2010年08月01日

エアベンダー

お久しぶりでございます。
それでもって「エアベンダー」。何かあまりパッとしないタイトルだなーと思いながら観に行きました。

実は、この映画の予告に「アバター」という言葉が出てきたので、キャメロン監督の「アバター」と混同していたんですが(「アバター」を観ながら、なかなか小坊主が出てこないなーとか思っていた…爆)こちらはシャラマン監督であります。ネット情報によると、タイトルでキャメロン監督に先を越されたとかいう事らしいのですが…。

すでにこの時点で負け犬の烙印を押されたこの映画、今年最高のB級大作「パーシー・ジャクソン」には譲るものの、ツッコミどころ満載度ではそれに次ぐ、ある意味エンタテインメント度抜群の映画です。映画館でツッコミ入れられたら楽しいのに!黙って観てるのが辛いよ!!とジタバタしてしまうこの映画、どうも続きがあるらしいので、何とか公開して頂きたい!ぜひ皆様、お友達と劇場でご覧下さり、終わったあとはツッコミトークで盛り上がってください!

さて、すごくはしょってる観のあるストーリー展開なのは原作未見でもうすうす感じますが、それにしても、ただでさえ長いんだから、もうちょい脇の人物をカットするか活躍させるか何とかしたらいいのに、と外野は勝手に思ってしまいます。原作もののある映画って、これがきびしいところですよね…。

世界が水の国、火の国、気の国、土の国に分かれていて、それぞれ何となくアジアンテイストというか、ジャポニズム入っているところが吹き出しそうになるのですが、あのハンニャの面は何なんだ、とか…でも…シャラマン監督だから許す。

火の国のヘタレ王子が自国の武官にコケにされ、食事中の兵士たちの前で嘲笑されるシーン、どうみてもしょぼい温泉旅館の朝食風景にしか見えないんですが、でも…シャラマン監督だから許す。

劇中重要な役割を果たす、ある高貴なものも、どうみても近場の温泉にある日本庭園で見かけたとしか思えないんだけど、でも…(以下同文)

シャラマン監督にインタビューできたら、そんなに温泉旅館がお気に召しましたか?と、聞いてみたいです(笑)。

登場人物はいちおう人種混合になってますが、悪役の火の国だけはインド系のキャストで固めているところにはシャラマン監督の見識を感じるけど、この点は否定的な意見が多いみたいですね。

話の進行上配置された、とってつけたような登場人物の多いなか、悪役なのに心優しい?ズーコ王子や、スゴイのかそうじゃないのか良く分からない叔父上、最後にちらっと出ただけでインパクト抜群の王女様など、火の国のキャラクターはなかなか、味があるんですが…。

アン少年があまり大きくなってしまわないうちに、続編よろしくお願いします。
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2010年03月18日

アバター

関係者の皆様には申し訳ないですが、当初この映画を観るつもりはまっっっっっっったくありませんでした。映像がキレイなだけの3D映画なんて(そしてウワサによればストーリーは涙が出るほど陳腐で)、ましてや、静止画像ではキレイとも思えない映画なんて、そして、興行収入第一位の映画なんて、わざわざ観てどうする?(←すごい偏見)

ところがぎっちょん、普段はSF映画しか観ない友人知人が口を揃えて、とにかく観ろ観ろと言うんですよ(話は期待しない方が良いけど…と必ず付け足すのまで同じ・笑)。見巧者にここまで言わせる映画がどんなものか、ちょっと心が動きました。

それに、ここだけの話ですが、私は同じ監督さんの『タイタニック』がとても好きなんです。これを告白すると微妙な反応を示す方が多いんですが、作り手の情熱がひしひしと感じられる執念深そうな作品という点で、良い映画だと思いません?(そういや、話は期待しない方が良いのはあの映画も同じか…)

そういう訳で、前置きが長くなりましたが、まるで騙されたような気持ちで、映画館に座っていたのです。

最初の10分くらいは、飛び出してくる字幕(も3Dとは迂闊でした。しかも、言うも名を憚るあのしとの字幕…)とズリ落ちてくる立体メガネ、ガンダムとエヴァを無断転載してるような映像(正確に言えば、日本がオリジナルって訳でもないんでしょうけど)が不快で不快で、こりゃ先が思いやられると暗澹たる気持ちにおそわれましたが、3Dアニメ(と言っていいんでしょうか)中心の映像になった途端に、その辺はすっぱり、忘れてしまいました。

これでもか、これでもかと、お得意の執念深さを発揮して作り込まれた映像は、確かに一見の価値があります。ゲーム画像が大きくなったくらいのレベルを考えていましたが、そんなチャチなものではありませんでした。

デジタルアニメは実物に近づけば近づくほどキモチ悪く見える…とはよく言われる事ですが、そこを逆手に取って、「実物」を参照しようがない世界を作り、画面に出したあたり、実に心憎い戦略であります。

映像美を心ゆくまで堪能し、ああ、あっという間に終わっちゃったなー、遊園地のアトラクションみたいですごく面白かったーというのが正直な感想であります。で、観てない人にせっかくだから映画館でやってるうちに観なよ〜というのが口癖になってしまいました。

で、推薦の辞はここまでなんですが、せっかくエントリーしたので、話の中味についても、少しは触れようかと思います。
以下、ストーリーに触れています
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2010年01月12日

のだめカンタービレ 最終楽章 前編

音楽モノ鑑賞が続いておりますが、今回は「のだめ」でございます。

今だから告白しますが、先々月まで玉木宏と玉置宏を素で間違えてたんで、アレコレ言う資格は全然ございません。お正月休みにテレビドラマ版のDVDをまとめて見て、すっかりファンになりました(ちょっと出だし遅すぎ)。(ここのとこ、期待して見た日本のテレビドラマの安っぽさに悉く裏切られて辟易してたので、許してください…)

逆に、時間差がなかった分、ドラマの続きとしてすんなり見ることができましたが、いきなりこの映画を見た人は、何がなんだかわからなかったでしょうね。登場人物の名前すら把握できないと思います。業界用語も遠慮会釈なく使われていますしね(応援のために駆り出してくるエキストラ楽団員のことを「トラ」って言ったりとか)。でもたぶん、演奏シーンがほとんどだったのでそこそこ楽しめるんじゃないかとは思いますけど…。

ことばのギャグから音楽のギャグまであれこれちりばめてあって笑わせて頂きました(「また呪文みたいな名前の料理」というのがツボだった)が、なんと言ってもハイライトはベートーベンの「第九」ですね!そう来るか!!っていうか、これから聴くたびに、客席を埋め尽くした白目剥いたウサギが、力の限り合唱しているシーンがフラッシュバックしそうで怖いです…。原語で歌ってて字幕は出ないけど、歌詞もちょうどシーンにピッタリの内容(「歓喜よ!魔法が、厳しく切り離された我らを結びつける」の部分)なんで、余計おかしかったです。

音楽映画で一番腹が立つのは、演奏シーンで音楽をブツ切りにされることなんですが、この作品はその辺の処理のうまさが際だってるように思います。コンサートのシーンではチャイコフスキーの「序曲1812」を相当長尺演奏してますし(この曲、フランスの侵攻に耐えて起ち上がるロシアがモチーフなのに、〈フランス国歌がだんだんしょぼくれていくフレーズもバッチリ入ってるし〉フランスのオケ、フランス国内で演奏するとは良い度胸…と思ったんだけど今は関係ないのかしら??)。

あと、全然本題とは関係ないんですが、この曲の終わりが急にレコードの回転数が落ちたみたいな音になってません?気のせい?あるいは、そういう曲なんでしたっけ?どなたかご存じの方、教えてくださいませ(「1812」を聴くと条件反射で「V・フォー・ヴェンデッタ」を思い出すように刷り込んだウォシャウスキー監督をにくむぅ)。

ちなみに、劇場で売っていた「ピアノミニアルバム のだめカンタービレ最終楽章」っていう楽譜があります。劇中使用曲を短いピアノ曲にアレンジしていて面白いので買ってみたら、「1812」も入ってました。えっ、ピアノでどうやってあの大砲の音を…?って思ったら、楽譜の該当部分にちゃんと「床を踏みならして大砲の音を表現してみましょう」と入ってました…ナイス。

ということで、音楽映画としては十分面白かったんですけど、ドラマ部分に関しては、前々からちょっと引っかかってるところがありまして…。ほとんどどうでも良い続きを読む
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2010年01月01日

THIS IS IT

皆様、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

さて、1月1日は映画の日。今年の初鑑賞はマイケル・ジャクソンの「THIS IS IT」と相成りました。

この作品、去年秋に2週間の期間限定で上映されたのですが、あまりの人気に再上映が決定、それでも見られない人続出で、ついに再々上映となったようです。私も2回とも全然入れなくて諦めてたクチだったので、今回の再々上映が本当にありがたかったです。

それにしてもそこまで混んでるなんて、日本人は期間限定モノに弱いのか、日本にそんなにマイケルファンがいたのかな…とちょっと感慨を新たにしつつ、劇場に行ってみると、60代以上と見受けられる観客が多くて驚きました。

山田洋次監督の映画と間違えたんじゃ?

いえ、皆様どうも映画の評判を聞きつけていらしたらしいんですよ。

内容としては、マイケルが今年開催するはずだったコンサートのリハーサル風景とメイキングのビデオをつないで作ったものなので、観客はいないものの、ほぼコンサートのドキュメンタリーのようなものです。

しかし、リハーサルはあくまでもリハーサルなので、衣装もないし、演出も話に出てくるだけで、コンサートそのものは観ることができません。

じゃ、何を観るかって?

マイケルですよ、マ イ ケ ル。

とにかく彼はすごい。
こんな陳腐な形容詞しか出てこないのがもどかしい。

以下、映画の内容に触れています====================

冒頭、ベーシストにどんな演奏が欲しいか説明しているシーンがあるんですが、そこから感心しっぱなし。もっとファンキーに…といいながらベースラインをベース風に歌ってみせるんですけど、マイケル、この際、その調子でバックバンド全部、口三味線(?)でやったらどうなの?と思っちゃうくらい。たった数小節でもこのリズム感、このグルーヴ、まさにブラックミュージックの本懐。

「ポップの王様」、キング・オブ・ポップの称号通り、ファンとは言えないレベルの私でも映画で流れた曲は全部知ってたくらい、キャッチーで覚えやすく、親しみやすい音楽路線でしたけど、その底にあるのは強固な黒人音楽の伝統なんだなあと感じた瞬間でした。

ジャズにしろロックにしろ、今の音楽は何かしら黒人音楽の遺伝子を受け継いでいるのだとすると、黒人音楽のエレメントをふんだんに持っているマイケルの音楽には、始原とつながる、どこかとても純粋なものを感じます。

そしてダンス。この映画で初めて彼のダンスを見たんですけど、私のようなど素人にも一目瞭然なほど、バックダンサーとは全然ダンスの質が違います。

オーディションのシーンがあるのですが、選考基準はマイケルと一体となって踊れて、しかも華のある人。だとすれば選ばれた人のダンスは限りなくマイケルに近いはずなんですが、同じステージにたつと、三輪車とポルシェ以上の差があります。

もちろん、真似して踊ればオリジナルより劣化が避けられないのは当然ですが、この差は一体何なんでしょうか。

バックダンサーは振り付けを踊っているけれど、マイケルのは音楽が身体の動きになって現れている。私に言えるのはここまで止まりなんですが…。

いま彼のダンスを観る人は、あれで50歳!あんなに切れる動きで信じられない!という印象しか持たないかもしれないけれど、マイケルが指一つあげられないほど老いたとしても、彼の身体は音楽を語るでしょう。そう感じさせる動きなんです。

小さい頃からエンターテイメントの世界で揉まれてきた人だからか、何か頼むときに腰が低いのも印象的でした。言葉のはしばしに、相手にとても気を遣っているのが伺えます。そうしながらも、出す指示は非常に的確だと思いました。曲のテンポ、コード進行、キーの高さ…がなぜそうなのか、完成品だけ聞いていると「感じる」ことしかできませんが、マイケルが出す指示に、どのような狙いでそれらが決定されているか、かいま見ることができます。その意味でも貴重な記録です。

興味深かったのは、キーボードの人とのやりとりで、演奏をCDと同じにしてくれと言っているシーン。お客さんが何を望んでいるか、さすが、良く把握しています。

ああ、本当にこのコンサートが開催されなかったことが悔やまれてなりません。せめて、世界中の人がこの記録を観たことで、彼の芸術がいっそう愛されることを祈るばかりです。
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2009年01月01日

WALLE ウォーリー

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

さて、1月1日は映画の日。毎年恒例で映画を観るようになりました。今年は、予告を観て以来ずっと気になっていたピクサーの「ウォーリー」を観ることに。

劇場は日比谷宝塚の隣にある、日比谷スカラ座です。

元旦ということもあり、大きな劇場にお客さんはまばらでしたが、豪華な映画館でゆったり映画に浸れて、なかなか良いお正月になりました。

昔懐かしい「ショートサーキット」を彷彿とさせる、ちょっとアナログなゴミ処理ロボット「ウォーリー」(再起動の音声がMacの起動音なのでドキっとするんですけど…)。誰もいないゴミだらけの地球で今日もけなげにお掃除に励んでいると、突然、宇宙船からiMacっぽいつるるんとした未来形ロボットが現れます。

好奇心旺盛なウォーリーは早速近づいてみるものの、新型ロボットがカラミティ・ジェーンかよ?な抜き撃ちの早さであちこち破壊しまくり、ビビるビビる。それでも、持ち前のけなげさをここでも発揮して、この猟奇的な彼女とお近づきになるのですが…。

観るべきものは、まず背景。
ゴミの舞い散る地上の様子から、ゴージャスな宇宙船での描写まで、汚しもバッチリ入って圧倒されます。もはやセットなのか絵なのかわからない域に達しており(というか、映画撮影でセットなんて、もう使わないのでしょうか)、現実味にあふれています。

それでも、キャラクターや画面全体の動かし方にはアニメーションらしい部分が残っており、そのあたりの匙加減が絶妙です。

宇宙船内での描写などにほんの少し、ブラックなテイストを滲ませてみたり、誰もいない地球に(「感染列島」の予告を観た後では特に)ちょっと怖い感じを匂わせたりはするのですが、そこはアメリカ映画なので、ストーリーはあくまで楽天的な方向へ進んでいくのであります。

制作陣が意識してるかどうかはわかりませんけど、相手が名乗ったら自分の名前も必ず言うとか、相手が通ろうとするときは道を空けるとか、アメリカの良き伝統が未来社会にも受け継がれてるのはなかなか嬉しいですね。

ただ、お話の赴くところもいかにもアメリカ風で、こんな具合に円満解決になるのが本当に良いのか、ちょっと疑問に思ってしまいました。子ども向けだしフィクションだとはいえ、ひょっとしたらアメリカの人って環境問題とその解決法をこんな風にとらえてるのでしょうか。だとしたら、それはちょっと怖い…。

日比谷スカラ座は、かなり広い劇場で音響もなかなかです。ただ、真ん中の通路前後の席は、ぴあのリザーブシートとプレミアシートで占められており、それ以外で見やすい席というと、プレミア席の真後ろの2、3列しかないので、通常はあまり嬉しくない劇場かも知れません。

しかし、本日は映画の日!プレミアシートは一般客にも開放され、見やすい席でゆったり鑑賞でき、本当におトクでした。
posted by 銀の匙 at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月01日

トロピック・サンダー 史上最低の作戦

ハ〜イ!皆様ご無沙汰でございます。
やっぱり見に行きました「トロピック・サンダー」。

ベン・スティラー、ジャック・ブラック、ロバート・ダウニー・Jr.を主役に揃え、映画(と映画スター)をコケにしまくるこの映画、せっかく戦争映画がネタなのに、そこを茶化さずに「映画産業」を茶化す止まりなところに限界も感じますが、そんな内輪受けがかなり笑えてしまうあたり、果たしていいのか悪いのか…。

役者が役者に扮してるため、公式サイトには「主演俳優」たちの公式サイトまで用意されてるというバカっぷり徹底ぶり。

撮影開始たった5日で泥沼状態の超大作戦争映画「トロピック・サンダー」。ワガママばかりの俳優たち、英国人の映画監督(←という時点ですでにダメの烙印が押されているのが笑える…どうせお偉い舞台監督サマなんだろ、みたいなこと言われててお腹よじれそう)、サイテーな脚本と、もう映画の完成は風前の灯火に。

しかし、そこで起ち上がった独りの漢(おとこ)@ウソつきによって、ついにクルーは本物の戦場に投げ込まれることになってしまうのであります。

全編やりすぎな曲者出演者オンパレードの中でも、特にスゴイのがトム・クルーズ。完全に他を圧倒している。誰か彼に座布団3枚、いやオスカーを上げてください。

ぜひ効果音ばっちりの劇場で見てください。ただ、一緒に見に行く人を選ぶ映画かも知れません。コメディだと思ってナメてると、ロケット砲でぶっとばされちゃいますよん。時事ネタっぽいのも入っていましたが、その辺は相当ブラックでしたしね…。
            +     +
あ、そうそう、ファミリー映画じゃないですよ。グロ攻撃に耐えられる方のみご覧ください。

グロ攻撃って何よ?と思われた方、まずは、このページのウェブ用プロモを見て、大丈夫そうだったら行ってみて下さい…あ、これを見てイヤになった方、ここまでひどくはありません!お友達に誘われたら行ってあげてください!
posted by 銀の匙 at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月28日

崖の上のポニョ

コンビニの入り口で「これ見たい!これ絶対面白いよ!」と連れが騒ぎ出すので(アンタ一体いくつ?)指さす先を見ると、そこには「鉢かづき姫」みたいなポスターが…。最近世間のことに疎かったのでうっかりしてましたが、そういや「ポニョ」ってもう上映されてたんですねー。ポニョポニョというよりコリコリとおいしそうな絵に釣られて、そのまま映画館に直行しました。

何だかんだいって、宮崎駿作品はすべて劇場で見てる私。今回は子ども向けと聞いていたのでやめとこうかと思ったのに、結局見る羽目になるとは…。

今回まずびっくりしたのは、背景が色鉛筆みたいなもので書かれていることです。動くものはセルに描かれているため、最初はちぐはぐな感じがして慣れませんでした。崖の上に立っている家なんて、嘘っぽすぎると思ったものです。でも怖ろしいことに、だんだん気にならなくなってくるんです。

次にびっくりしたのはポニョの名前ですかね。え、ポニョじゃないの?って、それ、あだ名(?)ですから。本名は違いますよ。奈良美智の描く憎らしい子どもみたいな顔してるくせに、本名
ブリュンヒルデって、どこが?

まあその三白眼の憎らカワイイところが何とも言えませんで、おさかなのポニョにはすっかり参ってしまいました。バケツの中でぐるぐる泳いでるところなんか、宗介くんじゃなくたってノックアウトです。
しかし、いくらアニメだからってあんなに形状が変わっちゃって、同じポニョだって子どもはわかるのかなー?

それに、大人と致しましては、ポニョが口を利くようになるとそこまでカワイイとは思えなくなるんですよね。ずっとしゃべらないままの方が良かったんだけど、子ども向けならしゃべらないとダメかな…。感情移入できないもんね。あ、トトロはしゃべらなかったですが。

結構派手でスペクタクルな場面も多いのに、全体としてはそれほどエキサイティングな印象ではないのは、どこがヤマ場かあまりハッキリしないせいでしょう。リサを捜す宗介とポニョの場面がストーリー的にはヤマ場のはずなんですが、絵的なヤマ場は嵐の中をリサが家に戻ろうとするシーンと、ポニョが宗介に会いに来るシーンなので。

それにしても、周りで見ている子どもたちの反応は熱烈なもので、エンディングの歌はすぐに覚えて一緒に歌っていました。大人が見て面白いかどうかは人によると思います。お話が単純でも動きの面白さに反応する人なら、相当楽しめることでしょう。

それから、大人的な見どころとしては、宗介とポニョを取り巻く大人たちの反応でしょうね。旦那さんが帰って来なくてふて腐れても、いきなり妙な女の子が現れても、すぐにさらっとして子どもの思いを受け止めてあげられるのは素敵ですけど、なかなか現実には難しいだろうなあ…。

新宿ピカデリーで見ました。
今月新装なったばかりのピカピカの映画館です。
バルト9につづくシネコンで、一番大きなスクリーンの部屋でした。
ただ、大きな劇場にありがちの欠点で、スクリーンに近い席は非常に見づらいです。見やすいのはNOPあたりでかなり後ろの方。前の席との段差は大きく取ってあるので、前の人の頭は気になりません。
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2008年07月12日

HOTFUZZ ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン

hotfuzz.jpg

面白いだろうとは思ってましたが、こっち方向に面白いとは思ってなかったので、かなり意表を突かれました。

この夏観る映画が決まってない方は、コレです!イチオシ!
でも見終わったあと汗かいちゃったので、涼しくなりたい方にはあまりお勧めしません(タイトルからして、そんな人はいないか…)

どういう訳だか、私は勝手にこれをおバカ映画だと思って見に行ってしまいましたが、ニコラスの言葉を借りれば、「ちょっと違う」ですね。おバカ映画の方でも、こりゃちょっと違うんじゃないの?と言いそうです。

何でおバカ映画じゃないか説明しろって言われても困るんですが、第一、おバカ映画といえば、主役がまずおバカなことが必要条件だと思うんです。けれども、この映画の主役、ニコラス・エンジェル巡査はスーパーエリート警官で、彼自身は至ってマジメでマトモな人なんですよ。変にマトモ過ぎてすべってる訳でもなし、なかなかナイスなキャラなんです。

彼がきちんとしてるので、スプラッタになろうがランボーになろうが、映画全体に品があるんですね。宣伝ではコメディになってましたけど、セリフ回しやなんかが多少笑えるというくらいです(私が一番笑ったのはエンドロールの「スペシャル・サンクス ギレルモ・デル・トロ」だったくらいなんで)。

そこがちょっと食い足りない人には「テネイシャスD」でも見て頂くとして、この映画では始めちょろちょろ中ぱっぱの意外な展開をお楽しみください。ぼけっと見ててもいくつか気づきましたが、相当いろんな映画のパロディが入ってます。それもこの映画の中なりの必然性がある(…ないのもあったけど)ので、イヤミがなくて良いです。

第二に、映像が非常にスタイリッシュであることが挙げられます。わざとカッコつけて笑わせようとしているのかと最初は疑っておりましたが(謎)、いちおう本格的なクライムストーリーなんですねー。最初のゆるさ加減が信じられないほど、後半は盛り上がります。この映画、先に内容を知っていると面白さ半減なので、ここではストーリーについては触れません。公式サイトの予告編は見ないことをお勧め致します。

こういう話を見ると、ああー日本でもありそうだこれー(優秀な人をよってたかって左遷してみたり、どこが公共だかわからない公共の福祉を優先してみたり、あらゆる意味で)と思ってしまうんですが、ムチャクチャなようでディテールにかなりの真実味があるのが怖いです。

そういえば、邦題の「俺たちスーパーポリスメン!」ですが、これはいけません。アングル巡査に…もとい、エンジェル巡査に「ポリスオフィサーだ!」って直されてしまいますよ。すかさず「ポリスメンオフィサー」って言い直しておいて頂きたいものです。

新宿ジョイシネマ3で見ました。こちらはヒューマックス系の劇場のようです。客席は比較的新しく、十分な段差があって前の人が気になりません。たぶん、どの席でもそれなりに見やすいのではないでしょうか。臨場感を重視する方は、席とスクリーンの高さが同じくらいのF〜Iあたりがお勧めです。

今日の感じでは、渋谷よりは空いていると思います。まず窓口で回を指定します。回数の指定だけで、座席自体の事前指定はありません。
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2008年06月29日

アルティメット・エージェント−タイ式シネマ☆パラダイス

なんとか滑り込みでタイの映画祭に間に合いました。せっかくだから「キング・ナレスワン」とか見ればいいものを、バカ映画とお墨付きの作品を見てしまうあたり、いかがなもんでしょうか…。(あんなに「マッハ!」の予告編に魅せられておきながら、疲れてて見られなかったことをいつまでも根に持ってるらしい)

で、なんかどっかで聞いたようなタイトルのこの映画、なんと好評につきシリーズ第2作目らしく、開始しばらくは2作目だからわかるよね的な雰囲気。こっちは何が何だか全然わかんないんですけど、(たぶん)お約束なギャグが炸裂してるのね…?と推測しつつ観賞。スゴいアクション映画という噂だったのに、ユルユルな感じ。

主役のカムラオは動作がどっかモタモタしてるくせに異様にカッコ付けてて笑うに笑えず、飛び越さなくても良い車をよっこらしょ!っという感じでバイクで越えたりして、ああ、お疲れさん!南国でアクションは疲れるよね、と観客(私)の同情を買う始末、香港映画のタチの悪いパロディみたいだと油断しておりましたところ!

そのユルいカーチェースがどんどんメチャクチャなことになっていくのであります。前の車を突き飛ばしたり自分がヨコになったりは当たり前、プロパンガスのボンベは飛んでくるわ、ミサイルは飛んでくるわ、作品説明にある通り、マジで撮影中に死人が出てないかこっちが心配になってきます。

ストーリーとアクション場面のインフレっぷりたるや「少年ジャンプ」も真っ青、かと思うと、主役が歌い踊るシーンもバッチリ用意されているのが如何にも東南アジア映画。こんなメチャクチャのくせに、歌い踊らなきゃいけない合理的(?)な理由があるのが、いきなりミュージカルシーンになっちゃう香港映画とはひと味違うところであります(そんなこと褒めてどうする)。

私はタイの事情に詳しくないので良くわからないんですけど、俳優さんが大体平均的に同じ民族の人って感じじゃなくて、いかにも土着の人っぽい感じの人からインド系っぽい人、チベット系っぽい人、中国系っぽい人などバラエティに富んでるのが興味深かったです。

おススメですか?と聞かれればそこはかなり微妙ではありますが、タイに詳しいお友達と見たらいろいろ楽しめそうだとは申しておきましょう。そして、この映画で一番笑えたのは、実は公式HPのこの宣伝文でだったりするのでした。まさに、この通り…。

メタボな身体ながらトニー・ジャーの向こうを張るアクションを見せたマムことペットターイ・ウォンカムラオ。そんな彼が微妙に冴えない身体の動きでアクション映画を初監督・主演したのが、前作『ダブルマックス』(04)(英題「The Bodyguard」)だ。ムリ、ムダ、ムラの多い動きとあくまでアクションを真面目に演じる三枚目のヒーローに、観客は大爆笑。四角い顔のシークレット・エージェントは、一躍タイで有名なキャラとなった。あれから3年。満を持して、そのパート2が登場。ぎこちないマムのアクションはそのままに、よりハチャメチャで痛快な内容に仕上がったのが本作だ。やたらと火薬の多い爆破シーンや死人が出ていないかこちらが心配になるカー・アクション、唐辛子のようにピリッと効いたトニー・ジャー(特別出演)のアクションもお見逃しなく!

シネマート六本木
7月11日まで。
全席入れ替え制で、入り口で座席を指定する方式です。
チケットぴあでは当日でも買える1回券が発売されててオトク。
posted by 銀の匙 at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月26日

デイ・ウォッチ

daywatch.jpg

今年のゴールデンウィークはあまり見たい映画がないのでちょっと寂しいです。「魔法にかけられて」上映前の予告でやってたピクサーの新作、「WALLE/ウォーリー」が良さそうだったですね。いつやるんだろう?

そういうわけで、見たけど感想を書いてなかった作品について、覚え書きを書いておくことにしました。今回はロシアのハイパーアクションSFダークファンタジーVFXバンパイアアザーズ魔女超能力娯楽映画、「ナイト・ウォッチ」の続編(何なんだ)。

前作がとても良かったので(感想はこちら)、続編を首を長くして待っておりました。

ようやく上映となった本編、仕事の都合でなかなか見られず、最終日直前にようやく見ることができました。期待に違わぬ素晴らしい作品で、何で新宿のこんな場末の映画館で(ごめんね)、数人の観客と一緒に見ているのだろうと悲しくなってしまいました。

いつか日本でも再評価されて、あちこちで上映されることを心から願います。画像は、パンフレットですが↑、将来への投資として(ウソウソ・笑)買ってみました。それにしても中味のないパンフレットですね。こんなことまで悲しいよ〜。

まずは、ロシア映画ならではの映像美が見物です。舞台がモスクワの夜が中心だった前作から、昼の光景や中央アジアへと広がったことで、さらに魅力がアップしました。物の動き方、背景の処理なども、ハリウッド映画を見慣れた眼には新鮮に映ります。

そして特筆すべきはおねーちゃん達がキレイなことですね。金髪で北欧美女っぽいスヴェータ、小粋なパリジェンヌのようなオリガ、黒髪に大きな瞳を持つエキゾチックなアリサとバラエティに富んでます。この美女達を使って、どう見ても監督の趣味?としか思えないサービスシーンがあるのもご愛敬…。

それに比べると男性キャラは(イゴール少年を除き)おっさんばっかりですが、こちらの渋さときっと舞台で鍛えたな…って雰囲気も、ハリウッドじゃ真似できないメンツですね…。

脇を固めるキャラも、いかにもロシアっぽい雰囲気を醸し出しています。お気に入りなのは、いきなりどっかから登場し、協定違反者を獄につなぐ、杖をついた双子の裁判員(?)であります。やってることは誠に冷酷というか、機械的なんですけれども、キャラとしてみると生活に疲れたスターリンみたいな、ロシア的哀愁が漂っております。

光と闇の世界の住人たちが、互いの均衡を保つため、協定を作り監視(ウォッチ)する、現代のモスクワ。闇を監視するナイト・ウォッチャー、アントンは、自ら闇の世界へ追いやってしまった息子かわいさから、闇の王の奸計に嵌ってしまいます。

それは一人アントンの危機のみならず、世界の崩壊を招く出来事だったのですが…。

相変わらず、時間軸やエピソードが錯綜しているところへ、情報量の多い映像が被さるため、混沌としている映画です(お話は割と単純なんだけど)。光側、闇側、光と闇の間の異種たちの情愛を織り込んで、物語は切なく展開します。

彼らは、失ってしまった愛を取り戻そうと、あるいは失いかけている愛をつなぎとめようとして罠に落ち、はかない希望を、運命を書き換えることのできる一本のチョークに託そうとします…。

映画を観ながら、このチョークがあったら自分は何を書き換えるだろうかと考えてみるんですけれど、何も思いつかないんですよね。いま非常に満足しているという訳ではないんですが、ある一つの出来事を書き換えれば、全てが変わるとはとても思えないし、そこを書き換えたところで、結局は同じ結果になるだろう、とわかってしまうので…。

この映画の結末は、まあ、さもあらんと私には非常に納得がいったんですけれども、映画が終わったあと、観客が話してるのを聞くとどうも意味がわからない人がいたみたい。そんな、わからないようなエンディングかなあ…??

さて、この映画をちょっと見てみたいかなー、と思った方は、こちらの公式サイトをどうぞ。パンフレットと違って(泣)力が入ってます。前作「ナイトウォッチ」の高速配信ってコンテンツが秀逸。
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2008年04月22日

ジャンパー

janpa.jpg
3月〜4月にかけて見た映画は結構「あたり」だったのに、感想を書くヒマがないままに時は過ぎ、ああ、もうこの映画も上映終了間際じゃないですか…。

SF大作は、いかなホームシアターとて迫力不足になるのがオチですので、気になる人はできれば劇場に見に行ってください。

というわけで、「ジャンパー」ですが、何だかとても評判が悪いみたいですね。どうしてなんでしょう?私には大変面白かったんですが…。

命の危険に直面した時、瞬間移動の能力に目覚めた少年・デイヴィット。律儀にも、フツーの小市民がこういう力を手に入れたら何をしでかすかを一から十まで再現してくれる男なのが気に入りました。

だって誰にも気づかれずに何千キロも移動できるんですよ!そりゃ、隣の部屋にある冷蔵庫の飲み物を取るのに、テレポートしちゃったりしますわな。

あの「ダースベーダー」アナキンの役が染みついてしまったのか、主役のヘイデン・クリステンセンが何をやっても必要以上にダークな印象を与えてしまうのでマズかったのでしょうか。

それとも、「ジェダイ・マスター」とまたもや宿命の対決を始めたのがマズかったのか?

それはともかく、なんでこんなことになってるのか、一体どうしてこんなことが出来るのかなどの説明は一切なく、(後半にちょっと解説がありますが、あんなの説明にもなっていない)、観客はデヴィッドと同じ困惑にいきなり投げ込まれてしまうわけです。

そこへ、ジェダイ・マスターが襲ってきたら、そりゃ逃げるっきゃないでしょう!他にどうします?

かくして、地球をまたにかけた鬼ごっこ&破壊活動が展開するわけであります。もうストーリーとか何とかそっちのけで、とにかく忙しい。監督さんの前作「Mr.&Mr.スミス」を彷彿とさせます。

しかーし!私のハートをわしづかみにしたのは、主役のヘイデン君ではございませんでした。いきなり途中から登場する、さらに切れてるキャラ、妙な英語をしゃべるこのグリフィン君に、視線はクギづけです。ヘイデン君に輪をかけてオレ様だけが大事なこの男、何だかどっかで見たような気がする。一体、誰だったっけ…?

結局最後まで彼の名前が思いだせず、終わってからチラシを見てようやくおおっ!とナゾが解けた次第(名前は伏せますが、かなり驚いた)。いやー、最高でしたね。イギリスのその辺にいるチンケな若者というイメージにピッタリハマってました。この映画、見て良かったと思えたのも、彼のおかげが大きいです。

さて、これまでバッドマンとかスポーンとか、ダークヒーローが主役の映画は数々ありましたが、ここまでジコチューな連中が主役な映画もそうそうないんじゃないでしょうか。たぶん、受けなかった一番の原因はそこだと思うけど、でも考えてみてくださいよ。

たぶん、同じ境遇だったら、世の中の80%くらい以上の人たちが、デヴィッドやらギリフィンやらと同じような情けない行動を取るんじゃないでしょうか。等身大の主人公とかいうけど、ここまで綺麗事じゃないリアルな人物像ってあまりなかった気がします。

神ならぬ身で神のごとき能力を持つ彼らジャンパーに憤り、彼らを狩る、「正義の味方」?も登場しますが、そういった存在も、いかにもありそうでちょっと怖い…。私はこの映画の続編、かなり見てみたいです。

あっちこっちで突撃ロケをしたそうで、東京のシーンもあります。
渋谷の街中を歩いて角を曲がったら次のカットが銀座だったんだけど(笑)、カメラまでテレポート能力を身につけたのか?
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2008年01月02日

俺たちフィギュアスケーター

皆さま明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、毎月1日は映画の日。1月1日も例外ではなく、誰でも1000円で観られるので、ここのところ例年、元旦は映画を観るのが吉例となっております。初笑いを兼ねてコメディをということで、チラシで気になっていたこちらの映画を観て参りました↓
何と言ってもこの宣伝コピーが良かったですね。
「氷が溶けるほど暑苦しい」

まさに、その通り!
bokutachi.jpg

都内は単館上映のため、初日2日目に行った友人は満席で入ることができず、別の…名前は忘れたけどゾンビ映画を観たそうです。周りには明かにコメディを見に来たはずがアテが外れた観客でいっぱいだったとか。可哀想に、上映前にラブラブだったカップルも、映画館を出るときは無言だったそうな(あ、名前を思い出した。「アイ・アム・レジェンド」でした)。

で、この映画ですが、はい、大丈夫!デートで御覧になってください。笑いのツボが一緒なのって大事ですよね。それに新春にふさわしく、おバカでハッピーエンドですので、お正月映画としてもぴったりです。

お話はチラシを見れば一目瞭然ですので(そうなのか?)ネタバレはやめておきますが、けっこう驚いたシーンが3つありました。

一つは、主演の一人、ジョン・へダーが突然***をし??るシーン、もう一つは倉庫の段ボールに新鮮的魚(たしか)と書いてあるシーン(なぜ?)、もう一つはエンドクレジットの「使用している音楽」に***のナショナル・アンセムが登場したところです(この音楽が使われてたはずのシーンは爆笑ものではありましたが…実は初めて聞いたかも)。誰に許可取ったんでしょうか?

いちばん笑ったのは、いきなり「フラッシュゴードン」がかかるとこですかね…。

このシーンに限らず、日本の映画館としては珍しいほど、あらゆるシーンで全館大爆笑でした。

それにしても、別に熱心なファンでもないのに、ナンシー・ケリガンだのサーシャ・コーエンだのクリスティ・ヤマグチ(セリフの中に登場)だの知ってたのが自分でも意外。やはりフィギュアって注目されるスポーツなんだろうなあ…。それだけに、ドロドロした裏舞台があるのでは、と勘ぐりたくもなってしまいます。本作もそのあたりを匂わせる(少女漫画のヒロインいじめ風だけど・笑)描写があったりします。

カウボーイ風の振り付けとか、ラスベガスまがいの派手なショーアップなんかをネタにしているのも、余裕の笑いですよね。(本当にあの手の振り付けが好きなアメリカの人って多そうな気もしますけどね…)。

公式サイトはこちらです。

渋谷のシネマGAGAで観ました。前は別の名前だったと思うけど…(そういえば、先日ここで「アフロサムライ」を観ましたな)ここのチケット予約はブースが1階にあり、席も予約できる利用者本位なシステムなのが嬉しいです。座席に荷物かけがあるのもありがたいですね。前後の列とはかなり段差がありますので、落ち着いて鑑賞できます。見やすさから言えば、渋谷ではトップクラスの劇場なのではないでしょうか。見やすい席はI列の6〜8番あたりです。
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2007年11月03日

エアギター エピソード・ゼロ

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以前−確か、「かもめ食堂」のパンフか何かに書いてあったんだと思いますけど−フィンランドが如何にヘンな場所か、というのを説明した文章があって、そのヘンぶりの証拠の一つに「エアギターの世界大会が行われる」というのがありました。

文脈上、それはきっとヘンな事なんだろうな〜と納得してしまいましたが、改めて考えてみると、

エアギターってナニ?

ちょっと見てみたいような気がしていたところへ、エアギターの世界大会を描いたドキュメンタリーが上映されるというので見に行きました。エアギターって、あちら版の口三味線のことかな…?結構笑えるかも?くらいの認識で見始めたところ、いやいやとんでもありません。思わず感動の展開でありました。

話は、アメリカのギターおたくが、フィンランドにエアギターの大会があるというのを聞きつけるところから始まります。アメリカ人とは思えないような、ちょっとこう小柄な男の子なんですが、わが目で確かめんと、わざわざ北欧のへんぴな村・オウルまで世界大会を見に行くあたり、なかなか堂に入ったおたくぶりであります(アメリカのおたくがどんな感じか、最近ようやくわかった気がする)。

で、せっかく行った先で悟ったことと言えば、その大会にはアメリカが代表を送り出していない−ということでした。さらに、主催者が「武器の代わりにエアギターを持てば、世界は平和になる」という信念の元に
大会を運営していることを知り、アメリカ予選を行うことを決意します。

そしてここに、栄光ある第一回エアギター・アメリカ大会が開催され、主催者もびっくりの大盛況となります。お笑い系なのかと思いきや、エアギター歴子どもの頃から、という良い歳した大人が多数参加、白熱のバトルを繰り広げます。そう、ギターを買ってもらえない子ども達は、ベッドの上で憧れのロックスターの弾き真似をしていたわけなんですね。ギャグかと思って見てるこっちとは全然、思い入れからして違います。

個性あふれる出場者の中でも、ビヨルン・トゥロックは、世界最強のロック国・アメリカから選ばれる代表は、当然、世界のエアギター界のトップに立つ者である、という強い思いこみ信念の元、自信満々でプレイしますが、「アジアの炎」C・ディディの前に完敗を喫します。

C・ディディは韓国系アメリカ人で、パフォーマンスといい、温かく知的な人柄といい、東海岸代表として申し分のない人物です。対するビヨルンは、粘着気質というか、前半はかなりイタいキャラ。

で、通常のドキュメンタリーだとここで、ディディがフィンランドでどんな挑戦をするのか、ということに話が移るはずなんですが…

(彼的に)まさかの敗退に収まらないビヨルンは、自分の敗退の原因を、ディディの胸のキティちゃんのせいだと決めつけて(あ、違ったかな)、東山再起を期します。ここから、諦めない男・ビヨルンの、信じられない巻き返し作戦が始まります。他地域の大会に挑戦してみたり、インターネットで旅費を募ってみたり。ついにアメリカ代表を賭けた大会に乗り込んでくる彼を見て、防衛側のディディは唖然…。

そんなロック魂溢れる(?)エピソードを満載して、映画は進んでいきます。

ともすれば単なる物まね一発芸と思われがちなエアギターですが、ロック魂なくしてプレイはできません。審査も厳しいものです。パフォーマンスやリズム感はもちろんのこと、一番問われるのはエアネス−エアでなければ表現できない、音楽との一体感です。

感情を抑え、スタイリッシュでありすぎて、アメリカではまるで評価されなかったビヨルンのエアも、本場ではホンモノのエアとして大絶賛。派手なパフォーマンスと衣装が却って仇となり、一挙に劣勢に立たされたディディはどうする…?

そんなハラハラわくわくの展開を楽しみつつ、見ているうちに、心の中の「エアネス」が解放されるような、素晴らしい映画です。どうぞお見逃しなく!

新宿タイムズスクエアで見ました。スクリーンが大きく、シネコン系のつくり。そのため、見やすい席は、かなり後ろの方です。
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2007年11月02日

グレン・グールド 27歳の記憶

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グレン・グールドといえば『草枕』。というか、『草枕』が好きだったので解説を読んでたら、ピアニストのグレン・グールドがこの小説を気に入っていて、朗読までした、と書いてあったので、ふーん、そんな人がいるんだなと感心して、CDを聞いてみたという順序でした、確か。

音を聞く以前に、まずジャケット写真があまりカッコいいので、すっかりやられてしまいました(演奏はすでにどうでもいい)。

で、今回は若き日の彼がピアノを弾く姿が見られる映画をやるというので、ミーハーにもノコノコと出かけてみたわけです。

動いてみるとそんなにハンサム(死語?)って訳でもないグールドですが(写真映りが良いのか?)−あ、いえ、それはどうでもいいですね−、ピアノを弾き始めると、つり込まれてしまいます。完全に音楽と一体化していて、ピアノが歌っています。本人も一緒に歌ってますけど。〈イタリア協奏曲〉なんて子供の練習曲みたいなのを弾いているのに、一つ一つの音が中国語でいう‘脆cui’って感じなんですよね。日本語で言うと何だろう?サクサク?コロコロ?ともかく、粒がはっきりしてこぼれるような音です。しっかりとしているけれど軽みがあります。

映画はドキュメンタリー仕立てですが、彼の音楽のように飄々としていて、しかも無駄のない作りです。前半、後半に分かれていて、前半はレコーディングのためにスタインウェイの地下室を訪ねるところから始まります。試弾して、合う音色の一台を選ぶシーン。確かに音が違いますね…っていうか、私は素人でよく分かりませんが、ちょっとくらいならともかく、同じメーカーの同じ種類の楽器なのにこんなに全然音が違ってていいの?そういうものなんでしょうか。弾き方変えてるだけなんじゃない?

ま、それはともかく、そんな都会的なシーンから一転、場面は彼が住む、カナダ郊外の湖のほとりへ移ります。何もなくて静かな場所…。グールドは戸外で、インタビュアーの質問に、意外なほど饒舌に答えています。学校がよほど嫌だったみたいで、何度もそのことに触れていますが、学校に象徴される、予定が決まっていて自由の利かない生活に心底うんざりしていたんでしょうね。

後半、レコーディングの合間にディレクターが、なぜニューヨークに来て住まないのか?と聞いていました。それは音楽家にとって非常に価値のあることなんだと力説します。グールドの答えは、音楽家がこんなうるさい場所に住めるか!…というのかと予想してたらそうじゃなくて(;)アウェイの方が演奏しやすい、ということと、ニューヨークは音楽家の登竜門、そこに居れば競いあってしまうのでそれが嫌だからだ、ということ、それから、自然の中に居ると音楽との接し方が変わる、というようなものでした。

確かにねえ。

人里離れた場所に引きこもって、レコーディングの時だけ出てくる、みたいなエピソードを聞くとどんな変人かと思いますが、そうするだけの訳があるってことですね…。

私が一番好きだったのは、レコーディングの時にいきなり、
「縁起は担ぐ?」って聞かれて、ちょっと考えて、はにかみつつ「うーん…頼む」と言ってたところですね。(テイク12の後、テイク13とは言わないで14にするということだったみたい)

とっても素敵な映画なので、是非見てください。

銀座テアトルシネマで見ました。
少し小さめの映画館なので、見やすい席は真ん中より少し前よりのFの8〜10あたりです。
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2007年08月04日

トランスフォーマー

これは傑作。
メカ好きの皆さん、アクション大作ファンの皆さん、必見です。
悪いことは言いません。なるべく大きい映画館で見ましょう。
飛行機がいきなりロボットにトランスフォーム!あのシーンを見るためだけにもう一回見てもオッケー☆

日本人にはアニメでおなじみ変型ロボの映画をあのマイケル・ベイが撮ったというので、あまり期待しないで見に行ったんですが、「アルマゲドン」自虐ギャグ爆発なあたりからどんどん調子が上がっていって、最後はもうムチャクチャ。トランスフォーマー、アメリカ軍、民間人が入り乱れる市街戦はPJキングコングを抜き去る出来映え。

なんで肝心なところで速いもんが遅いもんに変身するか!ドラマ部分は相変わらずSFマインドゼロだなこの人…と心でツッコミを入れつつも、それが却って、SFにありがちな構図やカメラワークの定石を外すことにつながったようで、なかなか新鮮で楽しめました。

かと思うと、ロボットアニメのお約束である「名乗り」があったり、●●参上!って字幕が出てきたり(字幕誰?)そのへんのゆるいギャグが結構笑えました。

元ネタについては全く知らないんですが、だれそれ博士が作ったロボットじゃなく、ロボット丸ごと地球外生命体って設定が、だからこんな不合理も許されるのかあ…とお客を妙に納得させてしまうあたり、侮れません(まあ、不合理の度合いも、コンピューターウイルスを注射しに行く「独立記念日」よりはマシかな…)。

とはいえ、やっぱりアメリカ人って神ならぬ身の人間が作ったスーパーロボットなんて嫌いなんだろうなー、こういう設定じゃないと受け入れられないのかも、と思ってしまいました。

そうそう、「ET」を彷彿とさせるシーンも登場します。そこについて、ラストシーンでチクリと皮肉ってるあたりもなかなかです。思わず、田辺聖子さんの「国家権力がゴッツイのを知らんな…?」というセリフを思い出してしまいました。

と言うわけで、結構深読みもイケる「トランスフォーマー」、お友達もお誘い合わせの上、ぜひどうぞ。デートにも使える…かも知れない。
posted by 銀の匙 at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月22日

神童

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風にそよぐ草のふれあう音、山鳩の鳴き声、流れていく水の音…心地よい音にしばし浸っていると、その調和をぶちこわす少女の怒声が…。

こうして導入部分から、音と音が作り出す景色を観客に印象づけながら、映画は進んでいきます。

音楽大学を目指す浪人生の和音(松山ケンイチ)の実家は八百屋さん。お世辞にも練習のしやすい家とはいえないし、音大に入った後も苦労しそうな家庭環境なのに、それでもピアノが大好き。

一方のうた(成海璃子)は、言葉を話すより先にピアノが弾けたと言われるほどの神童で、その才能ゆえか気まぐれで、ピアノのレッスンなんか大嫌い。

このふたりを軸に、映画はあくまでも抑えたタッチで描かれます。最近の映画にありがちな、やたら状況を説明するカットを入れたり、ナレーションをつけたり、登場人物の心境をモノローグで説明したり、というような無粋な演出は一切ありません。漫画が原作の映画にしては非常にオーソドックスな、昔の日本映画みたいな作品です。

何か途中で、「セロ弾きのゴーシュ」を連想しちゃいました。団長さん(音大の教授?)に「良くなったな!」と言われるゴーシュ(和音?)…てことは、ってことは「トロメライを弾いてご覧なさい」がイヤミな教授?…うたがあの子ダヌキ?…いえいえ、違いますよ、そんな話じゃないですよー。ごめんなさい。

久しぶりに「行間を読みながら」観ることのできた、後味のよい映画でした。音が重要な要素なので、DVDやテレビではなく、映画館で観たい作品です。たぶん満足していたことでしょう、原作の漫画を読んでさえいなければ…。

この映画の原作はさそうあきらの同名漫画で、こちらも大変抑えたタッチの作品です。漫画ですから、もちろん音は一切ありません。うたの神童ぶりは、画面に現れるイメージや、彼女の音を聞いている人たちの表情から推し量るしかないのです。

制限があることで、却って表現の幅が広がることを教えてくれた作品でした。

翻って映画の方は、音があることで、却って「神童」ぶりが弱まっている気がします。音も絵も揃った総合芸術の方が却って表現できないものがあるとは皮肉なものです。劇中に流れる演奏の出来が悪いわけでは決してないし、良い映画ですが、表現の新しい可能性を切り開いた原作漫画と比べると、地味な作品に仕上がってしまったというのが正直な感想です。

まあ文芸作品として観れば、秀作の部類に入るでしょう。脚本もわざとらしくなく良い感じですし、松たか子が若くなったような(?)成海璃子と、普通の青年の感じを上手く出している松山ケンイチの繊細な掛け合いがみものです。

公式サイトはこちら

荻生田宏治監督
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2007年05月01日

ダフト・パンク エレクトロマ

ご無沙汰致しました。ようやく通信状態も安定して参りましたので、更新を再開致します…

といって第一弾がこれかい!な珍妙エントリーがこちら、「エレクトロマ」であります。

電子音楽界の雄、ダフトパンクが満を持して放つ、初監督作品!の割には、
カンヌにも出品しちゃったぜ!ポスト・バーニーのアート路線を狙ってる?割には、
どこか間が抜けている、かなりの珍品でございます。

といっても、大真面目で松本零士先生にジャケット描いてもらうような人たちだから、彼ら的にはこれでいいのでしょう。たぶん。

風に晒され、風化した彫刻群の廃墟、あるいは、いかにも群像に似た自然の崖のシーンから本作は始まります。

黒塗りのフェラーリ、「California HUMAN」のナンバープレート、輝く金属製のヘルメットを装着した乗り手たち…と、スタイリッシュな出だしは期待度十分なのに、いや、彼らが走り抜ける街の様子も、乗り込んでいく松本零士風計器類満載な研究施設?もイケてるのに、なんでああなるの?

その時点で、観ていたお客さん(で起きてた人)の99%が、「メットの上からあんなことしたら、頭でかすぎるだろ!!!」と突っ込んでいたに違いありません。そして結果はあのようなトホホなことに…。

ミュージシャンの作品だから、シャレた音楽を使ってるのかと思いきや、これがまたツンと来るほどダサイ音楽で、近未来的なお話との取り合わせの妙に哀愁が漂っております。

とまあ、作った本人が「オレ様たちがアートと言ったから、これがアートなのさ」な精神が炸裂してる作品ではありますが、観た側は、我慢した分(イヤでも)記憶に残るとは言えるでしょう。

とにかく、一つのシークエンスがな〜が〜い〜!
こんなに延々見せる必要があるのかと、辟易する場面もあります(こういう、映像のテンポは無視して好きなシーンの長さを勝手に伸ばしちゃうの、自主映画にはありがちですけど)。

しかし、話の中味を考えてみると、この長さは必要と言えば言えないこともない。彼ら二体のアンドロイド?ロボット?にとって、時間はきっとありあまるほどあるのではないでしょうか。

望みが叶えられないまま、無為に過ごさなければいけない、長い時間。それは確かに苦痛以外の何物でもないでしょう。それは確かに良くわかります(付き合わされるこっちの身にもなって欲しい気はするが)。

そうして、必要以上に(汗)じっくり観ると、普通の映画だったらさっと2、3分で終わりにしてしまう、いわば文章でいうと「地の文」みたいなところに宿るこの映画の美しさについて、改めて気づかされます。

日が沈んで暗くなるっていうのはこういう感じなんだ、とか、
炎って燃え出すと天使の羽根のようにまとわりつくものなんだなあ、とか。

場面が転換する際にインサートされるタイトル映像、きっと何か意味があるのだろう、と思っていたら、やはり重要なシーンでした。長い時間を一緒に過ごした分、主人公たちにも愛着を覚えていたのでしょうか。ただの自己満足自主映画で終わらなかったのはさすがです。

こんな、一見珍妙でシンプルな映画なのに、終わってみれば忘れがたい作品です。

シネマライズ(渋谷)
最終回のみの上映。日曜は1000円になります。
ここはほとんど最後列あたりにいかないと見上げる形になります。しかしそうなると遠い。2階席は角度としてはちょうどいいですが、音響が悪い、とあまり嬉しくない劇場なんですよね…。

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2007年02月11日

合唱ができるまで

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大人から子供まで、バラエティに富んだ団員を抱えるパリのアマチュア合唱団が本番のコンサートに臨むまでを描くドキュメンタリー。合唱に限らず、何かを学ぶときの楽しさを教えてくれる映画です。

面白いことに、本作は指導者クレール・マルシャン先生はもとより、団員にも全く寄り添っていきません。合唱団の練習風景を淡々と描く、それこそ「合唱ができるまで」を記録した映画なのです。

音楽ドキュメンタリーによくある、演奏者個々人を追ってインタビューするような場面はなく、団員の名前も、団の規模も映画を観ている限りでは良くわかりません。彼らがなぜ合唱団に参加したのかとか、選曲についてどう思ってるのかとか、そんな背景にはまるで無頓着です。

しかし、そんなことを掘り返さなくても、みんながなぜ合唱を続けているかはよくわかります。だって楽しそうなんだもの!先生方の指導はとてもテンポが良くて、こちらも一緒に練習に参加してるような気分になってきます。

背筋をまっすぐ伸ばして、まるでお鍋からチーズ・フォンデュを取るように、身体全体を使って声を出していきます。唱ってる内容のこと、唱うときに大切な想像力のこと、ほかのパートにつられないように唱う練習のこと…大切なことを、ちょっとずつ教えてくれます。観てたら絶対、もっとレッスンが受けたくなるはずです。

映画の中で先生も言ってました。
ここまで唱えるようになったご褒美は何だと思う−?
次を教えてもらえることよ。

唱われる歌はすべて、グレゴリオ聖歌、ハイドン、シャルパンティエなどの宗教音楽。コンサートホールでしか発表の場がない日本の合唱と違い、教会でお披露目されるフランスの合唱は、ぐっと日常生活に近いところにあるなあと感じます。

****
さて。
自分も小中高と音楽系の部活をやっていたのですが、いずれもふつうの学校の課外活動で、鼓笛隊、合唱等々、分野は違えど、なぜかいつも顧問の先生から指揮を割り当てられていました。演奏の方がやりたかったので、当時は内心とても不満でした。

先生方は専門ではないので指揮の仕方は教えてくれませんでしたが、決まって、指揮者の心得について指導してくださいました。
いわく、できあがりの音楽のイメージを持って、練習に臨むこと。全体の仕上がりに責任を持つのが指揮者の役目。
いわく、イメージに合わなければ演奏をとめて、どこが悪いか、どう直すべきか、はっきりと指示すること。

音楽からは遠ざかって久しいですが、このときの経験は今になって、あらゆる場面でとても役に立ってます。

とは言っても、やっぱり、合唱そのものの指導を受けてみたかったので、この映画を観ることができてとても嬉しかったです。

ユーロスペース(渋谷)
東急本店の近くにある映画館。音響が自然で気に入ってます。開演前に整理番号を配ります。あまり対応が親切とは言えないので、映画館に着いたら、取りあえず係の人にどうしたらいいか聞いてください。

こちらは2007年2月16日まで。お急ぎください!以降、全国で公開されます。
東京での再上映希望!!
posted by 銀の匙 at 23:43| Comment(1) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月10日

アート・オブ・トイピアノ マーガレット・レン・タンの世界

マーガレットさんのライブに行ってきました!詳しくはこちら

artoftoy.jpg

これは必見のドキュメンタリー。まるで魔術師のようにピアノを奏でる驚異のピアニスト、マーガレット・レン・タンについての作品です。

ピアノといえば鍵盤楽器ですが、この映画を観てるとそんな常識は吹っ飛んでしまいます。蓋を開けたピアノの弦をハープのように引いたり、閉じたピアノを打楽器のように叩いたり。

彼女の手にかかれば、前衛音楽に全く何の興味もない人でも、その響きの美しさに気づかされることでしょう。それほどまでに迷いがなく、高潔で明晰な音楽を聴かせてくれます。

弦の部分にネジを差し込んで特異な音響を作り出すプリペアド・ピアノという手法で演奏されるジョン・ケージの楽曲や、演奏者も楽器の一部と化すジョージ・クラムの「マイクロ・コスモス」など、素晴らしい楽曲がふんだんに盛り込まれています。

限りなく広がっていくピアノの可能性と、マーガレットの、時には巫女の踊りのように、時には慈しむように演奏する姿にすっかり魅了されてしまいました。彼女の表現には、芯の一本通った彼女自身の生き方、シンガポール人という文化的バックグラウンドが反映されており、映画もその点を良く捉えています。

後半、彼女が新しいステップとして取り組んでいるトイピアノ(おもちゃのピアノ)の演奏パートはスヌーピーのワンシーン(シュローダーがトイピアノを弾いてるアレ。)が登場したりして楽しく、映画館も笑いに包まれました。映画が終わると自然に拍手が起こりました。宝物にしたいような映画です。

エヴァンス・チャン監督

UP LINK X(渋谷)
40席ほどの小さな映画館。上映1時間前より整理券を配ります。音響はいいんだけど…前に人が座ってしまうと全然見えません。もうちょい何とかして欲しい。ああ、また半分頭か〜と思うと行く気も萎えます。いつも良い映画をやってくれるのに…。
posted by 銀の匙 at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月27日

リトル・ミス・サンシャイン

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紹介が前後しましたが、今年最初に見た映画はコレ。見たあとはスカッとするし何だか嬉しくなるという、幸先の良いスタートとなりました。

と言っても、しょぼくれた中年女性が病院を追い出されたお兄さんを迎えに行くところからして、全然癒し系なストーリーじゃない出だしです。お兄さんはとっても辛いことがあり、自殺寸前だったのを請け出されてきたのですが(アメリカの病院て、保険が利かないと帰されちゃうのね…日本でもそうなんでしょうか)、妹の家に着くと早速自殺未遂の理由を聞かれ、マジメに答えてるのにほとんど同情してもらえてないあたり、輪をかけてカワイソー。

家の中はゴタゴタしているし、口げんかは絶えないし、黙りこくったままのヘンな息子はいるし、おじいちゃんヤク中だし、唯一まともらしい小さな娘は身の程知らずにもミスコンに出るとか言ってるし、もうメチャクチャ。これで心温まる展開になるのかと不安になるかもしれませんが、ちゃんと大丈夫です(たぶん)。

まずはお兄さんの専門がプルーストっていうのが異常にツボにハマりました。日本じゃ「えっ、あの話の長い(…そうね)オヤジギャクの人だっけ?」(ちょっと待て、それはジェイムズ・ジョイスじゃないのか)って感じか知ってる人には大文学者ということで通ってる(?)かと想像しますが、映画の中じゃ知られてる割に(お兄さん以外)プルーストを偉大な文学者とは思ってないっぽいところが哀しくも可笑しい…。

登場人物全員、どこかその辺にいそうな感じなのも好感度大。感動の押し売りっぽくもないし、何てことない映画なんですけど、心に残る一本です。
posted by 銀の匙 at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする