
今度、横浜美術館で行われる映画上映のイベントはとても面白そうです。
一つは、ルーブル美術館展に関連した「映画分の絵画」のプログラムで、もう一つは
「マルセル・デュシャンと映画」のプログラムです。
もらったチラシをよく見ると、残念ながら思いっきり「ロード・オブ・ザ・リングSEE上映」の日程と重なっており、どうにも行けそうにないのが哀しすぎます…。SEEの方は指定席なので、先に予約してしまったんですよ(号泣)
上映予定の作品にはアニメと実写がありますが、セルヴェの「夜の蝶」はじめ、いくつか見たことのある作品が含まれており、いずれもとても良かったので期待できそうです。
日本の作品では、辻直之監督の「闇を見つめる羽根」が入っています。そういえば、2004年の9月、渋谷のアップリンクファクトリーに監督を招いて行われた上映会「sign of carbon」に行ったことがあります。
人形アニメ2本と実写1本の他、木炭画アニメーションという変わった手法で作られた作品が3本。カンヌの監督週間に招待された「闇を見つめる羽根」の他、「夜の掟」「呼吸する雲」がこの手法で作られています。監督自身が制作方法を解説してくれました。
それは聞いただけでも途方に暮れそうなほど手間のかかり、また儚い作業です。まず、あるシーンの最初の絵を木炭で画用紙に描きます。次のカットはその絵の上に重ねて描いてゆきます。たとえば最初の絵に雲と鳥が描かれており、鳥だけが移動するならば、雲は残しておいて鳥の部分を消し、少し動いた位置にもう一度鳥の絵を描きます。
普通のセルアニメですと、背景を下に置き、セル画をその上に載せます。次のカットは別のセルに描き、前の絵と取り替えます。だから、動いた枚数だけのセルが残るわけです。
ところが辻監督のこの手法では、同じシーンは一枚の絵の中の要素を描いては消し、描いては消しして作るため、手元に残るのは各シーンの最後の一枚だけ、ということになります。上映会場には、この最後のカットの絵が展示されていましたが、どれも大変ユニークで印象に残るものでした。しかも木炭画は消した後が微妙に紙の上に残るため、撮影したときも、その消し跡がまるで残像のように、画面に残り、動いているのです。
3分、6分、17分の短編ながら、制作には1年かそれ以上かかる労作です。中学生男子が好んで描きそうなトホホな場面もないとは言えませんが、大人になってもそれをやってるところに「我が道を行く魂」が感じられます。アニメーション作品らしい、流麗で移ろいゆく動き、人物同士、人物と背景が曖昧に溶け合う描写など、ユニークでスケールの大きい作風です。私自身は、「夜の掟」が一番好きでした。
辻監督の作品「闇を見つめる羽根」上映は3月13日(日)
の16:30からです。
