2014年08月03日

蘭陵王(テレビドラマ1/有話即長編)

*蘭陵王関係の記事を最初からご覧になりたい方は、右のカテゴリ欄から蘭陵王(テレビドラマ)をクリックして選ぶか、→こちらから、一番下までスクロールしてご覧ください。

さて、蘭陵王(らんりょうおう)。

前回の「史実編」(こちら)でも書きましたように、蘭陵王はすぐにでもドラマ化できそうなエピソード満載の人物だったわけですが、その割にはドラマ化は去年のが初めてなんですね。

実は、すごーく昔に、中国映画で『蘭陵王』っていうのがありまして、主演女優の寧静〈ニン ジン〉さんのファンだったんで見たんだけど、いろんな意味でスゴイ映画だったな、あれは…(中国語版Wikiをみると、「映画は歴史上の人物とは無関係」って一刀両断(笑))

あの映画の呪いのせいで、しばらくは孟獲〈もうかく〉と蘭陵王がごっちゃになってたし、私。
ちなみに孟獲とは、三国志に出てくる未開の辺境の酋長です(←怒らないでくださいっ! そういう設定なの!!)。

あ、話が逸れた。蘭陵王の映像化の話でしたね。

去年2013年に台湾・中国の合作でテレビドラマ化されて、日本でもBSフジ、Lala TVで放映されました。いま(2014年8月)はKBS京都で放映中(のはず)。日本語吹き替え・日本語字幕のついたDVDも発売されてます。
(残念ながら、中国語の字幕はついてません)

中国のテレビドラマを見るのは久しぶりなのでウラシマ状態でございましたが、映画ならともかく、地上波で放送するには結構きわどいシーンとかきわどいセリフとかある気がするけど、最近の中国じゃこういうの別にOKなのかな…?

ま、それはともかく、これほど華々しい題材のドラマ化はこれが初めてって、ちょっと意外な気もするけど、大きな理由は、主人公の人選が難関すぎたからじゃないでしょうか。

正史も認める中国史No.1のイケメン、軍神にして女人と見まごう美男子なんて、滅多な俳優さんじゃ視聴者(私)が納得しないでしょう! だって変なのキャスティングした日には、No.1がこの程度?って話になって、中国のメンツにかかわるもんね。

ってことで、視聴者の興味は、まずは主人公の容姿に集中すると思われるわけですが、このドラマの蘭陵王・ウィリアム・フォン(馮紹峰)はこんな感じで登場…。






LLW6.jpg

あ、ごめん(このシーン、悪いけど吹いたわ…)、
こっちだった。

LLW4.jpg
う、うーん。

伝説どおり、あまりに綺麗で女性に間違われるっていうシーンもあるんですが、


JPEG11.jpg

…間違えるかな?

あー、えっと、美男子かそうじゃないかって言われたら、もちろん大変端正なお顔立ちですけど、蘭陵王かって言われると…びみょーですよね…。以前、二郎真君(じろうしんくん・神様ですが、イケメンとされている)の役をやったことがあるそうで、確かにそっちの方が合ってるような気がする。

あるいは『白蛇伝』とか如何でしょうか(勧めてどうする)。

だって、どう見たって典型的な江南の人って感じの風采で、黒竜江省とか山東省とか、北中国の男性とは骨格からして違うって感じだもん…

s-FSFguanfang.jpg
(【蘭陵王】電視劇官方專頁より)

ほんと、江南男子のサンプルみたい…(…つい、“白相人”〈バッシャーンニン〉とかって良くない言葉を連想しちゃったりする…ダメダメ)
s-lingjiang.jpg

(これは2016年↑の御本人さまブログでのご様子〈以下、2016年のお写真の出典は全て同〉ですが、ますますそんな感じに…)

日本で出たDVDの最終巻には、インタビューが特典として付いてるのですが、それを見るとウィリアム君は何だか押しの弱そーな、いかにも現代っ子な感じで話し方もふにゃふにゃ。

s-LLW60.jpg
中国で文房具屋さんとかに行くと、よくカウンターにいますよね、こういうお兄さん。ま、ナイスなお兄さんではありますが…
s-NPH.jpg

(↑こちらは2016年。何だかますますそういう感じに…。
そういえば、最近は、女子に見まごうって感じのビジュアルも出来なくはないか…↓)

s-huancheng.jpg

あぁ、いえ、その割にはドラマでは標準語バリバリなのね、と思ったら、今気づいたけど広東語版だけじゃなくて、北京語版でもセリフは吹き替えなんですね。

敵国・周の皇帝は香港(広東語)のダニエル・チャン(陳曉東)が演じてるので、北京語版が吹き替えだというのは分かるんですが。

ウィリアム・フォンの話し方、実はインタビューを聞いていても、標準語じゃないっていう感じはしない(もちろん、北中国の人の話す標準語、という感じもしませんが)ので、なぜ吹き替えが必要なのか、本当のところはよくわかりません。

売れっ子俳優さんだと同時期に何本もドラマを撮ってるのは当たり前らしいので、アテレコに割ける時間がなかったのかも知れませんが。

ちなみに、現代ドラマはご本人の声のままだし(《二次曝光》《我想和你好好的》《黃金時代》etc...) 、時代劇でも《狄仁傑 神都龍王》とかは吹き替えをしていません。

吹き替えを担当している張震さんは数々の主人公の声を当てている有名な方です。ほとんどが香港や台湾の役者さんの声ですが、なかには中国の人、しかも標準語地域の人もいるので、役柄によっては吹き替えを使うということなのかも知れません(ちなみに張震さんは、こんな方)。洋画の吹き替えもなさっています。「ロード・オブ・ザ・リング」ではファラミアの役。何となく分かるでしょう、声の感じが…?

もし、このドラマの監督さんにお会いすることができるものなら、なぜ蘭陵王の声が吹き替えなのかと、なぜ蘭陵王の家に鳥居があるのかについて、じっくりお話を伺いたいと思います(笑)(鳥居について詳しくは、第10話の3→こちら の記事をご覧ください)

なお、なぜ仮面が般若の面なのかも長らくナゾでございましたが、第18回のコメント欄で画期的な情報を教えていただきました(@きょろさん)。私もきょろさん案に1票です。(→気になる方は こちら からどうぞ)

先の回のコメントで教えていただきましたが(@びちさん)、予告編の声はアテレコ前らしく、ご本人の声のままのようです(→予告編)。確かにこれだとかなり印象違いますね。

で、声の演技にも気を遣ってるのかなーと思う割には、ヒロインの楊雪舞〈よう せつぶ〉を演じたアリエル・リン(林依晨)が、ときどきまんま台湾風なのは解せないが…。台湾製作のドラマだから当然なのかも知れないけど、でもまるで関西弁で「八重の桜」をやってるような違和感とでも言いますか(このお話は、中国の中でも北の方の地域のお話なので、南中国風の話し方はどうもしっくり来なくて)。

と、1話を見た限りじゃこりゃダメかもモードだったのですが、「もし本当にはできなくても、演技では、できるように見えなきゃいけない」とウィリアム君ご本人がインタビューで言ってらっしゃる通り、動くとちゃんと蘭陵王っぽく見えてくるから俳優さんっていうのはスゴイですね。こんな形相で斬り込んでこられたら、相手の将軍じゃなくてもビビるって…。

LLW51.jpg

このドラマの蘭陵王は、コミカルなとこから冷血無情なところまで、同じ人物とは思えないくらい設定に幅があり(脚本家が複数いるらしいから、書いた人によってキャラが違うんじゃなかろうかとさえ思った)、俳優さんの努力で同じ人に見えるようにしなくちゃいけないので(笑)、役作りは結構大変だったんじゃないでしょうか。

表情も、戦場での阿修羅な形相のとこから、ヒロインに“笑起來,有著迷人的孩子氣”(だったかな)と称される、子どものようにあどけない笑顔まで相当広いレンジが要求されてて、(全46回もあるんで、途中やや危ういところはあったけど)おおむね良かったと思います。
s-LLW61.jpg

s-LLW64.jpg
↑いちおう、同じひと(の役)。

歩き方とか、太刀さばきとか、舞台的な演出のシーンは際立って上手いし、
劇中で何度か泣くシーンがあるんですが、この御方の泣く演技は本当に絶品です。

しばらく北京に住んでるらしくて、他の作品では北京っ子の役も結構やってます。そういうときはそれなりに北京の人に見えるのがさすが役者さん!恐れ入りました。

と、一番のハードルはクリアしましたところで、
肝心のお話の方は、まさに王道少女マンガ路線。

見た目がぱっとしない(ごめん!)、ごくごく庶民のヒロイン

yang1.jpg


を、かたや斉の軍神・蘭陵王、かたや周の皇帝(!)宇文邕〈うぶん よう〉


yuwen1.jpg

が奪い合うという、あり得ない展開ではありますが、そこはそれ、お話が長いので、見てるこっちがだんだん納得してしまう脚本が実に巧妙。

そう、タイトルこそ「蘭陵王」になってますけど、架空のヒロイン・楊雪舞〈よう せつぶ〉のお話なんですよね、実際は。

この、「楊雪舞・蘭陵王・宇文邕」に加えて、「蘭陵王・楊雪舞と、蘭陵王に横恋慕する鄭児〈ていじ〉」
s-s-zhener1.jpg

(二キータ・マオ(毛林林)が演じてます。この女優さん、ホントにキレイ)

という、ふたつの三角関係が横軸になり、戦乱を終わらせることができる唯一の人物ではあるが、道半ばにして非業の死を遂げるであろうと予言された、蘭陵王の運命そのものが縦軸になってストーリーが展開します。
(ちなみに鄭児は実在の人物)。

いくらなんでも戦乱の時代が背景だから、恋愛シーンばっかりじゃなくて、もちろん戦闘シーンもございます。掛けるべきところにお金を掛けているらしく、安っぽく見えないところが素晴らしい。衣装やセットなどは下手な映画よりお金がかかってるんじゃないでしょうか。

韓流の時代劇を見慣れてる人には、色彩設計やディテールが洗練されてないと映るかも知れませんが、この俗っぽいというか、ナマっぽい感じが時代の隔たりを感じさせて私は結構好き。

とか何とか、エラそうな事を言っておりますが、中国ものの古装劇(時代劇)をまともに見るのは、たぶんこれが初めて。

史実をもとにした話で時代考証があんまりいい加減だと、引いちゃいそうで嫌だな〜と思って、なかなか見る勇気が出ないんです。

もちろん、武侠モノは好きなんでよく見ますけど、あれは時代劇じゃなくて「ファンタジー」ですから! 
考証はあってなきが如しがお約束なので、いいんです。

さて、このドラマ、どこまで時代設定にこだわったかは分かりませんが、当時の風俗を取り入れてると思しきシーンもちらほら出てきます。

まずはヘアスタイル。この手前の時代までは、女性も男性も髪をお団子にして布で包むのが基本スタイルでしたが、この頃から北方諸民族の奇抜な髪型が中国内陸まで流行ってきたらしい。この時代の画なんかをみると(シルエットしかないので)、いったいどうなってるのコレ…?って髪型、結構あるのですが、ドラマで再現してくれたのを見ると、構造が分かりやすいです。

LLW34.jpg
↑これは楊雪舞が無理やり結わされた髪型(ちなみに、右側の鼻を押さえてる人が蘭陵王です。この直前のシーンで、髪に鼻をぶつけました…)

axina1.jpg

↑これは周の正妃(宇文邕の奥さん)、アシナ皇后の髪型。アシナ皇后は北方の騎馬民族・突厥(とっけつ)出身の人なので、髪型がめちゃ奇抜。

この時代、髪飾りも相当派手になったらしいですが、ドラマでもいろいろ出てきます。なるほど、こうやって使うのね。雪舞の髪飾りは、どれも可愛くてお気に入りです。

LLW38.jpg

xuewu2.jpg

衣装もとても似合ってる。

彼女の服では、この北欧柄(?)も好きでした。これは周の衣装という設定。
xuewu4.jpg

ありったけ髪飾りをつけるとこんな感じに…。

xuewu3.jpg

首 折れそう。

お次は鄭児。贅沢三昧な役柄なので、髪飾りも服装もゴージャス。
zhener2.jpg
洋装っぽいですが、次の時代の流行を少し先取りしたようなスタイルです。胸を出すのは次の時代に流行ったスタイルですが、オシャレな人はこの頃からもう取り入れていたのかも。

蘭陵王の髪型も、よく見ると編み込みしていて地味に素敵なんですよね。
blue4.jpg
兵馬俑を見るとわかりますが、編み込みは、古代から兵士の伝統的なヘアスタイルらしい。だからってドレッドはないでしょう!…とお思いかも知れませんが、実は結構史実に忠実みたいなんです。(髪型について詳しくは→こちら(第10話)の記事参照)

さらに、独りで湯治に来ていたこのシーン
LLW11.jpg

の次がこのシーンなので

LLW13.jpg

編み込みは自分でしているものと思われます。

この人、後でよく分かるけど手先がとても器用。
ていうか、中国では、見栄えがよく、性格が爽やかなだけではイイ男認定は頂けません(なんとまあ、計り知れないハードルの高さよ…。さすが人口が日本の10倍なだけはある)。

イケメン男子たるもの、料理や裁縫ができなきゃダメなんです!

トレンディドラマを注意して見てると、主役の男の子が、ぱぱっと手料理を作るか、
繕いものをするか、どっちかのシーンは必ず入ってます。
加えて、子守もすれば完璧です。

さすがに時代劇で、それはなかろう…と思ったら、あるんですね。しかも全部(!)

第2話で早くも裁縫シーンが出てくるんで、思わず笑っちゃいました。

LLW16.jpg

ね。(ウィリアム・フォンの手は武将というより手タレ・笑)

もちろん、第10話でごちそうも作ってくれますよ。
さすが、中国NO.1の美男子だけはある!(妙なところで感心する私)

今日び日本男子だって家庭科スキルのある人は多いでしょうが、それにしてもわざわざ時代劇で、ありえなくないですか、この設定? 仮にも皇子さまなのに…。違和感っていうか、異国情緒を感じるわ〜。

ついでにもう1つ、私が感心したのはこのシーン。
LLW37.jpg

何してるか、お分かりですか?
そう、チェブラーシカに 楊雪舞におかずを取ってあげてるんですね。
これは仲良しの印なんですよ。

庶民はよくやるけど、皇子さまはやらないでしょうね〜いくら何でも。
でも、蘭陵王府(蘭陵王のお屋敷)のくだけた雰囲気がよく分かるし、とても可愛らしいシーン。

都市伝説か本当か知らないけど、昔、エリザベス女王が中国を訪問したときに、
晩餐会が行われ、その模様がテレビ中継されたそうです。
当時の国家主席、華国鋒が、こんな風に女王におかずを取ってあげたら、
女王がきゃ〜っ、って驚いたので、いきなり中継がブチっと切れたらしい。

(華国鋒ならいかにもやりそうだけど(それに、この場合はホストなので、伝統的にはおかずを取ってあげるのが礼儀らしいけど)、エリザベス女王はそのくらいじゃ動じないだろう、と思うのは私だけ?)

このシーン、もう1つ面白いのは、2人が横にならんで、しかも座布団の上に座ってること。

中国では、今でこそ机と椅子、ベッドの生活ですが、ちょうどこの蘭陵王の時代あたりまで、
日本みたいに床に座って食事をしていたんですね。

だから、蘭陵王府では、こんな「サザエさん」みたいな、
ちゃぶだい囲んだほのぼのシーンも登場。
LLW48.jpg
もっとも、当時は、今の日本の宴会場みたいに、ひとり分の食事を台に載せて出したらしいので、こんなちゃぶ台みたいなものがあったかどうかは不明。

他にも、地面よりちょっとだけ上にかさ上げした、台みたいなものに座ることもあり、皇帝の部屋のシーンなんかでちらっと出てきます。

さて、話が逸れたついでに言っとくと、このドラマ、王道少女マンガな証拠に、
もちろん、壁ドン(笑)のシーンもご用意しております。(しかもトレンディ(笑)な証拠に、実は肩ズンのシーンもございます)


これ↓
LLW29.jpg

でもこの表情、全然ロマンチックじゃないですね…
LLW28.jpg

ええ、そうです、全然ロマンチックなシーンじゃないんですよ。
軍神・蘭陵王の本性見たりなシーンなんです。

ま、こうじゃなければ乱世の皇子なんて、務まらないけど…。
(皇太子はじめ、他人と比べられると逆上する、高一族の血筋は争えないシーン、とも言えますが…)

蘭陵王が死を賜ったのは、彼の才能や人望に嫉妬した皇太子が狭量だったのが一番の原因ですが、そうさせた遠因は、やっぱり蘭陵王本人の日頃の態度というか、性格にもあるんじゃないか。

そう匂わせる上手い脚本だな、とは思いますが、楊雪舞よ、悪い事は言わないわ。あなたのおばあさんじゃないけど、ホント、その人はやめとけ。

あ、しまった、話が先に行きすぎちゃいました。登場人物の紹介もまだでしたね。

先ほど失礼なことを書きましたが、さすが2人の大物が取り合うだけあって、ヒロインの楊雪舞は医学、化学、物理学(?)に通じたリケジョの才女という、なかなか目新しい設定であります。

占いに長けた一族・巫族の末裔(天女と呼ばれる)で、「天女の援けを得れば天下を得ることができる」、という伝説のおまけつき。

彼女は困った人を見ると放っておけない性格で、そのおかげで蘭陵王や宇文邕を始め多くの人の愛情を勝ち取る一方、多くの災いを呼び寄せることにもなります。そこがストーリーの展開上、とても面白い。

ちょうど「指輪物語」で、ビルボがゴラムを助けたことが、悪い結果も良い結果も呼び寄せたように、楊雪舞が助けた「阿怪」(あかい)と「鄭児」が、長い目でみると、彼女(と歴史)にとって禍福両方の結果をもたらすことになる訳です。

仁慈の心…それがpity(とガンダルフなら言うであろう)。

彼女は、優れた巫女である祖母の予言通り、蘭陵王が戦乱の世を終わらせる、ということを固く信じているがゆえに、蘭陵王が愛する人は、このさき彼の前に現れて正妃となる、鄭氏(鄭という苗字の女性)ただ一人である、という予言(これは史実通り)をも信じている。

ヒロインは
・蘭陵王の運命を知りながら、彼をそこから助け出そうとする「運命を裏切る」行為
と、
・いつかは蘭陵王の前に、彼の真実の愛の対象が現れるのではないかと恐れる「運命を信じる」行為
という、明らかに矛盾することを同時にやってるんだけど、その辺に気づいてないらしい(そこが見ていてイライラするんですが…)。

この、「決められた運命」というフレームを巧妙に利用したストーリー展開はなかなかのものです。

お話は西暦557年、三国志が終わったあとの魏晋南北朝時代、
北方中国の静かな村から始まります。

いきなり現れるのが、まさかの大物、楊堅〈よう けん〉。

yang2.jpg

世界史の授業を寝ないで聞いてた人は分かりますよね、彼が誰だか。
そう、まさにこれから展開しようっていうストーリーの、次の時代の主役ですよ。
彼こそが、南北朝の争乱が終わったあと、天下を統一した「隋」(ずい)の皇帝になるわけ。

この時点で、なんだかCGがセコイなとか思って斜めに見ていた私はもう画面に釘付け。
のっけからまさかのネタバレ、凄すぎる…。

しかも、彼の求めに応じて、楊雪舞の祖母・楊林氏が語る次の10年の戦局は史実そのもの。

「刑事コロンボ」じゃあるまいし、冒頭でこの先の展開を全部しゃべってどうするのよ…と一瞬心配しかけたけど、これを知らないのは私が日本の視聴者だからで、中国の視聴者にとっては歴史の授業の復習なんですよね。

織田信長が天下統一を目前に、本能寺の変で非業の死を遂げる…っていうのは、もはや変えられない。

それと一緒で、蘭陵王が身内から死を賜ることは、避けられないわけです。
ところが楊林氏は、自分の可愛い孫娘が運命の中に巻き込まれることを予感していたため、何とかそれを避けようと画策する。

このあと孫娘の楊雪舞は、自分が蘭陵王の運命を変えてしまうのが怖いと、肝心なところでいろいろ躊躇するんですが、実は彼女が登場する以前に、彼女の祖母がすでに運命に干渉してたとしか思えないんですけど、どうなんでしょう?

しかし登場人物たちは、自分たちがパラレルワールドに突入したことも気づかないまま、予定通りのイベントをこなし始めるのでありました…

第1話は、CGに難があるし、少女時代の楊雪舞がちょっとアレだったり、途中の「巨人の星」みたいな劇画シーンが凄すぎたりで、うっかり見るのをやめたくなってしまいますが(ふつう、1回目は特に凝って作らないですか…? あ、凝りすぎたのか?)、この後が面白いので、ぜひ続きも見てみてください!

特に、全話を見終わったあとで、もう一度第1話を見ると、「指輪物語」を全部読んだ後で序章を読んだときのような、何とも言えない気持ちになりますから…。

…って好きなように書いてたら、いつの間にかこんなに長くなっちゃいましたね…
1回でやめとこうと思ったのにしょうがないなぁ…ということで、明日の「重箱四隅編」に続く!

PS:その後、リクエストにより、出演者へのインタビュー番組の紹介を交えながら、元々の中国語のセリフを楽しみつつ、テレビドラマに1話ずつ突っ込む(?)という記事を書いております。

第1話は→こちらから。

全体をご覧になりたい方は「蘭陵王」のカテゴリー(→右欄外、もしくはこちら)をどうぞ。
posted by 銀の匙 at 09:59| Comment(4) | TrackBack(0) | 蘭陵王(テレビドラマ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。今更ながら2016/9月にスカパー再放送で初めて蘭陵王を見まして、ウィリアム・フォンにのファンになったものです。

その後ウィリアムさんの映画やドラマを見ている途中にこちらのブログを拝見しました。
まだ少ししか読めていないのですが、内容と文が興味深く、中国文化や中国ドラマをほどんど知らない私にはとても参考になります。
ドラマ字幕よりこちらの翻訳の抜粋が美しく、歴史の説明や、美術品との髪型比較なども面白く読ませていただきます。

私は10年以上韓国モノにハマっておりますが、ヤン・ミーさんがウィリアムさんを、韓国俳優みたいに眼を見開く、というところで笑いました。
最近、これも今更レスリー・チャンの大ファンになった友人と、中国・香港映画やドラマの話で盛り上がっております。
Posted by arimbi at 2016年10月27日 10:51
arimbiさん、こんばんは、初めまして。

いつまで経っても更新できない間欠泉のような本ブログへ、ようこそお越し下さいました。

>2016/9月にスカパー再放送

財務レポートじゃあるまいし、このドラマ、なんだか四半期ごとに再放送されているような気がするのですが…

でも、どんどん新しいファンの方が増えて活気も出るので、嬉しいですね。

125文字を超えると「文章が長い」と怒られてしまう時代に、スクロールする手が腱鞘炎を起こすような長さの記事ばかりで申し訳ありません。

要領よく書こうと(いちおう)努力はしているのですが、ついダラダラと長くなりまして…。お付き合いいただき、本当にありがとうございます。温かいお言葉に、またやる気をチャージさせていただきました。

ちなみに、arimbiさんもよくご存じかと思いますが、映画やドラマの字幕はビックリするほど字数の制限が厳しく、セリフが長くなりがちな時代劇ではかなり不利だと思います。

ブログでは字数制限がないので、内容をあらかた拾うことができますが、字幕では半分以下に圧縮しないといけないはずで、私には到底無理です…。

吹き替えの訳は字数制限が緩い分、聞いてわかる用語しか使えないなど他の制約があるのでもっと大変だと思います。

なので、日本語版を拝見するときはいつも、さすがプロの方のお仕事はスゴイなあ、と感心しつつ鑑賞しております。

本ブログの訳は、原文を味わっていただくときの補助とお考えくだされば幸いです。

arimbiさんは韓国ドラマのファンでいらっしゃるのですね。

韓国は映画や音楽、美術も素晴らしいし、俳優さんもステキな方ばかりで、きっとドラマも面白いに違いないと思い、いつか見よう、韓国語も勉強したい、と思っているのに、周りに勧めてくれる人がいないので(他力本願)、つい挫けてしまっています。

arimbiさんは盛り上がれるお友達が身近にいらっしゃって、羨ましい限りです(泣)

おススメのドラマがあったら、ぜひお教えくださいませ!

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。


Posted by 銀の匙 at 2016年10月29日 00:48
お返事いただきありがとうございます。

蘭陵王はいい声だわと思ったら2話ぐらいで吹替えと知りびっくりしました。
中国では珍しくないんですね。口元をじぃぃ〜と見ても私にはピッタリに見えました。唇が開くぽっという音まで。声優さんの力でしょうか。
その後「項羽と劉邦」を見てナマ声を聞くと、おっしゃるとおりボソボソした声でした(中国語がわからなくても聞き取りにくい)が、ビジュアルが私には最高でございました。

レスリーファンの友人は広東語に惚れているそうです。

「二重露光」「息もできないほど」を観たいのですが字幕付きDVDが存在しないようでとても残念です。
今月の中国映画週間の「親友の結婚式」は東京居住ではないので観られませんが、最近痩せすぎでは・・・若く見えるけれど大人の魅力が減るし・・・

韓国ドラマのおススメを抜粋してみました。
お好みの系統がわからなくて、私の趣味でたくさん書いてしまい申し訳ありません。

「ごめん、愛してる」
 :苦しむ男モノ(と分類しています)の恋愛ドラマ傑作で女優の演技もぴったり、今も韓国TVで何かと使われます。
「主君の太陽」
 :テーマの幽霊たちに感情移入してしまう、ラブコメの秀作です。
「ベートーベンウィルス」
 :演技派俳優のツンデレ演技にうなるクラシック音楽メインの恋愛ものです。
「宮(クン)」
 :現代(仮想)王室の皇太子と平民の妃の恋愛が軸ですが陛下や皇后、宮殿のセットも格調高いです。
「善徳女王」
 :長編時代劇、敵の悪役女優が主役のような貫録で衣装のクオリティーが高いです。
「王女の男」
 :復讐する側の貴公子と、される側の姫の悲恋を描く王道時代劇です。
Posted by arimbi at 2016年10月30日 11:50
arimbiさん、こんばんは。

早速リクエストにお答えくださり、ありがとうございます。

挙げてくださったドラマは、名前だけは聞いたことがあるものもありますが、どれも面白そうですね。週末の楽しみができました!

「親友の結婚式」ですが、上映されるのを知っていながら、予約の開始日をまるっきり間違えており、うっかり見逃してしまいました(泣)

それにしても、今年の中国映画週間では主演作品が3本(「西遊記」「神なるオオカミ」「親友の結婚式」)、いったいどういうチョイスなのかは分かりませんが、スゴい勢いですね。

そのうち特集上映でもしてくれないかと期待しているのですが、監督作品ならともかく、主演俳優さんで特集組んでもらうには、レスリー級のレジェンドにならないと無理でしょうかね...

日本全国結構な数のシネコンがあるのに、上映される外国作品はハリウッドものばかり。

もっといろいろな国の映画をやってほしいなと思います。それがダメなら、せめてBSで「二重露光」あたり、放映してほしいですよね…リクエストも効果あるらしいので、ぜひ清き一票を!

それでは、素敵な作品のご紹介に重ねて御礼申し上げます。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by 銀の匙 at 2016年11月01日 00:38
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック