2017年01月26日

MX4D上映 ルパン三世 カリオストロの城

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↑劇場でいただいたポストカード

なんでまた唐突に再上映されているのでしょう、御大に何かあったのでは…ぶるぶる…と正月から縁起でもないこと考えておりました鑑賞者ですが、今年は原作ルパン三世の50周年だったんですね。

電車を乗り継いで劇場まで観に行った○十年前が昨日のことのように思い出されます。当時はすごく面白いと思ったけど、今観たらガッカリかも…と思ったけど、そんなことありませんでした。

いきなりド派手に登場するルパン三世の「お仕事紹介」のシーンから一転、のどかな田園風景やバディ・次元との息の合ったやりとり、またまたド派手なカーチェイス、雨の中、静かに現れる五右衛門…静と動のコントラストはお見事のひと言。

イタリアに行ったら、フィアットに乗ってる男子ってみんなリアルにルパンみたいなチンピラで、しかもどこからせしめてきたんだか車にルパン三世のステッカー貼ってるんで本気で驚いたんですけど、実写なら○栗さんに頼むより、イタリアでロケした方がいいんじゃ…?

と、話は逸れましたがこの作品、はるか昔、たった一回見ただけなのに、ほとんどのシーンをかなり正確に覚えていたのは、シーンのつなぎや構図、動きがよく練られていて、ピタリと決まっていたためだと思います。

せりふも節回しまで記憶の通りでしたが、こちらはやはりベテラン陣の演技力のおかげでしょうね。一度聴いたら忘れられない、山田・ルパンや、キャラにピタリとハマった納谷・銭形、小林・次元、増山・不二子のセリフ回し、セリフこんだけでギャラいくらもらったんだろう井上・五右衛門の渋い美声も、クリアな音声で蘇っています。

それにしても、なぜIMAXとかじゃなくてMX4Dなんだろうと不思議に思っていたのですが、アクションが多いし、水しぶきが出るとか、ボコボコになぐられるとか、MXのエフェクトが効くシーンが考えていた以上にてんこ盛りで、ああ、本当にマンガ映画の楽しさが味わえる作品だったんだな…と改めて思いました。

六本木ヒルズで観たんですが、観に来るガイジンさんの多いこと多いこと。日本語が全然わからない方々ばかりのようで、チケットカウンターの人が対応に追われてました。字幕ないですよ、って教えてあげないと困るんじゃないだろうか…あるいは、字幕付き上映をやるとか?

いえいえ、言葉が分からなくたって、絶対この面白さは分かりますよね。

期間限定上映だそうですので、お見逃しなく!

TOHOシネマズ六本木で観ました。
スクリーン8はMX4D専用です。座席は抜群の座り心地。
観やすい席はD〜Fの8,9,10番あたりでしょうか。
私は少し後ろ目が好きですが、割と段差がないので、
座高の低い方はご用心です。



posted by 銀の匙 at 00:07| Comment(4) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月06日

こころに剣士を(表示以降、ストーリーの結末に触れています)

奈良美智の絵に出てくるような、あるいは「ロッタちゃん」の映画に出てくるような、目ヂカラのある女の子が出てくる予告に惹かれて観に行ってみましたエストニア=フィンランド=ドイツ合作映画。

例によって全く予備知識がなかったため、登場人物たちのしゃべってる言葉にまず面喰いました。

すごくフィンランド語に雰囲気が似てるんだけど、でも全然聞き取れない。

むしろ、なぜか大人は皆しゃべれるらしいロシア語の方が分かる(って言っても、ロシア語のセリフが“もしもし”とか“誰ですか”とか“ちょいとお兄さん”とか“そこの女子!”とか、初級レベルだったからですが・笑)…。

書き文字はみんなキリル文字だしロシア語だ(文書とか、街角の表示(“パン屋”とか)...と気になってたら、だんだん分かってきたのは、お話の舞台になってるエストニアはソ連に併合されているので公式にはロシア語が使われていて、エストニアの地元の人は地元の言葉でしゃべってるらしい、ということ。

冒頭に、ほんの数行の字幕で説明された時代背景が、後々重苦しくのしかかってきます。

しかし、映画全体の印象は水彩画のように素朴で淡々としていて、もろもろのことはひっそりと暗示されるだけで感動の押しつけもなければ感情の爆発も残虐シーンもなく、それでいて軽やかに、そしてしみじみと温かい気持ちが残る秀作です。

お話は第二次世界大戦後のエストニア。素朴な片田舎に、大都会・レニングラードの大学を出たという教員志望の若者・エンデルがやってきます。

見るからに人付き合いが悪そうで、子どもも好きそうには到底見えず、引きこもりな感じなのに教員志望??という第一印象は全然間違っておらず、彼は実際、人付き合いも悪ければ子どもも苦手な根暗青年で、教員になったのは単に人目を避ける必要があったからなのでした。

よくもこんな怪しげな人を簡単に採用するね...と思ったら、そこは校長先生、裏ではがっつり疑っています。

エンデルは校長の命令に従って、課外の運動部をはじめますが、用具を取り上げられたりの妨害に遭い、結局、彼自身が選手だったフェンシングの部活を立ち上げます。

例によって子どもの指導なんか全く興味なさそうなエンデルなのですが、田舎町なこととて子どもは新鮮な活動に飢えており、好奇心いっぱいで部活に参加します。その人気ぶりや、エンデルの学歴も面白くない校長はいろいろと妨害や粗さがしを始め、ついに彼のひた隠しにする秘密に辿りつきます。

一方のエンデルも、レニングラードにいる親友から目立つことはするな、もっと遠くに逃げろと忠告されるのですが、グズグズと煮え切らない態度でいるうちに、子どもたちはフェンシングの全国大会に出たいと言い出します。

開催地レニングラードに行くことはエンデルにとって、命を危険にさらすことに等しい行為です。しかし、彼にフェンシング部を立ち上げる決意をさせた女の子・マルタや、辛い状況にいる男の子・ヤーンなど、子どもたちの願いに背中を押される形で、エンデルは行動を起こします...。

少しサスペンス風味の部分もありはするものの、全体としては出来事をドラマチックに演出するでもなく、登場人物も、押しなべておとなしい感じの人たちばかりで本当にあっさりした味わいですが、それが却って時代背景の異常さを浮き立たせているかのようで好感のもてる映画です。

これ以上のストーリー紹介はネタバレになりますので、これからご覧になる方はここまで。ストーリーの結末が分かってもOKな方は、映画館の紹介以降もどうぞご覧ください。

以下、お話の結末に触れています。










最後のテロップで、このお話が実話だったのだと初めて知りました。いちおうハッピーエンドでホッと胸をなでおろしましたが、当時の身の処し方の難しさを映画館を出た後でじわじわと感じました。

エストニアは第一次大戦後、ロシアから独立したものの、ソ連の侵攻によって併合されてしまいます。そのあと、ドイツに占領され、またソ連に占領され、という繰り返しで、その間、男子は対ソ連のナチス・ドイツ軍に加わったり、ソ連の赤軍に加わったりしていました。

エンデルは第二次大戦中にドイツ軍に加わった、という理由でソ連当局から追われる身だったのです。そりゃソ連から見れば敵、しかもナチス・ドイツなんですから聞こえも悪いですが、上記のようなエストニアの状況からすると、ソ連を追い出すためにドイツ軍に加勢するという人だって当然いたことでしょう。

校長も映画で見る限りは私怨と嫉妬に駆られてエンデルを密告したようにしか思えませんが、エストニアの人がどのくらいソ連を支持していたかはともかく、ナチスの残党狩りと言えば世間も(国際的にも?)通るでしょうし、なかなか複雑です。

戦争とそれに続くこの状況で男手のほとんどないこの町では、保護者会といっても参加するのは老夫婦ばかり。大人も子どもも何かみんな精気がなく常におどおどしているような印象だし、エンデルも積極的に生徒と関わろうとはしていない感じを受けます。

しかし、彼は結局、思い切って逃げるのをやめ、フェンシング大会に出るために子どもたちを引率してレニングラードに向かいます。

元々、エンデルもそんなに決意が堅いわけではなかったと思うのですが、校長の意向に反してフェンシング部を存続させようと、ささやかな、しかし勇気ある一歩を踏み出してくれたヤーンのおじいさんや、おずおずとながら部の存続に賛成の挙手をしてくれた保護者の人たち、強い目力でエンデルに決断を迫ったマルタなど、小さな積み重ねが彼を後押ししてくれたに違いありません。

物語の舞台になったハープサルという町の湿原や森などの自然の美しさや、その駅も素朴で良い感じなのですが、今も昔もそのままの佇まいのようですね。エンデルに声を掛けた女性教師のカドリが掛けていたショールは模様からして、町特産のハープサル・ショールではないでしょうか。さりげないけれど、確かな地元への愛が伺えるのも、この映画の良さだと思います。

ヒューマントラストシネマ有楽町で観ました。
JR有楽町駅至近でアクセス良好。
小さい方のスクリーン2は席数も少ないですが、それなりに傾斜があるようで、まあまあな劇場です。
観やすい席はC,D列の5,6あたりです。

posted by 銀の匙 at 01:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする