2009年04月01日

しだれ桜と薩摩琵琶の夕べ

今年は諸事情によりお花見はなくなってしまい、その代わりと行っては何ですが、表題の催し物に行って参りました。

森鴎外の旧居「観潮楼」のある千駄木の団子坂上は、旧居の名が示すとおり、昔は入り江が見えたほど、見晴らしの良い高台だったようです。このあたりは元々、丸の内へ通うお役人や、教育関係者に分譲された宅地だったようで、今や有名になった団子坂下の千駄木とはまた異なり、往事を忍ばせる邸宅が並ぶ高級住宅地です。

その一角に近代和風建築の傑作「安田楠雄邸」があります。前から行ってみたかったのですが、夜桜に合わせてライトアップと琵琶の演奏があると知り、一石三鳥とばかりに出かけてみました。

元々この建物の事を知ったのは不思議な御縁で、日本ナショナルトラストが管理する京都の「駒井家住宅」をたずねた折、住宅と共にトラストの活動に感動していたところ、「東京にも同様に保存している建物があるんですよ」と教えて頂いた訳なのです。

こちらは水・土の日中しか公開していませんので、夜間参観は貴重な機会でした。二階から真正面に眺められる満開のしだれ桜の妖艶さはもとより、陽が落ちて浮かび上がる日本庭園の陰影や、室内の幻想的な雰囲気は、主が客を招いて宴を張った当時はかくもありなん、という空想をかき立ててくれます。

庭では川嶋信子さんによる薩摩琵琶が披露されました。演目は「嵐が丘」「西行」「花かげ」「祇園精舎」です。

実は薩摩琵琶を聞くのは初めてだったので、大きな楽器でもあるし、どんな音色か楽しみにしていたのですが、華麗な独奏楽器である中国琵琶の演奏を聞き慣れているため、日本の琵琶はいかにも頼りなく、しかも使われ方が三味線と大差ないように感じられました。

しかし、歌が付くと印象は一変します。平氏の悲運を説くくだりは切々として、かそけき弦の音が、諸行無常の念をいっそう強くかき立てるようです。…としみじみしていると、トラジマのネコが視界を横切っていくあたりもこの辺ならではのハプニング(お客さん思わず笑ってるし…)

去年に引き続きの催しでしたので、来年もきっと開催されることでしょう。ぜひお出かけになってみてください。

HPはこちら

なお、歴史的建造物と琵琶演奏の試みとしては、2009年4月28,29日に本郷の求道会館で谷中琵琶styleのユニットが演奏を行うそうです。ここも行ってみたいかも…。

谷中琵琶style
posted by 銀の匙 at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台/パフォーマンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする