2016年03月31日

アイリス・アプフェル 94歳のニューヨーカー

映画を観にいったり感想書いたりしている場合じゃないのですが、お時間ある方には絶対観ていただきたいと思い、取りあえず推薦の辞をば。

ファッション業界に大きな影響を与えた女性のドキュメンタリーと聞いて、ファッションデザイナーか、元モデルさんか、ファッション評論家の話なのかな?と思ったら、意外やアイリスさんはそのどれでもありませんでした。

2005年、彼女が84歳のときにニューヨークのメトロポリタン美術館で開かれた個展は、衣装コレクターとしてのもの。つまり、ファッションはお仕事ではなく趣味なのです。それで個展の構成から出品物まで全て仕切り、しかも評判が評判を呼んで大人気だったというからスゴい。

ちなみに、この展覧会を企画した、美術館側の責任者ハロルド・コーダさんというこれまたステキな方が出てくるのですが、開催予定だった別の展覧会がポシャッてしまい、急遽何か代わりの展覧会をということで、知人のアイリスさんを思い出してお願いしたんだとか。

天下のメトロポリタン美術館の展覧会なら、通常は相当な期間をかけてキッチリ準備するんでしょうが、こんなお金も準備時間も宣伝費用もかかってない代打の展覧会が大ヒットで、嬉しいけど何か複雑って表情でした。分かる、その気持ち…。

さて、話は戻ってアイリスさん。本職はインテリアデザイナーだそうなので、もちろんデザインセンスは抜群なのでしょうが、彼女の着こなしはスタイリッシュとかいうのではなく個性的で、コレクションする服や小物の選び方も独特です。

映画には、彼女がハーレムの何てことない普通のお店に出向いて、店主とやりとりしたり値切ったりして慎ましやかにお買い物をするシーンが出てきます。あらいいわね、と注目するアイテムを見ると、マジでそれ、買ってどうするの...?みたいな妙なデザインばっかりなんですけど(←素人の見解ですすみませんすみません)、さらにそれに輪をかけて妙ちきりんなデザインの安っぽい(「ぽい」っていうか値段も日本円で500円くらいなので本当に安い)アクセサリーを足すと、あら不思議。

最初からそういう風にデザインされたとしか思えない、ステキなコーディネートの完成です。

柄 on 柄とか補色保護色何でもござれとか、上級すぎてマネするのは到底無理ですが、組み合わせの仕上がりを見ると、単に二次元の色あわせや柄あわせを超えた、彫刻的なセンスを感じます。

しかし、ファッションセンスより何より、アイリスさんが本当にスゴくてリスペクトすべきなのはそのお人柄。手仕事を愛し、後進を育てるのに力を注ぐなど仕事熱心で、手を動かして物を創らないタイプのデザイナーには批判的なものの、誰もが認めるセンスの持ち主なのに、他の人のイケてないファッションを批判したりしないし、発言は常に的を射ているけれど上品なユーモアがあり、一緒に仕事がしたくなるようなことしか言いません。

着ているものがいつも楽しげなところとか、記憶力抜群のところとか、せっせと綺麗なものを集めているところとか、年上の旦那様のカールさんといつも一緒でとても仲良しなところとか、「珍しい鳥」というあだ名そのもののアイリスさん。こんな風に年を取れたらいいなぁ…。

公式サイトはこちら↓
http://irisapfel-movie.jp/

角川シネマ有楽町で見ました。
前の人の頭がやや気になるけど、なかなか見やすい劇場です。
2016年3月現在、飲み物は自販機しかありません。
見やすい席はI列、J列、K列の8,9番あたりです。

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posted by 銀の匙 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする