2005年12月31日

歓びを歌にのせて

*緊急告知*
ミヒャエル・ゾーヴァ展が東京でも開催されます。出展点数は130点とのこと。

以下こちらからの情報です。
不思議な物語−ユーモアに秘められた、ただならぬ気配
ミヒャエル・ゾーヴァの世界展
2006年1月18日(水)−1月23日(月)
10:00-20:00(入場は閉場30分前まで、金曜21:00・最終日17:00閉場)
松屋銀座8階大催事場
中央区銀座3-6-1
 HPはこちら

yorokobi.jpg


さて、本題。
「歓びを歌にのせて」はスウェーデンの映画です。
健康を害した世界的な指揮者が、故郷の村に戻ってくる。
隠者のような生活を送れるものと(たぶん)期待してたんでしょうが、そこは小さな田舎町のこと、噂はあっという間に広がっていたらしく、自分でも知らないうちに皆の好奇心と怖れの的となっているというトホホな状況。

そしてやむなく、聖歌隊の指揮者まで引き受けさせられる羽目になってしまうんですが…。

あらすじだけ読んでも、感動の音楽ストーリーなんだろうなと予想できてしまい、しかも全然予想が裏切られないので、あ、やっぱり?とつい思ってしまうのは我ながら困ってしまいますが、同じく合唱を主要なモチーフにしていたフランス映画「コーラス」と比べてみると、こちらの方はより切実です。

先生と生徒なら卒業するまでその関係は変化しませんが、大人相手の合唱団だと人間関係がややこしく、ともすれば泥沼に嵌っていってしまいます。北欧の映画は数えるほどしか観たことがありませんが、意外にどれも感情表現がオーバーで、さすがバイキングの子孫…という訳の分からない感想を抱いたものです。本作品も例外ではなく、わめく、泣く、叫ぶと子供じみたふるまいの挙げ句、あわや殺人事件?という極限の状況も登場するなど、なかなか激しいものです。

感動の名作というと、しみじみした味わい、淡々とした物語が続くのでは、と思っていた方には驚きの展開かも知れません。

そして、そんな冬の嵐のような激しいぶつかり合いを経て至るハーモニーの境地というのが実に美しく、そこで初めて、ああ見て良かったなあと思う次第。大人が見るにふさわしい作品です。

ケイ・ボラック監督
2004年 132分

渋谷ル・シネマで見ました。
すごい混雑ぶり。
ここは朝10時以降、全ての回を劇場窓口で受け付けしますので、
なるべく早く受け付けすることをお勧めします。
日曜なんて、昼1時過ぎにノコノコ行ったら最終回しか空いてませんでした。
(最終回は一律1000円なので、油断してると満席になります)

番号順の受付で、見やすい席はFG列あたりです。

スクリーンが高めの位置から始まっているので、皆さん割と後ろに座りますが、
あまり角度がないので、あまり後ろだと少し見下ろす感じになってしまうのが
辛いところ。
posted by 銀の匙 at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月20日

ザ・コーポレーション

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今年の冬は観たい映画が少ないとお嘆きの皆様、こういう硬派なドキュメンタリーは如何でしょうか。

この作品は、大企業というものが、ビジネスの名のもと、如何に傍若無人なことをしているかをさらけ出すもの。どうせ多国籍企業なんてロクなことはしてないだろう…という漠然とした不信感は持っていたものの、ここまでやるとは開いた口がふさがりません。

なぜこうまでしなければいけないのか、その理由は「金のため」。俄には信じがたいほどです。最近のバカバカしい株買い占め騒ぎを見聞きしていなければ、絶対嘘だと思ったでしょう。だとすれば、対岸の火事とは思えません。

しかしながら、信じがたいことをする企業であっても、そこで働く人たちは、ごく真っ当な人間ばかりです。そこに根深い問題がある。真っ当に働き、熱心に成果を上げ、株主や市場の要求に応えることが恐ろしい結果を生むとは、誰しも考えたくないでしょう。

中には、自分たちのしていることが間違いだと気づきながら、それを隠蔽しようとする人たちも当然います。むしろ、昨今ではそれが企業人として当然の態度であるかのようです。

一方では、職を、時には命を危険にさらしても、それを告発しようとする人たちもいる。昔、「シルクウッド」というアメリカ映画を観たことがあります。会社のずさんな安全対策を告発しようとして殺されてしまう従業員の話。企業を内部告発しようとした本人にも、発表しようとしたメディアにも圧力がかかる「インサイダー」って映画もありましたっけ。でもこうした映画を発表できるところに、アメリカの底力を感じたものでした。今回この映画はカナダ映画ですけど…。

しかし、和を以て貴しとなす日本国民たる私は、ここまでストレートなメッセージにはどうも引き加減になってしまうのであります。この映画、ずいぶん理路整然としてるけど、何か洗脳しようとしてるんじゃないだろうか。ついには、映画を観ながらも、どこか理論が破綻してるところはないのか、あら探しをする始末。

日頃「不思○だいすき」とか「明るい未来を作る皆様の○○」とか、感性に訴えかけたり、雰囲気で訴えてくるCMに囲まれていると、そうじゃないメッセージは不快や不信を引き起こすようです。

少しは自分で考える訓練もしないと、そんなことでは良くないんだけど、ここは一つ、カウンター側も同じ土俵の上で勝負してみるっていうのはどうでしょう。心理学者やコピーライターを動員して、メッセージが浅く広く消費者に浸透するようなアイデアを出してみるのは?と考える私は骨の髄まで商業主義に侵されているんでしょうね…。

観ながら思い出したのは、星新一のショートショート。生理現象も広告として売ってしまう話です。たとえばくしゃみをすると、何か特定の商品の名前をいうような条件反射をつけるという広告手法が出てきます。まるっきり同じではないですが、この映画にも主旨としては同じような広告手法が登場してちょっとゾッとしてしまいました。

マーク・アクバー、ジェニファー・アボット監督
2004年 145分 

UPLINK X(渋谷)HP はこちら

ここの1階に入ってるレストランが好きで(テラスもある)
用もないのにフラフラ寄ったりします。映画を観ると割引になります。

映写室(としか言いようがない)は2つあり、
入場30分前に整理券を配布、15分前から整理券順に入場します。
絶対に座れはしますが、狭い上に段差がないため、
後ろに座れば前の人の頭がジャマ、
前に座れば後ろの人のジャマになり、良心の呵責に苦しめられるという
精神修養にもってこいの映画館。
もうちょい何とかして欲しい…。
posted by 銀の匙 at 01:07| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月18日

キング・コング(2005年版)

公開初日、渋谷の土曜日夕方というのに余裕で座れちゃいました。他人事ながら興行収入が心配です。

それはさておき。

今年も残すところ後わずか、恐らく2005年で一番泣いた映画はこれになることでしょう。
上映時間は3時間超とのことでしたが、あっという間に感じられました。

お話は1930年代のニューヨーク。コミカルな役をこなす気だての良い女優、アン・ダロウは、所属の劇場が閉鎖になってしまい路頭に迷う羽目に陥ります。そこへ降って湧いた映画の主演話。しかも脚本は敬愛する劇作家ドリスコルが書くと知り、ロケ地・シンガポールへの船に乗り込むことになります。

しかし、彼女へ出演を口説いた監督、カール・デナムは腹に別のアイデアを持っていました。フィルムを取り返そうとする資金提供者から間一髪で逃れ、船を出航させます。未知の島へ主演の男女を連れて行き、驚異の世界を映像に収め、一発逆転を狙う。その島とは、恐ろしい伝説が伝わる場所でした…。

見どころはもちろん驚異のSFXですが、全く期待していなかったドラマ部分が意外に良くて、後半は、ほとんど無理やり同行して頂いた小鳥遊さんの手前も憚らずボロ泣き。

主演のナオミ・ワッツが生き生きとして美しく、コングならずとも目を奪われてしまいます。
そのほかのキャストもしっかり描かれていて、なかでも船長役のトーマス・クレッチマンはオイシイ役どころ。コングはアンディ・サーキスが演じたとのことですが、前作「ロード・オブ・ザ・リング」とは違って、コングの造形には彼の外見は反映されてないみたいです(^^)
。コックの役でも出ていて、良い味だしてました(コックだけに…)。

そして監督役のジャック・ブラック。情熱はあるのに何か掛け違えている男。ついに栄光を掴みかけた彼を評して劇作家ドリスコルがつぶやいた言葉が、あまりにも切なくて(さすが劇作家、と思わせるセリフで、その時の表情も良かった)、ほろっと来た瞬間から後はもう涙腺ゆるみっぱなし。

ニューヨークの夜の闇から、忽然と現れるアン・ダロウの立ち姿。
朝日を見て「Beautiful... Yes,it is(美しい…本当にそうね)」というシーン。
あまりにもベタなのに、やっぱり泣かされました。

まるで宮崎アニメのヒロインのような、アンの一途な行動がまた…。うう、まさか女と恋愛シーンを撮るのがヘタだと思ってたPJに泣かされるとは…無念。つーか、やれば出来るじゃないですか…。

もちろん、この映画の見どころである驚異のビジュアルは期待を裏切りません。
SFXの技術が高度なことは言うまでもありませんが、リアルに見えるのは、やはり演出の力でしょう。想像上の生き物も、如何にもこう動きそうだ…という観客の予測に嵌めて動かしているので、ホンモノらしく感じます。また、上手にCGを設計すると、つい得意になってそこにばかりフォーカスを持ってきがちですが、カメラを人間の視点に据え、一瞬クリーチャーを見失わせてみたり、ジャンプした瞬間はぱっとフレームの外へ出すなど、巧みな動かし方です。

カーチェイスや空中戦のシーンも、かつてないアングルとカメラワークで、この後類似のシーンを撮る人は苦労しそうですね。

私は1933年のオリジナル版を見ていないので、どこからがリメイクなのかはわかりませんでした。この作品単体への評価は、オリジナルを見てみないと何とも言えません。一つはっきりしているのは、オリジナルが、これほどの情熱をそそいでリメイクしたいと思わせるほどの名作だったということでしょうか。

作品のHPはこちら。
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2005年12月07日

フェイバリット映画100+α

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(「夜の蝶」)

映画は好きですが、残念ながらそれほどたくさんの本数は見ていません。
その割には、好きな映画のこと聞かれると、にわかには思い出せない記憶容量の足りない私。覚えとして、ご挨拶がわりにメモした記事です。

そういえばこれもあったっけ…と思い出したら(TT)、それも書き足して参りますね。
ではでは。

*青字のタイトルはその映画を紹介している外部ページに、記事中の青字は、当ブログ内の関連ページにリンクしています。


「アート・オブ・トイピアノ」(エヴァンス・チャン監督)

artoftoy.jpg

ニューヨーク在住のピアニスト、マーガレット・レン・タンを追ったドキュメンタリー。素晴らしい楽曲、演奏の数々に、そして何よりもマーガレット・レン・タンその人に魅了されること間違いなし。感想はこちら

「アイアン・ジャイアント」(ジョー・ジョンストン監督)
・ロボットアニメというジャンルから想像していたのと違って、上品な絵柄にビックリ。ソフトフォーカスがかかったような優しい色遣い、子供が大好きな「不思議な友達が遊びにやってきた」パターンのストーリー、なぜこんなに和むかな、ロボットアニメで。
川俣晶さんの感想 公開当時はあまり受けなかったんですね…(再上映で見たので、最初のころの事情は知らなかったのです)。ま、再放送で火がついたアニメ番組も少なくないですから、いいものを作ればいつかは評価されると信じます。

「アイスストーム」(アン・リー監督)
・監督は女性ではなく、李安さんという台湾出身の男性です。
つい、イライジャ・ウッドの美少年ぶりに気を取られてしまいますが、
出演しているどの役者さんも上手いなあと思います。

「アイズ・ワイド・シャット」(スタンリー・キューブリック監督)
・単純なようでいて、見終わると迷宮から抜け出せなくなる映画。キューブリック作品の中でもダントツで好き。この映画のあらすじ紹介はどれも私の観たこの作品とは違う。倦怠期の夫婦の危機?愛のダークファンタジー?いえいえ、そんな話じゃない…。

「アキラ」(大友克洋監督)
・ストーリーには賛同しかねるところもありますが、このビジュアルにはぐうの音もでません。リバイバル上映のときに映画館で見たんですけど、ガムランを使った音楽と一緒に押し寄せてくる煙、チリ、ほこり、破片のすさまじいこと。当時のことですから、これ、アニメーターが一個ずつ手で描いたんでしょうね。チリ一つずつ…。それだけで気が遠くなりそうです。

「悪魔とダニエル・ジョンストン」
感想はこちら。傑作ドキュメンタリー。登場人物がみな傑作というか。レーベルと契約したくない理由が「メタリカが契約しているレーベルと契約したくない。メタリカは悪魔だ」っていうのが好きで…。

「アタック・ナンバーハーフ」(ヨンユット・トントコトーン監督)
・上映当時は色物扱いされていたけど、主要キャストがオカマ役(で監督はオナベ)であるという点以外、スポーツと恋が主題の王道青春映画。コメディー仕立てにはなっていますが、監督さんはとても真面目な人じゃないかとみました。あちこちにタイの普通の生活が顔を出しているのが面白い。明らかに華僑のファミリーらしい人たちが出てきたりするのも興味深かったです。

「あの子を探して」(チャン・イーモウ監督)
・留守にする先生の代わりに代用教員に雇われる女の子。憎ったらしいし、
責任感ゼロ、ロクな事をしないんですが、すっっごくリアルだし、
何かだんだん可愛らしく思えてくるから不思議。

「アマデウス」(ミロス・フォアマン監督)
・音楽と映像がぴったりマッチしているといえば、思い出すのはこの映画。宮廷音楽家サリエリの眼を通して描いたモーツァルトの姿を描きます。格調の高い作品にありがちな退屈なところもなく、映像、音楽、物語を心ゆくまで堪能できる映画です。

「アンダーグラウンド」(エミール・クストリッツァ監督)
・悲惨な状況のはずなのに、どこか大ボラ話を聞くようにウキウキする。あくまでもユーモアを失わない視線に救われますが、だからこそやりきれなさも増すのかも…。崩壊してゆくユーゴスラビアの姿をジプシー・バンドの演奏と不思議な舞台設定で描く壮大な歴史絵巻。

「あんにょんキムチ」(松江哲朗監督)
・コリア系だけどキムチがキライな松江青年。
在日とか従軍なんとかとか面倒なことは避けてる松江青年。
ドキュメンタリー監督志望のくせに、その腰の引けたヘタレな製作態度が
好感度大なのであります。
日本に住んでる普通の住民としてのコリア系家族を日常のまなざしで描き、
号泣させてくれた作品。


「一瞬の夢」(ジャ・ジャンクー監督)
・人民解放軍全面協力!登場人物の多さとロケ地の雄大さならどこの国の作品にも負けませんっ!みたいなのが中国映画の一方の雄だとすれば、こういう全体に余白の多い作品も中国映画の一つの特色ではないかと思います。「ふたりの人魚」とかね。

女の子がフェイ・ウォンの「天空」という歌を口ずさむシーンがあるんですね。全体のドキュメンタリーっぽいトーンからすると唯一作為的で異質なシーンなんですが、それでもやっぱりほろっと来てしまいました。

「イノセンス」(押井守監督)
・セリフの多い映画ってあまり好きになれない…のですがこの映画はセリフ以外がいいからなあ…。ハードボイルドに独り言が多いのはしょうがないと思って諦めるしかないです。
ストーリーとテーマも面白いし、ちょっと色遣いがゲームっぽい箇所以外は絵も動きもさすがに素晴らしい。セリフを消してDVDを見ると音楽が聞こえなくてもったいない、ということで「イノセンスの情景」という、音楽と映像だけのDVDを買ってしまいました。ヘビーローテーションで見ております。

「イフゲニア」(マイケル・カヤニコス監督)
・トロイ戦争のさなか、勝利のため娘イフゲニアを生け贄に差し出せという神託を受けたアガメムノン。容赦ない自然の力と見せながら、裏にはやはり陰謀が…っていうかオデュッセウスってやっぱり悪役なのね。

「イル・ポスティーノ」(マイケル・ラドフォード監督)
・イタリアの小さな島に亡命してきた詩人と、彼に郵便物を届ける主人公の郵便配達人(イル・ポスティーノ)の物語。崇高な目的で詩を書く詩人と、ナンパのために詩を教わろうという、真面目で素朴に見えてなかなか押しの強い(?)主人公のやりとりは、面白うてやがて哀しき何とやら。「詩は説明すると陳腐になる」「詩は必要な人が使うもの」などなど、詩を題材にした映画だけに、簡潔で深みのあるセリフが多いなかでも、ラスト近くの、映画の表題が含まれた主人公のセリフは切なく、心に残りました。

「イルミネーション・ゴースト」 (伊藤高志監督)
・このタイトルでビデオが出ていたので変更しました。短編の実験映像を集めたもので、この中では「SPACY」と「THUNDER」という作品が好きです。スチル写真を連続で再生して、なめらかな動きに見えるギリギリくらいのところで動かしています。なめらかに動かない。ただそれだけで、見慣れた場所が異次元に変貌するのが不思議です。 

「イントレランス」(D・グリフィス監督)
・「不寛容」のもたらす悲劇を一大スペクタクルで描いた白黒映画。 こちらの紹介はとてもわかりやすいです。

「インド夜想曲」(アラン・コルノー監督)
・映画に原作と同じような味わいを持たせるのはとても難しいと思いますが、珍しくそれに成功している映画。ラストは…まあ、フランス映画だからってことで。



「歌うつぐみがおりました」(オタル・イオセリアニ監督)
・グルジアの映画。感想はこちら



「エイリアン」(リドリー・スコット監督)
・濃い青の背景に水と火が映える美しい映画。ホラーといっても、突然誰かが飛び出してくるので「あーびっくりした〜!」と驚く、という類のホラーなので(え?)そんなに怖くないです。あ、それから妙なクリーチャーが出てきたり、イアン・ホルムが登場したりするのもホラーのお約束なのでしょうか(??)。女性飛行士の孤独がひしひしと伝わるサスペンスといった趣もあります。

「エマ」(ダグラス・マクグラス監督)
・ジェーン・オースティン原作のイギリスもの。心優しくお金持ちなお嬢様・エマ。自分は恋のエキスパートなつもりですが、キューピッド役を買って出て、余計なことばかりしてしまいます。それでもちゃんと恋人たちは収まるところに収まるもの。エマ自身の恋を除いては…。
可憐なドレス、優雅な立ち居振る舞いが板についた主演のグゥイネス・パルトロウがたまらなく魅力的。見終わったときには姿勢が正しくなっていることでしょう。たまにはこういうガーリーな映画を観るのもいいものですね〜。

「エル・トポ」(アレハンドロ・ホドロフスキー監督)

「エレクトリックドラゴン8000V」(石井聡互監督)
・竜眼寺盛尊(りゅうがんじ・もりそん)!雷電仏蔵(らいでん・ぶつぞう)!登場人物の名前だけで 苦笑 興奮を禁じ得ません!ストーリーはあってなきが如し。永瀬正敏扮する顔の半分が金ぴか(モノクロなので想像)な男・仏蔵のビジュアルがツボに来ましてございます。お世辞にもオシャレとも前衛とも申せませんが、噴出する得体の知れないエネルギーに魅せられてしまうのであります。



「オルランド」(サリー・ポッター監督)
・ありとあらゆるディテールの素晴らしさに目が釘付けの作品。イギリスの美しい貴公子オルランド。目覚めてみると、彼は突然…。女王が連れている、いかにも貴族然とした「犬」だの、ロシアの姫君の帽子だの、主演のティルダ・スウィントンだの、いつまでも見ていたい、その美しさにうっとりします。「現代」の部分を付け足してしまったために、フェミニズム色が前面に出てきてしまったのが残念でした。あれがなければ万人にお勧めだったのに…。監督さんのメッセージは伏せておいた方が、観る人も考える余地が出来てよかったのにな。
Cheekey's Gardenさんの紹介文



「風の丘を越えて」(イム・グォンテク監督)
・主演のオ・ジョンヘはまだ若いのに、パンソリを歌い出すと年ふりた巫女のように見えます。見終わった後はパンソリに魅せられること間違いなしです。

「火山高」(キム・テギュン監督)
・全編漫画チックなCGシーン満載とかいう以前に、韓国映画のくせに
先生に逆らう学生ばかりという設定自体が驚愕のSF作品。

「ガタカ」(アンドリュー・ニコル監督)
・いくら人間ドラマが主眼だからといって、SF仕立てな以上、
あまり科学的に脇の甘い設定はやめて欲しい…それに肝心のストーリーも何だかなあ…
と思いつつも、ユマ・サーマンと映像があまりに綺麗なので
そんなことはどうでもよくなってしまう作品。



「黄色い大地」(陳凱歌監督)
・どこまでも黄色い大地にへばりつくように住んでいる農民たち。主人公は民謡の採集のため、この貧しい地を訪れます。歌どころか口を利くことさえ滅多にない彼らの感情が、堰を切ったように歌となって溢れ出す瞬間の描写に圧倒されます。

「きっと、うまくいく」(ラージクマール・ヒラーニ監督)
・張り巡らされた伏線が見事に回収されていく巧みなストーリー展開、愛すべき登場人物たちと、インド映画のポジティブ・パワー全開の作品。感想は→こちら


「ギャラクシー・クエスト」
(ディーン・パリソット監督)
 
・どうせ内輪ノリのパロディ映画に違いないとタカをくくっていたら、どうしてどうして。
この作品は拾いものです。往年のSF作品のキャストも、いまやファン大会のゲストとしてオタクのお相手しか出番がない落ちぶれよう。そんなとき、まさにありえねー事態が…。

「侠女」(キン・フー監督)
・70、71年の作品。台湾映画祭で見た作品ですが、監督さんは香港の人。上下あわせて3時間の長尺もので(最近は中休みもなく1本にしますけど、3時間越すならこうして欲しい…)B級武侠モノの頂点を極めた作品。荒れ果てた屋敷に住む謎の美女は、親の仇を討たんとする無敵の剣客…設定だけですでに面白い作品の殿堂入りOK!以来、竹やぶを人が飛ぶシーンを見ると「またキン・フーのマネか…」と思ってしまうクセがつき、「グリーン・ディスティニー」を思う存分楽しめなくなったのが唯一の欠点であります。

「霧の中のハリネズミ」「話の中の話」(ユーリー・ノルシュテイン監督)
・いちばん好きなアニメーション作品。感想はこちら

「銀河ヒッチハイクガイド」(ガース・ジェニングス監督)
・イギリス産のSFコメディー。感想はこちら



「クライングゲーム」(ニール・ジョーダン監督)
・北アイルランド紛争を背景にしたハードな政治モノ…かと思って観はじめると、話はどんどん明後日の方向へ…。一見の価値ありです。私は字幕版を見ましたが、ビデオで日本語吹き替えを観た友人の話では、字幕版では何ともない箇所が物凄く可笑しかったらしい。タイトルになっている歌をうたうシーンがあるんですけど、そこがツボだったそうです。うーむ。

「クレマスター」(マシュー・バーニー監督)
・連れのお供でいやいや見た(ポスターがむちゃくちゃグロテスクで)のに、見終わったら映画の虜に…。胸やけしそうなほど人工的で潔癖な表層、わかりやすいグロテスクさの内側から覗く生々しい感覚に打ちのめされずにはいられません。

「グレート・ウォール」(ピーター・ワン監督)
・アメリカに住む華僑ファミリーが中国へ里帰り。想像以上に大きなカルチャー・ギャップにびっくり、というお話。確かに当時は、中国へ行ったときのほうが、遠いアメリカへ行ったときよりカルチャー・ショック大きかったなあ、同じアジアなのに。「プライバシー」って言葉を知らない若者に驚く華僑少女。そういえば家族のあいだで隠し事は無用、って考え方は日本にもありましたね。

「黒猫・白猫」(エミール・クストリッツァ監督)
ネズミを取るならどっちも良い猫…というわけではなく、黒猫白猫が大役で登場します。「ハッピーエンド」ってエンドマークで終わる、酒と賭け事とペテンと暴力とクスリと音楽に彩られた幸せな映画。

「グロリア」(ジョン・カサヴェテス監督)
・ジーナ・ローランズ演じるグロリアがカッコいい。これでグロリアに助けられる男の子が可愛かったら言うことなしなんだけど。監督さんは、普通の子の方がリアリティがあると思ったのかも。「マイ・ボディガード」なんかを見ると、両方芸達者だといかにも作り物めいてるのでダメだったかもしれません。この作品、ドキュメンタリーっぽい撮り方も好き。リメイク版は見ていませんが、どうだったんでしょう。



「攻殻機動隊」(押井守監督)
もうねー、最初のワンシーンから鳥肌立ちっぱなしの映画ですね。映画が作られた当時の香港の風景に強い愛着があるせいもあるかもしれません。今はもう、ビルをかすめて飛ぶ飛行機は、映画の中でしか見られなくなったでしょうしね(新空港になってから、香港に行っていないのです…)

「ゴースト・ワールド」(テリー・ツワイゴフ監督)
・今や飛ぶ鳥を落とす勢いのクリスティーナ・リッチとスカーレット・ヨハンソンの二大若手女優が主役の映画。見終わるとちょっと胸が痛む青春ドラマ。感想はこちら

「コーラス」(ジャック・ペラン監督)
・問題児ばかりが集まったフランスの寄宿学校へ赴任した音楽の先生。信じれば必ず裏切られる悪ガキどもに合唱を教えますが…。お約束の感動ものと身構えてはいても、やはりじわりと泣かされてしまうのは、歌の力かしら。感想はこちら

「氷の国のノイ」(ダーグル・カウリ監督)
・アイスランドが舞台の映画。異国情緒あふれる、というか、氷以外に人間がぽつんぽつん映ってるだけという白っぽい映画。↑の「ゴーストワールド」の男の子版って感じ。感想はこちら

「黒砲事件」(黄建新監督)
・将棋のコマ「黒砲」を探そうとしたばかりに、とんでもない嫌疑をかけられてしまう主人公。とはいえ、告発モノというよりは、少しシュールな香り。「黒砲」って確かに、秘密の暗号めいてますよね…。次の「続黒砲事件」はSF仕立てでさらにシュール度アップ。

「心の香り」(孫周監督)
・中国映画の中ではベスト5に入るくらい好きな作品。京京は両親の離婚のため、いきなり祖父に預けられることになります。「ハイジ」みたいな展開に、ではありませんで、おじいさんはもと有名な京劇俳優で、しつけのなってない京京にいろいろと教えます。
観客も京京と一緒に、現代っ子の知らない中国式スローライフの良さを知ることになります。

広東省郊外の美しい風景や、当地独特の建築、習俗などもみどころ。舞台が舞台だけにセリフには広東語もぽつぽつ出てくるんですが、発音が北京語風になってて(たとえば「レンチャイ(イケメン)→リャンザイ」とか。広東の人が北京語をしゃべるとよくこれをやる)細かいとこまでリアル。

「国境の町」(ボリス・バルネット監督)

「琴と少年」(盛特偉監督)  
・中国の水墨画アニメ。一体どうやって描いたんだろう、撮影したんだろう、と今でも不思議。絵の美しさもさることながら、ストーリーも大人の鑑賞に堪える作品。

「コヤニスカッティ」(ゴッドフリー・レジオ監督)
・感想はこちら



「サウンド・オブ・ノイズ」(オラ・シモンソン、ヨハネス・シェルネ・ニルソン監督)

「ざくろの色」(セルゲイ・パラジャーノフ監督)
・ベスト5を選ぶとしたら、一本はこれかな…。美しい映像詩。最近ようやくDVDも出ました。感想(というほどでもないけど)はこちら

「裁かるるジャンヌ」(カール・ドライヤー監督)
・ジャンヌ・ダルクの裁判を描いた映画。白黒映画の頂点を極めたと言われているそうです。感想はこちら

「サラゴサの写本」(ヴォイチェフ・イエジー・ハス監督)



「自転車吐息」(園子温監督)
・小劇場でよくやってる、登場人物が叫びまくる劇、お好きですか?私はどうもあれについてゆけません。この映画の雰囲気は、なんとなくあれに似てます。え、フェイバリットとか言って矛盾してるって?矛盾、それが青春なのですよ(をい!)まだ青春なのかよ?というツッコミはさておき、この作品は見ているこっちが恥ずかしくなる自意識過剰な物語の中に、時折はっとするようなリリシズムが顔をのぞかせます。ジャングルジムにライトを灯すシーンが好きでした(ここも恥ずかしいんだけど)。



「酔拳 2」(ラウ・カーリョン監督)
・ジャッキーの作品、数えてみたらかなり見てます。話のパターンが良く似てるので、だんだん話がごちゃごちゃになって記憶が圧縮されてくるけど(笑)。ずっと「酔拳1」だと思いこんでたら、この話は「2」だったんですね、失礼しました。

ジャッキー扮する黄飛鴻は、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」でも主役としてジェット・リーが演じた中華圏の英雄…のはずなんですけど、ここではタダのどら息子。ジャッキーお得意のコミカルなキャラが生きてます。「1」も良かったんですが、「2」が気に入ってたのはお母さん役のアニタ・ムイが好きだったから。つい先日若くして亡くなられてしまい、とても残念です。

カンフー映画だから、もちろん戦うシーンが目玉。でも「酔えば酔うほど強くなる〜♪」のキャッチフレーズ(?)を唱えながらの動作は意外で面白い。

ジャッキーの生い立ちを描いた「失われた龍の系譜」、見たかったなあ…。

「スコピオ・ライジング」(ケネス・アンガー監督)
・とりあえず作品名を一つ挙げましたが、確かBox東中野かどこかで(うろ覚えですみません)ケネス・アンガーの特集をやってて、何本もまとめて見ました。どれも面白かったです。妖しい黒魔術の儀式でも見ているような映画なんですが、不思議とアングラっぽい印象はありませんでした。少なくとも、観客に見せるつもりで作ったことは明らか。

「スターウォーズ エピソードW」(ジョージ・ルーカス監督)
・再公開されたとき劇場でかかったCMが面白くて(部屋の真ん中の小さ〜なTVの中のSWが映って、劇場で見なくちゃ、とばーんとスクリーンいっぱいに映画が広がるアレ)、まんまと見る羽目に陥りました。こんなに面白かったっけ、この映画?まさか相当作り直したんじゃないでしょうね?と疑ってしまったほど。

一匹狼の船長、じゃじゃ馬のお姫さま、頼りない主人公を教え導く隠者…と基本はまさに西部劇。全編にみなぎる日本趣味も新鮮でした。あんなに強そうなダース・べーダーなのに、弱そうな上官がいるのも不思議だったものです。

「エピソードZ/フォースの覚醒」の全体の構成はこの「エピソードW」に似ています。話も、話の舞台も、メインキャラクターも全然違うんですが(Wの人物も出てはきますが)、両方見た人からは「同じじゃん」という意見が多く、はからずも、人は何をもって「同じ」と認識するのかが確認された、って感じでした。実に壮大な実験ですな…。ちなみに私は「エピソードZ」も大好きです。

「スタンド・バイ・ミー」(ロブ・ライナー監督)
・サウンドトラックが好きなんです。

「ストーカー」(A.タルコフスキー監督)
・「迷惑がる相手をつけ回す」って意味がこれほどメジャーになる前には、「ストーカー」といえばこの↑作品のことでした(ほんと?)。日常の延長上に出現した「ゾーン」という場所に魅せられる人々。彼らをゾーンへと案内する「ストーカー」。ぎりぎりまでそぎ落とされた映像とストーリーに、いつもは錆び付いている想像力が刺激される気がします。

「ストリート・オブ・クロコダイル」(ブラザーズ・クエイ監督)
「スティル・ナハト」(ブラザーズ・クエイ監督)
・ストップモーションのアニメーション。ですが、「ウォレスとグルミット」「チェブラーシカ」みたいにパペットが活躍する可愛らしいお話ではなく、くるくる回るネジが机からにょきにょき生えてきたり、頭に脱脂綿を詰めた人形が目を光らせてみたりと全然可愛くない内容。
作家はアメリカ出身の双子ですが、見事なまでにスラブな雰囲気を醸し出しております。東欧系の作品が好きな方にはお勧め。
ぴろぴこ映画館さんの感想。大変詳しいです。

「ストリート・オブ・ノーリターン」(サミュエル・フラー監督)



「青春祭」(チャン・ヌァンシン監督)
・文化大革命の時代、タイ族の住む辺境へ下放された都会の少女。質素で地味なことが美徳とされた場所から来た彼女は、おしゃれで明るいタイ族の娘たちに相手にもされません。そのうちに彼女もこれまでとは違う生き方に気づくようになるのですが…。

最初の方は中国版「麗しのサブリナ」みたいだなあと思いました。
文革で下放された→ひどい経験だった→人生損した 
というパターンから一歩抜け出した前向きな作品だったのもよかった。
合間合間で主人公が口ずさむ歌が可愛いです。

「セイントクララ」(アリ・フォルマン監督)
・映画を観るなら劇場で。ビデオやDVDはほとんど見ませんが、珍しくビデオ屋さんで借りた作品。イスラエル映画ってどんなのだろ?と思って手に取ったのです。超能力少女が主人公
の初恋物語なんですけど、ロシアから来た女の子って設定でした。同じ民族なのに世界中から集まってくるって不思議な感じだなと思ったのを覚えてます。音楽もカッコよかった。


「双旗鎮刀客」(ハー・ピン監督)
・スターウォーズが未来の西部劇だとすれば、これは中華味の西部劇。街を牛耳る悪党どもを相手に、たった一人で立ち向かう少年と許嫁の少女のお話。男の子はほとんど口を利かないし、埃にまみれた田舎の子なのに、渋くてカッコいいんだな、これが…。

事情を知らない人が観れば、痛快無比な娯楽作品でありますが、中国の監督が1990年に撮ったんですから、当然、この映画には後ろに言わんとすることがあるのです。でも、それは観る人が見つけるもの。主人公同様、作品も余計なことは語りません。



「太陽の少年」(姜文監督)
・少年たちの世界はいつの時代もどこの国でも変わらないもの。バカバカしい意地の張り合い、有り余るエネルギーをぶつけての暴走、恋への憧れ。「文革の時代」という背景を上手くノスタルジアに置き換えた演出が冴えまくっています。憧れの人・ミーランを演じた寧静はエキゾチックな容姿で、大好きな女優さんです。

「誰かがあなたを愛してる」(メイベル・チャン監督)
・チョウ・ユンファとチェリー・チョン、香港の大スターが出演したニューヨークが舞台の作品。撮影は東部アメリカの透明な空気を見事に捕らえて秀逸。



「チェブラーシカ」(ロマン・カチャーノフ監督)
・映画を見終わって映画館を出るや、この映画のサントラを入手すべく、ロシアに留学してる人を探しまくる日々。おかげで、ロシア専門映画館がなくなって以来のロシア映画ラブの空白が一気に埋まりました(笑)。

そのうち、チェブラーシカのキャラクターが大ヒットし、絵本だのぬいぐるみだの何でも手に入るようになると、急速に熱が冷めちゃったけど…昔の作品なのに今見てもオシャレで、動きにもとても味があります。

この映画を日本に持ってきた方の話が意外なHPに!ほほー「夜の蝶」もこの方が配給決められたんですね。

「地下の民」(ホルヘ・サンヒネス監督)

「長江哀歌」(ジャ・ジャンクー監督)
ドラマがものすごく地に足がついているのに、あるときは突き放したような、あるときは壮大すぎる映像がそれを裏切っていくという、SF的な作品。っていうか、きっと中国というのがそういう国なんだろうと思います。ジャ・ジャンクー監督の作品はどれも素晴らしい。


「ディーバ」(ジャン・ジャック・ベネックス監督)
・ハリウッド映画だったなら、サスペンス部分を引っ張ってアクションちょい派手め、主人公の恋もわかりやすく、するんでしょうけど、この映画は逆です。上記のすべての要素が入っているのに、すべて控えめ。雨の降る公園でのシーンが一番好きでした。このシーンを撮るために、他の部分を撮ったのかも、と思ったぐらい。

「デイ・ウォッチ」(ティムール・ベクマンベトフ監督)
・同監督の「ナイト・ウォッチ」の続編。文句なく素晴らしい。感想は→こちら。ロシアの人から、これは3部作で、最後に「トワイライト・ウォッチ」というのもあると聞いたんだけど、日本ではやらないのかしら。
 
「鉄男」(塚本晋也監督)



「24アワー・パーティ・ピープル」(マイケル・ウィンターボトム監督)
・感想はこちら

「トータルリコール」(ポール・バーホーベン監督)
・公開初日に学校をさぼってまで見に行きました。予告でチラッと出た、おばさんの顔がオレンジの皮のように剥けて下からシュワちゃんが出てくる!ってシーンが見たくて見たくて(笑)。全体は暗めなのにラストだけ取ってつけたように明るく、そのことだけでもB級バカSF大作の烙印は免れないだろうと思われます。他にも主人公がシュワちゃんだとか空気が足りなくなったときの主人公男女の顔とか、B級な証拠は挙げていけばキリが…(TT) 

この映画の何が面白かったって、それはもちろん映像が悪趣味なところですが、設定そのものも面白かったですね。「トータルリコール」、つまりすべてを思い出したときにシュワちゃんはどうする?その人らしさを作るのは現在か、それとも過去なのか?

あ、でもほぼ同じテーマを扱った「記憶の旅人」はイマイチだった(主演のイライジャ・ウッドは良かったけど…)ので、脚本と演出もやはり上手かったということでしょうね。

「ドーベルマン」(ヤン・クーネン監督)
・「踊る大捜査線」のチラシみたときに、これ、まんま「ドーベルマン」のデザインじゃん、まさかパロディ??と思ったものですが、主役のドロボウ、ヴァンサン・カッセルや聾唖の美女役モニカ・ベルッチが日本でもブレイクしたところを見ると、かなりヒットしたんでしょうか。

日本におけるフランス映画のお上品なイメージを覆す、ヴァイオレンス満載のドラマ(というよりむしろMTVを見るような感覚だった)。チェッキー・カリョ扮するドロボウ集団を追う刑事がとんでもないサイコ野郎で、神もホトケもない映画であります。

「時計じかけのオレンジ」(スタンリー・キューブリック監督)
・いまさらとやかく言うまでもございませんね…。

「友だちのうちはどこ?」(アッバス・キアロスタミ監督)
・キアロスタミ監督の作品の中ではこれがシンプルで好き。子供が主人公ですが、ほのぼの可愛いお話じゃございません。幼いながらも、ノートをちゃんと友達に返そうする主人公のけなげなキモチを次々踏みにじる(というか、まるで相手にしてない)大人たち。

そうそう、こんなに過保護になる前は、子供なんて一人前の口は利かせてもらえず、放っとかれたんですよね。家から数分離れるとたちまち迷子の仲間入り。心細くて、怖くて…そんな感覚がありありとよみがえります。本当に子供のことをよく知ってる監督さんだなと思いました。

「トリコロール」三部作(クシシュトフ・キェシロフスキ監督)

「トレイン・スポッティング」(ダニー・ボイル監督)
・この映画で大ブレイクしたチンピラ男、要領良いヤツとは思っていたけど、まさかジェダイ・マスターにまで出世するとは…。

「トロピカル・マラディ」(アピチャッポン・ウィーラセタクン監督)
・中島敦の「山月記」にインスパイアされた作品。感想はこちら

「トロン」(スティーブン・リズバーガー監督)
・初めてのCG作品という宣伝に、お小遣いを握りしめて劇場に見に行きましたが、当時ですら思ったよりCGがショボくて、ガッカリしたのを覚えています。ラスボス(?)MCPは笑っちゃうほどセコイし…。ところが、ん十年経った今見ると、却って斬新に感じます。当時は全然わかってなかったってことかな。



「ナイト・ウォッチНочной Дозор」(ティムール・ベクマンベトフ監督)
・好きな映画ベスト5を選ぶとしたら、絶対入れたいシリーズ。一見、オカルト+超能力+ロード・オブ・ザ・リング+バンパイアと詰めるだけ詰めてみましたな映画に見えますが、そこはそれロシア映画なので、娯楽映画といっても深みが違います。お家芸の巧みなモンタージュ、暗めの映像も必見です。

あまりに気に入ったので原作も読みましたが、映画の方には原作にない、主人公の「原罪」がプラスされていて観る人が腑に落ちるように工夫してあります。ただ「原罪」のせいで、主人公がどうも好きになれないという人は結構いそうですが。感想は→こちら。続編「デイ・ウォッチ」もすばらしい。

「眺めのいい部屋」(ジェイムズ・アイヴォリィ監督)



「ニキータ」(リュック・ベッソン監督)
・殺人を犯した凶暴少女・ニキータは、なぜか監獄でさまざまな課題を与えられる。それが終われば自由になれると思っていたのですが…ドレスアップしてレストランに行き、渡された包みを開けた瞬間のニキータの表情が良かったなあ…。レディとしての訓練とか、あの辺の描写もとてもフランス映画らしい感じ。

リメイクの「アサシン」をテレビでやってるの、ちょっと見ましたが、ニキータ役の女優さんには、オリジナル版のアンヌ・パリローにあった手負いの獣みたいなイメージがまるでない。これじゃ、ちょっと…

「2001年宇宙の旅」(スタンリー・キューブリック監督)



「Versus」(北村龍平監督)
・予告が面白かったので見にいってみたら、新作だったのになんとお客は2人だけ!さすがの私も呆然としました。

ありていにいえばグチャグチャのゾンビ映画で、倒しても倒しても相手が襲い掛かってくるという、ほぼただそれだけ!絶対に見ないタイプの映画なのに、ここまで徹底してると気持ち悪いのを通り越し、爽快な気分に。アクション・シーンの緩急のつけ方も上手いです。

「π」(ダーレン・アロノフスキー監督)
・これもほとんどMTVのような感覚で見てました。全編テクノのサントラと、白黒映像がよくマッチしています。

「ハイランダー」(ラッセル・マルケイ監督)
・スコットランドに行く前に是非見といてね!と教えていただき、一発でハマった映画。よせばいいのに2も見ました。首を切られるまでは死なないという不死の種族の戦士が決闘し、残った一人に究極の力が与えられることに。コナーは不死であるが故の哀しみにも耐え、ついに最後の決闘のときを迎えます…。

音楽にQueen、脇を固める師匠役にS・コネリーと死角なし。スコットランドの幻想的な風景など意外な見どころも。ちなみにわたくし、2も好きです。

「ハウルの動く城」(宮崎駿監督)
イケメンの弟子を呼び寄せたいがために戦争起こしちゃう先生の話…いや違うな。ラブロマンスが多めに入ってるので目立たないけど、「誰かを守るために戦う」という大義名分への監督ならではの答えだと思います。そう、人間、強くなくてはいけないのはそんな場面でではないんだなとソフィーを見てて思いましたね。出てくるキャラクターは面白いし、アニメでしか出来ない表現はたっぷり入っているし、ハウルはカッコいいし、文句ないです。はい。

DVD持ってる人にオススメはフランス語版を聞くことです。英語版はオリジナルキャストをあまり意識してないんだけど、フランス語版は良く似てます。フランス語をしゃべるハウル…もとい、アウルが素敵で卒倒しそう。荒れ地の魔女が「マドモアゼル」だったのには驚いた…!
感想はこちら

「バグダッド・カフェ」(パーシー・アドロン監督)

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作(ロバート・ゼメキス監督)
・カテゴリーとしてはSFなんですけど、お話の一番厚い部分は実は主人公の両親のラブコメ部分という、アメリカの青春ドラマを見てるような作品。タイムマシンで戻った先が古き良き50年代というのが全体のほのぼのムードを支えております。

考えてみたら、20年前の作品なんですね!主人公のマーティは50年代へ戻ってあまりの違いに驚いてたけど、今と80年代って同じくらい違うかしら?(←年寄りの発想)

2を見てると、マーティが何かにつけて「Heavy(スゲェや)」というので、博士が、未来は重力が軽いのかと独り言をいうシーンがありますが、今ならスゴいは「cool」ですよね。やっぱり時間は容赦なく過ぎていくのね(T T)

音楽も80年代ロックでご機嫌です。主題歌の「Power of Love」なんて聴いていると、単純明快、ストレートなメッセージの歌詞もなかなかいいもんだと思ったりします。

「バットマン」(ティム・バートン監督)
  
・主役のバットマンと悪役のジョーカーという二大変人の面白さにも増して、舞台になったゴッサム・シティが印象に残りました。

「バベットの晩餐会」(ガブリエル・アクセル監督)
・何事も質素倹約を美徳として暮らしている、心優しきデンマークの姉妹の元へ亡命してきたフランス女性。富くじで巨万の賞金を当てた彼女がしたことは…。原作は短い中に、さまざまなテーマが織り込まれていて、しかもそれぞれが良く調和した佳作ですが、この映画は原作の味わいを良く伝えて素晴らしい。芸術家の生き方とは、誠に厳しいものであります。

「バンカー・パレス・ホテル」 (エンキ・ビラル監督)
・この作品、フランス映画の常として話はあまり面白くない(意外な展開とか、わくわくする冒険とか、ユニークな設定とかがまるでない、という意味で)のですが、これもフランス映画の常として、雰囲気はとてもいいんです(笑)

荒廃した未来社会、ホテルという閉鎖的な空間で繰り広げられる密室劇。ホテルの楽団によるワルツもブラボーですが、この作品の魅力は、監督エンキ・ビラルと切り離しては語れません。

ビラルはフレンチ・コミックの人気作家で、青を基調にした絵には、東欧出身の人らしい独特の味わいがあります。話は面白くないと言いましたが、SFの一側面、すなわち、現代社会の風刺または警鐘としての物語という面を色濃く持っており、それを退屈と見るか、興味深く見るかで評価は分かれることでしょう。私はこの映画に、社会主義国に暮らしたことのある人らしさを強く感じました。ことに皮肉なラスト・シーンに…。



「非情城市」(候孝賢監督)
・このタイトルで台湾映画というと、すわ黒社会ものか?と公開当時は勘違いして見に行ってしまいました(しかも、確か登場人物がソフト帽みたいのを被っててそれらしかったものですから)。もちろん全然違います(恥)。

日本の敗戦後、混乱を極める台湾社会を、ある一家の歴史に重ねて描いたものです。日本による支配が終わり、ようやく主人公になるはずだった台湾の人たちには、同胞と相い争うという運命が待ち受けていました。その哀しみをあくまでも静謐に描いた作品。戦前の日本を彷彿とさせる建物や文化にも日本人として胸を突かれます。この時期の台湾を描いた作品では他に「クーリン街殺人事件」というのも好きです。

台湾に元からいた漢族系の人々には、その前から台湾にいた先住民を圧迫したという歴史もあり、そのことについて描いた映画は残念ながらまだ見たことがありません。先住民によるポップスは日本でも紹介されてて聴いたことがあるんですけど…。→追記:ついに、先住民の歴史について描いた映画『セデック・バレ』ができましたね。内容は漢民族系vs先住民ではなかったけど。

 「100人の子供たちが列車を待っている」(イグナシオ・アグエロ監督)

「ビバリーヒルズ・コップ」(マーティン・ブレスト監督)
・娯楽映画の王道って感じで、この映画、好きだなあ…。ハードボイルドだと、刑事とその相棒ってスタイルが多いけど、アクセル、タガート、ローズウッドの3人組というのが面白かった。

「日陽はしづかに発酵し・・・」(アレクサンドル・ニコラエヴィッチ・ソクーロフ監督)

「ピロスマニ」(ゲオルギー・シェンゲラーヤ監督)
・グルジアの画家、ピロスマニを描いた映画。劇中に登場する彼の絵がとても好き。



「フィフス・エレメント」(リュック・ベッソン監督)
・この映画、ブルース・ウィリス主演のSF大作なんですが、ゴージャスな映像、ムダに豪華なオペラシーン、凶悪にしてマヌケな敵役、大作のくせにやっぱりこれかよ、なラストシーンなど、フランスの監督さんじゃないと絶対撮れない作品だと思いました。イギリス映画ともまた違う独特でおかしな間(ま)があるのもハマリます。リー・ルー役のミラ・ジョボビッチの「完璧な存在」ぶりもお見事です。

「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」(ヴィム・ベンダース監督)
・この映画のワンシーンを思い出すだけで胸が熱くなります。キューバに暮らす老音楽家たちを描いたドキュメンタリー。街も音楽も人も、一度は原色に彩られながら、ちょうど良いくらいに枯れたたたずまいを見せているのがたまりません。どこを切り取っても絵になる映画。

「フォービデン・ゾーン」(リチャード・エルフマン監督)
・見終わったあと、なぜこんな下らないモノを…と作った人、見た自分に開いた口がふさがらなくなるバカ映画。しかも音楽はヒットメーカーのあのエルフマンさんですわよ(♪ウィリー・ウォンカ♪御覧になりました、奥様?)。音楽もバカ全開。喉の奥だけで歌うヘンな歌とか…。

自宅の地下に広がっている変な世界にイッちゃった、なぜか一家で一人だけフランス語訛りの妹・フレンチーを助けに行くヘンタイ兄貴。もちろん変な世界で返り討ちにあうんですが、フレンチーの方はなぜか女王様に成り上がり…という、思い出すだにバカバカしいストーリー。

ヤバイわ、クセになってるのかしら。向こうの人のフランス女幻想も相当なものらしいってことだけは、良くわかりました。感想はこちら

「不思議惑星キンザ・ザ」(ゲオルギー・ダネリヤ 監督)
・カップラーメンを逆さに飛ばしたような妙な宇宙船だの、ガニ股であいさつする宇宙人だの、妙なものがあまり不思議でない感じで存在する映画。

ざらざらっとした画面の撮りっぷりが「惑星ソラリス」みたいな感じで(そ、そうかな?)すごく真面目なので、笑わせるつもりでやってるとは思えない(あまりにも脱力するため、なぜか笑いが漏れてしまいますが)。

かといって、シュールというのともちょっと違うんですね。映画の中の、どうも予算が足りないらしい不思議惑星が、あまりにもリアルだから…。

「プリシラ」(ステファン・エリオット監督)
・あの「エージェント・スミス」「エルフの王・エルロンド」を演じた渋い演技派、ヒューゴ・ウィービングがドラッグ・クィーン役という、それだけで一見の価値はあります。テレンス・スタンプの演技も素晴らしい。オーストラリアのお国柄なのか、どこまでもカラッとしていて陽気な映画であります。バスの上に銀色の布がなびく場面は強烈で、強く印象に残っています。

「ブレードランナー」(リドリー・スコット監督)
・人間とほとんどそっくりで見分けがつかない人造人間・レプリカント。心理テストをしても、ほとんど違いは分かりません。強いて違いをいうならば、あまりにも完璧なことと、寿命が短いことぐらい…。人間の嫌がる仕事を強制的にさせられているレプリカントたちはついに逃亡を企て、お尋ね者になるに至ります。捜査官のデッガードは彼らの行方を追うのですが…。

暗く、常に湿っている未来都市の描写、あまりにもレプリカント的なショーン・ヤングの美貌、ディテールまでよく作りこんだ美術、そして、人間とは何かを考えさせられるストーリー…。実に偉大な作品であります。



「ベティ・ブルー」(ジャン=ジャック・ベネックス監督)



「ボウリング・フォー・コロンバイン」(マイケル・ムーア監督)
・この映画で監督さんの取っている行動に全て賛同できるというわけではないし、結論部分も全面的に賛成というわけではないんですが、真面目なテーマのドキュメンタリーと堅苦しくなく飽きずに楽しめる映画、という水と油のような命題を見事にこなした演出力には脱帽です。

自分の国の悪い面を描く映画は本国では嫌われがちですが、アホかと思ってたアメリカにも多様な意見がある、ということを世界に知らしめた点、十二分に祖国に貢献してると思います。

「放浪の画家・ピロスマニ」
ジョージアの画家、ニコ・ピロスマニの生涯を点綴した美しい作品。
感想は→こちら

「僕の無事を祈ってくれ」(ラシド・ヌグマノフ監督)
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・もしこの映画のリメイクを日本で作ったら、主役は絶対松田優作だったはず。寡黙な主人公の心象風景のような、カザフスタンの荒涼とした大地も忘れられません。

主人公を演じた朝鮮族の青年ヴィクトル・ツォイはKINOというバンドのボーカリストで、インターネットもない当時、ロシア関係のレコードを扱っている店をしらみつぶしに探して、ついに神田古書センターでアルバムを見つけたときの嬉しかったことといったら…(ちゃんと輸入してた人がいるんですねえ)。モノクローム・ヴォイスという形容がぴったりの歌声でした。
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彼はこの映画を撮ったあと若くして交通事故で亡くなったそうですが、その死についても陰謀など様々な説が飛び交っている、まさに伝奇的な人物なのです。感想は→こちら

「ぼくの好きな先生」(ニコラ・フィリベール監督)
・この映画を観てひさびさに、「聖職」って懐かしい言葉を思い出してしまいました。子供にとって何が幸せかというのは、本人にもきっとわかってないでしょう。そこは周りの大人がサポートしてあげなくちゃいけないのですが、マニュアルもないし、正解もない。教育とは本当に奥深いものです。

フランスの小さな村の一部分として、学校があります。そのごく当たり前の日常を綴った作品。感想はこちら

「ぼくらと遊ぼう」(ブジェチスラフ・ポヤル監督)
・クマのぬいぐるみが活躍するチェコアニメ。ちょっとヘタレ気味のナレーションが可愛らしい。立体アニメでは珍しく、ぬいぐるみが車になったり、煙になったり、といったメタモルフォーゼの面白さが堪能できます。

「星をかった日」(宮崎 駿監督)
・2014年現在、三鷹のジブリ美術館でしか見られない短編アニメーション。たった16分の作品ですが、詩情あふれる佳品。

「ポン・ヌフの恋人」(レオン・カラックス監督)



「魔女の宅急便」(宮崎駿監督)
・宮崎監督の作品で好きなものといえば、いの一番に「未来少年コナン」なんですが、TVアニメだから除外すると、次はこの作品です。見てると、ほうきさえ持っていればひょいと飛べそうな気がしてきます。「仕事」と「天分」について、ちょっと考えさせられる話でもあります。

「街角の天使」(厳浩監督)
・上海モダン時代の映画。主役の歌姫、周せんの可憐な魅力もさることながら、男優の趙丹が好きなんです☆

「マッドマックス 怒りのデスロード」(ジョージ・ミラー監督)
・オリジナリティにあふれる破天荒な作品。『300』に通じるものを感じますが、突き抜け感がハンパない。
と、思いましたが、この世界観、ヘビメタの人にはお馴染みなんでしょうか…?

「マトリックス・リローテッド」(アンディ・ウォシャウスキー, ラリー・ウォシャウスキー監督)
・電脳ゾンビ映画(と私は勝手に思っている)「マトリックス」の続編。はっきり言って「1」よりつまらないです。お金は「1」よりかかっているけど、アクションは基本的に「1」の延長上なので新鮮味がない。「エイジェント・スミス」に匹敵するほどのインパクトのあるキャラが出ない。主人公ばっかり強すぎてついていけない。ザイオンのシーンは特につまらない…っていいとこないじゃないですか(汗)。

だけど、いくつかのシーンは、それだけで他の映画の数本分に当たるほど面白かったのです。

この映画は、「コンピュータの世界」を絵に置き換えたものと考えるととても単純です。通常、複雑なものを絵とたとえ話に置き換えるとわかりやすくなるものですが、わざと逆をやっている。なるほどねえ…と思ったものです。

しかも映画の中の「コンピュータの世界」とは現実世界のたとえにもなっている。鏡を映す鏡を見ているようなもので、まさに底なし。

メロビンジアン、パーセフォニーのシーンと、ソースとの対話のシーンは特に興味深かったのですが、同じことを本で読もうとすると、よほど根気が良くないと読み続けられない。演劇だと退屈。カメラが切り替わることで飽きずに話を追える点で、意外に映画ならではのシーンではないでしょうか。

一体あのシリーズは何だったのか、ワケわかんなかった、と思う方は、マルコさんの「カフェオレ・ライター 誰も書かなかった映画レビュー」を御覧になってみてください。「1」について上・中・下編で紹介なさっていますが「中編」からが本番(?)で、この映画の真の主役について、よりよく理解できることでしょう(え?)。基本的にネタバレです。これによると、「2」は職場でも浮いてたモーフィアスの話…。何かそんな気がしてきました(爆)

「真夏の夜のジャズ」
アメリカで行われたジャズフェスティバルと、そこに集う人々を中心に描いた爽やかな夏の一日。見ればきっとジャズが好きになります!感想はこちら


「ミステリートレイン」(ジム・ジャームッシュ監督)

・この監督の作品の中では「ストレンジャー・ザン・パラダイス」が一番評判がいいみたいで、実際、映画としての出来もたぶんそうなんでしょう。「ミステリー…」の方はありきたりな人物と出来事を演出してる割には作りすぎなところが中途半端な印象を与えます。

それでも何となく愛着があるのは、典型的なアメリカの中途半端な街の雰囲気が良く出てるのと、永瀬正敏&工藤由紀の日本人カップルが苦笑するほどリアルなこと。海外に行くと良く見ますよねーこういうカップル。日本人にはおなじみの2人ですけど、知らない人が見たら、どこから素人連れてきたのかと思うことでしょう。それほど上手かった。

「未来世紀ブラジル」(テリー・ギリアム監督)
・同じ監督さんの別の作品、たとえば「12モンキーズ」を見たときも思いましたが、悪夢であってほしい!でもホントに起きちゃった(TT)という救われない状況を描くのがメチャクチャ上手いですよね。基本的にSFなので「でもホントに」以降も現時点ではありえない状況なのですが、「夢であってくれ!」という部分が切実なので、ついダマされてしまいます。この作品、最後に「ブラジル」という本来ノンキなラテンの曲が楽しげに流れるのですが、画面のギャップが強烈な印象を残します。



「結んだハンカチ」(ヘルミーナ・ティールロヴァー監督)
・こんなものが動くんだ!という魔法にかかったような驚きが、とてもアニメーションらしい、チェコの女性監督による作品。
感想はこちら

「ムトゥ 躍るマハラジャ」(K・S・ラビクマール監督)
・中国ではインド映画がたくさんかかっていたので、旅先で良く見ました。日本でいう「ハリウッド映画」のノリで、歌って踊れる娯楽ムービーとして上映されていたんです。日本ではなぜか、主に芸術映画ばかり公開されてたように思いますが、ここへ来て一挙にメインストリームなものが見られて本当に嬉しかったです。リピーターが多かったせいかお客さんのノリもよく、ライブに来ているような雰囲気でした。

日本の物語の基本は起承転結ですが、インドの娯楽映画って、大体「ムトゥ」のように喜怒哀楽がストーリーに盛り込まれているみたい。哀の部分が映画の一番 ムチャクチャな部分 見せ場で、他の映画では、主人公が大事故に遭い整形したため、まるで別人になっちゃった…なんてスゴイ作品もありましたっけ…。

その点でいうとこの映画は哀の部分が、割合合理的(?)です。誰からも慕われ、領民を愛していたマハラジャですが、奸計に嵌る羽目となり、それを自らの不徳として、一文も持たぬ隠者となって去ってゆくのです。インドの人はさすが違う!

全編、歌・踊りに彩られた楽しい作品の中に、こういう要素もあったのが大ヒットの所以でしょうか。



「メイド イン ホンコン」(フルーツ・チャン監督)
・この映画の魅力は、主役の少年少女、これに尽きます。ことにこの映画でブレークしたサミー・チェンは(「ピンポン」にも出てましたね)カミソリのような切れ味で、この時点で素人だったとは思えないほどスゴイ。

「メトロポリス」(フリッツ・ラング監督)
・ドイツの白黒映画。ええと、この映画の内容への違和感は、こちらのラミ犬さんの感想を御覧頂くことと致しましょう。なぜこうなっちゃったかといういきさつのようなものはこちらに紹介があります。別の結論にするとプロパガンダ映画みたいになっちゃったでしょうから、当時としてはギリギリの妥協点だったのでしょう。

というわけで、話に納得したい方にはあまりお勧めできないけど、この圧倒的な映像美を見ないのは勿体ない。邪悪なヒロイン・人造人間マリアも良かったし…。



「雪の女王」(レフ・アタマノフ監督)
・このアニメがとても好きなので、『アナと雪の女王』の主題歌オンリーの予告をみたときは、あまりのアメリカ〜ンな「雪の女王」に持ってたコーヒーを取り落としそうになりました。でも、観て見たらそんなにチャチな映画じゃなくてホッとしました。あちらはあちらで好きです。


「欲望の翼」(ウォン・カーウェイ監督)
・レトロな映像、ザビア・クガートのノスタルジックな音楽が素敵。豪華キャスト競演の中でも、往年の名シンガー、レベッカ・パンは鳥肌もの。彼女は劇中、上海語をしゃべっていて、これが独特の雰囲気を醸し出しています。上海はかつて香港など問題にならないほどの先進的な都会でしたから、香港へ流れてきたのに上海の言葉しか話さないというのは、まるで没落しても誇りは捨てない貴族のような感じなのです。彼女がアップになるあの瞬間は香港映画屈指の名シーン。

他にも印象に残るシーンはいろいろありますが、フィリピンのジャングルのシーン、大階段のシーン、そして謎めいたラストも良かった。これでセリフが気取ってなければもっと良かったのに。

同じ監督の「楽園の瑕(きず)」も好き。

「夜の掟」(辻直之監督)
・木炭画で描かれたアニメーション。関連記事はこちら

「夜の蝶」(ラウル・セルヴェ監督)
・ベルギーの画家ポール・デルヴォーの絵が好きなので、その絵が動く、というこの映画も当然好きなのです。静寂が支配する、夜の駅の待合室。蝶の動きに誘われたのか、止まっていたかのような時間が、突然流れ出します。わずか数分の美しい作品。


「ラッチョ・ドローム」(トニー・ガトリフ監督)
・インドから始まる、ロマの人々の西進を描いたドキュメンタリータッチの音楽映画。登場する音楽はどれも素晴らしく、胸を打ちます。最後に辿り着いた先はスペイン。音楽はフラメンコになっています。確かにそこには、出発地インドの音楽の遺伝子が受け継がれているようです。ロマと共に、ヨーロッパ大陸を縦断するロード・ムービーでもあります。

「ラン・ローラ・ラン」(トム・ティクバ監督)
・ある目的のために街を走るローラ。運命はひょんなことからまるで違う結果に…。
映像はアバンギャルドなのに、同じストーリーを三回繰り返すとか、ストーリーには童話的な要素があるのが面白い。




「レインマン」(バリー・レビンソン監督)
・基本的には、ある兄弟の旅を描いたロードムービーですが、雰囲気重視で事件らしい事件は起こらないというのではなく、起伏に富んだストーリーがある作品です。トム・クルーズは凡人の弟役がハマってましたね。これで普通の兄貴だったらきっと修羅場だったんじゃないかな…。

「レニ」(レイ・ミュラー監督)
・生まれついての美貌と映像作家としての才能に恵まれながら、ベルリン・オリンピック、ナチ党大会の記録映画を撮ったためにナチ協力者と見なされ、社会的に抹殺されたレニ・リーフェンシュタール。

失意の中でも美を追い求めるレニの旅は続き、写真や映画の形に結実しますが、それでも非難はやむことがなく、戦後の作品にまでナチ的だとケチがついたりします。そんな彼女のドキュメンタリーを撮るということが、如何にリスキーなことだったかは想像に難くありません。一つにはもちろん、どんなに中立を守って撮ったとしても、レニへの非難が映画への非難になってしまうこと、もう一つは、芸術的には誰もが認める大ドキュメンタリー監督のドキュメンタリーを撮る、ということのリスクです。これだけの題材ですから、興味深い内容にならないはずはないですが…。

まがいなりにも政権を国民が決めることのできる国が起こした戦争が、特定の誰かのせいとは私には思えません。ですからレニばかりを責める気には全然なれないばかりか、悪い時代に居合わせて、才能ある芸術家だったばかりにスケープゴートのような目にあったことに心から同情しています。

そうした目で、レニが90歳のときに行われたインタビューを読むと、知ろうとしないこと、権威を無批判に受け入れることの恐ろしさをひしひしと感じます。自覚のないまま戦争に加担し、平和な時代には、自分の頭で考えるまえに、人の尻馬に乗ってバッシングする。やってることの本質はちっとも変わってないように思えてなりません。日本は「皆で渡れば怖くない」の国だから、なおさら…。

なお、レニ自身の近作2本についての感想はこちら



「ロード・オブ・ザ・リング」三部作 (ピーター・ジャクソン監督)
・ジャンル横断とオタク的要素という、近年のヒット映画のトレンドをがっちり押さえた作品。ストーリーの面白さは原作に負っているので除外するとしても、美術、撮影、音響、音楽
特殊効果など、最高水準の力を結集することができたピーター・ジャクソン監督の功績はあまりにも偉大。感想はこちら(いちおう真面目)とかこちら(ネタ炸裂)とか。
ときどき悪趣味なところは、ホラー映画畑出身の監督の面目躍如ということで。

(「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」関連の記事を最初からご覧になりたい方は、右のカテゴリー欄から「ロード・オブ・ザ・リング」を選んでいただくか、→こちらのリンクから最初に戻ってご覧ください)

マルコさんの「カフェオレ・ライター」の記事は、映画を観れば誰しも思う、素朴な疑問を軸にツッコミが入っているので楽しめます。実は、原作を読んでもマルコさんの黒幕説は本当だと思う私でありますが、原作至上主義の方は御覧にならないほうが無難かも…。

あ、ガンダルフ、レゴラス、ギムリ、サム、フロドのファンの方も御覧にならない方が無難かも…。アラゴルンに至ってはほとんど言及されてないので、ファンの方は(以下略)

「ロスト・イン・トランスレーション」(ソフィア・コッポラ監督)
・最近ようやくDVDで観ました。自分が元いた場所とほとんど変わらないのに、コミュニケーションができない場所、いつまで経ってもきっと馴染めない場所として、東京はうってつけの舞台だったと思いました。

もちろんパリやミラノ、北京でだって同じ主旨の作品は撮れるんだろうけど、これほど疎外された雰囲気にはならないでしょう。実に良く日本の本質を捕らえています。もちろん、それはこの映画の良し悪しとは関係ないんですけど、監督さんの観察眼を証明することにはなると思います。

「ロック、ストック&ツー・スモーキング・バレルズ」(ガイ・リッチー監督)

「ロッタちゃん はじめてのおつかい」(ヨハンナ・ハルド監督)

20051207

2005年12月02日

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(ストーリーのネタバレなし)

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↑コンボセットを買ってみた…。絵なのが昔なつかしい感じ。

前三作は、映画としては何となくもの足りなく感じておりましたが、今回は面白かったです(単に暗い展開が好きなだけ?)

魔法学校だかサーカス団だかわからないような入場シーンだの(一体どういう教育なんだろう??)、私語に夢中の学生へのスネイプ先生のお仕置きだの、細かいところも面白かったし、新キャラ「マッド・アイ・ムーディ」もイケてます。肝心のラスボス対決部分がちょっとショボい(これは毎回変わらない…のを除けば…。

CGを使った見せ場とドラマ部分がちょうどいい配分で、話も良くまとまってたと思います。

ハリー役のラドクリフ君は片目だけ瞬きするのが1作目から気になってしょうがないんだけど(^^;)今回は原作通り、ちょっと悪い子風味の入ったところも見せてくれて、サービスシーン(???)もあるのでファンの方はお楽しみに。

「陰謀で人を陥れる話」と「殺人事件の犯人捜し」は後味悪いのであまり見ないんですけど、「ハリー」って毎回どちらか(ときどき両方)の要素が入ってるんですよね(--)。

それでも毎回見るのは、1枚2役の缶バッジとか、どうやって思いつく?というような小道具系のネタ(ほとんど原作から引き継いでるのでしょうが)があるのと、いかにもなハリウッド映画にはない、ここなら魔法くらいあってもおかしくない、と思わせる、伝統的なイギリスの雰囲気が、それなりに尊重されてるところが好きだからです。今回は4作のうちでは一番イギリス映らしい雰囲気だったかも。最初の方の野原のシーンから景勝地セブン・シスターズが見えるシーンにかけてがケルトっぽくてきれいでした。

それに、主人公3人組も含めて、俳優陣の醸し出す雰囲気には毎回感心します。

英語の違いはよくわからない私でさえ、せりふはバリバリのイギリス英語だなあくらいはわかりますし、それだけのことでも、作品全体のトーンにかなり影響しています。

中国人俳優と日本人俳優の差とまでは言いませんが、英語圏とはいえアメリカやイギリスの人がみれば、アメリカ人俳優、オーストラリア人俳優、イギリス人俳優の違いは細かい仕草まで含めて気になる点なのではないでしょうか。原作者がイギリス人俳優の起用にこだわったというのはもっともな話です。

「ロード・オブ・ザ・リング」で一番惜しいと思ったのは、実はこの点(皆がんばったみたいですけどね…)。

ベテラン俳優さんたちは舞台で鍛えてるおかげか、非現実的で大仰な演技(魔法をかけるとか…)がさまになってるので、安心して見られます。

さて、そういえば、中に珍しくロック調の音楽が出てきますが、歌詞にエルフが歌いこまれてて(韻を踏むため?)思わず耳がエルフ耳に…。

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posted by 銀の匙 at 02:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする