッパ。まるで、アラゴルンがひと言叫ぶと背後から飛び出してくる「■―ド・オブ・ザ・リング」のレゴラスのようだ(ビジュアルは相当違うけど)と思いながら観ていたら、なぜそんな恐ろしい展開に??

しかし回想の中では、カッタッパとバーフバリはまるで実の親子のように仲良し。戴冠を前に地方の視察に出るよう、国母に命じられた二人は、クンタラ王国の武芸の達人にして絶世の美女、デーヴァセーナに出会います。

乱暴な女がタイプなのは一族男子の血統なのか、案の定、鉄火肌のデーヴァ―セーナ兄貴の虜になるバーフバリ。

それを知った従兄は一計を案じ、先手を打って国母にクンタラ王国の王女を娶りたいと申し出ます。国母シヴァガミ様は、実の息子を王位から遠ざけたという自責の念からか、息子が望む結婚の成就を約束します。しかしそれは何としても王位につきたい息子の仕掛けた罠でした。

密かにバーフバリを見初めていた上に、マヒシュマティ王国からの高飛車な婚姻の申し出に怒ったデーヴァセーナは、挑発するような返事を寄こします。怒り狂った国母は、巡察で近くにいるはずのバーフバリに伝書鷹を飛ばし、王女を生け捕りにして届けるよう命じます。

その命令を王女と自分の結婚のためと勘違いしたバーフバリは、王女に身分を明かし、安心して共に来るよう促します。王女は国母の前で無礼を詫びて許されますが、結婚相手がバーフバリの従兄と知り、またもや怒り狂います。

さすが代々好みが一致してるというべきか、国母も王女とそっくりな性格で、宮廷内は一触即発状態に。バーフバリは嫁姑バトルのただ中で、王座を捨てて王女を取ると宣言します。

かくして、王座は従兄の手に移り、バーフバリは国軍の長に。しかし戴冠式の日、民衆は王の名よりもバーフバリの名を高く叫びます。当然、新王が面白かろうはずもなし。バーフバリを宮廷から追うと、彼はどこへ行っても民に慕われ、王者のように崇められています。

何をやっても人気者の従弟に勝てない王に、同情すべき点はなくもないですが、「蘭陵王」とかもそうだけど、王族の兄弟とか親戚同士の骨肉の争いって、ホントに恐ろしいですよね。

いよいよバーフバリが許せなくなった王は一計を案じ、デーヴァセーナの従兄クマラ・ヴァルマに、バーフバリ暗殺を計画する王を除くようわざと宮廷に忍び込ませ、クマラこそ王の暗殺を企てた逆賊で、首謀者はバーフバリだと国母に信じ込ませます。

筋肉野郎かと思ってたら結構アタマいいのね、とちょっと感心しちゃう王の計略でしたが、国母は民衆に人気のあるバーフバリを処刑すれば内乱が起きるのではと恐れます。そこでカッタッパに暗殺の命が下ります。

命に背くこともできず、自分を斬って欲しいと懇願するカッタッパ。国母は、ならば自らが暗殺の手を下すと迫り、ついに彼に命を承諾させます。

カッタッパは王に捕えられて刑を受けるという芝居でバーフバリをおびき出します。姿を現したバーフバリに自分を置いて逃げて欲しいと頼みますが、当然彼はどこまでもカッタッパを助けようとします。王が密かに見守る中、ついにカッタッパはバーフバリに手を掛けます。勝ち誇った王は、バーフバリの愚かさを罵ります。

それを聞いたカッタッパは王の計略を悟り、国母にそれを告げます。バーフバリの忘れ形見を抱いて国母の前に現れたデーヴァセーナは激しく国母をなじります。激怒するかと思いきや、国母はデーヴァセーナの足元にひれ伏して罪を認め、幼子こそが王だと宣言するのでした。

国王は国母と幼子を亡き者にしようと刺客を差し向けますが、国母は秘密の通路から逃走。背中に矢を受けながら、川に流されていきます…。



ということで、ようやく話は「伝説誕生」の最初のシーンにつながるんですね。あの大げさなおばさんは、乳母じゃなくて国母シヴァガミ様だったのか!と4時間以上見てやっと分かった鈍感な観客(私)をお赦しくだ
さい(だって、皆同じに見えるんだもん)。

この映画、ヒーローはあくまでも清く正しく、仇役は絶対的な悪で、最後は父の仇を討ったバーフバリが王座につくという、予定調和で勧善懲悪なストーリー。

ではありますが、一方の女性は国母シヴァガミといい、王女デーヴァセーナといい、知恵もあり正義のために行動することが却って悲劇をもたらす存在として、物語に奥行きを与えています。

そして気になるのは物語の要となる忠臣カッタッパ。彼はどういう存在なのでしょうか。

彼は忠義一徹で善人、武芸の達人ながら謙虚で人好きのする人物です。彼は国母の命とバーフバリ(1世)への情に挟まれ、結局、命を遂行しました。彼が暗殺者であることをデーヴァセーナは承知していたでしょうが、彼を責めたりはしていません。

しかし、映画の冒頭、王宮の広場に鎖で繋がれたデーヴァセーナを、警備が手薄なのに乗じて解放しようとしたカッタッパの申し出を、彼女は一言の下に拒否しています。

母として息子の凱旋を心から信じていたからということもありましょうが、息子の祖父替わりとも頼んでいたのに裏切ったカッタッパに救われたくないという矜持も当然あったのではないでしょうか。

英雄でもなく、神でもなく、命じられるがままに良心の呵責を感じながら、でも実行してしまうカッタッパ。彼の姿は業務という名のもとに悪い事とは知りながら、なぜかその片棒を担ぐ羽目になってしまう普通の人間の代表のように見えました。

で、一鑑賞者としては、性格悪いとは言え文武両道で優秀だった前王の後釜として、偉大な父の息子だからって、武はともかく文が怪しくてもちゃっかり座った息子バーフバリとその王国の行方がちょっぴり心配なんだけど、それはきっとまた別のお話、ですよね。

posted by 銀の匙 at 22:22| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月15日

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

shiawa.jpg

カナダの画家、モード・ルイスの伝記的映画。

タイトルはふわふわしてるし、作品を使ったポスターの絵はほんわかしてるし、舞台はカナダのノヴァスコシアだしで、ほんわか観ようと思えば観られないこともない映画。

確かにモードの描く絵は可愛くて、映画の中では町の人に「うちの子の描く絵にそっくり」とか言われています。

でも重いリューマチで身体は不自由、週に25セントのお給料、同居してるのは甲斐性ゼロのくせにオレ様なイーサン・ホーク、とくれば、絵が可愛いことで何とか他のキビシイ状況と釣り合いが取れていると言えなくもありません。

なにせ主人公であるモードの、家の中での順位は、

 1. オレ様(エヴェレット)
 2. オレ様(エヴェレット)のイヌ
 3. オレ様(エヴェレット)のニワトリ
  ↓
  ↓
  ↓
    お情けで置いてやっている、厄介者の家政婦(モード)
なんで。

もう一方のロクでなし、モードの兄貴は、事業に失敗して借金取りに追われる身。住んでいた家は売り払われ、叔母にも邪魔者扱いされたモードは、町はずれで魚の行商をして暮らしているエヴェレットが家政婦を募集していると知り、彼の家に向かいます。

家政どころか掃除も片づけもできないモードを追い出そうとするエヴェレットですが、モードが予想外の根性を発揮したうえに、エヴェレット本人もオレ様に見えて根が善良なため、ずるずるとモードに居座られる羽目に。

一見ひ弱そうなモードですが、内面ではややエキセントリックなゲージツ家魂が爆発しており、誰の言いなりにもならないそのエネルギーには並外れたものがあります。周りを動かして、ときに小狡く、ときに賢く立ち回る彼女を、サリー・ホーキンスが可愛げたっぷりに演じます。

そんな彼女に振り回され、すごく迷惑そうな、しかし内心嬉しくてしょうがないエヴェレットをイーサン・ホークが演じます。無骨な行商人がとても似合ってますが、着こなしや挙措動作に隠し切れないセレブテイストが…。

キャスティングって大変ですよね…。そしてそれ以上に、ゲージツ家と暮らすって大変ですよね……。モードと暮らして面白いこともいっぱいあったとは思いますし、結局、モードが絵に没頭できるように、エヴェレットが家政婦をやってたのも(口では言わないけれど)彼女の才能を認めていたからなのでしょうが、「お前はイヌより手がかかる」というセリフもかなり本音なんだろうなあと同情申し上げる今日この頃です。

アシュリング・ウォルシュ監督

posted by 銀の匙 at 23:29| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月02日

すばらしき映画音楽たち 

すばらしき.jpg
(写真はパンフレットの表紙から)

観終わったあと、とても感動しておきながら、忙しくて感想を書きかけたままになっていました。啓蟄と共に何とか思い出してエントリー(虫かよ)。

ハリウッド映画を彩る数々の映画音楽を紹介するドキュメンタリー。無声映画の、効果音からBGMまですべての音響をこなす、エレクトーンの親玉のようなオルガンとか↓(これを映像に合わせてライブで演奏したとか)
oru.jpg
ビッグバンドが主役になったり、ポップスが主役になったりといったサウンドの変遷とか、いろいろな切り口があって楽しめました。

名曲と共に名画も多数登場。記憶に新しいところでは、『マッドマックス2』や『アベンジャーズ』、久しぶりに大画面で観た『ロード・オブ・ザ・リング』も感涙モノ。

名曲が誕生する瞬間はもちろん、すでに出来上がっている音楽をミキシングする段階で、使われている楽器の音量調節によって映画のクライマックスを作るという局所的なテクニックも興味深かったです。

実際の画面(『トランスフォーマー』だったかな?)を観ながら、普通のバランスで音楽を流したときと、ホルンのパートを強調したときを比べると、明らかに後者の方が盛り上がっています。割と地味な楽器なイメージがあるだけに、とても意外でした。

意外といえば、音楽がイケイケドンドンなハンス・ジマー(『パイレーツ・オブ・カリビアン』などを担当)の自信なさげな態度は想定外でした(笑)。

最近は映画1本に掛ける予算や広告費も天文学的な数字になっているらしく、制作のかなり終わりの方の工程に位置する作曲家にかかるプレッシャーは並々ならぬものがあると言います。期待されるのはいいですけど、ヒットは君次第だって、そりゃ作曲家に圧を掛け過ぎでは…。

映画音楽は楽器や音源に制限がないため、いつか使う気なのか変わった楽器を集めまくって楽器博物館みたいになってる本末転倒な作曲家のお仕事場訪問も面白かったです。なんだかんだ言って、このお仕事をとても楽しんでいるんですね...。

デザイナーもそうだと思いますが、依頼主が言葉(あるいは、この場合は映像)でしか説明できないイメージをいかに具現化するか、または真っ向ぶつかって新しい命を吹き込めるかという難しいチャレンジを体感するのはとても刺激的です。映画ファンはもちろん、お仕事煮詰まっている皆様にもおススメの良作です。

マット・シュレーダー監督
立川シネマシティで観ました。さすがの音響で感動2割増し。
2018年2月末から山形、3月からは福井や吉祥寺など、いくつかの映画館で再上映されます。
お近くで上映があったら、絶対お見逃しなく!!!!
posted by 銀の匙 at 22:11| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする