2010年01月12日

のだめカンタービレ 最終楽章 前編

音楽モノ鑑賞が続いておりますが、今回は「のだめ」でございます。

今だから告白しますが、先々月まで玉木宏と玉置宏を素で間違えてたんで、アレコレ言う資格は全然ございません。お正月休みにテレビドラマ版のDVDをまとめて見て、すっかりファンになりました(ちょっと出だし遅すぎ)。(ここのとこ、期待して見た日本のテレビドラマの安っぽさに悉く裏切られて辟易してたので、許してください…)

逆に、時間差がなかった分、ドラマの続きとしてすんなり見ることができましたが、いきなりこの映画を見た人は、何がなんだかわからなかったでしょうね。登場人物の名前すら把握できないと思います。業界用語も遠慮会釈なく使われていますしね(応援のために駆り出してくるエキストラ楽団員のことを「トラ」って言ったりとか)。でもたぶん、演奏シーンがほとんどだったのでそこそこ楽しめるんじゃないかとは思いますけど…。

ことばのギャグから音楽のギャグまであれこれちりばめてあって笑わせて頂きました(「また呪文みたいな名前の料理」というのがツボだった)が、なんと言ってもハイライトはベートーベンの「第九」ですね!そう来るか!!っていうか、これから聴くたびに、客席を埋め尽くした白目剥いたウサギが、力の限り合唱しているシーンがフラッシュバックしそうで怖いです…。原語で歌ってて字幕は出ないけど、歌詞もちょうどシーンにピッタリの内容(「歓喜よ!魔法が、厳しく切り離された我らを結びつける」の部分)なんで、余計おかしかったです。

音楽映画で一番腹が立つのは、演奏シーンで音楽をブツ切りにされることなんですが、この作品はその辺の処理のうまさが際だってるように思います。コンサートのシーンではチャイコフスキーの「序曲1812」を相当長尺演奏してますし(この曲、フランスの侵攻に耐えて起ち上がるロシアがモチーフなのに、〈フランス国歌がだんだんしょぼくれていくフレーズもバッチリ入ってるし〉フランスのオケ、フランス国内で演奏するとは良い度胸…と思ったんだけど今は関係ないのかしら??)。

あと、全然本題とは関係ないんですが、この曲の終わりが急にレコードの回転数が落ちたみたいな音になってません?気のせい?あるいは、そういう曲なんでしたっけ?どなたかご存じの方、教えてくださいませ(「1812」を聴くと条件反射で「V・フォー・ヴェンデッタ」を思い出すように刷り込んだウォシャウスキー監督をにくむぅ)。

ちなみに、劇場で売っていた「ピアノミニアルバム のだめカンタービレ最終楽章」っていう楽譜があります。劇中使用曲を短いピアノ曲にアレンジしていて面白いので買ってみたら、「1812」も入ってました。えっ、ピアノでどうやってあの大砲の音を…?って思ったら、楽譜の該当部分にちゃんと「床を踏みならして大砲の音を表現してみましょう」と入ってました…ナイス。

ということで、音楽映画としては十分面白かったんですけど、ドラマ部分に関しては、前々からちょっと引っかかってるところがありまして…。ほとんどどうでも良い続きを読む
posted by 銀の匙 at 01:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月01日

THIS IS IT

皆様、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

さて、1月1日は映画の日。今年の初鑑賞はマイケル・ジャクソンの「THIS IS IT」と相成りました。

この作品、去年秋に2週間の期間限定で上映されたのですが、あまりの人気に再上映が決定、それでも見られない人続出で、ついに再々上映となったようです。私も2回とも全然入れなくて諦めてたクチだったので、今回の再々上映が本当にありがたかったです。

それにしてもそこまで混んでるなんて、日本人は期間限定モノに弱いのか、日本にそんなにマイケルファンがいたのかな…とちょっと感慨を新たにしつつ、劇場に行ってみると、60代以上と見受けられる観客が多くて驚きました。

山田洋次監督の映画と間違えたんじゃ?

いえ、皆様どうも映画の評判を聞きつけていらしたらしいんですよ。

内容としては、マイケルが今年開催するはずだったコンサートのリハーサル風景とメイキングのビデオをつないで作ったものなので、観客はいないものの、ほぼコンサートのドキュメンタリーのようなものです。

しかし、リハーサルはあくまでもリハーサルなので、衣装もないし、演出も話に出てくるだけで、コンサートそのものは観ることができません。

じゃ、何を観るかって?

マイケルですよ、マ イ ケ ル。

とにかく彼はすごい。
こんな陳腐な形容詞しか出てこないのがもどかしい。

以下、映画の内容に触れています====================

冒頭、ベーシストにどんな演奏が欲しいか説明しているシーンがあるんですが、そこから感心しっぱなし。もっとファンキーに…といいながらベースラインをベース風に歌ってみせるんですけど、マイケル、この際、その調子でバックバンド全部、口三味線(?)でやったらどうなの?と思っちゃうくらい。たった数小節でもこのリズム感、このグルーヴ、まさにブラックミュージックの本懐。

「ポップの王様」、キング・オブ・ポップの称号通り、ファンとは言えないレベルの私でも映画で流れた曲は全部知ってたくらい、キャッチーで覚えやすく、親しみやすい音楽路線でしたけど、その底にあるのは強固な黒人音楽の伝統なんだなあと感じた瞬間でした。

ジャズにしろロックにしろ、今の音楽は何かしら黒人音楽の遺伝子を受け継いでいるのだとすると、黒人音楽のエレメントをふんだんに持っているマイケルの音楽には、始原とつながる、どこかとても純粋なものを感じます。

そしてダンス。この映画で初めて彼のダンスを見たんですけど、私のようなど素人にも一目瞭然なほど、バックダンサーとは全然ダンスの質が違います。

オーディションのシーンがあるのですが、選考基準はマイケルと一体となって踊れて、しかも華のある人。だとすれば選ばれた人のダンスは限りなくマイケルに近いはずなんですが、同じステージにたつと、三輪車とポルシェ以上の差があります。

もちろん、真似して踊ればオリジナルより劣化が避けられないのは当然ですが、この差は一体何なんでしょうか。

バックダンサーは振り付けを踊っているけれど、マイケルのは音楽が身体の動きになって現れている。私に言えるのはここまで止まりなんですが…。

いま彼のダンスを観る人は、あれで50歳!あんなに切れる動きで信じられない!という印象しか持たないかもしれないけれど、マイケルが指一つあげられないほど老いたとしても、彼の身体は音楽を語るでしょう。そう感じさせる動きなんです。

小さい頃からエンターテイメントの世界で揉まれてきた人だからか、何か頼むときに腰が低いのも印象的でした。言葉のはしばしに、相手にとても気を遣っているのが伺えます。そうしながらも、出す指示は非常に的確だと思いました。曲のテンポ、コード進行、キーの高さ…がなぜそうなのか、完成品だけ聞いていると「感じる」ことしかできませんが、マイケルが出す指示に、どのような狙いでそれらが決定されているか、かいま見ることができます。その意味でも貴重な記録です。

興味深かったのは、キーボードの人とのやりとりで、演奏をCDと同じにしてくれと言っているシーン。お客さんが何を望んでいるか、さすが、良く把握しています。

ああ、本当にこのコンサートが開催されなかったことが悔やまれてなりません。せめて、世界中の人がこの記録を観たことで、彼の芸術がいっそう愛されることを祈るばかりです。
posted by 銀の匙 at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする