2015年12月26日

蘭陵王(テレビドラマ26/走馬看花編 第14話)

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前回・第13話は→こちらをご覧ください。

皆さま、メリー・クリスマス♪(遅い)

おかしいな、この前ハロウィーンだったのに…(っておかしいのは私か…)。

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のサントラを聴き込みすぎて、SW廃人と化している私。
クリスマスプレゼントには、やっぱりオレンジ色のニクい奴が欲しいなと…

…すみません、知らない人の方が多いですよね。あの『夕刊フジ』がTVコマーシャルを打っていた時代もあったのですよ、遠い昔、はるか銀河系のかなたで…

と、何の話の出だしかわからなくなったところで、いってみましょう、第14話
ちなみに、プレゼントは絶賛受付中です!!

お妃選びにかこつけて、蘭陵王<らんりょうおう/Lanling Wang>=高長恭<こう ちょうきょう/Gao Changgong>=四爺<スーイエ/Si Ye>を陥れようとする皇后と臣下の祖珽〈そ てい/Zu Ting〉は、宮女の鄭児〈ていじ/Zhen'er〉をお妃候補として送り込みます。

どうしても蘭陵王を振り向かせることができないと知った鄭児は、祖珽から愛情を得るまじないの品、と偽って渡された香袋を、ヒロイン楊雪舞〈よう せつぶ/Yang Xuewu〉がかどわかされた隙に、蘭陵王の屋敷にある雪舞の部屋に隠します。

この騒動で雪舞の安否を案じた蘭陵王は、彼女を故郷に帰そうと決意します。

雪舞が去った翌朝、まさに正妃を決めようというときに祖珽が屋敷に現れ、蘭陵王が皇帝を呪詛しているとして捜索を始めます。ほどなくして雪舞の部屋から見つかったのは、ルークが失くしたライトセーバー…じゃなくて、鮮卑の呪符なる代物。皇帝を呪詛した咎で、蘭陵王は捕えられてしまいます…。


さて、そんな騒動になっているとはつゆ知らず、韓暁冬〈かん きょうとう/Han Xiaodong〉が御す馬車に乗り、雪舞がやってきたのは、斉の都・鄴〈ぎょう/Ye〉の城門前商店街。

辻では黄色い傘?のようなものが売られ、“冰糖葫蘆”売りの声がします。

そう、四爺が鄭児からカツアゲしたあの駄菓子、「サンザシの飴がけ」です。
基本的には北中国の冬のお菓子です。

そんな駄菓子をいっぱい刺した竹ぼうきに乗って飛んできたのか、魔法使い...にしか見えない怪しいボロずきんの人物こそ、ジェダイの騎士…でもなくて楊雪舞のおばあ様、楊林氏。

未来を予言し甲骨をも打ち砕く、強大なフォースの持ち主であるマスター・アイアンフェストは語ります。

“你消瘦了很多 傻孩子
這段時間 你吃苦了吧
明知道會分開 你還要寄情蘭陵王
你何苦傷害自己 徒搨ノ苦而已”


(ずいぶんとやつれてしまったこと、この子ときたら
だいぶ苦労をしたのであろうよ
分かれる運命と知りながら 蘭陵王を慕うとは
なぜ自ら傷つこうとする
いたずらに痛みが増すばかりではないか)


言われた雪舞は、すべては自分のせい、おばあ様の面倒も見ずにごめんなさいと泣いています。

一方、街中では手回しよく、蘭陵王と雪舞の罪状を記したお触れ書きが貼り出されています。

お触れ書きに描かれた似顔絵は美男美女でなかなかステキですよね。
宮廷絵師さん、Good Job! 
絵師さんは、きっと雪舞本人には会ったことがなくて、顔立ちは獄中の四爺の自己申告なんだろうなぁ…。

美人画に群がってる人たちの格好を見ると、いかにも漢民族の庶民、みたいな人たちに混じって、回族(イスラム系)のような格好をした人、モンゴル族のような帽子をかぶった人なんかもいます。

そこへ現れ出でたるは、戦勝報告の朝議に、雪舞と蘭陵王が遅刻する原因となり、結果的に、蘭陵王は驕っている、という印象を朝廷内にバッチリ植えつけてしまった、阿文とその母上の2人組。

それにしても、前回は突っ込まないでおいてあげましたが、四爺と雪舞が参内に遅れた理由が、

「街中で突然見知らぬおばあさんにせきとめられて靴縫ってました」

ってすごくない?

そんな突飛な言い訳、信じる人いないって…。

でも、ホントの話なのに、誰も信じてくれない遅刻の理由ってありますよねぇ。

出勤の途中でバッタリ、こんなところで会うはずのない知り合いに出くわして、「スター・ウォーズ」一緒にリピート鑑賞しませんか、とお誘いしてたとか(まさに一昨日の私がそれ)、

陸橋を渡ろうとしてたらいきなりコンサートが終わって、一瞬にしてすごい人ごみになり、全然前に進めなくなったとか(人がゴミのようだ...)、

駅を出た途端に半べその外国人女子に入国管理局への行き方を聞かれたとか(結局、大手町まで付き添って行った)、

札幌への行き方を聞かれたとか(ここは東京なんですけど!!??)、

自転車のスポークにストールが絡まったとか(暑くなったので前かごに入れてました。首に掛けてたのだったら私は今ごろ別の場所にいると思う)、

前の路地が銃撃戦になったりとか(日本じゃないけどね)、

酔っ払いに絡まれたとか(これは日本ね)、

乗ってた列車が鹿と衝突したとか(鹿ってレールを舐めて鉄分補給するらしいですね)、

台風で目の前が土砂崩れになったとか(そして迂回路でバスの運転手が道を間違えたり)、

かと思うと、遅刻してきた同僚が、車内で消火器が倒れて電車が止まったとか言うんで、あはは、そのくらいで〜♪と皆で笑ってたら、新聞に載るほどの大アクシデントだったとか。

これらはネタじゃないんです!!! 
すべて、実話なんです!!!
信じて武成帝!!!

と訴える2人に感化されて、居合わせた人たちも座り込み、蘭陵王と天女はネタじゃないんです!と無実を訴えている…はずなんですが、なぜかすぐ次のシーンでは同じ人たちが大通りをぞろぞろ歩いてたり…。

そうこうするうちに、雪舞の馬車に城門の手前で安徳王〈あんとくおう/Ande Wang〉=高延宗〈こう えんそう/Gao Yanzong〉=五爺〈ウーイエ/Wu Ye〉が追いつきます。そんなに急いでるはずなのに、なぜか先ほど大通りにいたモブに追いつかれてる五爺の馬って実は牛なのかしら。

“昨夜城門緊閉 便趕來城門看看
幸好攔到你了”

(昨日の晩は城門が固く閉ざされていたので、
いそいで門まで来てみたんだ。
君が出られなかったのは幸いだった)


牛歩戦術を採用した(してません)五爺が言うとおり、確かに、お尋ね者がいるとなれば城門は閉ざされて、よほどのことがなければノーチェックで外には出られないでしょうが、じゃ、夜に蘭陵王府を出た後、翌昼のひなかまで、雪舞はおばあ様にも会わず、いったいどこにいたのでしょう。

だって、このシーンでようやくおばあ様に会ったみたいですもんね。

まさか蘭陵王府から城門まで半日かかったんでしょうか…? あるいは、車を引いてる動物、てっきり馬だと思ってたけどあれは五爺の乗り物と一緒で牛車かゆるキャラの被り物だったんでしょうか…いや鹿…なんでもない。

幸い、似顔絵が似てなかったせいで(つ、使えねぇ…)、誰にもお尋ね者とはバレていないらしい楊雪舞。

ああ、そうか、本人とは分からないほど美人な似顔絵を描かせる。
これも斉の戦神・蘭陵王の策だったのね。
ぐはっ!!!∵;.(Д゚(○(へ´#)o

こんなとんでもない策を弄したバチが当たったのか、四爺の頭部は風前の灯です。
五爺は急いで雪舞に告げます。

“四哥要被砍頭了”
(四兄が首を刎ねられそうなんだ)

いきなりの衝撃発言に雪舞は仰天。
“什麼?”
(何ですって?)

“不可能的呀”
(そんなまさか)

“他還沒娶鄭妃,他不該現在死的”
(まだ鄭妃も娶ってないのに、いま死ぬはずがないわ)

やぶから棒に言われた割には、事態の行き着く先を冷静に把握しているらしい楊雪舞。さすが天女の美称はダテじゃありませんね。

五爺はそんな雪舞の超能力に気づく余裕もないのか、
“什麼不可能 都發生了
連你都被當成妖女通緝”

(まさかって何だ、もう起こってることなんだぞ。
君まで妖術使いとしてお尋ね者になってるんだ)


呪符は雪舞の部屋から出てきたのだから、彼女自身が申し開きをすれば、兄上は助かるかもしれないという五爺。

それでも迷う雪舞に、

“我不懂 你明明很喜歡四哥 為什麼一定要離他而去呢”
(なぜなんだ 四兄の事を好きなんだろう、なぜ出て行く)

言われて雪舞は、胸元にしまった玉佩<ぎょくはい>を取り出して眺めます。その様子に五爺は、

“四哥一定沒有告訴過你
這玉佩是他娘親唯一留下來的東西”

(四兄はどうせ君には言ってないだろうけど、
この玉佩は母親の唯一の形見なんだ)


“他曾經說過 這玉佩 只會給他此生最愛的人
也是他唯一愛的人”

(兄上は言ってた この玉佩は最愛の人に贈ると
生涯ただひとり愛する人に)


“他在你離開時把玉佩交給了你
就代表他終身不娶了”

(別れ際、君に玉佩を渡したのなら、
それは他に誰も娶る気はないという意味だ)


さあ、ここでようやく、このドラマでの“玉佩 yupei”の意味がはっきりしました。

この玉佩は四爺にとっては母の形見であり、結婚相手に贈るつもりのものだった。

ということで、第5話(→こちら)で彼が雪舞に“敬酒”をしたもう1つの意味が分かったように思います。

思い出していただけますでしょうか。

わざわざ白山村から仮面を渡しにやってきて、囚われた義兄弟を救うための芝居を手伝ってくれた雪舞に、四爺は路銀がわりにと軽い感じで玉佩を手渡します。

その後すぐ、危機を察して舞い戻り、四爺一行の逃走を手伝ってくれた雪舞を、陣地に連れて帰った四爺は、わざわざ彼女だけのために宴席を設けて“敬酒”をしますが、別れを告げただけで、翌朝は見送りにさえ来ませんでした。

つまり、雪舞には言わなかったけれど、彼としては雪舞と、婚礼に相当する“敬酒”の儀式をして、この先は誰とも結婚しないつもりだったのでしょう。

第5話の時点では、四爺は雪舞を村に帰して、自分は身を引くつもりだったからです。

同じく第5話こちら)で、玉佩の意味の一部についてお話しました。玉佩は一般に、肌身離さず身に着けている装身具であることから、詩や小説などの文芸作品では、愛情を象徴する小道具として使われています。

四爺の中の人、ウィリアム・フォンが、カンフー界のセレブのおバカ二世・容寛〈よう かん/Rong Kuan〉を演じた、わたくしお気に入りのテレビドラマ《虎山行》あたりを見ておりますと、こういうチープなドラマにありがちな小道具として、玉佩もバッチリ登場してまいります。

《虎山行》での玉佩の使われ方はこんな感じです。

ヒロインの姜文英〈きょう ぶんえい/Jiang Wenying〉は槍術の名家に生まれましたが、他に家を継ぐ男子がいないために、生まれる前から父親の義兄弟の子と結婚の約束が交わされていて、そのしるしにと、お互いが玉佩の片割れを持っていた。

容寛から想いを寄せられた姜文英は、彼とは別の若者が、離れ離れになった婚約者だと知るのですが、相手は文英が婚約者と知りながら、なぜか名乗らなかった。それには、とある理由がありました。

それが、本当にあっと驚く理由だったので(歴史に詳しい人なら気が付くかも知れないですが)、なかなかやるなって感じ。

ウィリアム演じる容寛は、カンフーの技はたいしたことないけど、「甘えておねだりする技」が免許皆伝の腕前で大変ほほえましい(でも身近にいたら、きっとウザったい)はまり役でございました。

話は逸れましたが、このように、お話の世界での玉佩は、大事な相手に贈る小道具として大活躍です。

しかしそもそも歴史上、中国における玉の価値は、恋愛の小道具どころじゃありませんでした。

日本では国の統治権を持つものである証は「八咫鏡」<やたのかがみ>、「八尺瓊勾玉」<やさかにのまがたま>、「草薙剣」<くさなぎのたち>の三種の神器。

中国にも同様に、三種の神器的な意味を持つ宝がありました。

王権の象徴であるその宝は、“九鼎”<きゅうてい〉というもので、ハニー、じゃなくて、青銅でできた三本足の祭祀用具でした。

しかし、その重要な宝物は戦国時代、すなわち周から秦に王朝が移る戦乱の時期に失われてしまいました。

そこで、続く秦の始皇帝の時代(紀元前221年−紀元前207年)、王権の象徴として新たに、玉材で出来たハンコ(“璽”)が作られます。その宝物は国を伝える皇帝のハンコ、すなわち“伝国璽”<でんこくじ>と呼ばれました。

北斉にも、文宣帝の時代に南朝から脱出してきた者によってもたらされ、五胡十国の時代に紛失するまで各王朝の皇帝に受け継がれました。

玉は秦代に最上位とされて以来、印材としての価値はなんと金・銀よりも上だったのです。

時代が下るにつれて玉の価値は下がってきますが、それでも高価なのでそう幾つもは所有できなかったことから、身分やその人自身をを象徴するものとみなされてきました。

そのような“玉”の役割をよく表す史実として知られているエピソードは、実は本ドラマと多いに関係があるのです。

ちょっとドラマとは出現順が前後しますが、ネタバレってほどでもないので、ここでご紹介しておきましょう。

それでは、《北斉書》巻十二から、高百年の最期にまつわるエピソードをご覧ください。

樂陵王百年,孝昭第二子也(中略)
(楽陵王・高百年は考昭帝の第2子であった)

河清三年五月,白虹圍日再重,又貫而不達。
(564年5月、白虹が太陽の周りに二重にかかった。虹は太陽を貫く手前で止まっていた)

赤星見,帝以盆水承星影而蓋之,一夜盆自破。
(赤い星が現れ、帝(武成帝・高湛<こう たん>)は鉢に星を映すと蓋をしたが、一夜にして鉢は割れてしまった)

欲以百年厭之。
(帝は、かつて皇太子に立てられた百年が呪詛しているのではと疑った)

會博陵人賈コ胄教百年書,百年嘗作數「勑」字,コ胄封以奏。
(博陵の人・賈コ胄は百年を教えていたが、百年がかつて、「勑」という字を何度か書いたことがあると上奏した)

帝乃發怒,使召百年。
(武成帝は激怒すると、百年を召しだした)

百年被召,自知不免,割帶玦留與妃斛律氏。
(百年は災いを逃れられないことを悟り、帯に吊るした玉佩を割って、妃の斛律〈こくりつ〉氏に渡した)

見帝於玄都苑涼風堂,使百年書「勑」字,驗與コ胄所奏相似,
(武成帝は玄都苑涼風堂で百年に謁見し、「勑」の字を書かせると、賈コ胄が差し出した書の字とそっくりだった)

遣左右亂捶擊之,又令人曳百年繞堂且走且打,所過處血皆遍地。
(帝は左右の者に百年を殴打させ、さらには堂の中を引き回して打たせたので、あたりは血で染まった)

氣息將盡,曰:「乞命,願與阿叔作奴。」
(百年は息も絶えだえに、「どうか命ばかりはお助けを。奴隷となって叔父上にお仕えしますから」と言ったが、)

遂斬之,棄諸池,池水盡赤,於後園親看埋之。
(斬首して池に捨てさせると、池の水も真っ赤に染まった。そして、帝自らが見守る中で、裏手に埋めさせた)

妃把玦哀號,不肯食,月餘亦死,
(妃は玉佩を握り締めると慟哭し、何も口にせず、ひと月あまりで亡くなった)

玦猶在手,拳不可開,時年十四,
(手は玉佩を握ったままで、どうしても開かせることができなかった。享年は14である)

其父光自擘之,乃開。
(その手は父である斛律光がこじあけて、ようやく開いたのである)

「白虹<はっこう> 日を貫く」として、古来から裏切りの予兆である天文現象が起こり、兵乱の凶兆とされる赤い星まで出現したうえに、呪いの封が破られるという怪異が発生する。

そこで武成帝は、かつて兄が皇太子の位につけていた高百年の謀反の兆しではと疑う。都合よく、そういえば高百年は皇帝だけに許される「勑」(皇帝の命令)の字を練習したりなんかしてましたよ、と証拠を持ってきて讒言する者まで現れる。

そこで試しに「勑」の字を書かせてみると筆跡が一致したので、武成帝は怒り狂い、実の甥である高百年を撲殺させてしまった。

夫の百年が惨殺されたと聞いて、わずか14才の幼い妃は絶食の末に息絶え、手放すまいとするように、夫の形見の玉佩を、父の斛律光将軍がその手を無理に開かせるまでは握り締めたままだった。

愛の物語というにはあまりにも壮絶すぎるこのエピソードですが、実はドラマ《蘭陵王》のエンディングのクレジットに高百年の名前を見つけて、おっと、さすがはラブ史劇、このホラーみたいな話が登場するんだろうか、と思っていたら、残念ながら、ちょっとエピソードの中身が違ってました... 。

高百年はこの先、登場はするのですが…ま、それはおいおい、ドラマを見ていただくことにいたしましょう。

五爺に気を取られてすっかり忘れていましたが、おばあ様は形勢不利を悟り、いきなり、この先、白山村が移転するから会えなくなるのよ〜と伝家のライトセイバーを振り下ろしてきます。

明らかに利害が衝突しているおばあ様と五爺。お互いに言葉も視線も全く交わさず、互いの存在を無視していますが、ついに五爺もライトセーバーで応戦します。

“你留 我四哥有機會活下來
你走 我四哥必死”

(君が残れば、我らが四兄は生きながらえるかも知れない。
でも、君が行ってしまえば、死は免れない)


これまで、単に“四哥”と言っていた五爺が、ここで“我四哥”と言っていることに注意してください。

自分の大切な兄弟が、という感情を表現するため「私の」を追加した、という意味はもちろんあるでしょうが、中国語では自分の属しているファミリーや組織について言うとき、“我們”(私たちの)とは言わず、“我”と言います。

日本の「わが国が」というニュアンスに近いでしょうか。「日本国が」というより、ぐっと対象を引き寄せてる感じがしますよね。

そんな大事な兄上がどんな危険にさらされているかといえば、
“是五馬分屍 四哥身後 將落個死無全屍”
(「五馬分屍」の刑で 亡骸さえも残らない)

「五馬分屍」とは、罪人の首と両手両足に縄をつけて、五頭の馬に別々の方向へ向かって引っ張らせるという、聞くだに残虐な刑罰。

ああ、いくばくもしないうちに、そんな酷い目に遭いそうなご本人はどうしているのでしょうか。
ここでちょっと、四爺にズームインしてみましょう。

獄につながれている四爺の元へ、2人の牢番が現れます。
「カンパしておかずを買って参りました」と言ってる人は、確か第4話→こちら)の丹州城の隠れ家で四爺を出迎えた人ですね。

せっかく気を利かせてくれたのに、四爺はローストチキンをお気に召さないようで…

と思ったら、この先の回を見ると、四爺はお肉大好きなんですよね。好物も喉を通らないほど憔悴している、という割には栄養良さそうではありますけれども(それは言わないお約束)、もう雪舞もいないし、蘭陵王にしては珍しく、あきらめモードに入っている様子です。

そこへ五爺が突然登場。牢番は驚いて、

“五爺 您怎麼進來了”
(第五皇子、どうやってお入りに?)

“五爺朋友最多 進來會難嗎?”
(私は知り合いが多くてね。入るのは簡単さ)

いや、入るのは誰にだって簡単ですよ、出るのが難しいんじゃないの、と要らんことツッこまないでよろしい、と自分にツッコミをしてみましたが、そうしてる間に、五爺は自分のことを“五爺”って呼んでいますね。

入るのも簡単なら人払いも簡単らしく、あっさり一刻の猶予をもらって近寄る五爺に、四爺がまず聞いたのはコレ。

“家裡怎麼樣 沒把大家嚇著吧”
(屋敷の様子はどうだ。さぞ皆を驚かせただろう)

当然ながら五爺はこう返します。

“都什麼時候了
你該擔心的是你自己”

(そんなこと言ってる場合か。
自分の心配をしたらどうだ)


自分のことより、他人の安否を気遣ってしまう人なの、と雪舞が言うとおりのお人柄ですよね。こういう思考回路を、中国語では“替別人著想”と言います。日本語では、「思いやり」とか「他人に気を遣う」「人の立場で考える」という意味でしょうか。

これはもちろん、中国でも美徳とされています。
それが証拠に、蘭陵王の中の人、ウィリアム・フォンも、この美点の持ち主であることが強調されてるんですね。では、彼が登場するインタビュー番組から、ご覧いただきましょう!

(2015年冒頭、ドラマについての記事を書くヒマがなく、このインタビューをご紹介したことがありました。今回の記事のために一年前から準備しておいた素材でしたのに、まさか実際に使うのがこんな先になるとは…。遅くてすみません&すでにご覧になった皆様はデジャヴですみません!)

テレビドラマ《宮鎖心玉》で共演した、中国の女優さん、杨幂(ヤン・ミー)と、蘭陵王役のウィリアム・フォンの2人が《超級訪問》(スーパー・ヴィジット)(司会:李静・女性/戴軍・男性)という番組に出たときの後半部分です。…うっ、元の公式画像がもう見つからない…。

(ちなみに、前半をご覧になりたい方はこちらをどうぞ)

杨幂(ヤン・ミー)、馮紹峰(フォン・シャオフォン=ウィリアム・フォン)

(15:50ごろから)

ヤン・ミーの口癖は何でしょうか?

:(ボードに「多大點事兒」(大したことじゃない)と書く)

:私もそうじゃないかと思った。北京の女の子は良くこういうわよね。ヤン・ミー、自分では「有的有的」(あるある)だと思うの?

:共演してるときにしょっちゅう、「〜ってことがあると思う?」って聞くから、「あるある」って答えてたので。

:じゃ、あなたの方はどうしてこう書いたか教えて。

:僕は割と心配性なので、彼女と仕事のことについて話しているときとかに、彼女は僕を安心させようと思って「大したことないわよ、心配することなんかないわ」って言ってました。

:確かにそういうとき、「大したことじゃないわよ」って言ってましたね。

:それでは、紹峰がヤン・ミーに贈った、
:最初のプレゼントは何でしょう。

:え、何だろう。それって、ドラマのとき?それとも正式なプレゼント?

:正式、にしときましょうか。(客席大笑い)

:(苦笑い)そういう意味じゃなくて…。

:じゃ、補足しますか。誕生日プレゼントです。
  まず、紹峰のを見ましょう。

:ボードを見せてください。紹峰が書いたのは「靴子」(靴)…

:違います。「鏈子」(チェーン)です。

:恥ずかしさのあまり、顔を隠してしまう。でも確かに読みづらいですよね…)

:(ボードに「項鏈」(ネックレス)と書いている)

:なぜ「ネックレス」を贈ろうと思ったの?

:ちょうど彼女が誕生日で…彼女が誕生日だって知って、それでドラマの撮影のときにちょうど上海に帰省したのでちょうど買い物に行って、それで思い出して…

:「ちょうど」が多いわね。

:偶然が三つ重なっただけなのね。

:はい、彼女がお誕生日だったのでネックレスをあげました…!

:いくらした?

:大した値段では…

:(大笑い)

:すごく高かったと思う。

:嬉しかったですか、ネックレスを見て。

:「なんでネックレスなんかくれるわけ?」と聞きました。

:ホントに奥手なんですね…。

:そうですね(笑)

:で、彼は何て答えました?

:だってそのときは本当に、まだあまり親しくもなかったので、
  「なぜネックレスなんかくれるの」、と…

:だから僕は言ったんです。「大したことじゃないわよ」って。

:そうそう(笑)。「君、誕生日だろう、だからあげる」。
  ありがと。

:あなたに気があったのでくれたんだと思う?それとも、周りの女の子にはみんな…

:違いますってば。本当にまだ全然良く知らなくて、そのときは。

:じゃ、よく知ってからは何を贈るの?

:最初のより太いネックレスなんじゃない?(客席爆笑)

:ネックレスの件でも分かるけど、紹峰はよく気が付く人なのね。

:気配りの人ですね。

:気遣いが細やかです。

:ホントに良い人ね。さ、次。ヤン・ミーの好きな俳優は誰でしょう。

:いいですか、男性ですよ!

:中国の男優ね。

:(ボードに「謝廷鋒」(ニコラス・ツェー)と書いている)

:あらぁ、なぜ知ってるの?

:彼女、いつも言ってるから。

:このことは、(奥さんの)張柏芝(セシリア・チャン)は知らないですよね。(客席大うけ)

:ヤン・ミー、顔が赤いわよ。(ウィリアムに)どうして彼女がいつも言うんだと思う?

:彼女はああいう形の…(と、がっしりしたボディのジェスチャー)ああいうタイプの男性が好きなんです。

:違うったら。奥さんに優しいから好きなのよ。

:そうそうそう、だからそれがタイプなんです。

*
どうやら、馮紹峰は負けを認めたがらない性格らしい(笑)。

この後、ストレス発散のために何をするかという話題に移ると、ウィリアムは音楽を聞くと答えますが、好きな歌手を聞かれて、いきなり歌わされてる…。

これは、フェイ・ウォンが元歌で、カリル・フォン(方大同)がカバーした、すごく有名な《紅豆》って曲です。(リンク先→こちら)はワーナーの公式MVです。)

言われてみれば、カリル・フォンの歌声って、ウィリアム・フォンの地声にすごく似てますよね〜。しかしこの曲はハッキリ言ってD難度。いきなり挑戦しようなんてどういう勇者だか…。

ヤン・ミーは読書だそうですが、家から本を持ってきてウィリアムに貸してる上に、ちゃんと読んだかチェックするために、毎回感想文を書かせてるそうです。

あはははは。ヤン・ミー、本当最高。

(24:00ごろから)

:それでは、最後のお題です。
  ボードに、相手の長所と短所を書いてください。
  どちらのを先に見ましょうか。

:ヤン・ミーのにしましょう。
  彼女は、隣に座ってるこのイケメンをどう思っているんでしょうか。

:どれどれ。一番の長所は…“温柔体贴”(優しくて思いやりがあるところ)、一番の短所は“太温柔太体贴”(優しすぎて思いやりがありすぎ)。  

:(大笑い)さあ、早いとこその理由を話してくださいな。

:私はね、紹峰は…周りにとても気を遣う人だと思うんです。
  心が寛いし、すごく思いやりがあるんだけど…
  ただ…ときどきそれが度を越してて、周りの人がどう思うかを気にしすぎるんですね。だから、きっと日常生活でも気を遣い過ぎて疲れるんじゃないかと…

 “就是因为他可能会替别人考虑得太多”(それは彼が他人の身になって考えることが多すぎるせいじゃないんでしょうか。)
だから私はしょっちゅう、彼に言うんです。何でそんなに気に回す必要があるの、
  それって、あなたが気遣わなくちゃいけないこと?
  大したことじゃないから、気にしない方がいいわよって。
  
  たとえば以前ネットで、私たち2人がどうこうとか、そんなたぐいのこと書かれて、彼はどうしよう誤解されたらとか、君、嫌なんじゃない?とか、だけど彼がそう考えるのは…私のためにそう言ってくれてるんですね。
  そんな風に、いつも私の立場で考えてくれるんです。

で、私のスタッフに、ヤン・ミーさん、怒ってないですか、落ち込んでませんかとか聞いて、皆さんも慰めてあげてとか何とか、お願いして回ってるんです。私の周りにいる人みんなに、メールしたり電話したりして、優しくしてあげてとか…私が不愉快な思いをしてるんじゃないかと、気にしてくれてるんです。 
*
そういうことするから誤解(?)されるんじゃ…
*
:でも私はそういう人好きよ。

:とても優しいと思いますけど。

:だけど私自身は別に何ともないと思ってるのに、彼はものすごく気にしてて。

:じゃ、ちょっと説明して欲しいんですけど、(ソファの端にへばりついているウィリアムに)あなた、もう少しソファの真ん中よりに座ったら?

:彼女が不機嫌になるんじゃないかと心配で。

:彼女はしょっちゅう機嫌が悪くなる人なの?

:そんなことないです。

:そんなことないんだけど、彼と一緒にいると、ちょっとイラつくことがあるんです。彼は割合のんびりしてるので…
前に、彼が運転してる車で、私は助手席に乗ってたんだけど、左に曲がるとき、左折信号の時間は短いでしょ(中国は右側通行なので、日本でいう右折信号にあたる)、1回の信号で、私たちの車1台しか曲がれなかったんです。

:(困ってマフラーの房をいじっている) 

:だって彼は、歩行者がみんな横断するまでじっと待って、その後、右左何度もよく確認して、それから曲がるのね。後ろの車はみんなクラクションを鳴らして…(ウィリアムに)信じないでしょうけど、後ろの車という車全部よ。

:そんなことない、ない、話盛り過ぎ…

:なくない、あなたが遅いの。

:僕はスピードは出しません。確かにヘタレ運転ですよ。
  彼女はね、耐えられないの。あなた、運転が気弱すぎ、とか何とか。

:でも、車が歩行者を待つのはマナーでしょ。
:そりゃそうです。だけど、あなたは誰も道を渡ってなくても、それでも待つんだもん。 

:(苦笑)

李:彼は特に慎重派なんでしょ。他に通行人がいないかまたよ〜く確認して、それから曲がるのよね。それで信号が変わっちゃう。
  だけど、私は紹峰みたいなタイプの人、よく分かるわ。いろいろ気を遣っちゃうのよね、疲れません?

:う〜ん…いつもそうしてるから馴れで…僕は何だかんだ考えちゃう方なんです。
  僕たち2人、友達づきあいとか、仕事で組んだりとかするときに、僕の方は彼女に気を遣うけど、彼女の方は僕が気にしすぎないようにしてくれて、そういうところはいいなと思ってます。

:それじゃ聞きますけど、昨日の晩、今日この番組で司会者に何聞かれるだろうとか、上手く答えられるかなとか、何を着て行こうか、雰囲気に合わなかったらどうしよう、コーディネートはこれでいいかなとか、思いました?

:考えたに決まってる)

:この服…この服は昨日準備しておいたんです。

:(大笑い)ほらね。私なんか今朝決めたもの。

:僕は昨日決めておいたの。何を聞かれるかは、インタビューの番組でしょう、僕も見たことあるし、

:やっぱり気にしてるんだ。

:ううん、見たことあるし、と思って寝ました。(客席爆笑)  
*
ウィリアム・フォンは、この少しあとに《背後的故事》(ビハインド・ストーリー)という別のインタビュー番組に出ています。

そのときは単独出演だったのですが、別の回に出演したヤン・ミーのVが召喚されており、それによると、《宮》で共演したときに演技が上手く合わず、ヤン・ミーが

「あなたはもう大人でしょ。私が演技を教えなくちゃいけないの?」

と一喝したことがあったらしい。

ヤン・ミーが軽い気持ちで言ったこの一言に、ウィリアム・フォンは一晩眠れなかったらしいです…。

さて、このあと、話はヤン・ミーの長所と短所に移ります。《蘭陵王》とは全然関係ないんだけど、漫才みたいであまりに面白いのでちょっとご紹介しますね。
*
ヤン・ミーの長所は率直なところ、短所は率直すぎるところ、気に入らない人とは口も利かない、という話のあとで、

:たとえば?

:たとえば、《宮鎖心玉》の撮影が始まったときと後とでは、彼女は全然別の人みたいでした。(“完全不一样的两个人”)

:なんだ、自分が例なの?!

:じゃ、スタッフとはどんな風に会話を…

:お互いにけなし合います。

:どんな風に?

:いつもお願いしてるメイクさんがいるんですけど、とても長い付き合いなんです。
  あるとき、自分でメイクを直してたらあぶら取り紙を切らしてるのに気付いて、電話したんですね。
  「いま何してる?」
  「あれ、なんでか寝てたら自然に目が覚めた。誰かさんみたいに早起きじゃないからさぁ」
  「ものすごいヒマ人だけが自然に目を覚ますまで寝てるのよ。ね、あぶら取り紙切らしちゃったの、持ってきてくれない?だけど、5円で買えるような安いやつなら要らないから。
   使って三本ひっかき傷ができちゃうの嫌だもん」 
  「ありえねーだろ、そんながさつな肌してて」だって。

:(大笑い)

: 北京の女の子ってこうよね。遠慮のないのが良い友達なの。

: マネージャーともそんな風に話すの?

:以前に、「ほんとあんたたちって吸血鬼よね、うちの事務所、毎日こんなにスケジュールきっちきち突っ込んで疲れて死にそうよ」って言ったことあるんですね、そしたら、
  「そんな程度の小芸人の分際で、仕事があるだけマシと思え、足るを知れ」って。

:(机に突っ伏して笑ってる)

:あらまあ、私は紹峰に同情するわ、馴れるまで時間かかったでしょう。

:(曖昧にうなずく)

:でも、お互い、補いあってるんじゃない?逆に好きでしょ、ああいう口の利き方とか、ああいう女の子とか?

馮:(しばらくして、何だかよく分かっていない感じで頷く)
*
はは、反応が鈍い…
*
:紹峰、周りに、お互いこんな風にけなし合える友だちいないの?

馮:僕は、永遠にけなされる側の人間です。

:嬉しそうねぇ…

*
だ、ダメだこりゃ…。

いやぁ、残念でしたね。彼を「馮おじさん」と呼んで親しんでいた(?)らしいヤン・ミーは他の人と結婚しちゃうし、ご自身は別の彼女と別れちゃったみたいだし。

状況証拠から愚考するに、どうやら彼には、中国の女優さんにしてみると、結婚相手としては「見栄えが良くて努力家で優しくて思いやりがある」という長所を打ち消して余りある、困ったところがあるらしい。

その状況証拠については、この先書くかもしれないし書かないかもしれませんが、中の人はともかく、まずは目の前の四爺、四爺!

五爺に、人のことより自分の心配をしたらどうだ、って言われた答えがコレ。

“我有什麼好擔心的 無牽無掛”
(心配することなどあるものか。私には心残りさえないのに)

あらあら、目の前に五爺も居るのに…
しかし五爺はそこには突っ込まずに、
(突っ込んでる場合か、って怒られちゃうか…)
それでも気に掛かる人はいるはずだ、と雪舞を招き入れます。

結局、雪舞は四爺の元に残ることを選んだのですね。

おばあ様との別れ際、彼女が言ったことは大変重要です。

“也許我們都沒有辦法 擺脫我們的命運
但是像這樣的亂世 需要四爺這樣的人存在”
(私たちは、運命から逃れることはできないのかもしれない。
でもこんな乱世には四爺のような人が必要なの)


“我也許沒有辦法選擇的身為天女
但是我要選擇自己的命運”
(自ら選んで天女になったわけではなくても、
自分の運命は自分で選びたいの)


ああ、よかった。このセリフを聞いたらちっとは安堵しましたよ。
第5話以降は、一番重要なことを忘れてるのかと思ってましたもん。

そう、雪舞が蘭陵王のそばにいるのは、お妃になるためじゃないんでしたよね。

おばあ様の予言は、蘭陵王が最も天下に君たる者に近い、ということ。
そして、彼は「貴人」の援けがなければ、すぐに潰えてしまう、ということ。

それを聞いていた幼い雪舞は、蘭陵王が自分の運命に打ち勝てるように祈ろう、と思うんですね(第1話)。

だから、元々の雪舞の志からすれば、鄭児がいようがどうしようが、彼の元に留まるのが正しかったわけですよ。

しかし彼女は途中から、彼の愛する人は鄭姓の女性ただ独りだから、自分は傷つかないうちに村へ帰ろう、と思うようになる。当初から考えたらおかしいでしょう、この変節は。

こういうところが視聴者をイライラさせるんですが、この第14話でようやく悟ったのかと思いきや、性懲りもなく、この先も…。

ま、ラブ史劇だから、しょうがないんですけどさ。

この時点で、人が出来たおばあ様の方は、
“也許奶奶本來就不可能讓你回頭 這都是天意吧”
(お前の考えを変えることなど、そもそも無理だったのかも知れぬ。これも天意であろうよ)

と、諦めることにする。そして、雪舞に当面の策を授けると言い、

“錦囊”

を渡します。

でました、“錦囊”

《三国志》ファンなら胸躍るこの単語、いわずとしれた、諸葛孔明が策を授けるときに使う小道具です。

錦で作ったポーチの中に、ピンチを切り抜けるアイディアが書かれたメモが入ってるんですね。

しかし、お分かりのとおり、手品じゃあるまいし後から紙切れを中に追加するわけには行きません。ってことは、おばあ様は予め、雪舞とは別れることになるという結末は予想していながらも、一縷の望みをかけて説得に当たっていたってことなのでしょう。

おばあ様との別れのシーンでは、例のぐちゃぐちゃ泣きを見せるアリエル。家族への思いが篭もっていて、全編でほとんど唯一、あらくれ者の視聴者と言えどももらい泣きしました。

このあと雪舞は牢に囚われた蘭陵王に会って、やはり目に涙を溜めているのですが、そこでは決意を秘めた、もっと抑えた演技をしています。この対比が素晴らしい。

“現在只能留在這兒了”
(私はもう、ここに残るしかないの)

蘭陵王に向かって由紀さおり...いえ、雪舞が搾り出したこのセリフを受けて、どんな演技をするかにオスカーが掛かってるんだけど、ウィリアム・フォンはどんな演技を見せるでしょう!

ここから二人の関係性が変わる、ラブ史劇にとっては全編で一番重要なシーンです。

私はすごくすごく期待しました。で…、

“你現在想回也回不去了”
(この先は帰ろうったって帰れないよ)

.......の、この軽い表情はナシでしょう!!!!

監督っ、ちょっとここに来て座ってくださいっ!
(がひょっ)
はいっ、釈放されちゃうウィリアムの代わりに、あなたが手錠してここに残ってくださいっ!

念のため言っときますけど、チキンは一日一羽までですから!

“曾經 我很害怕改變你的命運
但是我已經改變了
我曾經很害怕 我們不可能有結果的
但是我已經不在乎了”

(これまで私は恐れていた あなたの運命を変えてしまうことを。
だけどもう変えてしまったわ。
 これまで私は恐れていた 私たちは結ばれる縁ではないことを。
だけどもうそんなこと どうでもいいの)


ここで新宿の母ならぬ鄴城の母とかが登場して、

はい、そうですね。天命を変えてはいけないとあなたは思っていたけれど、
変えなきゃ蘭陵王は結局早死して、民を救えないんですよ。
よく気がつきました!

四爺の運命を変えたことで、
ラブも上手くいくかも知れませんよ。
しかし、二兎を追う者は一兎を得ず。
後半の運勢に注意してね!


などとアドバイスを与えてあげたらよかったでしょうが、
残念ながら牢屋の中に占い師は居ませんでしたね。

つか、雪舞が占い師のはずなんだけどな。自分のことを占うのはご法度なんでしょうね。

ここで雪舞が玉佩を取り出すのを見た四爺の表情が、(まさか返す気か?)と、一瞬驚いたように見えるのは私だけでしょうか(笑)。

“這塊玉佩的意義 我明白了”
(この玉佩がどんな意味を持つか よく分かったわ)

このときの四爺の表情は怒ってるように見えるくらい真剣です。

“我要留下它 不再逃避
勇敢地待在你身邊”

(もう返したりしないわ。逃げもしない。
勇気をもってあなたの側にいる)


雪舞にこう言われて、少し表情が緩んだあと、小さく何度か頷いて、また真顔に戻る四爺…。

と、「返品不可」宣言からこの一連の割にカジュアルなウィリアムの演技を見て、正直、最初は何じゃこりゃ、でしたよ。アリエルの深刻さと比べると、テンションが違いすぎる。

ただ、かばう訳じゃないけど、ウィリアム・フォンの演技に沿ってこの場面の解釈を考え直すべきかも知れない。

当初私が期待したのは、グズグズ泣いて去ってしまった楊雪舞が、戻ってきたときは自立した、運命を自分で切り開こうとする女性に変わっていたのを見て、四爺自身がもう少し驚くというか、心が動いたと見える表現でした。

それは、「帰ろうったって帰れないよ」じゃなくて、「これからは君を手放すつもりはない」という感じの重みがある演技だったわけです。

だけど考えてみれば、四爺自身は最初から、占いだの運命だの信じていなかったわけですから、ようやくそれに気づいた雪舞に、ほら、だから言っただろ、みたいな軽い表情で「今はもう帰ろうにも帰れないってわけだ」と言うほうが自然かもしれない。

それに、もう後戻りはできない以上、そこまでして戻ってくれたのか、的な深刻さで返さずに、ね、私の思った通りになったでしょ、みたいなノリにしたところに、ある種の思いやりも感じられる。

雪舞は今ようやく決意が固まったので、すごく大げさな表情になっていますが、四爺はもっと前からずっとこの決意だったので、その時点が今の雪舞と同じテンションの演技だったんですよね。

と、何となく納得したところで、場面は斉の宮廷内に移ります。

逃亡したはずが、もう逃れられないと悟って戻ってきたと思われてもしょうがない雪舞に対し、皇帝陛下は意外と冷静に対応します。

雪舞に「陛下のお力をお借りしたく存じます」

とリクエストされると、あっさり、

「必要とあらば 何なりと申せ」

と許してもらったんですが、「何なりと」で、用意してもらったのが山盛りの…ショウガ?

だったら、まだ予算も余ってますよね。
じゃ追加でBB−8...って誰がクリスマス・プレゼントのリクエストかっ?!

さて、ショウガもスタンバったところで、いよいよショーの始まりです。召集された面々は、

“太卜宮 掌管著朝廷的吉凶祭祀”
(朝廷の吉凶祭祀をつかさどる 太卜宮)

“大理寺卿 掌刑獄”
(刑罰をつかさどる 大理寺卿)

“大宗正寺 則掌管著 皇室的宗室事件”
(皇室の案件をつかさどる 大宗正寺)

に勤務する方々。

その場に引き出されてくる容疑者・四爺は囚人服がとてもよく似合ってる...というか、このシーンが痩せてるだけですかね。

囚人服というと、アメリカのシマ模様とかオレンジとかの囚人服を思い出しますが、あれは逃亡したとき目立つようにということらしいです。

中国の時代劇に出てくる囚人服はどうやら白が多いようですが、白は中国ではお葬式の色だし、「一番階級の低い色」「染めていないで生地のまま」だから、ということらしい。

しかし、実際の古代中国の囚人服は“赭衣”と呼ばれており、赤土で染めた衣装でした。日本でも明治からはその色だったようです。

ここで四爺は正座をしていますが、中国では机と椅子の生活になっても、罰として“罰跪”という座り方をする習慣はあるようです。

現代では“罰跪”というと、いわゆる「膝立ち」の座り方を指すようなんですが、古代にはここで四爺がしている姿勢、すなわち正座を指していたのだろうという人もいます。

足のしびれを我慢してるところへ(たぶん)、入ってきた雪舞を見てビックリしたような表情の四爺。

あれれ、こうなるって知らなかったのでしょうか?
だいぶ痩せてるし、直前の牢屋でのシーンとは少し離れた時期に撮影したんでしょうか。

とりあえずは、床にちんまり座って、雪舞の方を見やるポーズが可愛いですね。

雪舞の方は斉国の創建時から伝わる神の火で罪びとを炙りだす…みたいなこと言っているのですが、そもそも建国からだって何十年も経ってるわけじゃなし。

ただ、気になってた香炉があぶり出しのときは役に立つ、ということが分かりました。ここでは生姜を使っていますが、子どもがよくやるのはミカンの汁とかですよね。、

こんな子どもの遊びに追い詰められて、ついに罪を認めた祖珽は、なぜかようなことを、と皇帝陛下に聞かれて、咄嗟に、

セクハラしようとしたところ、咎められたのを恨みに思い、

って言い訳させられるのも何か気の毒。

一方、四爺の方は、晴れて着せられてた濡れ衣が乾きました。

濡れ衣を着せられてる状態のことは、中国語では“背K鍋”といいます。
辞書を見ると、鍋を背負うと背中が黒くなるから、みたいな解釈が書いてありますが、なぜ黒くなると冤罪の意味なのかは分からないままです。

由来には諸説あり、先ほどの、ネギを背負わずルクルーゼを背負ったトレンディなカモ説のほかにも、

元々の字は“被黒過”で、「過失を押し付けられた」という意味だったというダジャレ説、

古代、行軍の折に、過失のあった者が鍋を背負ったことから転じた罰ゲーム説、

などがございますが、どうも決め手に欠けます。

そもそも、日本語の「濡れ衣を着せる」もよく分かんない言い回しですよね。濡れた服を着たら、風邪は引きますが罪ではないのでは…と視聴者が愚考していると、さすがに皇帝も、トンデモ語源説で人を殺めてはいかん、と我が非を悟ったらしく、

“這件案子是朕的失察
今日乃是你選妃的大喜日子
朕再另擇良日
為你風風光光地再辦一次”

(この件は朕の失態であった。
本来はそなたが正妃を選ぶ佳き日、
朕が改めて吉日を定め、
いま一度、妃選びを盛大に行おうぞ)


と提案してきます。

げげ、そうだ忘れてた。一難去ってまた一難ってヤツかしら、やな脚本だこと…って思ったら、そこへ、この桜吹雪が見えねえかっ、と黄門さまならぬ福姥(フーラオ)がいきなり登場(ってか桜吹雪は黄門さまじゃないし)。

それまで立ちんぼうだった皆さんが、いっせいに跪いて礼をします。

“皇太后千歲千歲千千歲”
(皇太后さま 千歳千歳千千歳)

大方の予想通り、福さんは仕込みだったのですね。しかも一国のラスボストップだったとは。道理で、お茶を「入れてもらう」のに慣れた態度だったわけですよ。

しかも、なに、私の寿命は万歳の息子の10分の1なわけ?などと怒ったりはしない皇太后は、鷹揚な方のようです。

さらに、四爺、五爺、雪舞に至っては、礼すらしてませんが、なに、私に礼もしないわけ?などと怒ったりしない皇太后は(以下略)

皇帝陛下だって、ちゃんとご挨拶をするのに!

さすがに無礼を悟ってか、四爺もくっついてご挨拶をします。皇太后は、

“水落石出 社稷也回復安邦”
(水位が下がって石が現れるように真相が明らかになった。お国にもこれで平和が戻ってきた)

と寿ぎ、円満解決を祝した後に、“粛児”<スーアル/Suer>のためにお妃選びをしてやろう、とのお心遣い。

おほほ、いいおじさんに向かって“粛児”!(“粛児”は四爺の幼名でしたよね)

それも笑っちゃいますが、お妃選びの話が出た途端にニヤリとする五爺…むむ?

と、またいきなり、

“蘭陵王的王妃就是楊雪舞”
(蘭陵王の王妃は楊雪舞である)

とのご託宣。

“近日來 我私下暗訪 深入觀察各家名門千金
都不如哀家親眼所見的楊雪舞”

(ここのところ、わらわは秘かに名家の令嬢たちの動向を探っておったが、誰ひとり、この目でしかと検分した楊雪舞には適わなんだ)

と言ってるせりふの合間にチラチラと五爺が映ります(笑)

皆が、巻き添えは勘弁、ばっはは〜い!とバックれる中、雪舞だけは見捨てることなく感心感心、と褒める皇太后に向かって、雪舞もいちおう、自分は側室が分相応…と言い出しますが、

“喜歡吃醋 又不服輸的你
心甘情願肅兒去娶別的女人嗎”

(ヤキモチ焼きで負けず嫌いのそなたのこと、粛児が他の女人をヨメにもらって平気なはずもなかろう)

と、皇帝や朝臣の居並ぶ前で雪舞の困ったちゃんぶりを暴露してしまいます。

そんで粛児、あんたはどうなの、と水を向けられた四爺は、ほいほい承諾して雪舞を焦らせます。

ヨメの皇后が、
“皇室正妃講的是門當戶對
楊雪舞 既不是名門 又不是望族 不合適吧”

(皇室の正妃は釣りあう家柄の出でなければ。
楊雪舞は名門の出でもなければ貴族の家柄でもございません。ふさわしくないのでは)


とやんわり抗議すると、皇太后はいきなり《列子》の黄帝篇を持ち出します(絶対何か言われると思って、考えといたんでしょうね。用意周到なお方だこと)。

《列子》というのは紀元前400年くらいに成立したとされる哲学書で、その黄帝篇は“朝三暮四”という言葉の出典にもなっています。

ちなみに、いま普通に使ってる“男尊女卑”という言葉も、《列子》の天瑞篇から来たことばです。

“有神巫自齊來 處於鄭 名曰巫咸”
(祈祷師が斉から来たる。鄭に居し、名を巫咸といった)

雪舞は天女で巫咸の末裔、祖先の居住地である鄭を姓として与えましょう、

“無可厚非”
(問題なかろう)

鄭は皇族の氏、皇室の出なのだから文句ないでしょ、とのお言葉。

中国では結婚しても姓を変えないほど、姓は重要なもの。逆に、だからなのか、この手の「改姓」は歴史上にいくつも例があり、史書に特記されています。

そして史実では、何と皇太后さま自身も自分の姓を変更していたんですね。
皇太后さまのお名前は婁昭君ですが、

大宁年春,太后寝疾,衣忽自挙,用巫媪言改姓石氏。
(562年の春、婁太后は病に伏した。衣服が自ら動くという怪異が起こり、巫女の言葉を容れて姓を石とした。

ここは恐らく厄払いのような意味があるのか、あるいは「婁」氏に取り憑こうとする怪異を、名前を変えることで避けようとしたのかも知れません。(以前、なぜ周りの人が四爺をいみなの「高粛」と呼んではいけないのか、という話をしましたね)

しかし、ぶっ飛んだ事態に適応できないのか、わたしの姓が鄭なの?とぶつぶつ言ってる雪舞に、

“你不是一直很喜歡姓鄭嗎
哀家不止一次地聽你到念鄭妃鄭妃”

(そなたはずっと鄭姓に憧れておったようではないか。
わらわは一度ならず、そなたが鄭妃鄭妃とこぼすのを聞いたぞよ)


ここで四爺が思いっきり笑ってます。鄭妃鄭妃の最大の被害者、四爺は、よっぽど困ってたんしょうね。こんな風にいなしてもらって、耳のタコもようやくとれたんでしょう。

耳スッキリ!な四爺はこっそり雪舞に言います。

“這下你贏了 我果真娶了鄭妃了”
(これで君の勝ちだな。
私は本当に鄭妃を娶ることになったよ)


ここの2人は本当に可愛らしいですね。全編中、このシーンのウィリアム・フォンが一番好きです。ま、この先にも2人の可愛らしいシーンはいくつかあるんですけど、ここは衣装も似合ってるし…(って、何で囚人の衣装が一番似合ってるんだか知らないけど)

だけど、巫族の予言をこんな風に笑い話にしていいのかどうか、それはドラマの先を見なくちゃわかりませんよ…。

そもそも、《列子》で皇太后が引用した箇所をよく読んでみると、こんなことが書いてあります。

“有神巫自齊來處於鄭,命曰季咸,知人死生、存亡、禍福、壽夭,期以歲、月、旬、日,如神。鄭人見之,皆避而走”
(祈祷師が斉からやってきて鄭に居を構えた。名を季咸といい、人の生き死にや存亡、禍福、寿命を当てることができた。予言の年や月、季節、日の正確なことは神のようであった。鄭の人々はそれを見て、皆逃げていった)

さて…。

プレゼンのツボをおさえた皇太后の活躍で、正妃は雪舞と決まり、ひと月後に婚姻の儀が行われることに決まりました。

韓暁冬がこのビッグニュースを街中に触れてまわっています。

おめでたいニュースを貼ろうとしている掲示板に残っている紙切れは、先の指名手配書でしょうか。それなら、確か綺麗に剥がして持ってったはずだけど…。

ま、いいか。別の場所かも知れないし。

町民の皆さんが、

“咱們一定要共襄盛舉
祝他們白頭偕老”

(皆で盛大にお祝いしようじゃないか。
共白髪までお幸せにと)


とお祝いするなか、暁冬は複雑な表情です。さっと潮が引いたように誰もいなくなった町を、とぼとぼと歩いていく暁冬の後ろ姿がいいですね。



ところ変わって、ここは宮殿の中。
皇帝は皇后に、鄭児の処置について問いかけます。
どこまでもしらを切ろうとする皇后に、皇帝はついに怒り爆発。

お家の恥と思うから、あの場では収めておいてやったが、あんなセクハラなんて理由、信じると思うのかあっつ!って、陛下、祖珽ならやりかねません、史実でも確か、そんな人…。

しかし怒りの収まらない皇帝は、がんがん追及します。
責められた皇后は、

“臣妾何罪之有 爭權奪利 無須手軟
血親亦然”

(わらわに如何なる罪がございましょう。
権力のためには 犠牲もやむを得ませぬ
親族とて例外ではございません)


いやー、危ない、危ない。

一度目に観たときは、“臣妾何罪之有”を「何の罪がございましょう」じゃなくて、「何の罪もございます」かと勘違いしていました。

どこに誤訳の罠があるか分かりません。ちなみに、何の罪でもある、といいたいなら、“臣妾何罪有”ですね。

ここまで言うと皇帝は

“大膽!”
(無礼な!)

と一喝します。おのれそこまでやるとは、という意味なのかと思ったら、続いて意外な言葉が…。

“你難道暗指朕 為了皇位可以手足相殘
你就可以 是嗎”

(おまえはよもや朕を当てこすっておるのか。
皇帝の座のために親族をも抹殺したのなら、
おのれも同じことをしても構わぬと そうであろう)


ひ、ひぃっ、こ、このお言葉は一体…。

そう言いながらも、罪を皇太子に及ぼすことは何とか思いとどまった皇帝は、

“將皇后褪去后服 打入冷宮”
(皇后たる衣装を剥いで、軟禁せよ)

と命じると、入れ替わりに祖珽が入ってきます。
最初は命乞いをしていた祖珽ですが、下された刑を聞いて一変、ひと思いにご処置をと泣きすがります。拷問はお家芸、

げに恐ろしや、ドS集団・高一族!

何でこんな連中ばっかりやねん、と頭痛に襲われたらしい皇帝は、

“家門不幸 家門不幸啊”
(何たる不幸な家であることよ)

とまるで他人事のようなセリフを呟いています。

ですけど。

先ほどご紹介した史実の高百年のエピソードの終わりのほうに、高緯が宮殿を増築しようと地面を掘ると、そこから緋の衣装に金の帯をつけた屍が出てくる。皆は楽陵王・百年ではないか、いやひょっとして、太原王・紹徳ではないか、と噂するという話が出てくるんですね。

高紹徳といえばほら、例の、武成帝が兄貴の嫁さん・李祖蛾<り そが>を強奪した挙句、生まれた娘が生後すぐに亡くなったので、李祖蛾が殺したのではと疑い、李と兄との子、高紹徳を惨殺した、って話(第9話の2→こちら)に出てきた人ですよ。

あんた、他人事ちゃうやろ。

と思わずニセ関西弁になってツッコんでしまいたくなる、呆れた行状。

まったくもって、高一族と来たら…。

とこの先の回で誰かさんが言うセリフ、言い得て妙過ぎです。

さて、こんなお家騒動寸前だった斉の宮廷に続きまして、場面はお久しぶり、周の宮殿へ。

貞兒<ていじ/Zhener>の病状が思わしくないため、周国皇帝・宇文邕〈うぶん よう/Yuwen Yong〉こと仔ブタ陛下は、御用医を全員打ち首だなどとメチャクチャ言っております。

それを聞いたプリンセス・貞児、奇病にかかったのはお医者様のせいじゃないから、ともっともなご発言。

けなげな貞児の言葉に、仔ブタ陛下ならずとも、何でも好きなものを用意してあげよう、と言いたくなりますよね。

起きたら天女さまのお話をしてね、というリクエストを、例によって聞いちゃ〜いねー宇文邕は、どこをどう解釈したんだか、

「よーし、パパ、BB-8を買ってあげちゃうぞ〜」

じゃなくて(それ欲しいのは私か…)

“等你一覺醒過來 我一定帶天女來”
(次に目が覚めたときには 天女に会わせてあげるからね)

ってあんたそれ、貞児のリクエスト違うやん。

勝手な解釈で行動する叔父さんに、思わずまたもニセ関西弁でツッコまずにはいられないこの展開。

まったく高一族といい、宇文一族といい…。

しかし、誰かさんと違って皇帝陛下は、絶対に約束は違えない男!

さて、鄭児へのプレゼントはどうなる!?
やっぱBB-8か??(←ってしつこい)

その続きは第15話こちらにて!!


posted by 銀の匙 at 01:00| Comment(9) | TrackBack(0) | 蘭陵王(テレビドラマ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
銀の匙さま こんばんは。

今回も もやもやがすっきり晴れる解説有難うございましたm(_ _)m
この回で明かされる玉佩の秘密。
「え、えぇ〜〜〜っ!そこまで大切なものだったのっ!!!(@@)軽〜く路銀の代わりにって渡してたよね、いつから変わった〜???」
と メガンテ…いえ、目が点だったのですが そう言うことだったのですね。四爺の心中ではすでにその時点で雪舞ひとりと決めていたと考えれば 納得です(^^)。

それとひとつ教えていただきたいのですが 銀の匙様が引用されてる「北斉書」などの史書は 当時の原文のままなのでしょうか?それとも白話に直されたものが世に出ているのでしょうか?
先日中国語の授業で大体1000年を境に文語から白話に変わっていくと習ったのときに???となったのですが チキンなため先生に質問できませんでした(^^;)
申し訳ありません。

今年もあと2日ですね。中身の濃い記事、ホントに楽しませていただきました。いろいろ見る目も変わりました。有難うございました。来年もよろしくお願いいたします。

良いお年を☆
Posted by chiho at 2015年12月30日 00:10
chihoさん、こんにちは。

暮れのお忙しいところ、コメントありがとうございます。

玉佩の話も、最初に出てから真相が明らかになるまで間が空きすぎですよね...。

いくら皆熱心にドラマを見てるからと言って、10話も前の話なんて覚えてるはずないのにと思いはしましたが、週に1回放送の日本のドラマと違って、中国のドラマって、朝ドラみたいに毎日連続で放送されるらしいですね。

それでも2週間くらいは覚えてなくちゃだけど…。

昨日の昼ごはん、何を食べたかも忘れてるのに(メガンテ!)


それから、引用文献の件、お尋ねありがとうございます。

《北斉書》など当時の史書の引用部分(PCでご覧になると青字の箇所)は、ほぼ原文です。

ただ、全くの原文(日本でいう白文)ですと、テンもマルもなく、どこで区切るかも分からないので、私は台湾の「中央研究院」が校訂した、漢籍電子文獻を利用しています。

ただ、お察しの通り、テン、マルがついている、ということは、研究員の方の解釈が含まれているということで、詳しく校訂の内容まではチェックしてませんが、テンマル以外の部分も、注釈書なんかを参考に変更している可能性があります。

なので、本格的に研究する場合は、もっと元々の文献に当たらないとダメですね。

日本でも、中国の正史のうち、有名なもの(《漢書》《後漢書》《三国志》など)は日本語訳が出ていますが、残念ながら北斉書はないようです。

中国でも、皆が古典をそのまま読めるわけではないので、現代語訳があり、恐らく二十四史(中国の正史)は訳されているでしょう。ただ、たぶん専門書でしょうね。

もし現代語を勉強している人なら、現代語訳は参考になりますが、これは校訂よりもさらに訳した人の解釈が入っているので吟味する必要があります。

《北斉書》あたりだとそんなに凝った文体でもないので、そのまま読んだ方が早いかもしれません。

ためしに今回の記事で見てみましょうか。

百年被召,自知不免,割帶jue留與妃斛律氏。

漢文だときっと、

百年、召(めさ)るるに、自ずから免れずを知り、帯ぶるところのjueを割りて妃の斛律氏に留め与ふ。

とかひっくり返して読むのでしょうが、現代語を習った方ならほとんどこのまま、頭から読めますよね。

百年被召,自知不免,割帶jue留與妃斛律氏。

百年は された 召集,自動的に 知った できない 免じる,割った <帯びた jue> とどめた あたえた 妃 こくりつ氏

英文解釈と一緒です。

中国語の先生がおっしゃっている「白話」とは、なるべく話し言葉に近づけた文章のことで、唐代(蘭陵王の次の次の時代)くらいから、その文体で書かれたものが残っています。

ただ、現代語を知らない一般の日本語遣いには却って読みにくいかもしれませんね。

たとえば、

以子之矛、陥子之盾、何如?

(あんたの持ってる矛で、あんたの持ってる盾を突いてみたら、どうでしょ?)

を白話で書いたら、

用ni的矛来,刺ni盾的話,那又怎様?

って感じでしょうかね(あくまでこんな感じ、ということでウソっこ白話です!)。現代語が分かる人なら、分かりやすいでしょうけど...。

それにしても、ちゃんと中国語の先生についていらっしゃるのですね。何てうらやましい環境でしょう。

先生は、きっと熱心な生徒さんがお好きなはず、ここはひとつ遠慮せず、先生にガンガン質問して、お気に入りに登録されちゃいましょう!

チキンは一学期につき、一羽までです!(メガンテ×2)

では、派手に爆竹も鳴りましたところで、来る年もよろしくお願い申しあげます。



Posted by 銀の匙 at 2015年12月30日 14:59
こんばんは。この数か月、多忙にしていて、ついに鬼のかく乱か、この年になって初めて熱腫れが出来て出歩く事も憚られる顔面になってしまいました!そんな次第で今日、この年の瀬に紅白なんてそっちのけで、13話14話と連続で貪るように拝見しました。銀の匙さんの解説は、いつもながら奥が深くて感心する事ばかりです。
第5話での敬酒の意味が分かって四爺の思いに泣けました。こういうところが四爺にハマっている最大の理由です。
ところで、13話で四爺に雪舞が最後に言った言葉は、「再見」です。どんなにBGMの音量が大きくても、二人の会話だけは、耳をダンボにして聞いているので分かります!それにいい場面でディンダンの手掌心が流れるから、私は益々、盛り上がリます!
手掌心と命運を聞きたくて、流れるシーンをリピートして見てるくらいです。
毎回、馮紹峰の番組翻訳して頂けるのも楽しみです。youtubeで見つけると見てるだけでも楽しんでいますが、お陰様で意味が分かって数倍楽しめます。これからもどんどん訳して下さい。素顔の馮紹峰の紹介お願いします!それでは、新年も楽しみにしています!!
Posted by 伊藤左紀子 at 2015年12月31日 23:07
伊藤左紀子さん、
明けましておめでとうございます。

年末のお忙しいところ、コメントをありがとうございました。とんだ年越しになってしまったようですが、お加減はいかがでしょうか。

さて、ラブ史劇としては重要であるはずの、このお話の恋愛部分については非常に冷淡な私ですが、その理由は近いうちに明らかになるでしょう...

っていうか、皆様、ドラマをご覧になっていれば、理由はよくご存じでしょうが、書いたら書いたで、そんなことわざわざ言わなくたってお話なんだからいいじゃない、とツッこまれること必定で白けること間違いなしなので、玉佩以上に、いつ書くかタイミングが難しい要素でして…

玉佩についても、このドラマでの真意を伏せたまま小出しに解説していくか、14話まで全く解説しないかずいぶん考えました。

基本的には、なるべくその時点までで明らかになっていることをベースにご紹介して、お話が展開したところで、○話まではこうでしたが、実は今回でこうだということが分かりました、という感じに進めたいと思っております。

このように、私が本ドラマで面白いと思っておりますのは、恋愛描写とか個々のキャラクターの人物像とか、ましてや演じてる俳優さんでは全くなく、お話の構造そのものです。

ただ、脚本がよく書けているので、中のセリフを素材に、さまざまな文化的背景が分析できるため、だらだらとセリフをご紹介しておりますが、私自身は、登場人物の誰かとか、演じてる俳優さんの誰かにすごく思いいれがあるわけではないんです。セリフをネタに遊べれば面白いと思ってる程度でして…。

だから、この後、お話の焦点が他に移ると、それにつれてご紹介する内容も大きく変わり、構造を説明する要素が揃ったところで、一気にまとめに入ります。

すみません、ガッカリなさるor何じゃこりゃって怒られると思うので、予めお詫びしときます。

ということで、どうかあまり期待なさらずに、本エントリーは中国語・中国史を勉強するときのお供くらいに思ってご覧いただければ幸いです。

それでは、本年もよろしくお願い申し上げます。


Posted by 銀の匙 at 2016年01月02日 03:09
けましておめでとうございます!
なんとか松の内に来られてよかった。
今年もよろしくお願いします☆

さてさて、更新ありがとうございます!
読んでいるとまたDVDを見返したくなるのが困ったものですが(嬉)

雪舞が蘭陵王府を出たのは夜だったのに、なぜか明るくなってもまだ城門の中にいて、しかも半日も後に出発した五爺に容易く町の中で追いつかれてしまうのが、私も前から不思議でしょうがなかったです。
もしかして、蘭陵王府の中と外では流れている時間が違うのでしょうか。

でも、馬を疾走させていたはずなのに、なぜか歩いている町民に追いつかれてしまうってことは、五爺の馬に時空を曲げる能力があるってことかも…あ、フォースか…? そうなのか…?

それにしても、無実を訴えてる町民と大通りを歩いてる町民が同じだなんて、よく気付きましたね。
今度見るときは主役じゃなくてそっちに注目してしまいそうです(笑)

そして、ついに玉佩の持つ意味が明らかになりましたね〜。
最初にお目見えするときは軽〜くさりげなく、まるで特別な意味はなさそうな感じで登場させておいて、そのあとは何度かチラチラと思わせぶりに見せ、さらに直前の蘭陵王府での別れのシーンではハッキリと大きな意味があることを匂わせつつ、でもやっぱり説明はせず、ここでようやく重み(四爺の想いの深さと決意)を悟らせる…。

伏線で焦らされた分、より印象に残りますよね。
うまい脚本だなーと思います。

雪舞以外には妻を娶らないという四爺の決意は、跡継ぎを残さないという王族としては由々しき行為であり、皇帝から間違いなく下されるであろう結婚命令への反逆という命がけの行動でもあるから、すでに相当な覚悟をした上だったでしょうし、四爺としては、やっと雪舞も覚悟を決めてくれたか、くらいの気持ちだったかもしれませんね。

「スター・ウォーズ」関連のエントリーも気になりながら、まだ映画館に見に行けていないので敢えて封印しています。前売り券まで買っているので早く見に行きたいんですけど…。

(おばあさま=ジェダイ説、噴きました。フードをすっぽり被った姿はオビワンというよりもむしろ皇帝っぽいですけど^m^)

1月からまたスカパーで蘭陵王の放映が始まるので、新たな中毒者が生まれるのを期待してます^^
Posted by 銀 at 2016年01月05日 01:24
追伸。
「あけまして」の「あ」が抜けてましたね。
新年早々・・・・(´-ω-`)
Posted by 銀 at 2016年01月05日 01:26
銀さん、あけましておめでとうございます。またもお忙しい年明けなのでしょうか。

いろいろとお忙しい折、ご来訪ありがとうございます。

お声を掛けて頂いて以来、まさか3年またぎのエントリーになるとは…と自分の仕事の遅さが心配になる年明けでございます。

そうなんですよ、雪舞も、特に足止めされてたわけでもなさそうなのに、何のんびりしてるんでしょうね。

蘭陵王府がすごく冷遇されてて、都の入り口から一番遠い場所に配置されてるとしか思えない…。

五爺が追いついたのは、五爺騎乗するところの千年隼(ミレニアム・ファルコン)が、いきなり光速モードに入ったからです(推定)。

ちなみに、中国語版はハン・ソロが韓蘇洛さん、ルークは任天行さん、ダース・ベイダーは黒武士さんと、なんかそのままラブ史劇に移行できそうです。

そしておばあさまは、あっと驚く人物にそっくりなのですが、それは「原力覚醒」いやさ「フォースの覚醒」でご堪能いただきましょう!

それから、蘭陵王がスカパーで1月から再放送とのこと、情報ありがとうございます。

1日1話で「あ」という間に終わっちゃうみたいですね。でも、週に1回でこの密度だったらとても伏線は覚えてられないでしょうから、それでいいのかな。

では、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


Posted by 銀の匙 at 2016年01月06日 00:27
銀の匙さま

あけましておめでとうございます。
関東では、もう松ノ内ではないそうですが、15日まで注連縄を飾ってしまう私。遅くなり、お許しください。
今回も盛りだくさんの濃い内容でどこからコメントしてよいものか、逡巡しておりました。
私がこのブログを読ませていただいて1年にもなるということで、なぜ蘭陵王にはまってしまったか、一因を書いてみます。
先ずは、雪舞が巫族の天女という設定です。
第1話では年甲斐もなく、コロリと騙され(騙されやすいので
なかなか突っ込めない)巫族一団が忍者のように中国にはいたのかとネットを漁り、挙句には銀の匙様に質問してしまいました。
この設定、本当にナイスで、今回もあぶり出しの知識で、みんなを驚かし、四爺を助け出しますものね。

ー大きな香炉、私は暖房用の火鉢だと思ってました。

真面目に考えるのもアホらしい設定を、史実も使いながら利用して、現実味を持たせてゆく?
あらすじなんて考えたこともなかったのですが、最近、どこが他と違うのか、考えるようになってます。
騙されるといえば、私は本当にこの14話で皇太后が現れるまで、フクさんは巫族が出てくる話なのだから、乳母の霊に違いないと、思ってました。
信じやすい質なので、銀の匙さまの解説はいつも目から鱗のことが多いです。五爺が馬車に追いつく不思議など。とても楽しく読ませてもらってます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
松の内の期限、今年はじめて、周りと違うことに気づき昨日の朝、注連縄を外しました。因みに、居住地と違い、私の両親が関西出身です。



Posted by 深雪 at 2016年01月09日 03:39
深雪さん

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

といっても私は旧暦(春節)こそお正月だと思っておりますので(2016年は2月8日)、まだまだ年内の気分(強気)。

ご両親が関西ご出身とのこと、それではきっと古式ゆかしい伝統を受け継いでいらっしゃるのですね。

仕事始めに同僚とお雑煮の話をすると、ほとんど全員違うので驚きます。つまり、皆たまたま東京で仕事をしてはいるけれど、実は出身地がバラバラということなんですが…。

さて、お話の設定にちゃんと乗っかるというのは、とても大事なことだと思うし、それが一番楽しめる見方だと思いますね。

私もフォースはあると信じてるし、ミステリーで予め犯人が分かったためしがありません(「刑事コロンボ」を除く)。

というわけで、私が記事で書いてることは、マジメな内容よりはヨタ話の方が多いので、またいい加減なこと言っちゃってさ、程度に受け流していただければ幸いです。

この先もどっちへ転ぶか分からない本ブログですが、どうぞ引き続き、よろしくお願いいたします。

Posted by 銀の匙 at 2016年01月09日 11:35
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