2008年04月26日

デイ・ウォッチ

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今年のゴールデンウィークはあまり見たい映画がないのでちょっと寂しいです。「魔法にかけられて」上映前の予告でやってたピクサーの新作、「WALLE/ウォーリー」が良さそうだったですね。いつやるんだろう?

そういうわけで、見たけど感想を書いてなかった作品について、覚え書きを書いておくことにしました。今回はロシアのハイパーアクションSFダークファンタジーVFXバンパイアアザーズ魔女超能力娯楽映画、「ナイト・ウォッチ」の続編(何なんだ)。

前作がとても良かったので(感想はこちら)、続編を首を長くして待っておりました。

ようやく上映となった本編、仕事の都合でなかなか見られず、最終日直前にようやく見ることができました。期待に違わぬ素晴らしい作品で、何で新宿のこんな場末の映画館で(ごめんね)、数人の観客と一緒に見ているのだろうと悲しくなってしまいました。

いつか日本でも再評価されて、あちこちで上映されることを心から願います。画像は、パンフレットですが↑、将来への投資として(ウソウソ・笑)買ってみました。それにしても中味のないパンフレットですね。こんなことまで悲しいよ〜。

まずは、ロシア映画ならではの映像美が見物です。舞台がモスクワの夜が中心だった前作から、昼の光景や中央アジアへと広がったことで、さらに魅力がアップしました。物の動き方、背景の処理なども、ハリウッド映画を見慣れた眼には新鮮に映ります。

そして特筆すべきはおねーちゃん達がキレイなことですね。金髪で北欧美女っぽいスヴェータ、小粋なパリジェンヌのようなオリガ、黒髪に大きな瞳を持つエキゾチックなアリサとバラエティに富んでます。この美女達を使って、どう見ても監督の趣味?としか思えないサービスシーンがあるのもご愛敬…。

それに比べると男性キャラは(イゴール少年を除き)おっさんばっかりですが、こちらの渋さときっと舞台で鍛えたな…って雰囲気も、ハリウッドじゃ真似できないメンツですね…。

脇を固めるキャラも、いかにもロシアっぽい雰囲気を醸し出しています。お気に入りなのは、いきなりどっかから登場し、協定違反者を獄につなぐ、杖をついた双子の裁判員(?)であります。やってることは誠に冷酷というか、機械的なんですけれども、キャラとしてみると生活に疲れたスターリンみたいな、ロシア的哀愁が漂っております。

光と闇の世界の住人たちが、互いの均衡を保つため、協定を作り監視(ウォッチ)する、現代のモスクワ。闇を監視するナイト・ウォッチャー、アントンは、自ら闇の世界へ追いやってしまった息子かわいさから、闇の王の奸計に嵌ってしまいます。

それは一人アントンの危機のみならず、世界の崩壊を招く出来事だったのですが…。

相変わらず、時間軸やエピソードが錯綜しているところへ、情報量の多い映像が被さるため、混沌としている映画です(お話は割と単純なんだけど)。光側、闇側、光と闇の間の異種たちの情愛を織り込んで、物語は切なく展開します。

彼らは、失ってしまった愛を取り戻そうと、あるいは失いかけている愛をつなぎとめようとして罠に落ち、はかない希望を、運命を書き換えることのできる一本のチョークに託そうとします…。

映画を観ながら、このチョークがあったら自分は何を書き換えるだろうかと考えてみるんですけれど、何も思いつかないんですよね。いま非常に満足しているという訳ではないんですが、ある一つの出来事を書き換えれば、全てが変わるとはとても思えないし、そこを書き換えたところで、結局は同じ結果になるだろう、とわかってしまうので…。

この映画の結末は、まあ、さもあらんと私には非常に納得がいったんですけれども、映画が終わったあと、観客が話してるのを聞くとどうも意味がわからない人がいたみたい。そんな、わからないようなエンディングかなあ…??

さて、この映画をちょっと見てみたいかなー、と思った方は、こちらの公式サイトをどうぞ。パンフレットと違って(泣)力が入ってます。前作「ナイトウォッチ」の高速配信ってコンテンツが秀逸。
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2008年04月22日

ジャンパー

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3月〜4月にかけて見た映画は結構「あたり」だったのに、感想を書くヒマがないままに時は過ぎ、ああ、もうこの映画も上映終了間際じゃないですか…。

SF大作は、いかなホームシアターとて迫力不足になるのがオチですので、気になる人はできれば劇場に見に行ってください。

というわけで、「ジャンパー」ですが、何だかとても評判が悪いみたいですね。どうしてなんでしょう?私には大変面白かったんですが…。

命の危険に直面した時、瞬間移動の能力に目覚めた少年・デイヴィット。律儀にも、フツーの小市民がこういう力を手に入れたら何をしでかすかを一から十まで再現してくれる男なのが気に入りました。

だって誰にも気づかれずに何千キロも移動できるんですよ!そりゃ、隣の部屋にある冷蔵庫の飲み物を取るのに、テレポートしちゃったりしますわな。

あの「ダースベーダー」アナキンの役が染みついてしまったのか、主役のヘイデン・クリステンセンが何をやっても必要以上にダークな印象を与えてしまうのでマズかったのでしょうか。

それとも、「ジェダイ・マスター」とまたもや宿命の対決を始めたのがマズかったのか?

それはともかく、なんでこんなことになってるのか、一体どうしてこんなことが出来るのかなどの説明は一切なく、(後半にちょっと解説がありますが、あんなの説明にもなっていない)、観客はデヴィッドと同じ困惑にいきなり投げ込まれてしまうわけです。

そこへ、ジェダイ・マスターが襲ってきたら、そりゃ逃げるっきゃないでしょう!他にどうします?

かくして、地球をまたにかけた鬼ごっこ&破壊活動が展開するわけであります。もうストーリーとか何とかそっちのけで、とにかく忙しい。監督さんの前作「Mr.&Mr.スミス」を彷彿とさせます。

しかーし!私のハートをわしづかみにしたのは、主役のヘイデン君ではございませんでした。いきなり途中から登場する、さらに切れてるキャラ、妙な英語をしゃべるこのグリフィン君に、視線はクギづけです。ヘイデン君に輪をかけてオレ様だけが大事なこの男、何だかどっかで見たような気がする。一体、誰だったっけ…?

結局最後まで彼の名前が思いだせず、終わってからチラシを見てようやくおおっ!とナゾが解けた次第(名前は伏せますが、かなり驚いた)。いやー、最高でしたね。イギリスのその辺にいるチンケな若者というイメージにピッタリハマってました。この映画、見て良かったと思えたのも、彼のおかげが大きいです。

さて、これまでバッドマンとかスポーンとか、ダークヒーローが主役の映画は数々ありましたが、ここまでジコチューな連中が主役な映画もそうそうないんじゃないでしょうか。たぶん、受けなかった一番の原因はそこだと思うけど、でも考えてみてくださいよ。

たぶん、同じ境遇だったら、世の中の80%くらい以上の人たちが、デヴィッドやらギリフィンやらと同じような情けない行動を取るんじゃないでしょうか。等身大の主人公とかいうけど、ここまで綺麗事じゃないリアルな人物像ってあまりなかった気がします。

神ならぬ身で神のごとき能力を持つ彼らジャンパーに憤り、彼らを狩る、「正義の味方」?も登場しますが、そういった存在も、いかにもありそうでちょっと怖い…。私はこの映画の続編、かなり見てみたいです。

あっちこっちで突撃ロケをしたそうで、東京のシーンもあります。
渋谷の街中を歩いて角を曲がったら次のカットが銀座だったんだけど(笑)、カメラまでテレポート能力を身につけたのか?
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2008年01月02日

俺たちフィギュアスケーター

皆さま明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、毎月1日は映画の日。1月1日も例外ではなく、誰でも1000円で観られるので、ここのところ例年、元旦は映画を観るのが吉例となっております。初笑いを兼ねてコメディをということで、チラシで気になっていたこちらの映画を観て参りました↓
何と言ってもこの宣伝コピーが良かったですね。
「氷が溶けるほど暑苦しい」

まさに、その通り!
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都内は単館上映のため、初日2日目に行った友人は満席で入ることができず、別の…名前は忘れたけどゾンビ映画を観たそうです。周りには明かにコメディを見に来たはずがアテが外れた観客でいっぱいだったとか。可哀想に、上映前にラブラブだったカップルも、映画館を出るときは無言だったそうな(あ、名前を思い出した。「アイ・アム・レジェンド」でした)。

で、この映画ですが、はい、大丈夫!デートで御覧になってください。笑いのツボが一緒なのって大事ですよね。それに新春にふさわしく、おバカでハッピーエンドですので、お正月映画としてもぴったりです。

お話はチラシを見れば一目瞭然ですので(そうなのか?)ネタバレはやめておきますが、けっこう驚いたシーンが3つありました。

一つは、主演の一人、ジョン・へダーが突然***をし??るシーン、もう一つは倉庫の段ボールに新鮮的魚(たしか)と書いてあるシーン(なぜ?)、もう一つはエンドクレジットの「使用している音楽」に***のナショナル・アンセムが登場したところです(この音楽が使われてたはずのシーンは爆笑ものではありましたが…実は初めて聞いたかも)。誰に許可取ったんでしょうか?

いちばん笑ったのは、いきなり「フラッシュゴードン」がかかるとこですかね…。

このシーンに限らず、日本の映画館としては珍しいほど、あらゆるシーンで全館大爆笑でした。

それにしても、別に熱心なファンでもないのに、ナンシー・ケリガンだのサーシャ・コーエンだのクリスティ・ヤマグチ(セリフの中に登場)だの知ってたのが自分でも意外。やはりフィギュアって注目されるスポーツなんだろうなあ…。それだけに、ドロドロした裏舞台があるのでは、と勘ぐりたくもなってしまいます。本作もそのあたりを匂わせる(少女漫画のヒロインいじめ風だけど・笑)描写があったりします。

カウボーイ風の振り付けとか、ラスベガスまがいの派手なショーアップなんかをネタにしているのも、余裕の笑いですよね。(本当にあの手の振り付けが好きなアメリカの人って多そうな気もしますけどね…)。

公式サイトはこちらです。

渋谷のシネマGAGAで観ました。前は別の名前だったと思うけど…(そういえば、先日ここで「アフロサムライ」を観ましたな)ここのチケット予約はブースが1階にあり、席も予約できる利用者本位なシステムなのが嬉しいです。座席に荷物かけがあるのもありがたいですね。前後の列とはかなり段差がありますので、落ち着いて鑑賞できます。見やすさから言えば、渋谷ではトップクラスの劇場なのではないでしょうか。見やすい席はI列の6〜8番あたりです。
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2007年11月03日

エアギター エピソード・ゼロ

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以前−確か、「かもめ食堂」のパンフか何かに書いてあったんだと思いますけど−フィンランドが如何にヘンな場所か、というのを説明した文章があって、そのヘンぶりの証拠の一つに「エアギターの世界大会が行われる」というのがありました。

文脈上、それはきっとヘンな事なんだろうな〜と納得してしまいましたが、改めて考えてみると、

エアギターってナニ?

ちょっと見てみたいような気がしていたところへ、エアギターの世界大会を描いたドキュメンタリーが上映されるというので見に行きました。エアギターって、あちら版の口三味線のことかな…?結構笑えるかも?くらいの認識で見始めたところ、いやいやとんでもありません。思わず感動の展開でありました。

話は、アメリカのギターおたくが、フィンランドにエアギターの大会があるというのを聞きつけるところから始まります。アメリカ人とは思えないような、ちょっとこう小柄な男の子なんですが、わが目で確かめんと、わざわざ北欧のへんぴな村・オウルまで世界大会を見に行くあたり、なかなか堂に入ったおたくぶりであります(アメリカのおたくがどんな感じか、最近ようやくわかった気がする)。

で、せっかく行った先で悟ったことと言えば、その大会にはアメリカが代表を送り出していない−ということでした。さらに、主催者が「武器の代わりにエアギターを持てば、世界は平和になる」という信念の元に
大会を運営していることを知り、アメリカ予選を行うことを決意します。

そしてここに、栄光ある第一回エアギター・アメリカ大会が開催され、主催者もびっくりの大盛況となります。お笑い系なのかと思いきや、エアギター歴子どもの頃から、という良い歳した大人が多数参加、白熱のバトルを繰り広げます。そう、ギターを買ってもらえない子ども達は、ベッドの上で憧れのロックスターの弾き真似をしていたわけなんですね。ギャグかと思って見てるこっちとは全然、思い入れからして違います。

個性あふれる出場者の中でも、ビヨルン・トゥロックは、世界最強のロック国・アメリカから選ばれる代表は、当然、世界のエアギター界のトップに立つ者である、という強い思いこみ信念の元、自信満々でプレイしますが、「アジアの炎」C・ディディの前に完敗を喫します。

C・ディディは韓国系アメリカ人で、パフォーマンスといい、温かく知的な人柄といい、東海岸代表として申し分のない人物です。対するビヨルンは、粘着気質というか、前半はかなりイタいキャラ。

で、通常のドキュメンタリーだとここで、ディディがフィンランドでどんな挑戦をするのか、ということに話が移るはずなんですが…

(彼的に)まさかの敗退に収まらないビヨルンは、自分の敗退の原因を、ディディの胸のキティちゃんのせいだと決めつけて(あ、違ったかな)、東山再起を期します。ここから、諦めない男・ビヨルンの、信じられない巻き返し作戦が始まります。他地域の大会に挑戦してみたり、インターネットで旅費を募ってみたり。ついにアメリカ代表を賭けた大会に乗り込んでくる彼を見て、防衛側のディディは唖然…。

そんなロック魂溢れる(?)エピソードを満載して、映画は進んでいきます。

ともすれば単なる物まね一発芸と思われがちなエアギターですが、ロック魂なくしてプレイはできません。審査も厳しいものです。パフォーマンスやリズム感はもちろんのこと、一番問われるのはエアネス−エアでなければ表現できない、音楽との一体感です。

感情を抑え、スタイリッシュでありすぎて、アメリカではまるで評価されなかったビヨルンのエアも、本場ではホンモノのエアとして大絶賛。派手なパフォーマンスと衣装が却って仇となり、一挙に劣勢に立たされたディディはどうする…?

そんなハラハラわくわくの展開を楽しみつつ、見ているうちに、心の中の「エアネス」が解放されるような、素晴らしい映画です。どうぞお見逃しなく!

新宿タイムズスクエアで見ました。スクリーンが大きく、シネコン系のつくり。そのため、見やすい席は、かなり後ろの方です。
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2007年11月02日

グレン・グールド 27歳の記憶

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グレン・グールドといえば『草枕』。というか、『草枕』が好きだったので解説を読んでたら、ピアニストのグレン・グールドがこの小説を気に入っていて、朗読までした、と書いてあったので、ふーん、そんな人がいるんだなと感心して、CDを聞いてみたという順序でした、確か。

音を聞く以前に、まずジャケット写真があまりカッコいいので、すっかりやられてしまいました(演奏はすでにどうでもいい)。

で、今回は若き日の彼がピアノを弾く姿が見られる映画をやるというので、ミーハーにもノコノコと出かけてみたわけです。

動いてみるとそんなにハンサム(死語?)って訳でもないグールドですが(写真映りが良いのか?)−あ、いえ、それはどうでもいいですね−、ピアノを弾き始めると、つり込まれてしまいます。完全に音楽と一体化していて、ピアノが歌っています。本人も一緒に歌ってますけど。〈イタリア協奏曲〉なんて子供の練習曲みたいなのを弾いているのに、一つ一つの音が中国語でいう‘脆cui’って感じなんですよね。日本語で言うと何だろう?サクサク?コロコロ?ともかく、粒がはっきりしてこぼれるような音です。しっかりとしているけれど軽みがあります。

映画はドキュメンタリー仕立てですが、彼の音楽のように飄々としていて、しかも無駄のない作りです。前半、後半に分かれていて、前半はレコーディングのためにスタインウェイの地下室を訪ねるところから始まります。試弾して、合う音色の一台を選ぶシーン。確かに音が違いますね…っていうか、私は素人でよく分かりませんが、ちょっとくらいならともかく、同じメーカーの同じ種類の楽器なのにこんなに全然音が違ってていいの?そういうものなんでしょうか。弾き方変えてるだけなんじゃない?

ま、それはともかく、そんな都会的なシーンから一転、場面は彼が住む、カナダ郊外の湖のほとりへ移ります。何もなくて静かな場所…。グールドは戸外で、インタビュアーの質問に、意外なほど饒舌に答えています。学校がよほど嫌だったみたいで、何度もそのことに触れていますが、学校に象徴される、予定が決まっていて自由の利かない生活に心底うんざりしていたんでしょうね。

後半、レコーディングの合間にディレクターが、なぜニューヨークに来て住まないのか?と聞いていました。それは音楽家にとって非常に価値のあることなんだと力説します。グールドの答えは、音楽家がこんなうるさい場所に住めるか!…というのかと予想してたらそうじゃなくて(;)アウェイの方が演奏しやすい、ということと、ニューヨークは音楽家の登竜門、そこに居れば競いあってしまうのでそれが嫌だからだ、ということ、それから、自然の中に居ると音楽との接し方が変わる、というようなものでした。

確かにねえ。

人里離れた場所に引きこもって、レコーディングの時だけ出てくる、みたいなエピソードを聞くとどんな変人かと思いますが、そうするだけの訳があるってことですね…。

私が一番好きだったのは、レコーディングの時にいきなり、
「縁起は担ぐ?」って聞かれて、ちょっと考えて、はにかみつつ「うーん…頼む」と言ってたところですね。(テイク12の後、テイク13とは言わないで14にするということだったみたい)

とっても素敵な映画なので、是非見てください。

銀座テアトルシネマで見ました。
少し小さめの映画館なので、見やすい席は真ん中より少し前よりのFの8〜10あたりです。
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2007年08月04日

トランスフォーマー

これは傑作。
メカ好きの皆さん、アクション大作ファンの皆さん、必見です。
悪いことは言いません。なるべく大きい映画館で見ましょう。
飛行機がいきなりロボットにトランスフォーム!あのシーンを見るためだけにもう一回見てもオッケー☆

日本人にはアニメでおなじみ変型ロボの映画をあのマイケル・ベイが撮ったというので、あまり期待しないで見に行ったんですが、「アルマゲドン」自虐ギャグ爆発なあたりからどんどん調子が上がっていって、最後はもうムチャクチャ。トランスフォーマー、アメリカ軍、民間人が入り乱れる市街戦はPJキングコングを抜き去る出来映え。

なんで肝心なところで速いもんが遅いもんに変身するか!ドラマ部分は相変わらずSFマインドゼロだなこの人…と心でツッコミを入れつつも、それが却って、SFにありがちな構図やカメラワークの定石を外すことにつながったようで、なかなか新鮮で楽しめました。

かと思うと、ロボットアニメのお約束である「名乗り」があったり、●●参上!って字幕が出てきたり(字幕誰?)そのへんのゆるいギャグが結構笑えました。

元ネタについては全く知らないんですが、だれそれ博士が作ったロボットじゃなく、ロボット丸ごと地球外生命体って設定が、だからこんな不合理も許されるのかあ…とお客を妙に納得させてしまうあたり、侮れません(まあ、不合理の度合いも、コンピューターウイルスを注射しに行く「独立記念日」よりはマシかな…)。

とはいえ、やっぱりアメリカ人って神ならぬ身の人間が作ったスーパーロボットなんて嫌いなんだろうなー、こういう設定じゃないと受け入れられないのかも、と思ってしまいました。

そうそう、「ET」を彷彿とさせるシーンも登場します。そこについて、ラストシーンでチクリと皮肉ってるあたりもなかなかです。思わず、田辺聖子さんの「国家権力がゴッツイのを知らんな…?」というセリフを思い出してしまいました。

と言うわけで、結構深読みもイケる「トランスフォーマー」、お友達もお誘い合わせの上、ぜひどうぞ。デートにも使える…かも知れない。
posted by 銀の匙 at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月22日

神童

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風にそよぐ草のふれあう音、山鳩の鳴き声、流れていく水の音…心地よい音にしばし浸っていると、その調和をぶちこわす少女の怒声が…。

こうして導入部分から、音と音が作り出す景色を観客に印象づけながら、映画は進んでいきます。

音楽大学を目指す浪人生の和音(松山ケンイチ)の実家は八百屋さん。お世辞にも練習のしやすい家とはいえないし、音大に入った後も苦労しそうな家庭環境なのに、それでもピアノが大好き。

一方のうた(成海璃子)は、言葉を話すより先にピアノが弾けたと言われるほどの神童で、その才能ゆえか気まぐれで、ピアノのレッスンなんか大嫌い。

このふたりを軸に、映画はあくまでも抑えたタッチで描かれます。最近の映画にありがちな、やたら状況を説明するカットを入れたり、ナレーションをつけたり、登場人物の心境をモノローグで説明したり、というような無粋な演出は一切ありません。漫画が原作の映画にしては非常にオーソドックスな、昔の日本映画みたいな作品です。

何か途中で、「セロ弾きのゴーシュ」を連想しちゃいました。団長さん(音大の教授?)に「良くなったな!」と言われるゴーシュ(和音?)…てことは、ってことは「トロメライを弾いてご覧なさい」がイヤミな教授?…うたがあの子ダヌキ?…いえいえ、違いますよ、そんな話じゃないですよー。ごめんなさい。

久しぶりに「行間を読みながら」観ることのできた、後味のよい映画でした。音が重要な要素なので、DVDやテレビではなく、映画館で観たい作品です。たぶん満足していたことでしょう、原作の漫画を読んでさえいなければ…。

この映画の原作はさそうあきらの同名漫画で、こちらも大変抑えたタッチの作品です。漫画ですから、もちろん音は一切ありません。うたの神童ぶりは、画面に現れるイメージや、彼女の音を聞いている人たちの表情から推し量るしかないのです。

制限があることで、却って表現の幅が広がることを教えてくれた作品でした。

翻って映画の方は、音があることで、却って「神童」ぶりが弱まっている気がします。音も絵も揃った総合芸術の方が却って表現できないものがあるとは皮肉なものです。劇中に流れる演奏の出来が悪いわけでは決してないし、良い映画ですが、表現の新しい可能性を切り開いた原作漫画と比べると、地味な作品に仕上がってしまったというのが正直な感想です。

まあ文芸作品として観れば、秀作の部類に入るでしょう。脚本もわざとらしくなく良い感じですし、松たか子が若くなったような(?)成海璃子と、普通の青年の感じを上手く出している松山ケンイチの繊細な掛け合いがみものです。

公式サイトはこちら

荻生田宏治監督
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2007年05月01日

ダフト・パンク エレクトロマ

ご無沙汰致しました。ようやく通信状態も安定して参りましたので、更新を再開致します…

といって第一弾がこれかい!な珍妙エントリーがこちら、「エレクトロマ」であります。

電子音楽界の雄、ダフトパンクが満を持して放つ、初監督作品!の割には、
カンヌにも出品しちゃったぜ!ポスト・バーニーのアート路線を狙ってる?割には、
どこか間が抜けている、かなりの珍品でございます。

といっても、大真面目で松本零士先生にジャケット描いてもらうような人たちだから、彼ら的にはこれでいいのでしょう。たぶん。

風に晒され、風化した彫刻群の廃墟、あるいは、いかにも群像に似た自然の崖のシーンから本作は始まります。

黒塗りのフェラーリ、「California HUMAN」のナンバープレート、輝く金属製のヘルメットを装着した乗り手たち…と、スタイリッシュな出だしは期待度十分なのに、いや、彼らが走り抜ける街の様子も、乗り込んでいく松本零士風計器類満載な研究施設?もイケてるのに、なんでああなるの?

その時点で、観ていたお客さん(で起きてた人)の99%が、「メットの上からあんなことしたら、頭でかすぎるだろ!!!」と突っ込んでいたに違いありません。そして結果はあのようなトホホなことに…。

ミュージシャンの作品だから、シャレた音楽を使ってるのかと思いきや、これがまたツンと来るほどダサイ音楽で、近未来的なお話との取り合わせの妙に哀愁が漂っております。

とまあ、作った本人が「オレ様たちがアートと言ったから、これがアートなのさ」な精神が炸裂してる作品ではありますが、観た側は、我慢した分(イヤでも)記憶に残るとは言えるでしょう。

とにかく、一つのシークエンスがな〜が〜い〜!
こんなに延々見せる必要があるのかと、辟易する場面もあります(こういう、映像のテンポは無視して好きなシーンの長さを勝手に伸ばしちゃうの、自主映画にはありがちですけど)。

しかし、話の中味を考えてみると、この長さは必要と言えば言えないこともない。彼ら二体のアンドロイド?ロボット?にとって、時間はきっとありあまるほどあるのではないでしょうか。

望みが叶えられないまま、無為に過ごさなければいけない、長い時間。それは確かに苦痛以外の何物でもないでしょう。それは確かに良くわかります(付き合わされるこっちの身にもなって欲しい気はするが)。

そうして、必要以上に(汗)じっくり観ると、普通の映画だったらさっと2、3分で終わりにしてしまう、いわば文章でいうと「地の文」みたいなところに宿るこの映画の美しさについて、改めて気づかされます。

日が沈んで暗くなるっていうのはこういう感じなんだ、とか、
炎って燃え出すと天使の羽根のようにまとわりつくものなんだなあ、とか。

場面が転換する際にインサートされるタイトル映像、きっと何か意味があるのだろう、と思っていたら、やはり重要なシーンでした。長い時間を一緒に過ごした分、主人公たちにも愛着を覚えていたのでしょうか。ただの自己満足自主映画で終わらなかったのはさすがです。

こんな、一見珍妙でシンプルな映画なのに、終わってみれば忘れがたい作品です。

シネマライズ(渋谷)
最終回のみの上映。日曜は1000円になります。
ここはほとんど最後列あたりにいかないと見上げる形になります。しかしそうなると遠い。2階席は角度としてはちょうどいいですが、音響が悪い、とあまり嬉しくない劇場なんですよね…。

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2007年02月11日

合唱ができるまで

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大人から子供まで、バラエティに富んだ団員を抱えるパリのアマチュア合唱団が本番のコンサートに臨むまでを描くドキュメンタリー。合唱に限らず、何かを学ぶときの楽しさを教えてくれる映画です。

面白いことに、本作は指導者クレール・マルシャン先生はもとより、団員にも全く寄り添っていきません。合唱団の練習風景を淡々と描く、それこそ「合唱ができるまで」を記録した映画なのです。

音楽ドキュメンタリーによくある、演奏者個々人を追ってインタビューするような場面はなく、団員の名前も、団の規模も映画を観ている限りでは良くわかりません。彼らがなぜ合唱団に参加したのかとか、選曲についてどう思ってるのかとか、そんな背景にはまるで無頓着です。

しかし、そんなことを掘り返さなくても、みんながなぜ合唱を続けているかはよくわかります。だって楽しそうなんだもの!先生方の指導はとてもテンポが良くて、こちらも一緒に練習に参加してるような気分になってきます。

背筋をまっすぐ伸ばして、まるでお鍋からチーズ・フォンデュを取るように、身体全体を使って声を出していきます。唱ってる内容のこと、唱うときに大切な想像力のこと、ほかのパートにつられないように唱う練習のこと…大切なことを、ちょっとずつ教えてくれます。観てたら絶対、もっとレッスンが受けたくなるはずです。

映画の中で先生も言ってました。
ここまで唱えるようになったご褒美は何だと思う−?
次を教えてもらえることよ。

唱われる歌はすべて、グレゴリオ聖歌、ハイドン、シャルパンティエなどの宗教音楽。コンサートホールでしか発表の場がない日本の合唱と違い、教会でお披露目されるフランスの合唱は、ぐっと日常生活に近いところにあるなあと感じます。

****
さて。
自分も小中高と音楽系の部活をやっていたのですが、いずれもふつうの学校の課外活動で、鼓笛隊、合唱等々、分野は違えど、なぜかいつも顧問の先生から指揮を割り当てられていました。演奏の方がやりたかったので、当時は内心とても不満でした。

先生方は専門ではないので指揮の仕方は教えてくれませんでしたが、決まって、指揮者の心得について指導してくださいました。
いわく、できあがりの音楽のイメージを持って、練習に臨むこと。全体の仕上がりに責任を持つのが指揮者の役目。
いわく、イメージに合わなければ演奏をとめて、どこが悪いか、どう直すべきか、はっきりと指示すること。

音楽からは遠ざかって久しいですが、このときの経験は今になって、あらゆる場面でとても役に立ってます。

とは言っても、やっぱり、合唱そのものの指導を受けてみたかったので、この映画を観ることができてとても嬉しかったです。

ユーロスペース(渋谷)
東急本店の近くにある映画館。音響が自然で気に入ってます。開演前に整理番号を配ります。あまり対応が親切とは言えないので、映画館に着いたら、取りあえず係の人にどうしたらいいか聞いてください。

こちらは2007年2月16日まで。お急ぎください!以降、全国で公開されます。
東京での再上映希望!!
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2007年02月10日

アート・オブ・トイピアノ マーガレット・レン・タンの世界

マーガレットさんのライブに行ってきました!詳しくはこちら

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これは必見のドキュメンタリー。まるで魔術師のようにピアノを奏でる驚異のピアニスト、マーガレット・レン・タンについての作品です。

ピアノといえば鍵盤楽器ですが、この映画を観てるとそんな常識は吹っ飛んでしまいます。蓋を開けたピアノの弦をハープのように引いたり、閉じたピアノを打楽器のように叩いたり。

彼女の手にかかれば、前衛音楽に全く何の興味もない人でも、その響きの美しさに気づかされることでしょう。それほどまでに迷いがなく、高潔で明晰な音楽を聴かせてくれます。

弦の部分にネジを差し込んで特異な音響を作り出すプリペアド・ピアノという手法で演奏されるジョン・ケージの楽曲や、演奏者も楽器の一部と化すジョージ・クラムの「マイクロ・コスモス」など、素晴らしい楽曲がふんだんに盛り込まれています。

限りなく広がっていくピアノの可能性と、マーガレットの、時には巫女の踊りのように、時には慈しむように演奏する姿にすっかり魅了されてしまいました。彼女の表現には、芯の一本通った彼女自身の生き方、シンガポール人という文化的バックグラウンドが反映されており、映画もその点を良く捉えています。

後半、彼女が新しいステップとして取り組んでいるトイピアノ(おもちゃのピアノ)の演奏パートはスヌーピーのワンシーン(シュローダーがトイピアノを弾いてるアレ。)が登場したりして楽しく、映画館も笑いに包まれました。映画が終わると自然に拍手が起こりました。宝物にしたいような映画です。

エヴァンス・チャン監督

UP LINK X(渋谷)
40席ほどの小さな映画館。上映1時間前より整理券を配ります。音響はいいんだけど…前に人が座ってしまうと全然見えません。もうちょい何とかして欲しい。ああ、また半分頭か〜と思うと行く気も萎えます。いつも良い映画をやってくれるのに…。
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2007年01月27日

リトル・ミス・サンシャイン

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紹介が前後しましたが、今年最初に見た映画はコレ。見たあとはスカッとするし何だか嬉しくなるという、幸先の良いスタートとなりました。

と言っても、しょぼくれた中年女性が病院を追い出されたお兄さんを迎えに行くところからして、全然癒し系なストーリーじゃない出だしです。お兄さんはとっても辛いことがあり、自殺寸前だったのを請け出されてきたのですが(アメリカの病院て、保険が利かないと帰されちゃうのね…日本でもそうなんでしょうか)、妹の家に着くと早速自殺未遂の理由を聞かれ、マジメに答えてるのにほとんど同情してもらえてないあたり、輪をかけてカワイソー。

家の中はゴタゴタしているし、口げんかは絶えないし、黙りこくったままのヘンな息子はいるし、おじいちゃんヤク中だし、唯一まともらしい小さな娘は身の程知らずにもミスコンに出るとか言ってるし、もうメチャクチャ。これで心温まる展開になるのかと不安になるかもしれませんが、ちゃんと大丈夫です(たぶん)。

まずはお兄さんの専門がプルーストっていうのが異常にツボにハマりました。日本じゃ「えっ、あの話の長い(…そうね)オヤジギャクの人だっけ?」(ちょっと待て、それはジェイムズ・ジョイスじゃないのか)って感じか知ってる人には大文学者ということで通ってる(?)かと想像しますが、映画の中じゃ知られてる割に(お兄さん以外)プルーストを偉大な文学者とは思ってないっぽいところが哀しくも可笑しい…。

登場人物全員、どこかその辺にいそうな感じなのも好感度大。感動の押し売りっぽくもないし、何てことない映画なんですけど、心に残る一本です。
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2006年12月29日

スキャナー・ダークリー

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フィリップ・K・ディックがアメリカ現代小説最高の作家だというのは、SFびいきの世迷い言じゃないし、ましてや物質Dのせいでもない…と、本編を見終わったあと強く主張するものであります。

この映画は私がこれまでに見た怖い映画の中でも(といっても、ホラー映画はほとんど見ないんですが)ダントツに怖い映画でした。怖い化け物が出てくるとか、殺人事件が起こるとか、そういう話じゃないにも関わらず、じわじわと怖いのです。どんなホラーよりも怖いのです。自分の気がついていなかった自分の病気が、他人の症状を見たとたんに末期だとわかる、というたぐいの怖さなんですよ…。

この映画が面白かったのは、原作のおかげが7割、主演のキアヌ・リーブスのおかげが1割、トム・ヨークの音楽が1割、その他1割、という配分かと思われます。

麻薬のおとり捜査官が、自分で自分を監視する羽目になる話、とかいつまんでしまうと、だから何だといなされてしまいそうですが、そこはそれ、ディックの作品ですから、深読み浅読み何でもOKなのであります。

これまでに映画化された作品に比べると、今回はSF的な要素は少なく、しかも自身の経験が元になっているそうなので、まずはベタに麻薬の怖さを描いた作品とも受け取れます。自分が誰だか自分にすらわからない、というのはディックお得意のパターンですが、麻薬が原因というシチュエーションにはそれなりのリアリティがあります。

しかし、キアヌ・リーブス演じるアークター捜査官がどんどん自分を見失っていくにつれ、麻薬中毒とは特に縁のない人でもじわじわと身につまされる気持ちになってくるので、あまりダウナーな時に見るのは良くないかもしれません。

セリフに「addicted」(中毒する・常用する)っていうのがしょっちゅう出てくるんですけど、ヤク中じゃないにしろ、普通に生活していてこの映画と似た羽目に陥る人って多いのではないでしょうか。そしていよいよになると、上司からあんなセリフを吐かれてみたりね。

悲劇にもいろいろありますけど、あまりにも身近で、しかも降りかかってきているのになぜか見透かすことができない悲劇。過労死寸前のご家族、お友達にぜひ見せてあげてください。

彼の行為は、最後に何か実を結びそうな予感を遺し、それが救いのような気がするものの、実際にはまるで当然のチェスの駒みたいに軽くあしらわれている。そのあたりも、実によくあるイヤなパターンで、だからこそ、ディックは現実にない世界を書きながら、この上もなく現代社会を描いている作家だと思うのです。

さて、肝心の映像の方はというと、実写から絵に起こす手の込んだアニメーションで作られているんですが、絵がバラバラで「自分を見失ってる」というより、観客が同じキャラと認識できない(笑)シーンがあるのはストーリーの進行上問題じゃないでしょうか。同様に、それを着ると次々違う人物が表面に投影されて本人を特定できなくするという、捜査官が必ず着用しなければならない「スクランブル・スーツ」というのが重要な小道具なのに、着てない人も着てるように見えちゃうのはどうなんでしょうか…(爆

映画には関係ありませんが、邦題の「暗闇のスキャナー」、以前からナゾでした。原タイトルの「darkly」は副詞で、「ひそかに」(clearly 明確に、の対)の意味で、特に暗黒とか、暗闇とかには関係ない気がするんですが、
なんかそんな描写があるんでしたっけ?確かに麻薬社会は暗いけどね…。

公式サイトはこちら、ですが、見せたくないんじゃないかと思うほどサイトが開くまで時間がかかり、文字も読みづらくってイライラしました。最近の映画公式サイトはこの手のが多いですが、上映館情報を見たいときなど鬱陶しいので、なんとかして頂きたいです。え、おまえんちが光ファイバーにしろって?うーん…。

リチャード・リンクレーター監督
シネセゾン(渋谷)で見ました。
真ん中よりも、やや後ろ目の列の方が見やすいと思います。ネタバレOKな方はクリック
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2006年12月28日

新春のリマインダー

皆様本年のエンターテインメント運はいかがでしたか?
来る年も素晴らしい作品に出会えますように…

前回アップした作品はこちら
青字の部分は、公式サイトなどにリンクしています。

ゲゲゲの鬼太郎gegege.jpg

いきなり濃いので失礼します。
鬼太郎がウエンツ瑛士かよ、をい!というのは置いとくとしても
大泉洋=ねずみ男というキャスティングはいかがなものか!!
(↑まだ人間になれないのね…泣)
前売りのおまけ、目玉おやじストラップにはちょっとよろめきそうな今日この頃です。

本木克英監督
2007年ゴールデンウィーク
全国ロードショー

市川崑物語
ichikawa.jpg
岩井俊二監督
上映中
新宿ガーデンシネマ

墨攻
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アンディ・ラウ
アン・ソンギ
ジェイコブ・チャン監督
2007年新春第二弾
丸の内ピカデリーほか

フィレーネのキライなこと
phileine.jpg

予告を見た限りでは、「アリーmy love」の三番煎じくらいなイメージでしたが、なにせマックス役のミヒル・ハウスマンの巻き毛がステキで…。という個人的理由により見るかもしれません。
ロバート・ヤン・ウェストダイク監督
2007年1月27日〜
シネセゾン渋谷

東南アジアの風
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2月3日、4日、10日、11日の4日間、
計八本が上映されます。私の注目は
10日のリーノ・ブロッカ監督「インシアン」かな。
会場はちょっと行きづらいですが…。

川崎市市民ミュージアム

ピンチクリフ・グランプリ
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1975年のノルウェー版チキチキマシン・猛レースといった案配の
人形アニメ。
日本語吹き替え版がまた凄い!
八奈見乗児、野沢雅子、滝口順平…ほーら見たくなってきたでしょ?

2月3日〜
シアターN渋谷
順次、全国で公開。

Czech Art Animation World
czechart.jpg
チェコの2Dアニメ ベストセレクション
なんでわざわざ2Dとうたってるのかと思えば、チェコは人形アニメが盛んだからということみたい。パレチェック、チャペックほかアートアニメ満載。

2月24日〜アップリンクX(渋谷)

サン・ジャックへの道
saintjacques.jpg

サンティアゴ・コンポステーラへ巡礼に向かう、仲悪三兄弟+いろいろのロードムービー。
コリーヌ・セロー監督
2007年春
シネスイッチ銀座

蟲師(むしし)
mushishi.jpg

予告を見ましたが………びみょー。

大友克洋監督
2007年3月〜
全国ロードショー

素粒子
soliushi.jpg

オスカ・レーラー監督
2007年3月〜
ユーロスペース(渋谷)

ルネッサンス
renai.jpg

予告の映像のあまりの素晴らしさに眼が釘付け。しかし、予告が一番いいシーンという危険もありそうな作品。これは賭です。
2007年夏休み
シネセゾン渋谷
吉祥寺バウスシアター

マリー・アントワネット
ソフィア・コッポラ監督
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2006年12月24日

鉄コン筋クリート

tetu.jpg
昭和30年代に九龍城とインドが引っ越してきたような町・宝町。ここに突然、再開発プロジェクトが湧いてきます。利権に群がる怪しげな連中は、実質的に町を仕切っている二人の少年、シロとクロを始末しようとしますが…。

「鉄筋コンクリートにはいろんな匂いがある」という純粋無垢なシロと、シロを守ろうとするクロ。純真さゆえに二人の暴力には容赦がなく、そしてその暴力によって二人はとことん追いつめられていきます。ついにはシロまで取り上げられて、果てしない絶望の淵に追いやられるクロの魂の描写のすさまじいこと。

終わったあと立ち上がれないほど感動していたので、そんなにいい話だった?と聞かれたんだけど、ストーリーにというよりは、感情をそのまま絵にすることを可能にした、アニメーション表現の凄さに魂を抜かれたようになってしまいました。

よく「言葉に出来ない」っていうけど、「絵にできない」ものもありますよね。この映画はそれを絵にして観客に見せてくれたんだと思います。技術や小手先の演出ではできない、志の高さを堪能しました。

声の出演者も素晴らしかったです。特にシロ訳の蒼井優さん、どんな方かは存じませんが、この声あってのシロでした。

公式ページはこちら

マイケル・アリアス監督

渋谷東急で見ました。
1週間前から座席が指定できます。
スクリーンが少し低い位置にあるので、ど真ん中のG・H列よりもE・F列くらいがいいかもしれません。
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2006年12月16日

12月後半〜新春のリマインダー

仕事が忙しくてさっぱり更新できませんでした。
専修大学で上映された中国のドキュメンタリーとか、面白そうだったんですが…お知らせはこちら

再上映してくださると、嬉しいな…。

さて、気を取り直して参りましょう。12月後半から新春のリマインダー。
青字の部分は公式サイトなど関連サイトにリンクしています。
前回のアップ分はこちら

【映画】
市川崑物語
市川監督といえば「銀河鉄道999」の世代なので懐かしく…。

上映中
新宿ガーデンシネマ

スロッピング・グリッスルの過去と現在−インダストリアルミュージック再考
アップリンク・ファクトリー(渋谷)

リトル・ミス・サンシャイン
littlemiss.jpg
12月23日〜
シネ・クイント(渋谷)

合唱ができるまで
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12月23日〜
ユーロスペース(渋谷)

シネマ カーテンコール2006
12月24,25日はブロークバック・マウンテンとブロークン・フラワーズの上映があります。2大ブローク(?)をお見逃しなく。

そのほかにも「亀も空を飛ぶ」「トリスタンとイゾルデ」「王と鳥」「プルートで朝食を」などの必見プログラムも。オススメです!
池袋文芸座

シルバー假面
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実相寺昭雄監督
ユーロスペース(渋谷)

《今後公開》
炬燵猫
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小川王子監督
渋谷シネ・ラ・セット

秒速5センチメートル
byousoku.jpg

新海誠監督の静かなアニメション。
シネマライズ(渋谷)

キャプテントキオ
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渡辺一志監督
シネマGAGA(渋谷)
シネ・リーブル池袋
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2006年12月14日

タムくんアニメ

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どんな催しかも全く知らないまま(そして、この作品のことも全く知らないまま)、ユーロスペースに置いてあったチラシ↑を見て、面白そうだったのでチケットを買いました。

ライブということだったので、ゲストが来るのかな〜?と思ったら、なんと作者本人が自作のアニメに合わせてキーボードを演奏するというものでした。

このちばてつやみたいなほのぼのした線画がほのぼの動くアニメーション。しかし会場を和ませたのはどっちかというとアニメより御本人様のキャラ。いまはタイに帰国したそうですが、以前は日本にも滞在していたそうで、流暢すぎるナゾの日本語トークで会場を沸かせました。しかもニッコリ笑うととっても可愛い…あーいやいや、そんな話をしてたんじゃないですね。

彼の作るアニメにはセリフがなくて、キーボードによる伴奏が感情を伝えます。どうも彼は大変面倒くさがりな人らしく(というか、自分で何でもできる人らしく)、周りの人にアレコレ頼んでいるうちに面倒になって、「あー自分でできるじゃん」(←本人談)と、音楽からパソコンからアテレコから、何でも自分でやり始めたのだそうです。絵をパソコンに取り込むところまでは良かったものの、音楽の取り込み方が分からず、ライブ演奏を始めるようになったのだとか。ちょっとフランス6人組っぽい(?)ピアノの音で超好み。

今回は、彼のDVDのプロモーション(←リンク先で音楽つきの動画も見られます)を兼ねていたようで、DVD収録作品を作者自らの生演奏で通しで見せてくれました。なかでも、

運転中に見えるいろいろな景色が、人の表情に見えてくる、という「車」

暑い部屋に帰ってクーラーをつけ、やれやれとほっとしていると、テレビに謎の女が現れ、スイッチを切っていくというちょっと恐い作品「電気」

そして、ある部屋で育った男の一生をシンプルな表現に凝縮し、見る者の心を掴む第一作「部屋」

が面白かったです。

一見した感じは無国籍風というか、むしろ日本の作品なのかと錯覚しそうですが、「生病老死」を扱ったストーリーやかなりグロテスクな描写もあり、そんなところに仏教とムエタイが併存してるタイっぽさがあるのかと思ったりしました。

ついでに特典映像まで見せてくれちゃったのですが、これが傑作。「トイレライブ」という作品で、アニメの脇に本人による日本語アテレコの光景が小さく映っており、それがおかしくておかしくて、オナカ痛くなるほど笑いました。

100人以上入れる劇場なのに整理番号100番以降は立ち見というアナウンスがあり不思議に思っていたところ、後方の席には関係者がわんさと陣取っていて、終了後のロビーはギョーカイの新年賀詞交換会みたいなありさまでした。負けるなタムくん。自作の「歌手」みたいなことにならないように、にわかファンはそっと応援しています。
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2006年12月03日

パプリカ

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「日本以外全部沈没」「時をかける少女」ときて、本作で今年の筒井康隆原作作品をコンプリートしてしまいました。別にスタンプラリーしていた訳じゃないんですが…。

他人の夢に入り込める機械・DCミニでサイコセラピーを行っている謎の女・パプリカ。そのDCミニが盗まれて、夢と夢が混線し、夢と現実の世界の境界が崩壊を始めます。いったい誰の仕業なのか、何が目的なのか。

と、いうナゾは実はどうでも良く、ストーリーにはどうも食い足りないところが残ります。パプリカのセラピーを受けている刑事の夢のフラッシュバックはありきたりだし、DCミニを巡る話もすぐに先が読めちゃうし。

ですから、パプリカの中から実体が出てくるシーンとか、足が樹木に変わっていくメタモルフォーゼのシーンとか、アニメーションならではの表現を楽しむ作品といったところでしょうか。悪夢の怖さが伝わってこないのは残念ですが(実写「悪夢探偵」の予告の方がよっぽど恐かった…)タイトル部分のアニメは秀逸ですし、音楽も面白いです。

目覚める直前に見てた夢って時間がたつとすぐ忘れちゃうのが惜しくて、録画出来たらいいのにと思っていたので、あのワラビみたいなDCミニにとても惹かれました。

結末は、ある意味、男の見果てぬ夢なのかなあと、思わず苦笑しちゃったのでありました。

主人公のパプリカの声の演技はどうも私には今ひとつでした。
ちなみに、本作品でいちばんのいお気に入りは二人のバーテンダー。と思ったら、声の出演は原作者と監督さんだったんですね。この二人を見るだけで和みます!

作品公式サイトはこちら。サイトを開くと流れる主題曲が中毒になるんですよね〜。

今敏 監督

池袋テアトルダイヤで見ました。
日曜の夕方でしたが、それほど混んでいませんでした。
あまり見づらい席がなさそうな席の配置なのは良いのですが、
音があんまり良くないです。耳に蓋をされてるような感じがします。
気のせい…?
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2006年11月27日

ストップ・メイキング・センス

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トーキング・ヘッズといえば、有名は有名ですけど、凄いバンドとは正直思ってませんでした。ニューウェイブかと思うとそうでもないし(といっても、トーキング・ヘッズが流行ってた当時は、ニューウェイブは勿体つけすぎでダサい気がしてあまり好きじゃなかったんです。今聞くと、あのダサさが愛おしいけど)、ファンクというには黒さが足りないし、何だか中途半端な気がしてました。

しかしまあ、当然といえば当然ですが、この映画を観たことによって、自分がいかに浅はかであったかを思い知る羽目になりました。

しゃれたタイトルロールに引き続き、ステージにはたった一人、黒髪の青年が現れます。足下にカセットデッキを置き、ピコピコした如何にもニューウェイブな伴奏を流しつつ、手にしたアコースティックギターをかき鳴らしつつ歌い始めます。そのありさまはどう見ても、オンドリがエサ箱に向かって歩いてるようにしか思えません。

彼こそがトーキング・ヘッズのボーカル、デイヴィッド・バーンなのですが、どうもどこかで見たような顔だよなあ…と記憶を探っていくと思い当たりました。そう、「変身」のフランツ・カフカそっくり!

しかし、そんなマイナス面(?)をモノともせず、憂鬱そうな顔に似合わぬ激しいパフォーマンスで、彼のワンマンショーは盛り上がって行きます。ステージが進行するにつれ、ベーシストが増え、ギタリストが増え、ダンサーが増え、舞台の後方にはドラムセットやパーカッションが用意されて、堂々たる大バンドが出現します。

その後は踊らずにはいられない、ファンキーなナンバーが次から次へと演奏されます。そのノリっぷりが楽しくて、映画館じゃなくてお隣のライブハウスで上映してもらいたかったなと惜しくなるほどのステージ映像が繰り広げられます。

全編、この1ステージを撮っただけの本当にシンプルなつくりの映画ですが、それだけでここまで見せることができる、素材の良さと監督の手腕には脱帽です。

フロア総立ちのラストナンバーが終わると、エンディングにはライトを落とし、がらんとしたステージが映し出され、そこに最初の、ピコピコしたカセットの音が流れてきます。思えば遠くへきたものだ…と感慨深いラストシーンでした。

雨で日曜日ということもあって、お客さんがまばらなのが何とも悲しかったです。これが日本最終上映ということなので、ぜひ、ユーロスペースの最高の音響で最高のパフォーマンスを体感してください!

ジョナサン・デミ監督
ユーロスペース(渋谷)

整理券方式の映画館。1階にカフェもあります(2006年11月現在、味はいまいち…)。映画館内には自動販売機のみ。ドリンクホルダーがあり、持ち込み可です。
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2006年11月18日

真夏の夜のジャズ

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1958年、アメリカの東海岸で行われたジャズ・フェスティバルを描いたドキュメンタリー。優れたカメラワークと色彩感覚は全く古さを感じさせません。冒頭のタイトル部分からしてサム・フランシスの絵を思わせるような演出で、おしゃれ度抜群です。

原題の「Jazz On A Summer's Day」が示しておりますとおり、夜だけではなく、爽やかな夏の一日が主人公です。舞台はロードアイランドですから、少し肌寒いときもあるような夏、ヨットのレースの様子なども交えながら、いかにもゆるゆるした休日の空気が良く写し取られていると思います。

出演者はプロに徹していますが、観客の方はゆとりが感じられ、ライブ中だというのに本を読んでたり、おしゃべりしてたりと思い思いに音楽を楽しんでいる様子がうかがえ、なかなか味があります。

人々の服装、車、持っている小物なども粋で、アメリカのミッドセンチュリー・テイストが好きな人にはたまらない映像でしょう。

途中、ルイ・アームストロングのMCが少し入っていますが、あとはほとんどセリフはありません。最近の音楽映画によくある、おしゃべりばっかりで楽曲は尻切れトンボ、ということもありません。フルコーラス入ってます!

この映画を観て、ジャズが好きにならない人はいないんじゃないでしょうか。音楽はどれも素晴らしくて、拍手したくなるほどですし、出演者のパフォーマンスも一流揃いです。これがライブで見られたなんて、ホント羨ましいの一言です。一方で、ジャズには何故か付きまとう、金持ちやスノッブな人たちが趣味の良さをひけらかすための音楽、という一面がそこここに垣間見えるのも興味深いです。

上映は11月24日まで。その後、吉祥寺バウスシアターに巡回します。
これが日本最終上映。絶対お見逃しなく。

ユーロスペース(渋谷)
円山町に移転しました。渋谷駅からは、文化村通りをまっすぐ進み、東急本店に突き当たったら左へ曲がります。道の左側、ちりめん亭の脇の坂を上がった右手にあります。

こちらは、整理券順での入場となります。音響がとてもよく、画面もみやすい。ちょうど真ん中のシートが最上席です。内装もシンプルで大人向けの映画館。座席にドリンクホルダーあり。1階にカフェがあります。
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2006年10月22日

悪魔とダニエル・ジョンストン

devil.jpg
ご無沙汰致しました。見てからだいぶ日にちが経ってしまいましたが、感想をば。
いやーめちゃくちゃ面白いドキュメンタリーでございました。

真面目に見れば、精神病を患う天才ミュージシャン、ダニエル・ジョンストンの半生なので、本人も周りも大変なことには間違いありません。

自由の女神に落書きして警察に怒られてみたり(録音テープの音声が流れましたが、本人、しゅんとしてました)、ライブで観客に説教垂れたりという奇行はマシな方で、マネージャーを凶器でボコってみたり、お父さんの軽飛行機の操縦桿を奪って墜落させてみたりの刃傷沙汰が続けば、周りの寿命が縮みます。

しかし、そのマイナスと釣り合いを取るかのように、彼の才能は輝いています。関係者は怒るでしょうが、映画はこのマイナスのゆえに彼の才能があるのだと言わんばかりです。

アール・ブリュト、とひとくくりにするのは好きじゃないので、個性的な、と申し上げておきますが、一度見たら忘れられない絵もそうですし、メチャクチャ弾いてるように見えて、キャッチーなメロディーが心に残る音楽も彼の作品です。なかでも清涼飲料水「マウンテンデュー」を讃える歌(?)はすごくて、さんざん褒めちぎった上に「♪悪魔も飲んでる マウンテンデュー!!」だって。なんでCMソングに採用しなかったんだろ?最高なのに(爆

それを除くと(笑)私がいちばん気に入ったのは、彼の映像作品です。少年時代の回想シーンは、ダニエル自身が撮った自主制作映画のフィルムを使っているのですが、ベッドの前に座った本人の服がどんどん入れ替わっていくといったアイデアが面白いし、演技もなかなか上手です。そして、彼の映画のテーマになっているらしい、本人演じるところのガミガミ怒る母親の姿には胸を衝かれます。子供のころ、親が煩わしいと思う子はたくさんいるでしょうが、彼の感性には並の子供以上に応えたのでしょうね。

すでにこの自主制作映画時点で、アングルやカットの仕方なども大変上手いんです。こんな人の映画を撮る監督さんは、いろいろ注文付けられて大変だったんじゃないかと思いますが、それを乗り越えて(たぶん)、優れた作品に仕上がっていると思います。

病気が病気だけに、本人が何を思っているかを的確に表現するのは難しい挑戦だったのではないかと思いますが、家族や友人、彼に献身的に尽くすマネージャーの存在、他のミュージシャンや地域社会の反応などを上手く取り込んで、ダニエル・ジョンストンとは何物かを多角的に描いています。

最近のドキュメンタリーはデジタルカメラを使っているせいなのか、画面が非常に平板に見えることがあるんですが、この作品はフィルムを使っているようで、こんなに差があるものかと驚きました。深みのある映像も見どころです。

ジェフ・フォイヤージーグ監督

ライズX(渋谷)で見ました。
今回初めて1階席でした。
思ったほど見づらくはありませんでしたが、
あと50センチでも席が高い位置にあれば、
もっと良かったでしょう。関係者の方、上げ底をぜひご一考ください。

posted by 銀の匙 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする