
近年見たSF映画のうちでは、最もSFマインドに溢れていた作品。
そして、近年見たイギリス映画のうちで、最もイギリス映画らしいなあと思えた作品です。
SF大作ではよくある、山あり谷ありジェットコースタームービーという訳ではないので、全ての皆様にオススメとは言えません。ただし、イギリスが好きか、あるいはSF小説がお好きなら、きっとお好きであろうことは保証できます。
笑って泣けて(笑いすぎて)さらっと見られるのに、思わず考えてしまうシーンもあるという、良い脚本のお手本のような作品。CGが多様されていますが、動きやカット割に「おっ?」と思う新鮮なところがあり、映像的にもみどころが多いです。
「銀河ヒッチハイクガイド」という名作が原作だそうです。私は残念ながらこの本を読んでいませんが(こんな基本図書も読んでないのかよ!という突っ込みはナシね☆)、この映画の出来ならば、きっと原作者も原作ファンも満足のはず、と思って買ったパンフを見たら、原作者が脚本を書いたんですね。道理で、普通の脚本なら落としちゃうようなオタクなディテールが良く盛り込まれてると思いましたよ…。
「スターウォーズ」のC3-POだの、「トレジャープラネット」のベンだの、ハリウッド映画で主人公と共に活躍するロボットは暑苦しいほどお喋りで陽気なキャラが相場なのに、この映画のマーヴィンはウツ入ってて全然可愛くありません(そこがステキ)。声もシブいしなあ…と思ったらアラン・リックマンでした(「ハリー・ポッターのスネイプ先生)。実に本格的です(笑)。
彼以外にも愛すべきキャラがざくざく。
主人公のアーサーは、どこへ行っても紅茶を飲もうとしたり、どうでもいいところが頑固だったり、勇気はあるけど火がつくのに時間かかったり、という頭のてっぺんからつま先まで典型的な(情けないタイプの)イギリス人。とんだことから銀河をヒッチハイク(密航ともいう)する羽目に陥ります。
彼を助ける「銀河ヒッチハイクガイド」の編集者フォードはステキだけど、彼の親戚で銀河大統領のゼイフォードはとんでもないイカサマ野郎。この2人の凸凹ぶりがまた可笑しい。その他にも、さすが何考えてんだかわからないスーパー・コンピューター「ディープソート」とか、ナゾの教祖ハーマ・カヴーラなど脇キャラも最高です。特にカヴーラ役のジョン・マルコビッチの演技には唸りました。
「銀河ヒッチハイクガイド」を開くとオシャレなアニメが出てきます。パンフレットには何も書いてないけど、エンドロールを見てたらShynola(シャイノーラ)とあったような気がします。細かいところまで凝ってて面白いですよ。
あらすじは全然知らない方が楽しめると思いますので、作品のHPは
御覧になったあとにどうぞ。Gameコーナーの「銀河一官僚的な」そして、このとてもこの映画らしいヴォゴン・ゲーム、再訪を重ねると病みつきになりそう…?
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