ご無沙汰致しました。ようやく通信状態も安定して参りましたので、更新を再開致します…
といって第一弾がこれかい!な珍妙エントリーがこちら、「エレクトロマ」であります。
電子音楽界の雄、ダフトパンクが満を持して放つ、初監督作品!の割には、
カンヌにも出品しちゃったぜ!ポスト・バーニーのアート路線を狙ってる?割には、
どこか間が抜けている、かなりの珍品でございます。
といっても、大真面目で松本零士先生にジャケット描いてもらうような人たちだから、彼ら的にはこれでいいのでしょう。たぶん。
風に晒され、風化した彫刻群の廃墟、あるいは、いかにも群像に似た自然の崖のシーンから本作は始まります。
黒塗りのフェラーリ、「California HUMAN」のナンバープレート、輝く金属製のヘルメットを装着した乗り手たち…と、スタイリッシュな出だしは期待度十分なのに、いや、彼らが走り抜ける街の様子も、乗り込んでいく松本零士風計器類満載な研究施設?もイケてるのに、なんでああなるの?
その時点で、観ていたお客さん(で起きてた人)の99%が、「メットの上からあんなことしたら、頭でかすぎるだろ!!!」と突っ込んでいたに違いありません。そして結果はあのようなトホホなことに…。
ミュージシャンの作品だから、シャレた音楽を使ってるのかと思いきや、これがまたツンと来るほどダサイ音楽で、近未来的なお話との取り合わせの妙に哀愁が漂っております。
とまあ、作った本人が「オレ様たちがアートと言ったから、これがアートなのさ」な精神が炸裂してる作品ではありますが、観た側は、我慢した分(イヤでも)記憶に残るとは言えるでしょう。
とにかく、一つのシークエンスがな〜が〜い〜!
こんなに延々見せる必要があるのかと、辟易する場面もあります(こういう、映像のテンポは無視して好きなシーンの長さを勝手に伸ばしちゃうの、自主映画にはありがちですけど)。
しかし、話の中味を考えてみると、この長さは必要と言えば言えないこともない。彼ら二体のアンドロイド?ロボット?にとって、時間はきっとありあまるほどあるのではないでしょうか。
望みが叶えられないまま、無為に過ごさなければいけない、長い時間。それは確かに苦痛以外の何物でもないでしょう。それは確かに良くわかります(付き合わされるこっちの身にもなって欲しい気はするが)。
そうして、必要以上に(汗)じっくり観ると、普通の映画だったらさっと2、3分で終わりにしてしまう、いわば文章でいうと「地の文」みたいなところに宿るこの映画の美しさについて、改めて気づかされます。
日が沈んで暗くなるっていうのはこういう感じなんだ、とか、
炎って燃え出すと天使の羽根のようにまとわりつくものなんだなあ、とか。
場面が転換する際にインサートされるタイトル映像、きっと何か意味があるのだろう、と思っていたら、やはり重要なシーンでした。長い時間を一緒に過ごした分、主人公たちにも愛着を覚えていたのでしょうか。ただの自己満足自主映画で終わらなかったのはさすがです。
こんな、一見珍妙でシンプルな映画なのに、終わってみれば忘れがたい作品です。
シネマライズ(渋谷)
最終回のみの上映。日曜は1000円になります。
ここはほとんど最後列あたりにいかないと見上げる形になります。しかしそうなると遠い。2階席は角度としてはちょうどいいですが、音響が悪い、とあまり嬉しくない劇場なんですよね…。


