2016年11月27日

湾生回家

台湾で生まれた人のことを“湾生”というそうです。

初めて聞いた...と思ったけど、そういや、香港で生まれた人のことは“港生”っていうんですよね。
確か、ジャッキー・チェン(成龍)の本名が陳港生だったはず。

しかし、この映画の“湾生”たちは日本人。台湾が植民地だったころに親が台湾に渡り、現地で生まれた日本人のことを指します。

本作品は彼ら、台湾を故郷として懐かしむ、老境の日本人たちに寄り添った、台湾の監督によるドキュメンタリーです。

前半、“湾生”の一人が台湾・花蓮の生まれ育った村に帰り、幼なじみの家を訪ねあてると、多くの人はもう鬼籍に入っています。さすがにもうはるか昔の出来事になっちゃったんだな…と思っていると、後半には、日本人の母・清子さんを持つ台湾のファミリーが、寝たきりの清子さんに代わってそのルーツを探すエピソードがあり、清子さんを台湾人に預けて日本に帰ってしまったその母・千歳さんのことをまだ覚えている人が登場したりして、まだまだ歴史のかなたの話ではないと改めて感じさせてくれました。

“湾生”たちはたまたま台湾に生まれただけなのですが、その胸中は複雑であろうことが画面から観て取れます。

敗戦後、見ず知らずの祖国・日本に「引き揚げ」、日本語の発音がおかしいといじめられ、祖国に違和感を覚えながら生きる日々。

“湾生”のふるさとは台湾以外にはあり得ない。でも、いまどきの帰国子女と違って、台湾にいる間は子供だったために意識しなかった、統治者としての自分たちの立ち位置に気づいた“湾生”たちは、ふるさとへの愛を手放しで語るには微妙な立場にいます。

そして、日本で育った彼らの子供たちは、親たちの「台湾熱」に戸惑いを抱いているのです。

そんな中にあって、ふるさとを思う彼らの心情を理解し、寄り添おうとする台湾の人たちの、穏やかで温かいまなざしには本当にホッとさせられます。

自分の狭い経験ですが、今から30年くらいまで台湾では、もっと日本人に対して厳しい見方をする年配の人が多かったし、台湾に旅行に行く人たちの多くが買春目的だったりして、若い人たちにもよく思われていなかったように思います。

月日は流れ、負の面とともに、日本が台湾にとって正の役割を果たした面も、公平に評価すると言ってくれる人たちが現れたことは、ありがたく感じるとともに、なかなかできないことであるとも思います。

そんな友情を仇で返す日が来ないよう、平和を守り続けることの大切さを改めて感じさせてくれる素晴らしい作品です。機会があれば、ぜひご覧になってみてください。

ホアン・ミンチェン監督作品
公式ホームページはこちら
予告編を観るだけで泣けます...。

岩波ホールで観ました。
映画館というより、ホントに、ホールにスクリーンをつけました、
という印象。スクリーンが逆3Dというか、引っ込んだところにあるので、すごく小さく見えます。

前から2列目くらいで観た方がいいかも。

マナーのいいお客さんばかりで、席に余裕があると、
みな、後ろの人に重ならないように座ってます。
だから、観やすいといえば観やすいです。


ぴあ映画生活

posted by 銀の匙 at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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