2014年10月05日

蘭陵王(テレビドラマ7/走馬看花編 第3話)

おばあ様の机上のカメよりのろく、ぼつぼつ更新しております『蘭陵王』関係のエントリー。第3、4話は一回分でアップしようかと思ったら、4話が長くなりそうだったので、とりあえず3話を先に(って言っても、結局3話も長くなっちゃいましたけど)。

ヨタ話とはいえ、いちおうウラを取っとこうと、参考文献を中国に注文したら返事も来ない…って、ちょうど今は国慶節(建国記念日。10月1日です)の連休だったんですね。北中国は今がちょうど、一年でいちばん良い季節を迎える頃です。

前回(第2話こちら)に引き続き、1400年前の中国では、爽やかな秋空(たぶん。晩秋かな?)のもと、血みどろの戦いが続いておりました…。ちなみに、第1話からご覧になりたい方は、→こちらへどうぞ。

第3話のあらすじ
お供もつれず連絡もなく、勝手に一晩いなくなった高長恭〈こう ちょうきょう〉=蘭陵王〈らんりょうおう〉=四爺〈スーイエ〉を探しに、これまた一人で陣中を出てしまった配下の将・斛律須達〈こくりつ しゅだつ〉は、敵将・尉遲迥〈うっち けい〉の計略にはまり、捕えられてしまう。

丹州城〈たんしゅうじょう〉で処刑が行われると聞いた四爺は、須達の奪回へ向かいます。

一方、晴れの成人式がさんざんな結果に終わり、部屋に戻った楊雪舞〈よう せつぶ〉は、四爺が置き忘れた仮面に気づき、届けようと村を出る。

村から一番近い町、南汾州城〈なんふんしゅうじょう〉へ辿り着いた雪舞は、通りがかりの男に因縁をつけられる。彼女を救った若者は韓暁冬〈かん きょうとう〉と名乗り、近くの旅籠へ案内してくれるのですが…



さて、」蘭陵王がお供を連れてないのはデフォルトらしく、(史実編:こちら)でもご紹介しました通り、史書にもエピソードが出てきます。

嘗入朝而僕從盡散,唯有一人,長恭獨還,無所譴罰。
かつて参内した折に、従者が皆いなくなり、一人きりになってしまったことがあった。長恭は独りで帰り、誰も罰しなかった。

ぼっちな皇子さま…カワイそうに。従者の採用試験からして考え直した方がよいのでは、と思う今日この頃ですが(少なくとも顔では選んでないってことが後の回で明らかに)、ドラマの第9話を見ると、四爺は、たまに自らぼっち生活に突入することがあったようです(セレブなのに自らぼっちって、キアヌ・リーブスみたいね)。

掃除洗濯、裁縫に料理と、蘭陵王の「女子力」(@びちさん)が高いのはそのせいかも知れません。

しかし、特に女子力を養っていない浅野忠信、いえ、斛律須達は、コスプレも見破れず(てか女子力といったい何の関係が?)、今や周の領地となってしまった丹州城へ連れ去られてしまいます。とはいえ、元はといえば自分のアバンチュール(違いましたっけ?)のせいじゃないですか、四爺様。罪もない楊士深(よう ししん)に八つ当たりしてはいけません。

一方、村娘たちの予言通りさすがは巫族の末裔たち!)、雪舞のせいで、戦隊ヒロイン4人衆の出陣式 いやさ、村娘たちの成人式は終わりがグズグズに。

ゴーカイイエロー、じゃなくて、黄色の衣装に身を包んだ傷心の楊雪舞は、部屋に戻ってくるなり、般若の仮面を目にします。
しかもきちんと立てかけてある。
目印を残していくなんて、まさか少年探偵団のBDバッジか(知ってる人いるかな)?

あのね四爺、あなたが策士なのは分かりました。でも、忘れ物を届けて恋が…って作戦、ありがち過ぎて、ちょっとどうなんでしょうか。

それにこういうの、ふつうは女子がやるんじゃないの?…おっと、映画『アメリ』でを忘れものをしたのは男子でしたっけね(別にアメリとお近づきになりたかった訳ではないでしょうけど)
…と思ったら、まんまと引っかかってるよ、おい!

ということで、四爺が後ほど指摘してくださいますように、金銀珠宝の価値も知らなければ、ありがちなナンパにも気づかない楊雪舞は、おばあ様の、だめんずに引っかからないで欲しいという願いも空しく、故郷の村を後にしてしまいます。

簡単に人を信じるなよ、という四爺様の忠告、この時点で言うべきでした(後の実績を見ると、言ってもムダだったとは思いますけどね)。

振り返る雪舞の耳に、「おいしそうなウサギをつかまえた」っていう村人たちのノンビリした会話が聞こえてきます。「後でうちに食べに来いよ」とか言ってるのを聞いて、思わず微笑む雪舞…。

ありゃ? 吹き替え版は村人の会話が入ってないんですね。
もちろん大筋には全く関係ないけど。

肉食が原則禁忌で、肉といえば鳥か、鳥とごまかしたウサギだった江戸時代の日本と違って(だからウサギを一羽二羽と数える、という話は良く知られていますよね)、中国の内陸部は魚も取れませんし、がっつりお肉を食べてたようです。ウサギはきっと、良い獲物だったんでしょうね(あとで周の皇帝もウサギ狩りをしておられます)。

ジビエと言えば、本場はおフランスでしょうか(「うさぎおいしーフランス人」@村上春樹)。以前、『パリ 地下都市の歴史』っていう、とっても面白い本を読んだことがあるのですが、それによると、パリの地下にネコの遺骨が大量に埋まってた場所があり、何だろうと調べてみると、地上は有名な老舗ウサギ料理屋の跡地だったとか…。

中国でももちろん、ウサギはペットとしても飼います。子ども時代の四爺はペットのウサギを可愛がってました…

雪舞はガマガエル四爺はウサギ

ホント、お似合いのお二人ですこと。

偶然かどうか、どちらも月に関係のある動物ですね。
日本では月で思い出すお話といえば、まずはかぐや姫だと思うけど、中国ではたぶん、「嫦娥」(じょうが)の話でしょう。

この話にはいろいろなバリエーションがありますが、一番ポピュラーなのは、こんな話。

むかしむかし、上帝の子である10個の太陽が一気に空に現れたとき、后羿(こうげい)という弓の名手が9つの太陽を射落とし、地上は灼熱地獄から免れました。

しかし子を殺された上帝は当然怒り狂い、彼を神仙界から追放してしまいました。哀れに思った西王母(せいおうぼ)は、彼に不老不死の薬を与えましたが、妻の仙女・嫦娥は夫の留守を見計らい、一人で薬を飲んでしまいます。

嫦娥は仙界に戻れたものの、月の宮で独り寂しく夫を思い、兎に薬を搗かせているということです(罪によりガマガエルになった、という説も…)。

なんか微妙...ではありますが、悲恋といえば、これも悲恋でしょうね…。

またもや妙な悲恋フラグが追加されたとも知らず、村の門を出る雪舞の頭上を横切るのは、パトロール中の五色鳥でしょうか。きっとおばあ様にチクリに行ったのですね。

そして雪舞は、滅多に村の外にも出なかったのに、

「いつか長老様が 村から日の出の方に進むと大きな街に着くと言っていたわ。たしか南汾州城よね」

という、これだけの情報を元に歩き出してしまいます。あたりに人も住んでなさそうだし、般若の面にGPSがついてるわけでもないし、ちょっとズレたらどうするつもりだったのでしょうか。それとも道が1本しかないのか…(道案内のゴラムはいないし、五爺や宇文邕(うぶん よう)みたいな危ない人もいることだし、気を付けないと。)

ちなみに、中国では「街」というのは「通り」のことで、たとえば、「長安街」といえば「長安通り」という意味です。

じゃあ街は何て言うのかというと、それが「城(市)」。「古城」といえば、たいていは古い町のことです。
正確にいうと、「城」というのは、街を囲んでいる城壁のこと。
中国の古い町は通常、二重の城壁に囲まれていて、外側を「郭」、内側を「城」と呼びます。まさに、リアル『進撃の巨人』ですな。

さて、四爺たちが守護する壺口関〈ここうかん〉には、援軍を連れた落雕大将軍〈らくちょうたいしょうぐん〉、斛律光〈こくりつ こう〉が到着します。そこへ太師〈たいし〉・段韶〈だん しょう〉もやってくる。

四爺が“大将軍”のことを“老将軍”といっているのは、もちろん、年齢爺さんシフトの法則で敬意の表現です。

ドラマでは出てきませんが、斛律光は四爺の父、高澄〈こうちょう〉に、腹心の都督〈ととく〉として仕えていました。高澄と共に狩りに行ったときに、見事、雕(ワシ)を射落とし、「落雕」という美称で呼ばれるようになった訳です。

蘭陵王と安徳王のお父さん・高澄の頃には斉はまだ建国されておらず、したがって高澄はその前身となった東魏の臣でした。斉は、彼がわずか29歳で殺害されたあと、弟の高洋が建てた国です。それでも、斛律光が「先の皇帝に申し訳が立たない」と言っているのは、蘭陵王の父君を指しているものと思われます。

このお父さん、蘭陵王と安徳王を足して2で割ったようなファンキーな人だった模様で、後の方(第9話。記事は→こちら)で四爺が迷惑そうに述懐しています。

そんな人にお仕えしてたなんて、斛律光将軍の堪忍袋の緒は鉄で出来てたに違いありません。つーか、高一族奇人変人大集合なので、聞かん坊皇子・高長恭なんかカワイイもんです。一族郎党の皆様方の詳しい話はまた後(第9話。記事は→こちら)で。

そんなことより、私の目は、もふもふっとした斛律光のファー付き冠に釘付けです。
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このさりげない流し目がイカす

今回はどうもウサギつながりの模様。家訓なのか、須達も子供のころはファーつきでしたね。

ここで安徳王=高延宗(こう えんそう)=五爺(ウーイエ)が日本語では、「須達は明後日処刑される」と日にちだけ言っていますが、中国語の方は「明後日の午(うま)どき」と時間も言っています。

これは、時間まで正確に伝えているというよりは、昔からお芝居などでは斬刑は午時三刻にするものと決まっているので、一種の決まり文句です(草木も眠る、丑三(うしみ)つ時、みたいなもんですね)。

古代中国の時間の表し方は昔の日本と同じで(というか、日本が中国に倣った)、子、丑、寅…の十二支で時間を表していて、午、つまりうまの刻はちょうどお昼を挟んだ前後2時間(午前、午後って言いますよね)。

助けに行くと言い張る四爺を、大将軍は一喝します。
宮中太子黨那些人巴不得四爺出錯。(太子の取り巻きどもは四爺がしくじるのを待ち構えておるのですぞ)

でたな太子党

ここでの意味は本来の意味(皇太子を支持する一派)ですが、今の中国で「太子党」といえば、高級幹部の二世グループのこと。王朝が交代しようと革命が起きようと、一人称が無慮多数から“我”一個になろうと、こういうところはなかなか変わらないものなのですね…。

さて、ところ変わって周の都・長安にある宮廷。なぜかお堀には、ハスの花が咲き乱れております(長安が南半球にあったとは知らなかった)。

ここでアップになる鹿のマーク、大事な場面でまた出てきますので、一種の伏線ですね。
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優雅に流れる楽の音は、琵琶,古琴,箜篌(くご。ハープのような楽器)が奏でているようです。

魏晋南北朝の時代は、中国の音楽の歴史の上で一大転換点とされています。中でも、アシナ皇后が周に嫁入りした際(568年)に突厥〈とっけつ〉から連れてきた、蘇祇婆〈そぎば/Sujiva〉という琵琶の名手が大きな役割を果たしたそうです。古琴はともかく、琵琶とか箜篌とか、見るからに音訳字なので、中国にもとからあった楽器じゃないということが分かります。

琵琶はこの時代、大いに流行り、斉の皇太子・高緯〈こうい〉も、史実では琵琶を弾くのが好きだったようです。ドラマでは、重要人物・鄭児〈ていじ〉が弾いてみせてくれます。

もう一つ、面白いのは将棋のシーン。
中国語では“象棋”(シャンチー)といい、スポーツの一種とみなされていますが、実は、宇文邕〈うぶん よう〉が作ったという説があるのです。これについては、本人が指してるときにまたご紹介いたしましょう。

このような風雅な趣味のアシナ皇后の元へ、尉遲迥がわざわざ拝謁しに来たのですが、いったい何の用事かイマイチはっきりしません。ただ蘭陵王を捕まえるっていう自慢ばなしをしに来たんですかしら? いえ、ホウレンソウ?

ここで将軍は、たとえ蘭陵王が三頭六臂だったとしても、と力説しておられますが、つまりはこんな様子だということですね(http://www.kohfukuji.com/property/cultural/001.html

そして、「幾重にも取り巻いて、生け捕りにしてみせましょう」と言ったとたんに「ふっ…(笑)」って皇后ニャンニャンに鼻で嗤(わら)われてるように思うのは被害妄想なのでしょうか…。

アシナ皇后は「あの蘭陵王には いくたびもしてやられた」とおっしゃっておられますが、言葉の端々にあんたがという主語が見え隠れしているようで、尉遲将軍は憮然とした表情をしております。

憮然としついでに、「これまでの戦で、あやつ(蘭陵王)の面相を見た者はおりませぬ」…と言っていますが、壺口関から面もつけずに出ていったのを、あんなにワイワイ大勢で追撃してるじゃないですか。

あっ、分かった!!

この次の回でも出てきますが、尉遲迥は日頃から蘭陵王を「どんな美女にも引けをとらぬ、たぐいまれなる美貌の持ち主」と思い込んでいるようなのです。蘭陵王っぽい服を着ているけど、そこそこイケメンな程度かなぁ、な面相の男(失礼!)のことは、影武者と思ってるに違いありません!

なるほど、これで、第1話の温泉場であんなに良いチャンスだったのに、周兵が策も施さずにやられ放題だった訳が分かりました。

しかし皇后陛下は優しいので、蘭陵王を捕えれば、突厥の父が軍を貸してくれるでしょう、と喜んでおられます。

実はアシナ皇后のパパは、斉・周、両方にいい顔してるのでした。
なんと、我が娘を嫁がせる、と斉にも周にも同時に言ってたらしいのです。しびれを切らした周が嫁を迎えに行ったときもアレコレ誤魔化そうとしたのですが、ちょうど落雷があり、天の怒りを恐れて、不承不承、アシナ皇后を差し出したらしいです。

そりゃそうでしょう! 実力が伯仲してるのに、どっちかについたら危ないもんね。第一、音楽の一件でも分かる通り、突厥が文化面でも、軍事面でも、北朝の2国より劣るという訳でもないのですから…。

一方、南汾州城にやってきた雪舞。
お金も持ってないし、一見しておのぼりさんと分かるらしい。たちまち、にせスカウトの餌食となってしまいます。

ここで現れた韓暁冬(かん きょうとう)は、颯爽とカンフーで悪漢を退治する…訳ではなく、遠くから石を投げてるだけで、何だかダサい印象は免れませんが、実は、“飛石”は立派な武芸(第2話で四爺もやってた)。『水滸伝』の好漢たちの中には、この技の得意なのが縁でヨメ取りに成功した人(張清)さえいるんです。

さて、食事ができるところ、ということで韓暁冬が雪舞を連れてきた旅籠、「南汾客捨」。つい「竜門客棧」(ドラゴン・イン)とか思い出してしまう私はカンフー映画の見すぎです。

でも展開はまー似たり寄ったり。

今日はここに泊まっていくといいよ、と言われた雪舞は、
“太好了 我還以為 又要在露宿荒郊野外了”
(よかった、また野宿しなくちゃいけないかと思ってたので)
と言います。最初見たときは、割と村から近いのかと思っていたけど、やはり少なくとも2日はかかる場所のようですね。

で、韓暁冬は問わず語りに、自分の祖母の話をする。
「ばあちゃんの病気を2文字で表すと」
のあと、中国語では、“邪門”(妙ちきりん)と言っているのですが、ジェスチャーで2、を示しているので、日本語でも合わせなくちゃいけません。そこで、2文字で「奇病」だ、っていうのは上手いですね。

この奇病、老眼の一種ではと思われますが、漢方では目と肝臓はつながっていると考えられているため、“明目清肝”の効用がある、舒筋草を処方する雪舞。ここへ来るとき、城門の外で見た、という目撃情報まで提供していますが、でも、残念ながら北中国にはあまり生えてないかも…。

中国の気候変動を調べた本によると、魏晋南北朝は今より平均気温が2度くらい低いらしい。だったらなおのこと、暖かい場所を好む「舒筋草」は生えてなさそうです。

と、ここで暁冬が注文したのは、“酪漿”“胡餅”“煮饃”
“酪漿”はたぶん、牛乳というよりは、少し発酵させた、ヨーグルトドリンクみたいなものかと思われます。
(ここで暁冬が「じゃ、ヨーグルトドリンクください」って言ったらちょっと面白かったかも)
“胡餅”は、外で銅貨1枚で売ってたお焼きみたいなもの。運んできたお膳に載ってます。
“煮饃”は、脇のお鍋の中にあるのがたぶんそう。今でもこのあたりの地方の名物だと思います。
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        この右の方にあるやつね。↑

この後、雪舞は、

→眠り薬入りのヨーグルトドリンク飲んで倒れる→須達奪回作戦に駆り出される→馬に乗せて帰される→壺口関に同行する→食事に呼ばれたと思ったら乾杯させられる

ってことで、途中で何か食べさせてもらってない限り、すきっ腹に強いお酒を飲んだことになるので、第5話(記事は→こちら)で、ちょっと飲んでもすぐ倒れるのは理の当然ですね。

ちょっと先に行きすぎちゃいましたが、ここで雪舞は、地下のダンジョンに閉じ込められちゃう。

他の捕らわれた娘たちが言っている、
“羊頭狗肉”は文字通り、看板は羊なのに売ってるのはイヌの肉、ということ。ってことは、当然ながら羊の肉の方が高級品だったということですね。

すきっ腹にはあまり嬉しくない話題のところへ、馬に乗ってやってきたのは四爺さまご一行。

ところで四爺、どうしてこんな店知ってるの?

とは、このシチュエーションではさすがの五爺もツッコミませんでしたね。

ここで四爺は、吹き替えでは「(ここまできたら)後戻りはできない」と言っていますが、中国語では“有去無回”(行きはあるが帰りはない)と言っています。

いったいどういう意味なんだろう…主語は誰なんでしょうか(まさか利用される女の子じゃないよね?)…背筋がぞくぞくっとするんですが、冷血四爺の本領発揮でしょうか…?

かと思えば、続きはまるっきり三の線。

酔っ払いを装う下手な芝居、の芝居(はぁ、もうツッコむ気力も起きない)、
なんですけど、結構悪乗りしてません? 
こんな店を知ってるところといい、
この先の回で、夜のなんとか…と呼ばれてるのはあながち冗談でも、あぁ、いえいえ。

その有様を睨みつける雪舞。アリエル・リンはメイクしだいで百変化なのが面白い女優さんですが、この回は特に(若かりし頃の)松田聖子(神田沙也加のお母さん)に似てる…

まともに雪舞を見るのがコワいのか、手元の金銀珠宝(といっても、真珠しか見えないけど)を披露してくださる四爺。先の方の回で鄭児(ていじ)が盗んだジュエリーは、たぶんこれですよね?
蘭陵王府にはこれしか宝飾品がないのか、当時は一律こういうお宝しかないのか、いったい何なんでしょう。古銭みたいに、どこでもこれで通用してたりして。

取りあえず、悪乗りついでに、これ1個で楊雪舞3人分、とほざいておいでです。(えーっと蘭陵王に換算すると…
でも雪舞、大丈夫よ!あと23話ほど我慢すれば、太っ腹皇帝のおかげで、太っ腹王の何倍もの価格になりますからね!(「時価」ってヤツかしら)

ここで雪舞は、こんなところで娘を買わないで、正妻を迎えればいい、と言っていますが、四爺が力説してる、我が家は男子に恵まれないから父を喜ばせてやりたい、という話を聞いてなかったらしい。っていうか、きっと理解してなかったんですね。先の方で出てきますが、そんなの別に女の子を産めばいいくらいに思っているみたい。

でも、古代中国では、男の子がいないと祖先の祭りが絶えてしまうし、族譜に名前が載らなくなる。王侯貴族にとっては、まさに死活問題なのですが。

いまは一人っ子政策ですが、老後の面倒を見てもらえると女子を欲しがる親も増えているそうです。しかし、伝統社会では、男子を産まない妃なんて暇を出されてしまうほど、男子が重要視されていました。ずーっと女の子ばかり続くと、ついには生まれた女子に“来弟”なんて名前をつけてしまう。

小説で、登場人物の7人姉妹に、“来弟、招弟、领弟、想弟、盼弟(弟を待ち望む)念弟(弟が来るように念じる)、求弟”なんて名前をつけたなんて小説もありましたっけ(現実世界でもありそうで怖い)。

雪舞の「女の子」発言のときは、それもいいねくらいな事を言う四爺ですが、もちろん本音は違います。後で嫌というほど出てきますから、お楽しみに。

さて、桶でしたたか殴られた四爺。日本語ではカモですが、中国語じゃ“大肥羊”(まるまる太った羊)という言い方をするのが言い得て妙過ぎ

悪漢が板についてる楊士深は、取り分を八割、というとき、自然にジェスチェーをしています。
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これが「八」のジェスチャー。

八は漢字の形に似てるので、まぁまぁ類推が効くと思いますが、この先の回で、高緯が6、という場面もあり、やっぱり「六」のジェスチャーをしています。そちらはちょっと上級編。ご注目ください(第7話→記事はこちら)。

ここで、雪舞のいう、上輩子欠你(前世でよほど借りがあったのかしら)は、仏教が盛んだったこの時代にピッタリのセリフですね。

こんなセクハラおっさん、放っときゃいいのに、やはり見捨てることが出来ずに戻ってきた雪舞。
この人すごく重いわ…って、雪舞、そんなに実感込めて言わないで(笑)

そこへいきなり現れる黒装束の怪しい男たち。抜いて入ってきたのは、剣というより刀っぽいですね。忍者風の装束だから日本刀だったりして…(笑)

しかも、脅す言葉が“姑娘”(お嬢さん)だって。言葉遣いが丁寧な賊(はははは)。

後を引き取り、起き上がった四爺は、雪舞に向かって、
“任務危險且艱巨”(任務は危険で非常に困難です)
“所以無論如何還請你答應我們”(だから何としてでも力を貸して頂きたいのです)
って、まるで論理がメチャクチャです。

それでも“蘭陵王”という餌にまんまと食いついてくる雪舞。この、しめた!っていうアリエルの顔がすごく好きです。

さて、下の階で晩酌なんかしている四爺と五爺。その脇で炙られてるのは…!
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やっぱり、ご馳走って言えば、これよね…。

そして約束破りがお約束の四爺は、「褒美を取らせる」といった舌の根も乾かぬうちから、“軍牌”(武官の印)を持ち出して旅籠屋夫妻を脅しています。
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これが武官の印ですが、よく見ると、陣中にも掲げられています。
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こういうのはまだ分かるのですが、ときどき、調度品で謎のデジャヴが起こるときがあります。それはまた、そのときに。

そうそう、さっきは午の刻でしたが、こんどは施しをする時間帯を未(ひつじ)の刻に指定していますね。
未の刻とは、午の刻の次の時間帯(午後1時から3時)のこと。

そして四爺から、最後のリクエストがございます。
「上におる花嫁の支度を頼む」…(まっ、吹き替えは上品ね)

ここ、中国語では、
“把樓上的新娘幫我打扮得漂亮點”
いちいち訳すと、(上にいる花嫁を私のために綺麗に着飾らせて化粧しておいてくれ)ですってさ。

ちっ、この兄弟、油断もスキもあったもんじゃない…。

ってことで、ナンパ兄弟の救出行は次回へと続く!→こちら
posted by 銀の匙 at 19:50| Comment(4) | TrackBack(0) | 蘭陵王(テレビドラマ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お待ちしていました!今回も読みごたえたっぷりで、じっくり読ませていただきました。

ちゃんと文献まで取り寄せて参照されているとは・・・感服します。
この時代における琵琶や将棋、突厥の思惑、「長安街=長安通り」、飛石(石を投げて攻撃なんてあまり見ないので、ちょっと不思議に思ってました)、胡餅等々、またまた勉強になりました。

斛律光のファー付き冠とか、子供時代の須達がファーつきだったこととか、軍牌と同じ意匠が陣中にも掲げられていることとか、銀の匙さんの観察眼にも脱帽です。

それにしても、「雪舞はガマガエルで四爺はウサギ」って、これふつう逆ですよね。幼いころからすでに女子力は雪舞より蘭陵王の方が上ってことでしょうか(笑)

「何も残すな、何も持っていくな」っておばあさんにきつく言われたのに、帯は持って行くわお面は置いていくわ、人の話は全然聞いちゃいないけど・・・(笑)

アリエル・リンが時々、松田聖子に似てるというのは私も感じていたことでした!
時によって松田聖子に見えたり、永作博美に見えたり、香坂みゆきに見えたり・・・横顔と正面から見た笑顔とでも印象が違う方ですよね。

「この人すごく重いわ…」のセリフ、むちゃくちゃ受けたとこでした。吹き替えなんだけど、ほんと妙に実感こもってますよね(笑)

(余談ですが、前回の「同年同月同日・・・」をどうしても自分でも確かめたくて、ネットで中国語音声+中国語字幕のものを探して見ました。で、字幕に「同年・・」と出たのを見て、「おおっ、ホントだ〜!」と感動しました。笑)

またまた長くなってしまいすみません。
コメント欄の銀の匙さんとびちさんとのやり取りも、とても参考になっています。教えていただくばっかりで申し訳ないくらいですが・・・おかげで、ドラマを何倍も楽しめています。次回も楽しみにしています。
Posted by 銀 at 2014年10月07日 01:27
楽しく読ませていただきました!
毎回、ふむふむ、ほおほお、と勉強になります。
素晴らしいです。ありがとうございます!

ただ一言、言わせていただければ、

.......須達が浅野忠信ですと?

浅野忠信と玉山鉄二のみ楽しみで、あのお金の使い処を間違えたような「ルパン三世」を見に行った私への挑戦状ですか?

受けて立ちましょうぞ。確かに尉遲迥は西田敏行です。???

子供の頃、小学校の先生に習った中国での「いち、にい、さん〜」の数え方「いー、ある、さん、すぅ」がこんなところで役に立つとは思いもしませんでした。
おそらく先生、満州生まれか育ちの方だったのでしょうね。おっと歳がばれそうです。
10までの指づかいも習っていたので士深さんが8をしたときには確認しました。

一度目にこのドラマを視聴した時は、私の中では、長恭様は赤レンジャー、ヒーロー枠の主役でした。
しかし何度も見ていくうちに「コイツはもしかして...」と思わせる場面がいくつもでてきますよね。
あの酔っ払いの芝居の役は安徳王でもよかったんじゃ?と思いません?彼のほうが上手に娘を騙して仲間に入れれそうですが。
やりたかったのでしょうね、高長恭殿。
試すなどと言いながら床に入る役得は我に!どこで拒まれるか、わくわくしながらやってたりして。

大好きな4話5話を楽しみにしています!
いつもありがとうございます。


Posted by びち at 2014年10月07日 16:18
銀さん、こんばんは!

いつも本当にありがとうございます。

せっかくコメントをいただいていたのに、お返事遅くなって申し訳ありませんでした。(ちょっと桶で殴られて気絶してる間に21世紀になってるなんて…)

いえいえ、調べ物が趣味なので、またも無間地獄にはまりこんだだけで、雪舞様に感服していただくほどの事は本将軍、ホント、しておりません。お恥ずかしい限りでございます。

それでも、楽しみにしていただけてるということで、ものすごくやる気になってるのですが、やる気になり過ぎちゃって、4話は書いても書いても終わりません。昨日くらいには終わるかと思ったのに、箱書きみたらあと5cm分もあって泣きそう。もうちょいお待ちくださいませ。

街が通り、城が街というのは、「新宿ゴールデン街」とか「不夜城」という言葉で日本語にもありますが、逆に何で日本語にちょこっとだけ例外があるのか、不思議な感じですね。不夜城はもともと中国語みたいだけど…(しかも、それこそ古代の町)。

そうそう、アリエル聖子ちゃん、永作博美に似てるときもありますよね。ここ、元の中国語より、吹き替えの方がより、重そうなんで感心しました。

同年同月…もわざわざ調べられたとのこと、中国語で聴くと、リズムが良い箇所ですよね。自分、諸葛孔明の廟に自力でお参りするだけのために中国語を勉強し始めましたので、語学学習における動機の大切さを実感しております。ぜひご一緒に、ドラマを見て聴いて、関連本を読んじゃいましょう!

ではでは、続きはもう少々、お待ちください!
Posted by 銀の匙 at 2014年10月15日 19:50
びちさん、こんばんは。

コメント、ありがとうございます。お返事遅くなって申し訳ありません。そもそも書くのが遅いうえ、記事の方はテキストで書けるのですが、コメントはパソコンを立ち上げないと書けないので…。失礼しました。

さて、「ルパン三世」ご覧になったとのこと、当然、浅野忠信は五右衛門よね、と思って調べてみたら、な、な、なんですと〜!あり得ないでしょう、このキャスティング!! またつまらぬ映画を撮ってしまった、のでしょうね…。

そして迥尉遲が西田敏行とのお知らせ、確かにです! 何か誰かに似てるな〜と思ったんですよね〜。おかげさまで、目の前の五里霧が晴れたような、目の上の宇文護が取れたような、清々しい気持ちです。これからはもう、西田敏行を見ても、迥尉遲にしか見えないと思います…。

私は満州帰りの人にお会いしたことはないんですが、数年前に電話で李香蘭さんと話したことはあります。満州なんて大昔のことかと思ってたのに、ビックリですよね。

さて、セクハラおやじ役、替りに安徳王が、というのは絶対、四爺が譲らないでしょうが、四爺より適任なことは確かです。でも、逆がダメなんじゃないでしょうか。五爺の替りに、「こちらの若君が妾をご所望だ」って説明する四爺、相手にすぐ、あんたの方が身分が上でしょ、ってバレてしまいそう。チャラ男を演じるには、もうちょい修行が必要そうですね。

4話の方、無駄に長くなってしまい、研究レポートみたいになっちゃったので、ご期待に添えるかどうか分かりませんが、頑張って書いておりますので、もう少々お待ちくださいませ!
Posted by 銀の匙 at 2014年10月15日 20:23
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