2016年12月24日

素晴らしき哉、人生!

皆様、メリー・クリスマス!

年明け、似たような邦題で新作映画が公開されるそうですが、こちらは1946年のアメリカ映画。フランク・キャプラ監督作品です。

舞台はクリスマス・イブの夜、アメリカの小さな町、べドフォード。激しく降りしきる雪の中で、多くの人たちがジョージ・ベイリーのために祈っています。星空の彼方(?)でそれを聞いていた天使は、二級天使クラレンスを派遣することに決定。もしジョージを救えれば翼がもらえると聞いて喜ぶクラレンスは、彼がもうすぐ自殺しようとしていると知らされます。そして、助けに行く前に、まずはそこまでのジョージの半生と事のいきさつを聞かされます。

主人公のジョージは弱きを助け強きをくじき、善良で陽気で人懐っこい、アメリカ人の理想のような青年。彼には冒険心も野心も理想もあり、小さな町を出て世界に羽ばたこうとしていました。

しかし、彼の父親が急逝し、義侠心から町の小さな住宅ローン貸付会社を引き継ぐことになります。

町は無慈悲な銀行家、ポッターが支配しており、貧しい人たちは彼の貸し出す粗末な家に住んでいました。ジョージの会社は低利で住宅の資金を融資し、彼らがマイホームを手に入れる手伝いをしていたのです。

決して裕福とは言えないけれど、人のためになる仕事をし、愛する人と温かい家庭を築いて事業も軌道に乗ってきた矢先、同じ会社で働いていた叔父がうっかり、銀行に預けるために持っていた会社の資金8000ドルを封筒に入れたまま、新聞といっしょにポッターに渡してしまうというミスをしてしまいます。

常日頃、ジョージの言動に面白からぬ思いをしていたポッターは、すぐにこの現金の意味を悟り、ここぞとばかり彼を追い詰めます。

クリスマスの夜、絶望したジョージは、周りに当たり散らし、家を飛び出して町はずれの橋の上で、暗い川面を見つめているのでした...。

実は観るまで何の予備知識もなくて、モノクロのタイトルロールが出たのに驚いてしまったのですが、最初の方のシーンが雪の降りしきる夜景や星空と、もともとモノクローム的な世界からスタートし、最初のうちは登場人物(と天使)も声だけなので、全く違和感なく、すんなりとお話に入っていけました。SF好きには、パラレルワールドものとしても楽しめます。

主人公のジョージが、ああっ、ちょっとそこでなぜハッキリ言わないの?!とか、たまには相手に譲ってもらってもいいじゃない、とかじれったいんだけど、聖人君子っていうよりは、若干要領が悪いというか、巻き込まれ型なのが良い子のスーパーヒーローと違ってホッとします。

良妻賢母を絵に描いたようなヒロインのメアリー、忘れん坊で大ピンチを招いてしまうけど憎めない叔父貴などの登場人物や、ローンを組んでも自分の「ホーム」を手に入れることが誇らしかったりする価値観とか、アメリカ映画らしいのも興味深いです。

第二次大戦が終わってすぐに撮られた映画だからか、人の善意とか、勇気とか、復興とかの要素もふんだんに詰め込まれていますが、施しを与え、人を赦し、隣人愛を確かめ、神の恩寵を感じるというクリスマスの意義を思い出させてくれます。

仇役の銀行家・ポッターも、一見、どこまでも憎々しいようではありますが、実は現金の封筒に気づいて咄嗟に、それを返すために叔父を呼び戻そうとするんですね。すぐに思いとどまりはするけれど、そういうところに救いを感じます。

それにポッターさんにも、この後きっと、ディケンズの「クリスマス・キャロル」みたいな奇跡が起こることでしょう…。

田端のシネマ・チュプキ・タバタで観ました。
クラウドファウンディングで創られた、常設のバリアフリー映画館とのことです。
入口からシアタールームまで階段を使わず直結で、車椅子でのアクセスが良いことはもちろん、目の見えない人も映画を楽しめるよう、音声ガイドもあるとのこと。今回のような映画を観るのにピッタリな劇場だと思いました。

上映が終わって、お客さんが映画館の人に良い映画を有難う、とお礼を言ったり、知らないお客さん同士で和やかに話したりしていたのは、プログラムがこの映画だったからということもあるでしょうが、この映画館だからということもあるのだと思います。

出来たばかりで設備も綺麗ですし、音もよく、画面も見やすいです。
17席しかないので、遠くから足を運ばれる方は、入場予約をした方が良いかも知れません↓
(席自体は自由席です)
http://chupki.jpn.org/about
posted by 銀の匙 at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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