
前座の女性バンドaminaがシガーロス風の、なかなか面白い演奏を見せたあと(後でシガーロスのバックに入っていました)、いよいよ真打ち登場です。
幻想的なステージとの噂通り、白い幕に湖面に反射する光のようなパターンが投影されたあと、幕越しにシルエットが浮かび、ボーカル、ヨンシーの高音が霧の中の呼び声のように聞こえてきます。
幕が開いて私はびっくり。ファンとか言いながらメンバーも良く把握してないモグリなんですが、ボーカルのヨンシーは男性だった…(てっきり女性かと思ってました…恥)言い訳がましくて済みませんが、間違えて当然、地声との境目もスムーズな揺るぎないファルセットを聞かせてくれます。
といっても、クラウス・ノミや同じアイスランドのビヨーク、アイルランドのドロレスのように前に出てくるものではなく、技巧に走ったり押しつけがましいところのない歌声です。ちょっと途中、苦しそうなところもありましたが、そういうところも含めて味がありました。アイスランド語の響きはとても美しく、曲調に良く合っていると感じました。
彼らの音楽は極光のように、聞く者を照らし、貫いていきます。アイスランドへ行ったことはありませんが、彼らの音楽を聴いているとアイスランドがどういうところか、くっきりと脳裏に描くことが出来るのです。
大気にきらめく氷の粒や肌を刺す戸外の寒さ、深い色を称えた空、そして、静けさの中に突如現れる、激しくダイナミックな大地の躍動…そんな景色が次々と蜃気楼のように立ち現れます。
途中、ろうそくの光の元で演奏するシーンは、音楽を囲んで過ごす長い冬を思わせると共に、町の小さな教会に居合わせたような雰囲気もある面白い演出でした。
ボーカルの他にも、静謐で繊細な曲に、うねりとダイナミズムを与えるドラムの演奏、そしてドラムにシンクロする照明が素晴らしかったです。
たいした数のライブは見ていないので大きな事は言えませんが、今まで見たうちでは最高のライブでした。まず曲が良かったし、演奏も良かった。場所も、硬質な音の生きるSHIBUYA-AXの音響でぴったり。そして何より、観客が最高でした。
ライブ後半、無音部分のある曲があったのですが、その一瞬、会場にまるで生きているかのような沈黙が訪れ、ヨンシーのブレスで歌が再開すると一気にテンションが上がっていきました。ざわざわしがちなライブ会場では、奇跡のような出来事です。このとき、観客の一部となってライブを分かちあえたことを、無上の光栄に感じました。
ヨンシーが単語を2つくらい(ターク、と聞こえましたが、ありがとうって意味かな?)喋っただけで後はほとんど休みなく演奏が続き、最後に激しくエモーショナルに昂まり、始まりに呼応する白い幕の演出で締めくくられました。
4月5日(水)は最終日だそうです。仕事、会議、デートなどで行かれなくなりそうな皆さん、そんな用事は後からでもできます。どうかこのライブを優先して、感動を分かち合いましょう!