2006年10月22日

悪魔とダニエル・ジョンストン

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ご無沙汰致しました。見てからだいぶ日にちが経ってしまいましたが、感想をば。
いやーめちゃくちゃ面白いドキュメンタリーでございました。

真面目に見れば、精神病を患う天才ミュージシャン、ダニエル・ジョンストンの半生なので、本人も周りも大変なことには間違いありません。

自由の女神に落書きして警察に怒られてみたり(録音テープの音声が流れましたが、本人、しゅんとしてました)、ライブで観客に説教垂れたりという奇行はマシな方で、マネージャーを凶器でボコってみたり、お父さんの軽飛行機の操縦桿を奪って墜落させてみたりの刃傷沙汰が続けば、周りの寿命が縮みます。

しかし、そのマイナスと釣り合いを取るかのように、彼の才能は輝いています。関係者は怒るでしょうが、映画はこのマイナスのゆえに彼の才能があるのだと言わんばかりです。

アール・ブリュト、とひとくくりにするのは好きじゃないので、個性的な、と申し上げておきますが、一度見たら忘れられない絵もそうですし、メチャクチャ弾いてるように見えて、キャッチーなメロディーが心に残る音楽も彼の作品です。なかでも清涼飲料水「マウンテンデュー」を讃える歌(?)はすごくて、さんざん褒めちぎった上に「♪悪魔も飲んでる マウンテンデュー!!」だって。なんでCMソングに採用しなかったんだろ?最高なのに(爆

それを除くと(笑)私がいちばん気に入ったのは、彼の映像作品です。少年時代の回想シーンは、ダニエル自身が撮った自主制作映画のフィルムを使っているのですが、ベッドの前に座った本人の服がどんどん入れ替わっていくといったアイデアが面白いし、演技もなかなか上手です。そして、彼の映画のテーマになっているらしい、本人演じるところのガミガミ怒る母親の姿には胸を衝かれます。子供のころ、親が煩わしいと思う子はたくさんいるでしょうが、彼の感性には並の子供以上に応えたのでしょうね。

すでにこの自主制作映画時点で、アングルやカットの仕方なども大変上手いんです。こんな人の映画を撮る監督さんは、いろいろ注文付けられて大変だったんじゃないかと思いますが、それを乗り越えて(たぶん)、優れた作品に仕上がっていると思います。

病気が病気だけに、本人が何を思っているかを的確に表現するのは難しい挑戦だったのではないかと思いますが、家族や友人、彼に献身的に尽くすマネージャーの存在、他のミュージシャンや地域社会の反応などを上手く取り込んで、ダニエル・ジョンストンとは何物かを多角的に描いています。

最近のドキュメンタリーはデジタルカメラを使っているせいなのか、画面が非常に平板に見えることがあるんですが、この作品はフィルムを使っているようで、こんなに差があるものかと驚きました。深みのある映像も見どころです。

ジェフ・フォイヤージーグ監督

ライズX(渋谷)で見ました。
今回初めて1階席でした。
思ったほど見づらくはありませんでしたが、
あと50センチでも席が高い位置にあれば、
もっと良かったでしょう。関係者の方、上げ底をぜひご一考ください。

posted by 銀の匙 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする