2015年11月17日

始皇帝と大兵馬俑展

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「大兵馬俑」とか言ってる割に、ちまちました展示だったらどうしよう?とちょっと心配していましたが、工夫を凝らしてスケール感をアップしており、歴史ファンの方にも、美術ファンの方にも、楽しめるであろう展覧会でした。

恐怖の大混雑を覚悟で出かけたら、平日、しかも金曜日だったせいなのか、まったく並ばずすいすい入場でき、拍子抜けするほど空いていて、展示品や説明もじっくり見ることができました。

会期中、金曜日の夜には、特別に8時まで開館している日もあり、ゆっくり観られるので、混雑が苦手な方には特におススメいたします。

会場は大きく2つに分かれており、まずは、兵馬俑の時代背景になった秦の時代を知るための展示が並びます。ここがまず面白い。

最近の傾向なのか、実際に触れたり、遺物の使い方を説明するミニコーナーを設けたり、映像展示があったりで飽きさせません。

たとえば、中国では昔から「玉<ぎょく>」が珍重されているのですが、その原石と磨いた面を触ってみることができたり、薄くスライスして光が透る様子を見せたりと工夫が凝らされています。

竹簡もただ実物がぽんと展示されているだけではなく、どんな風に使ったのかがコーナー展開されています。
竹簡に書かれた文字も、すぐ解読できちゃうのですが...(笑)。ここは秀逸だったので、ぜひご覧ください。

さて、いにしえのハイパー国家・周への憧れから、器物やアクセサリーなどまずは形を真似しようという努力の跡に、涙ぐましいものを感じます。イジワルにも、秦の遺物が周代の遺物と並べて展示してあったりしますが、時代的には古いのに、圧倒的に周のものの方が造りが良かったり...(哀)

それでも、戦国時代を勝ち抜いて周の後継者になるには、なりふり構ってなんかいられません。まわりの国をがんがん滅ぼし、滅ぼした国と同じ宮殿を都の咸陽<かんよう>に建てた、っていう発想自体が何ていうか凄すぎです。

現在、さすがにそれらの宮殿は残っていませんが、跡地を空撮した映像が流れており、そのスケールの大きさに唖然とします。

教科書では、「中国全土を統一した」「度量衡を統一した」「文字を統一した」みたいに、さくっと書いてあることでも、実際にやるとなったらうんざりするような事業であることが、度量衡を統一するための重りひとつを見ても分かります。ま、反対する人なんか埋めたくなっちゃうでしょうよ、面倒くさいから。

と、展示の第一部を見終えるまでにもう1時間くらい使っててビックリ。肝心の兵馬俑はまだ全然出てきません。前菜だけが豪華なレストランみたいだったらやだなぁと思いつつ、いそいそと第二部へ。

途中の吹き抜け部分がグッズ売り場になっていて、ここがまた面白くてさらに30分くらい使ってしまいました。兵馬俑が首に巻いてるスカーフっぽいものからの連想でストール、あたりはまだ笑える部類ですけど、兵馬俑チョコ...兵馬俑紅茶…いったい、展示と何の関係が??(でも、そんなこと言って結局、兵馬俑マステなどを購入してしまいましたわ、自分)

さて、気を引き締めて第二部へ。いよいよ兵馬俑と対面です。その前に、始皇帝陵の西側から出土した、銅車馬が展示されています。

大きさは、ほぼ実物の二分の一サイズで作られているそうで、御者、馬、車とも、実に精巧にできています。一号車の御者は立っており、手前に吊るされている弩も本物そっくりです。二号車は四頭立てで、引いている馬車の中に、人の姿はありません。始皇帝の魂が乗るものではないかという解説がありました。

部屋を出ると、外がスロープになっています。何でしょう、この、徐々に盛り上げようというあざとい演出は...(笑)と思いつつも、すっかり策略に嵌り、スロープの上から見おろすと、おおっ、そこには発掘現場の再現展示が!兵馬俑がいっぱい立ってるッ!

お客さん走らないでください、と注意されそうになりながらも、展示に駆け寄る私。ところどころに一体ずつ、本物の出土品がどーんと展示してあり、本当にすぐ近くまで行って360度じっくり観ることができます。こりゃ、すごい。

歩兵や弓兵、将軍など、いろいろなタイプの俑が展示されています。馬や力士(?)のような像もあり、どれも生き生きとして、今にも動き出しそうです。

結い上げた髪の毛なども、きちんと再現されていました。当時は髪を切らなかったので、かなりの長髪だったと思われますが、三つ編みや編みこみも取り混ぜて上手いことまとめていたんだなぁと感心しきり。

兵士たちは、それぞれポーズを取っていますが、手に持っていたはずの武器なども考証して再現図を掲げてあります。それぞれ、死をも恐れぬ精悍な表情とはいえ、どっかで会ったことあるような感じの顔の人ばかり。21世紀に生まれてたらヤンキーそうだよなーとか、将軍とされる像は、やっぱり頭がよさそうだったり。

立射俑がカッコよくて、じーっと見つめてしまいました。
今回は展示がなかったのですが、映像資料でみた文官俑というのもステキだったです。

場内は撮影できませんが、これまた最近の傾向なのか、写真撮影コーナーが設けられており、兵馬俑のレプリカと記念撮影することができます↑(トップの写真がそれ)。自分は入らずに、レプリカだけ撮影する人も多かったみたいです。

音声ガイドの声は檀蜜さんだとか。中国語講座にゲスト出演してる縁でしょうか。借りてみればよかった。ちょっと惜しかった...。

ちなみに、この特別展のチケットで、常設展示も見ることができます。
もうすでに3時間以上使っていたので、へとへとでしたが、せっかくだからと日本館と東洋館に行ってみました。

国宝のはにわが恭しく飾られていましたが、先ほどみた兵馬俑の迫真の写実性に比べると、だいぶ後に作られたのに、雲泥の差があります。国力、文明のあまりの格差に悲しくなるほどです。

でも、芸術的な表現という角度からすると、21世紀の今となっては、はにわの方が「いまっぽい」ですよね。そんな発見も面白かったので、お時間の許す限り、ぜひ、他館もご覧になってはいかがでしょうか。

2016年2月21日まで
東京国立博物館(上野)
大阪、福岡にも巡回するそうです
公式サイトは→こちら
posted by 銀の匙 at 00:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 展覧会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
銀の匙さま
私も行ってきました。
最終ライブの前日でしたので、上京の口実に使わせて頂きました。
おっしゃる通り、なかなか見応えありました。
我が家に兵馬俑の家人が撮った写真が小さいながらあるのですが、実物大の像(複製)を交え、壁一面の映像は迫力満点。
時間と空間を超える瞬間でもあり、場でもありました。
いろいろ夢想しながら、壇蜜さんの解説入りでゆっくり回りました。解説があると説明を読まないので(時間がかかりすぎる)どちらが良いか?展示物はどれも素晴らしく当時の文明に思いを馳せますね。玉の細工は精巧。
残念ながら埴輪はグッズショップでチラ見しただけです。
行った証拠にミニジオラマとマスキングテープを購入しました。
これを見るまではガラクタにしか見えなかった将軍像など、少しジオラマと一緒に飾りなおしました。
教えていただき、大感謝です。
毎度ですが、風邪ひいてしまいました。ジャパンプレミアム、屋外と書いてありました。多分これではと、察しをつけてますが。
あの14話のためにも凍りませんように。
Posted by 深雪 at 2015年12月08日 11:06
深雪さん

お風邪ですか、毎度って…寒いですし、お大事になさってくださいね。私もかなり調子が悪くて、イベント出席も微妙な情勢です。行かれるかな〜

大兵馬俑展、楽しまれたようでよかったです。檀蜜さんの解説でご覧になったんですね。いつもは全然借りる気ないのですが、今後ばかりは迷いました。レポありがとうございました。

前は大して興味なかったのに、本物を見てしまうと、俄然、本場の兵馬俑も見たくなりますよね。いつか行ってみたいです。

Posted by 銀の匙 at 2015年12月10日 00:22
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