2016年09月25日

君の名は。(表示以降ストーリーの結末に触れています)

東京ドームシティに「宇宙ミュージアム TenQ」というスポットがありまして、この夏、新海誠監督の展示があるというので行ってみました。

http://www.tokyo-dome.co.jp/tenq/exhibition/7/

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なぜ新海監督の展示に行ったかという話がちょっとややこしいのですが、今年行われた「ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン」というクラシック音楽の祭典のキービジュアルがとてもステキで。

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この絵を描かれたのは画家の四宮義俊という方なのだそうですが、なぜ採用されたかといえば、音楽祭のディレクター、ルネ・マルタンさんが新海監督の作品「言の葉の庭」のポスターに使われた四宮さんの作品を見て気に入ったから、という説明がされていました。
http://www.lfj.jp/lfj_2016/about/article_02.html

で、四宮さんが新海監督の新作にも協力されているということだったので見に行ってみたわけです。

スペースは小さめでしたが、映像美をじっくり堪能できる展示でした。(展示は2016年11月6日まで)

予告も上映されていて、それを見た感じでは恋愛ものにちょこっとファンタジーを絡めた、よくあるパターンのアニメなのかなと思って、こんなに映像が美しいのに、お話でガッカリしたらやだなぁと思いつつ、でも思いきって劇場に行ってまいりました。

大きなスクリーンで観る絵の美しさは格別でした。

空の色、自然の風景、街の情景。

ことに素晴らしかったのは、主人公のひとり・瀧〈たき〉が祠の中で何かに引き込まれていくようなシーン。色鉛筆で書かれたような不思議なタッチと色、観ているこちらまで引き込まれるような動きに文字通り息を呑みました。ここを観るためにもう一回映画を観たいくらい…。

ストーリーの方も、三葉〈みつは〉と瀧の主人公2人がとても好感のもてるキャラクターで、途中から思いっきり応援モードに入ってしまいました。ちょうど良い頃合いの長さの映画でしたが、この2人の微笑ましくも奇妙な日常(?)のエピソードをもっともっと観たかったなぁ...ホントに面白かった。

ずっと東京に住んでると、そんなに東京って憧れるようなところかな?といつも思うんですが(東京だって、高校生にとってのカフェ事情は三葉の故郷と同じですってば! 放課後にカフェに入り浸ってあんな高いパンケーキ食べてる高校生なんて滅多にいないって!)、ま、そこがファンタジーだって理解してあげるとしましょう。

日照時間だって長くないですよ!!!日当たり悪いんだからさ(笑)。

なんてツッコみつつも、観終わった後は良い歳して滂沱の涙で、恥ずかしくて席を立てなかったですよ。

それは、もちろん、主人公2人の物語に泣けたということもあるし、もうちょい別の意味もありました。
ただ、理由はネタバレになってしまうので、まだ観ていない方はここまで。

お話の内容が分かっても良い方は、どうぞ続きをご覧ください。











予告編を観て予想できたストーリーは、主人公の2人の心が入れ替わってしまうということと、彗星が関係ありそうだ、というところまででしたが、基本、推測通りに話は進んでいきます。

ヒロイン・三葉の住む、糸守町の全景が出てきたところで、誰もが、こりゃ隕石かなんかが落ちたクレーターのあとだろ...と思ったことでしょう。そして何度も繰り返される目覚めと夢。「時をかける少女」みたいだな、と思ってると、やはり彗星が墜ちて、町が消滅したという展開になってきました。

これは、「時をかける少女」みたいに、事件の前に何度もタイムリープして事態を打開しよう、という話になるか、萩尾望都先生の「金曜の夜の集会」みたいになるのかな(「金曜の…」のネタバレになるのでこの先は書きませんが、心打たれる素晴らしい作品なので、ぜひお読みになってみてください)、と思っていたら、そこはあまりややこしいことにはならずに、最終的には町も救われ、2人は再会できる、というハッピーエンドになっています。

観終わった後には心底ホッとするとともに、もしこの作品が10年前に作られていたら、エンディングはちょっと違っていたかも知れないな、と思いました。

瀧が、三葉のいた町が消滅すると知ったときに登場する、新聞や映像、犠牲者の名簿などの映像を観て、日本に長年住んでいる人ならきっと無意識に、恐ろしい自然災害の記憶が呼び覚まされるに違いありません。

大自然の脅威の前に、なすすべもない私たち。火山の噴火、台風、大雨、大地震、津波…21世紀の今さえ、大きな災害の前には集落1つ、村1つ、あるいは地域ごと、跡形もなくなってしまうことを、日本に住む人ならいつも心のどこかに感じているはずです。

私は東京に住んでいるので、小さいころから繰り返し繰り返し、関東大震災の恐ろしさを聞かされています。ひとたび地震がくれば、目の前のにぎやかな街もあっという間に崩れてしまうだろう。大きな火事も起きるかもしれない。そのときもし、自分が生き残って、親しい人が犠牲になったら?

そんなとき、もし災害の1日前に戻ることができて、皆を助けることができたら、どんなに良いか…。

無理だと分かっていても、3.11を経験した後でスクリーンの中でそれが観られたことに、とてつもなく安堵しました。これがハッピーエンドじゃなかったら、きっと耐えられなかったことでしょう。

この作品が世界中で観られたときに、今の思いを分かってもらうのはなかなか難しいかもしれません。何だか取って付けたような終わり方だと思われたり、非合理だという批判があるかもしれない。でもこのお話はこれで良かった。監督、本当にありがとう。

新海 誠監督

お台場シネマメディアージュで観ました。
スクリーン2はやや小さめなので、通路の前後くらいがいいかも知れません。
シートは快適です。
ここはあらかじめ予約ができない劇場なので、
ふらっと映画が観たくなったときでもたいてい席がある、
今どきとてもありがたい映画館です。

君の名は。|ぴあ映画生活

posted by 銀の匙 at 03:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月19日

Sparrows(Þrestir)

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飛行機でたまたま目にした、2015年のアイスランド・アカデミー賞ノミネート作品。

この映画を観られただけでも、遠路はるばるやってきた甲斐がありました。
オープニング画面↑が現れた瞬間から、もうこの作品の虜です。

お話自体は、母親と暮らしていた16歳のAri(Atli Oskar Fjalarsson)が、6年も会っていなかった父や祖母と暮らすことになり、一歩大人に近づくところまでを静かな筆致で描いたもの。

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ストーリーにさほど大きな起伏はないのですが、飲んだくれのダメ男である父の不器用な愛情表現や、Ariと彼を取り巻く人々とのやりとりが、繊細に綴られていきます。

映画の中で大きな役割を果たすのは、アイスランドの風景です。

物語の舞台になっている場所は西部フィヨルド地方だそうで、人口の少ないアイスランドの中でもさらに訪れる人の少ない、隔絶された地域という印象のある場所です…と言っても、外国人の目から見ると、いかにもアイスランドらしい景色だなあ、くらいな感じですが…。

ふつうの生活を題材にしながら、その国らしさを感じさせるというのは意外に難しいのではないかと思いますが、特に観光名所が映るわけでもないのに、画面の隅々からアイスランドらしさを感じるのも、この映画の魅力の1つかと思います。

エンドロールにエキストラの人たち全員(?)の名前が出てくるのも、手作り感というか、アイスランドらしい感じがするなあ、と思いました。

もう1つの大きな魅力は音楽です。

冒頭、Ariは聖歌隊のクリスマスコンサートで歌っていて、それがTV中継されたのを家族みんなが誇らしく思っているのが伺われます。

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この曲に限らず、全編を素晴らしい音楽が彩っており、いったい誰の曲だろう、とまたもエンドロールを必死に見つめてしまいました。アイスランドの現代音楽の作曲家、故Magnús Blöndal Jóhannssonと、シガーロスのキーボーディストだったキャルタン・スヴェイソン(Kjartan Sveinsson)の曲が使われているようです。

冒頭の聖歌を含む予告編をこちら↓から観ることができます。
映画の雰囲気をよく伝える、秀逸な予告編だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=bvNw3WqecEo

世界の映画祭でも賞を獲っているようなので、そのうち日本でも上映してくれるのを心待ちにしています。

Rúnar Rúnarsson監督作品

公式HPはこちら→ http://nimbusfilm.dk/film/sparrows/
posted by 銀の匙 at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする