
以前−確か、「かもめ食堂」のパンフか何かに書いてあったんだと思いますけど−フィンランドが如何にヘンな場所か、というのを説明した文章があって、そのヘンぶりの証拠の一つに「エアギターの世界大会が行われる」というのがありました。
文脈上、それはきっとヘンな事なんだろうな〜と納得してしまいましたが、改めて考えてみると、
エアギターってナニ?
ちょっと見てみたいような気がしていたところへ、エアギターの世界大会を描いたドキュメンタリーが上映されるというので見に行きました。エアギターって、あちら版の口三味線のことかな…?結構笑えるかも?くらいの認識で見始めたところ、いやいやとんでもありません。思わず感動の展開でありました。
話は、アメリカのギターおたくが、フィンランドにエアギターの大会があるというのを聞きつけるところから始まります。アメリカ人とは思えないような、ちょっとこう小柄な男の子なんですが、わが目で確かめんと、わざわざ北欧のへんぴな村・オウルまで世界大会を見に行くあたり、なかなか堂に入ったおたくぶりであります(アメリカのおたくがどんな感じか、最近ようやくわかった気がする)。
で、せっかく行った先で悟ったことと言えば、その大会にはアメリカが代表を送り出していない−ということでした。さらに、主催者が「武器の代わりにエアギターを持てば、世界は平和になる」という信念の元に
大会を運営していることを知り、アメリカ予選を行うことを決意します。
そしてここに、栄光ある第一回エアギター・アメリカ大会が開催され、主催者もびっくりの大盛況となります。お笑い系なのかと思いきや、エアギター歴子どもの頃から、という良い歳した大人が多数参加、白熱のバトルを繰り広げます。そう、ギターを買ってもらえない子ども達は、ベッドの上で憧れのロックスターの弾き真似をしていたわけなんですね。ギャグかと思って見てるこっちとは全然、思い入れからして違います。
個性あふれる出場者の中でも、ビヨルン・トゥロックは、世界最強のロック国・アメリカから選ばれる代表は、当然、世界のエアギター界のトップに立つ者である、という強い
C・ディディは韓国系アメリカ人で、パフォーマンスといい、温かく知的な人柄といい、東海岸代表として申し分のない人物です。対するビヨルンは、粘着気質というか、前半はかなりイタいキャラ。
で、通常のドキュメンタリーだとここで、ディディがフィンランドでどんな挑戦をするのか、ということに話が移るはずなんですが…
(彼的に)まさかの敗退に収まらないビヨルンは、自分の敗退の原因を、ディディの胸のキティちゃんのせいだと決めつけて(あ、違ったかな)、東山再起を期します。ここから、諦めない男・ビヨルンの、信じられない巻き返し作戦が始まります。他地域の大会に挑戦してみたり、インターネットで旅費を募ってみたり。ついにアメリカ代表を賭けた大会に乗り込んでくる彼を見て、防衛側のディディは唖然…。
そんなロック魂溢れる(?)エピソードを満載して、映画は進んでいきます。
ともすれば単なる物まね一発芸と思われがちなエアギターですが、ロック魂なくしてプレイはできません。審査も厳しいものです。パフォーマンスやリズム感はもちろんのこと、一番問われるのはエアネス−エアでなければ表現できない、音楽との一体感です。
感情を抑え、スタイリッシュでありすぎて、アメリカではまるで評価されなかったビヨルンのエアも、本場ではホンモノのエアとして大絶賛。派手なパフォーマンスと衣装が却って仇となり、一挙に劣勢に立たされたディディはどうする…?
そんなハラハラわくわくの展開を楽しみつつ、見ているうちに、心の中の「エアネス」が解放されるような、素晴らしい映画です。どうぞお見逃しなく!
新宿タイムズスクエアで見ました。スクリーンが大きく、シネコン系のつくり。そのため、見やすい席は、かなり後ろの方です。


