2016年08月16日

西遊記 孫悟空 vs 白骨夫人(西遊記之孫悟空三打白骨精)

まさか大スクリーンで観られるとは思わなかったので、まずは公開してくださったことに心より御礼申し上げます。

だけど、なんで広東語版なんでしょう?

香港映画として観てほしかったからかしら?

それとも、海外向けは広東語版onlyなのか?

そんなことなら『西遊記 はじまりのはじまり』も広東語で上映してくれたら良かったのに... 。

それはそれとして、面白かったかどうかは、視覚効果とアクションにどれくらい重きを置くかによりますね。
この2つを重視するなら、絶対おススメです。

ストーリーは『西遊記』の中の有名な「白骨精」のエピソードから取られています。

この映画は「2」なので、特に前ふりもなく、天竺へお経を取りに行く旅の途中の三蔵法師(ウィリアム・フォン)の一行がトラに襲われるシーンから始まり、孫悟空(アーロン・クォック)が菩薩の言いつけで弟子になり、八戒(シャオ・シェンヤン)と悟浄(ヒム・ロー)も合流します。

旅の途中で妖気漂う家に踏み込んだ3人を待っていたのは、魂魄の形で人の身体に入り込み、抜け殻を残して逃げ去ることのできる妖怪・白骨夫人。

彼女は、食べれば転生を避けることができると言われる、取経の僧が通りかかるのを待ち構えていたのです…



ものすごくお金がかかっていそうなVFXを観ながら、大げさな表現をさせたら中国人の右に出るものはいないな〜とほとほと感心しておりました。こういうのホント好きそう。

しかし、妖怪や魔法や爆発のVFXには慣れている、ひねた観客(←私)も、白骨夫人のエフェクトには心を動かされましたよ。

演じたコン・リーが凄かったということもあるのですが、煙のような、水に絵の具を溶かしたような流体の表現がとても上品で綺麗。冒頭が香港映画でありがちな、よく言えば派手、悪く言えばやや趣味の悪い画面構成だっただけに、意表を突かれました。

とにかく、コン・リーの登場する場面はどこも見応えがあります。

衣装デザインもとても綺麗で、白骨精の衣装は言うに及ばず、シルクロードのエキゾチックな服や三蔵法師、弟子たちの服もなかなかシックで素敵です。作りもそれぞれすごく凝ってるし…。

アクションはさすがのサモ・ハン・キンポー・クオリティ。

東京と大阪でそれぞれ1週間ずつくらいしかやらないみたいなので、
派手な映画を観たい方は、どうぞご覧になってみてくださいませ。

ということで、以下は全く個人的な感想なので、これからご覧になる方はスルーでお願いいたします。




さて、面白かった映画の感想を書くポリシーなので、今回はやや違反してますが、他のエントリー(→こちら)でキャストのインタビュー番組を紹介したので、取り上げてみました。

絵柄はそこそこ綺麗だったし、キャストも悪くなかったんだけど、とにかく脚本がダメ。

特に、旅の一行にはこれだけ豪華な俳優を揃えたのに、お互いが話をするシーンがほとんどなく、実にもったいなかったです。

アーロン・クオックの孫悟空、ウィリアム・フォンの三蔵法師のやりとりも、最後の、大事に担いでたけど…のシーンみたいなのを、メインストーリーに入る前にもうあと2、3か所足せば、ずいぶん違ったでしょうに。

アーロンは頑張ったんだけど、先行作品や京劇の動作も意識しなければならなかったせいか、彼を抜擢した良さがあまり出ていなくてお気の毒。

八戒役の小瀋陽、沙悟浄役のヒム・ローも、あれしか出番がない割には健闘した感じでした。

もっと根本的なことを言えば、西遊記のこのお話はよく知られているだけに、メインストーリーの部分にももう少しひねりが欲しかったところ。話はほとんど古典小説そのまんま(ってか古典小説がスゴイからアレンジする必要ないと思ったのかも)。

でも、いちおう映画なんだから、ただ力任せにやっつけるだけでは面白くもなんともありません。

比べちゃ申し訳ないけど、同じ西遊記を撮った周星馳監督の偉大さを改めてしみじみ感じちゃいました。

三蔵法師のウィリアム・フォンは手がきれい…いや、未熟な感じもよく出していましたが、同じ三蔵法師なら、周監督の『西遊記 はじまりのはじまり』の文章〈ウエン・ジャン〉版の方がキャラクターとして魅力を感じます。

文章の演じた三蔵法師は、能力も足りず、真面目なのにさまざまなボケに付き合わされ、仏の道を究めようとするひたむきさだけが取り柄の未熟な若者ですが、観ているうちに彼を応援したくなるようなキャラクターに造られていますし、最後に三蔵法師と呼ぶにふさわしいやり方で勝利を得るのでカタルシスもある。

対するウィリアム三蔵法師は、とても優しいんだけど何だか影が薄いし、ビジュアルは和尚さんなんだけど、実は自分も仏を信じてるかどうかあんまり自信ない、みたいに見えちゃって、やや残念。

この差はどう考えても、俳優さんのせいというよりは、明らかに脚本のせいでしょう…なんだか可哀想。

同じキャストで続編を作るのは無理でしょうが、違う脚本でもう1本くらい撮ってくれないかな〜。

インタビュー番組があんなに面白かったんだから、このチームで撮ったら、絶対面白いと思うんだけど。

と何だかもやもやしてしまった映画でございました。オチのない感想でごめんなさい…。

posted by 銀の匙 at 00:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする