2017年04月08日

江戸と北京

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数々ゲットしたグッズの中の1つ(手帳)。「万寿慶典」という絵巻をモチーフにしています。

実は明日(2017年4月9日・日曜)で終わってしまうので、ご興味ある方はぜひ足をお運びいただきたい良展。

グッズ売り場も充実してます(はぁと)。上の手帳を始め、江戸代表の『熙代照覧』、北京代表の『万寿慶典』をモチーフにしたマスキングテープ、関連書籍等々、お宝集結。無料で入れますのでぜひぜひ。

18世紀の都市と暮らし、と副題にあります通り、清朝北京も江戸東京も現代と地続きの都市で、いまの北京や東京の風俗習慣とつながっているところが多々見受けられます。

双方、精緻な絵巻物が展示されており、江戸って本屋さん多かったんだな〜とか、北京って役人だらけだな〜、なんか花を這わせたお洒落なラティス状のものがあるけど何だろう?とか、こまごまと描かれた人物や町の様子を見るだけでも楽しいです。

実物も、衣食住の場面に合わせて取り揃えられており、お年玉として使われた縁起物のお金(圧歳銭)や、中国の公務員試験・科挙の答案とカンニングペーパーなど、写真で見たことはあったけど、ようやく本物を拝むことができました。

似てて、違って、おもしろい。という展覧会のコピーは全くその通りで、年中行事や子どもの遊びなど、似てるけどちょっと違うもの、てっきり中国のかと思ってたら日本のだったりするものなど、興味深いアイテムがたくさん。

会期末ということもあって、お客さんはいっぱい来てましたが、場所がゆったりしてるせいか、混雑した感じではありませんでした。

近くの隅田川でのお花見、プラス、定評ある常設展示と合わせて、ゆっくりご覧になってみてください。

博物館の7階には見晴らしのよい和食レストランがあるほか、1,2階に洋食レストランもあり。JR両国駅の飲食店も充実しています。

1階の墨田区の物産を扱うショップでは、言問団子等、江戸時代からの名物お菓子もそろっていて、東京らしいお土産選びに困っている方にもおススメです。

江戸東京博物館
" target="_blank">https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
都営地下鉄大江戸線 両国駅からほぼ直結。
JR両国駅からもすぐです。
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2016年04月03日

Tomato展 THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O”

(写真は後から追加の予定です、すみません!)

今日(4月3日)の18:00で展示が終わってしまうので今さらな感じですが、記録&渋谷に用事がある方にはぜひお立ち寄りくださいということで。

イギリスのデザイン集団、Tomatoの結成25周年の展覧会です。って言われて、何だっけ?という方も、Underworldのデザインワークを担当したといえば分かる…いえ、Underworldを知っててTomatoを知らないってことはあり得ないか…テレビ朝日の今使われてるロゴをデザインした人たち、と言えば、作品を一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか(実は会場に行って、初めてそのことを知りました私)

展示スペースは割とこじんまりしているし、展示物はUnderworldの渋谷パルコでのライブ映像と、ビデオ実験映像を除くとほとんどがA4判〜A3判くらいのデザイン/写真作品を壁に貼ってあるだけですが、1つ1つがとてもいいし、連続で見ても面白いです。写真も撮り放題で、一般500円の入場料では申し訳ないって感じですね。

タイポグラフィの作品も一世を風靡しましたが、全然古い感じではなく、そういえばロンドンで見かけたスタイリッシュな広告だとか、BBCの『シャーロック』の映像だとか、何気なく見る現代イギリスのビジュアルに彼らのデザインの強い影響を感じるな〜と思ったりしました。

本展のための図録もあり、買ってみたところ、展示と同じ作品でもエディトリアルデザインを施すと、また新鮮な表情が見えたりして、さすがだなと思いました。

同じビルの地下1階と8階で関連の展示があります。地下1階の方はペインティングで、高校の文化祭の展示みたいというか、正直なんじゃこりゃな感じですが、詩がお好きな方には面白いかも知れないです。BGMもガンガン効いてるし。

8階は特別な装置をつけて360度からライブ画像を見られるという無料の展示をやっていますが、かなり人が並んでたので諦めてしまいました。

その他、ビル内のあちこちでビデオインスタレーションや展示が行われており楽しめます。何より、全館のBGMがUnderworldの新作で、つい耳を澄ませてしまうこと請け合いです。

公式HPはこちら↓
http://www.parco-art.com/web/museum/exhibition.php?id=895

渋谷パルコミュージアム(PART1・3F)
ギャラリーX(PART1・B1F)
2016年4月3日まで
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2016年02月11日

エンキ・ビラル/IN BOX

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フライヤーより

実はこれまでシャネルのお店に入ったことがなかった私。

扉の脇に狛犬係の人が立ってて、入りにくいったらありゃしない。買わない人に入って欲しくないなら、ギャラリーなんか作らなきゃいいのに…って、それが嫌なら行かなきゃいいんですが、それでもエンキ・ビラルが見たいんだからしょうがない。

でも結局のところ、不景気を反映してか、こういう小規模な展示をしてくれる場所がないだけに、服飾ブランドが社会的貢献としてこういう催しを主催してくれるのは本当にありがたいことです。

都内だけでも、ここ数ヶ月でエルメスがフランスの若手芸術家の作品を紹介していたし、フランク・ゲーリー展なんて、有料展よりルイ・ヴィトンでの展示の方が数段良かったし。文化国家フランスをアピールし、ブランドイメージを高めるだけでなく、将来にわたっても大きな波及効果があると思います。

と、エラそーに書いてみたけど、どこをどう間違ってもブランド店には縁がないようにしか見えないはずですので気後れしつつ、ここは、無い勇気を振り絞り、幸いフライヤーを持っていたのでなんとなくそれを魔よけの札みたいにかざして、お店に入ってみました。

展示会場は思ったより広く、数分置きに電気が消える演出になっていました。壁にはずらりとビラルの絵。ひと目で彼の作品だと分かる、特徴的な青を使っています。

これが絵画か、といわれると答えに窮しますが、かといってイラストかと言われるとそうでもない作品。

本人へのインタビュー映像の前には、彼のバンド・デシネ(フレンチ・コミック)作品も置いてありました。彼のバンド・デシネ作品はまあまあ好き…程度ですが、映画『バンカー・パレス・ホテル』は面白かったし(メモ程度ですが、感想は→こちら)、カラー作品の色遣いには独特の個性があります。

ビラルは旧ユーゴスラビアの出身とはいえ、10歳のころからフランスで暮らしているそうなので、フランスの作家、と言ってもかまわないと思うのですが、それでもやはり彼の作品にはルーツの文化が色濃く反映されているように思えます。振り払っても払いきれないその翳りは、何の予備知識もなく見ていた頃さえ、眺めるこちらに乗り移ってくるかのようでした。

肉筆画が見られるこの機会に、ぜひ一度ご覧になってみてください。
会期後、新宿でも巡回展があります。

シャネル銀座
2016年2月14日まで
公式ホームページは→こちら

なお、この展覧会の巡回+αの姉妹展「エンキ・ビラル/OUTBOX」が
新オープンの新宿駅のルミネ ゼロにて開催予定。
入場無料です。

2016年3月25日 - 4月6日
11:00〜20:00
公式HPは→こちら


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2016年02月09日

第19回 文化庁メディア芸術祭

ほとんど毎年のように観にいく文化庁メディア芸術祭。
今年もアート、エンタメ、アニメ、マンガの4部門の受賞作品展がつつがなく開催されました。

これまでに比べると、大掛かりな作品やインタラクションのある作品が減ったような印象を受けますが、アマチュアっぽい雰囲気を残した作品が選ばれていて、それはそれで面白かったです。

平和を訴える作品が目立ったのも特徴的でした。

個人的に興味を惹かれた作品は、後で説明を見るとどうも新人賞受賞作が多かったみたい。今後も期待できそうですね。

算道/山本一彰
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これ、アート…? まあ、確かに見た目にも面白いですけど。

将棋のような感じでアナログ的に操作すると遅く見えますが、2次元の計算を3次元に展開しているので、機械で処理できるようになったらかなりスゴイんじゃないかと思う。

Non-Working City/HobTingfung
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マンガ部門で一番目を惹いたのはこの作品。台北のどこかにある、働かなくていいエリアというところに迷いこんだ二人のお話だそうです。

たましい いっぱい/おくやま ゆか
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マンガ部門ではこれも面白かった。

The Sound of empty space/Adam BASANTA
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今回、インスタレーションで面白いと思ったのはこれ。

2.5次元マスク/くわがた 他
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紙工作なんですが、結構みんな注目していました。自分の顔で試せる、という参加型(?)の作品だったからじゃないでしょうか。今年はそういうインタラクションのある出品が少なかったので。

Deux Amis (Two Friends)/Natalia CHERNYSHEVA
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ロシアの新人作家さんだそうです。シンプルだけどとても洒落た作品でした。お話も「童話らしい」ちょっと残酷なところがあるのが本格的。

2016.2.3〜2.14 六本木 国立新美術館(六本木)
公式HPは→こちら 
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2016年01月21日

ジョン・ウッド + ポール・ハリソン 「説明しにくいこともある」展

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写真はチラシから

会場を入るといきなり目に入るのは、2人3脚のサエない男性2人が、ボールマシンから繰り出されるテニスボールから逃げ惑う映像。

最初のうちはまだ余裕があるものの、機械的にボールを打ち込むマシン(って機械だから当たり前か…)は容赦なく、数分のうちに、逃げ切れずに直撃されたり、ムリやり避けて相棒が直撃されたりと事態は悲惨な方向へ。観てる側も痛い思いに乗り移られつつ、つい笑ってしまう作品です。

会場に並ぶ20作品は、ほぼ、何でこんなこと思いついたかな的な脱力系の映像作品やインスタレーションばかり。

テーブルの上に白いスポンジがあって、青い液体がこぼれると全部吸い取っちゃって真っ青に、とか、等間隔に糸が並んでるなと思ったら、上から積み木の家が降りてきて、糸をガイドに等間隔に並んだ、とか、ここで終わるか? だから何なの? みたいな映像が並んだヤマもオチもない作品(《ノート》)があるかと思えば、駐車場に止まっている車(ミニカーですけど)がドラマチックに爆破されるシーンが延々続く、ヤマしかない作品(《DIYVBIED》)とか、リアクションに困る作品がてんこ盛り。

作家の名前もジョンとかハリソンとかポールとかわざととしか思えない紛らわしさで、今日になっても組み合わせが全然覚えられません。

それでいて作風が妙にスタイリッシュで色や動きが美しいのが、またすごくムダな感じ。

深い意味があるのかも知れませんが、それを追及するのは野暮な感じ、っていうこのモンティ・パイソンな感じが、よく分かんないけどたぶんイギリスのお国柄なんだろーなーと感心してしまいました。

私が一番好きだったのは、《エルドクンデ(地球の調査)》という16分4秒の作品。

1秒かかることもあるけど16分4秒かかることもある、この説明しにくい感じ、どうぞ実地でご堪能ください。

公式ホームページは→こちら。予告の動画もあるんだけど、残念ながら、あまり面白そうに見えませんね…。

NTTインターコミュニケーション・センター(初台)
2016年2月21日まで
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2016年01月05日

ローラン・グラッソ展 Soleil Noir

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過去についてのスタディ
(カンヴァスに油彩、金箔)

1972年生まれのアーティスト、ローラン・グラッソ(Laurent Grasso)の個展。

一見、中世の細密画にしか見えない絵柄ですが、よく見ると超常現象が発動中だったり、オーパーツみたいな物体が描かれていたり、東洋的な技法で西洋画を描いたりと、時間や場所が相互乗り入れ自由な不思議な作風。

金屏風にしか見えない上↑の作品も、実際には油絵に金箔を貼ったもの。ですが、実際にみてもやまと絵そのものにしか思えない超絶テクニック。

描かれている超常現象(?)なども、実際の文献で記載があるものを選んでいるらしく、単なる思いつきやパロディーではないようです。

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縄文時代の司祭(木彫像)

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過去についてのスタディ(木に油彩)

古代の作品で、今見るとモダン、みたいなのがありますが、装飾的な作品なのに、そんな感じの奇妙なモダンさを感じます。

メゾン・エルメス・フォーラムのガラスブロックばりの展覧会場にもほどよくマッチしています。
陽が暮れてからの鑑賞がおススメです。

2016年1月31日(日)まで

銀座メゾンエルメス・フォーラム
11:00-20:00(入場19:30)
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2015年12月20日

スター・ウォーズの世界 フォース・フォー・ジャパン展

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どうせお台場に居るから、入ってみましょうか…無料だし、10分待ちくらいで人も並んでないし、と軽い気持ちで覗いた展覧会。私たちに紹介してくれた人も、時間あったらいってみれば、的な推薦の辞。

入り口は、まあ、こんなもんね、くらいの雰囲気。
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入ると、まずは等身大の新ヒロイン、レイとBB-8がお出迎え。
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混雑してないおかげで、ほとんどありえないほど近くまで接近。
ここにしか展示してないという貴重な等身大の新型ストーム・トルーパー、カイロ・レン、キャプテン・ファズマなどが並びます。

へぇみんな背が高いんだな〜と思いながら、次の展示ルームへ入ってビックリ。目の前のこの雲みたいな物体はまさか…

ねぶた?

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お披露目されたとかされなかったとか大騒ぎになってたのはコレかぁ、と間近に寄ってしみじみ眺める私たち。実際の会場でこんなに接近するなんて、ぜったい無理でしたよね。

しかし、正直いって、主人公

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よりも、

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ヨーダの方が、
さらには、

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悪役のほうが、断然ねぶた映り(?)が良かった。

新キャラももちろん、

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かわいかったですけどね。

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(まったくどこまで魂抜かれてるんだ…)

私のお気に入りは、一家に一枚ほしいこちらの屏風でした。

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「覚醒」ももちろん、よかったんだけど…。
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と、なぜか目出度い感じに決まりましたが、期日は年内までなので、ご覧になりたい方はお早めに。個人的には、六本木ヒルズの展覧会より面白かったです。

開催中〜2015年12月29日
11:00〜20:00
日テレ2階(東京・汐留)
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2015年11月17日

始皇帝と大兵馬俑展

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「大兵馬俑」とか言ってる割に、ちまちました展示だったらどうしよう?とちょっと心配していましたが、工夫を凝らしてスケール感をアップしており、歴史ファンの方にも、美術ファンの方にも、楽しめるであろう展覧会でした。

恐怖の大混雑を覚悟で出かけたら、平日、しかも金曜日だったせいなのか、まったく並ばずすいすい入場でき、拍子抜けするほど空いていて、展示品や説明もじっくり見ることができました。

会期中、金曜日の夜には、特別に8時まで開館している日もあり、ゆっくり観られるので、混雑が苦手な方には特におススメいたします。

会場は大きく2つに分かれており、まずは、兵馬俑の時代背景になった秦の時代を知るための展示が並びます。ここがまず面白い。

最近の傾向なのか、実際に触れたり、遺物の使い方を説明するミニコーナーを設けたり、映像展示があったりで飽きさせません。

たとえば、中国では昔から「玉<ぎょく>」が珍重されているのですが、その原石と磨いた面を触ってみることができたり、薄くスライスして光が透る様子を見せたりと工夫が凝らされています。

竹簡もただ実物がぽんと展示されているだけではなく、どんな風に使ったのかがコーナー展開されています。
竹簡に書かれた文字も、すぐ解読できちゃうのですが...(笑)。ここは秀逸だったので、ぜひご覧ください。

さて、いにしえのハイパー国家・周への憧れから、器物やアクセサリーなどまずは形を真似しようという努力の跡に、涙ぐましいものを感じます。イジワルにも、秦の遺物が周代の遺物と並べて展示してあったりしますが、時代的には古いのに、圧倒的に周のものの方が造りが良かったり...(哀)

それでも、戦国時代を勝ち抜いて周の後継者になるには、なりふり構ってなんかいられません。まわりの国をがんがん滅ぼし、滅ぼした国と同じ宮殿を都の咸陽<かんよう>に建てた、っていう発想自体が何ていうか凄すぎです。

現在、さすがにそれらの宮殿は残っていませんが、跡地を空撮した映像が流れており、そのスケールの大きさに唖然とします。

教科書では、「中国全土を統一した」「度量衡を統一した」「文字を統一した」みたいに、さくっと書いてあることでも、実際にやるとなったらうんざりするような事業であることが、度量衡を統一するための重りひとつを見ても分かります。ま、反対する人なんか埋めたくなっちゃうでしょうよ、面倒くさいから。

と、展示の第一部を見終えるまでにもう1時間くらい使っててビックリ。肝心の兵馬俑はまだ全然出てきません。前菜だけが豪華なレストランみたいだったらやだなぁと思いつつ、いそいそと第二部へ。

途中の吹き抜け部分がグッズ売り場になっていて、ここがまた面白くてさらに30分くらい使ってしまいました。兵馬俑が首に巻いてるスカーフっぽいものからの連想でストール、あたりはまだ笑える部類ですけど、兵馬俑チョコ...兵馬俑紅茶…いったい、展示と何の関係が??(でも、そんなこと言って結局、兵馬俑マステなどを購入してしまいましたわ、自分)

さて、気を引き締めて第二部へ。いよいよ兵馬俑と対面です。その前に、始皇帝陵の西側から出土した、銅車馬が展示されています。

大きさは、ほぼ実物の二分の一サイズで作られているそうで、御者、馬、車とも、実に精巧にできています。一号車の御者は立っており、手前に吊るされている弩も本物そっくりです。二号車は四頭立てで、引いている馬車の中に、人の姿はありません。始皇帝の魂が乗るものではないかという解説がありました。

部屋を出ると、外がスロープになっています。何でしょう、この、徐々に盛り上げようというあざとい演出は...(笑)と思いつつも、すっかり策略に嵌り、スロープの上から見おろすと、おおっ、そこには発掘現場の再現展示が!兵馬俑がいっぱい立ってるッ!

お客さん走らないでください、と注意されそうになりながらも、展示に駆け寄る私。ところどころに一体ずつ、本物の出土品がどーんと展示してあり、本当にすぐ近くまで行って360度じっくり観ることができます。こりゃ、すごい。

歩兵や弓兵、将軍など、いろいろなタイプの俑が展示されています。馬や力士(?)のような像もあり、どれも生き生きとして、今にも動き出しそうです。

結い上げた髪の毛なども、きちんと再現されていました。当時は髪を切らなかったので、かなりの長髪だったと思われますが、三つ編みや編みこみも取り混ぜて上手いことまとめていたんだなぁと感心しきり。

兵士たちは、それぞれポーズを取っていますが、手に持っていたはずの武器なども考証して再現図を掲げてあります。それぞれ、死をも恐れぬ精悍な表情とはいえ、どっかで会ったことあるような感じの顔の人ばかり。21世紀に生まれてたらヤンキーそうだよなーとか、将軍とされる像は、やっぱり頭がよさそうだったり。

立射俑がカッコよくて、じーっと見つめてしまいました。
今回は展示がなかったのですが、映像資料でみた文官俑というのもステキだったです。

場内は撮影できませんが、これまた最近の傾向なのか、写真撮影コーナーが設けられており、兵馬俑のレプリカと記念撮影することができます↑(トップの写真がそれ)。自分は入らずに、レプリカだけ撮影する人も多かったみたいです。

音声ガイドの声は檀蜜さんだとか。中国語講座にゲスト出演してる縁でしょうか。借りてみればよかった。ちょっと惜しかった...。

ちなみに、この特別展のチケットで、常設展示も見ることができます。
もうすでに3時間以上使っていたので、へとへとでしたが、せっかくだからと日本館と東洋館に行ってみました。

国宝のはにわが恭しく飾られていましたが、先ほどみた兵馬俑の迫真の写実性に比べると、だいぶ後に作られたのに、雲泥の差があります。国力、文明のあまりの格差に悲しくなるほどです。

でも、芸術的な表現という角度からすると、21世紀の今となっては、はにわの方が「いまっぽい」ですよね。そんな発見も面白かったので、お時間の許す限り、ぜひ、他館もご覧になってはいかがでしょうか。

2016年2月21日まで
東京国立博物館(上野)
大阪、福岡にも巡回するそうです
公式サイトは→こちら
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2015年11月07日

Autodesk Gallery Pop-Up Tokyo

うかうかしているうちに会期が明日までになってしまったので、慌ててエントリー。

CADで知られるオートデスクのギャラリー展なのですが、映像作品のためのCGのデモはもとより、ファッションや義手、乗り物、デバイスなど設計したものの実物を展示しており、これが実にSF的で面白いです。

以前は複雑な設計もパソコンの中に再現できるだけでしたが、今や3Dプリンタがあるので、「プリントアウト」して3次元の世界に連れ出すなんて朝飯前。それ自体すでにSFなんですが、展示品は、以前ならどうやって作ったのコレ?みたいなもののオンパレード。あっという間にこの状態に慣れてしまう自分も怖いけど..。

だけどこんな風に、機械に自分で設計させて、自分で作らせて、自分で直させて、自分で考えさせて、なんて事やっていたら、創造的な未来っていうよりは、「ターミネーター」な未来がすぐ実現しそうだとつい心配してしまいます。

でもまあ、こんな飛行機だったら、ぜひ乗ってみたいなあ。
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中はこんな風
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3D時代のフォント
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この発想はなかった...!

素晴らしいテクノロジーは、ぜひ明るい未来のために使ってもらいたいもんです。

2015年11月8日まで
東京・原宿 Ba–Tsu Art Gallery
催しについて詳しくは→こちら
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2015年10月04日

オスカー・ニーマイヤー展

ブラジルの建築家、オスカー・ニーマイヤーの作品を映像、写真、模型と関連作家の作品で紹介する展覧会。実は、日本の建築ユニットSANAAが会場構成をすると聞いたので、それを見に行くつもりでおり、肝心の主役の方は何だか名前を聞いたことがあるなぁ、誰だっけ…? とずっと思ってたという情けない状況。

そうか、ブラジルの新首都・ブラジリアの設計をほとんど一人でやった、って人だったのですね。

しかし、そんな偉業よりも、会場についてこの展覧会のポスターを見たら、あっ、この人だって、ようやく思い出しました。
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そうそう、偶然見かけた雑誌の表紙に、ホンマタカシさんがこの建物を撮った写真が使われていて、それで覚えていたんでした。(→関連記事はコチラ

被写体であるニチロイ現代美術館関連の展示が、やっぱり一番心惹かれました。カップめんの「赤いきつね」そっくりな形をしていて、屋根の部分はお湯を注いだ直後みたいにこんもりしているんだけど、実は花を横からみた形にインスピレーションを受けたらしいですね。言われた後も、ふーん、そうなのかなー?くらいな似てる度ではありますが…。

この建物の中に入って行って、中から外を見る映像というのもとても素敵でした。赤いスロープを登って、入り口を入るとワクワクする空間が現れます。ぐるりと巡らされた窓からは海がみえ、逆に、外から建物をみると、海にせり出して設置された建物の床の部分に海面が反射してきらきら輝いています。写真で見ると現代的なオブジェみたいですが、こうして背景と共に見ると、まるで建物が生きているかのようです。

ジオラマとして再現された広い公園の中に入っていくという展示もあり、またほとんどの展示物が撮影可という参加型の催しで、それはそれで大変良い発想だったと思いますが、みんなスマホで撮影するから結構うるさいし、ピントを合わせるために不用意に後ろに下がるので、なかなかデンジャラスな空間ではありました。

だからといって、こういう先進的な試みをやめちゃうのはもったいないので、何か上手い方法を考えたいところですね。

久しぶりに清澄白河へ来たので、ぶらぶらとあたりを歩いてみたら、美術館の近くに、とても面白い共同住宅がありました。何だか公団の建物のような、でもそれにしてはスペインあたりにありそうな、とても心惹かれる空間でした。社員寮か何かかと思い、帰宅して調べてみたら、元は公団の建物だったのをリノベーションした、三好住宅という賃貸住宅でした。
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駅からなおもぶらぶら歩いていくと、高橋、という橋に行き当たります。眼下には、水上バスの発着所があり、「高橋のりば」と書いてある。鈴木さん、田中さんは別の乗り場からってことかな…などとくだらないことを考えているうちに、「森下」という隣駅に到着。

ここは、小さいけど不思議な飲食店が集まっているところみたいで、コックさん外国人でお店は6人入るとギュウギュウ、みたいなお店とか、いろいろ面白そうなところです。看板に惹かれて、少し離れた場所の、雰囲気のよい定食屋さんで夜ごはんを食べました。すると、すぐ近くに、これまたすごく雰囲気のよい古本屋さんがあり、出先だっていうのにかなり買いこんでしまいました。

お店を出てから、おお、ここがまさに前日、お友達が教えてくれた「ドリス」って古本屋さんだったんだと気が付きました。(→HPはこちら
(いいお店教えてくださってありがとうございます☆)

ということで、展覧会は2015年10月12日までやっているので、あれ、これだけ?…な規模の催しではありますが、周辺散策も兼ねて、どうぞお出かけになってみてください。

東京都現代美術館(清澄白河)
展覧会のHPはこちら↓
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/oscar-niemeyer.html
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2015年09月05日

蔡国強展:帰去来

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↑展覧会のポスター。これが〈壁衝き〉です...でも、横浜美術館なんかスペースたくさんあるのに、なんで折りたたんだチラシしか置いてないんでしょう。残念すぎる。

横浜美術館で開催中の、中国現代作家によるインスタレーション/ドローイング展です。

タイトルの「帰去来」は有名な陶淵明の詩のタイトルからつけたのでしょうか。
英語訳もあり、

There and back again

だって。

なるほど、『ホビット』でビルボが書いた本は「帰去来」だったのか…。

と、またまた強引に指輪つながりなのね、と思ったあなた。

本展覧会最大の見せ場、〈壁衝き〉を体験いただければ、さらに「ワーグに襲撃される」というエクスカーションもお楽しみいただけますよ。これを指輪つながりじゃなくて、何だと思えと(略)。

実物大(?)のオオカミの群れが、サンタのトナカイみたいに空へ駆け上がり、透明なガラスの壁にぶち当たって崩れ落ちるというこの作品、横から眺めるだけではなく、作品の中を歩き回ることもできますが、ただの作り物でこれだけの迫力、実際こんな群れに直面したら、足がすくんで動けないでしょうね…怖くて。

…と、それはともかく、作家は以前日本に滞在していて、当時から、火薬を使ったドローイングで有名だったように記憶しています。

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↑横浜美術館の入り口ホールに設置された、火薬を使った巨大なドローイング。ここは写真に撮ることができます。


作品は見たことがあったのですが、今回初めて、会場のビデオで製作過程も見ることができました。

http://magcul.net/focus/cai-guo-qiang/
↑こちらでも一部、動画を見ることができます。

キャンバスの上に絵や下地を用意し、下絵に従って火薬を撒きます。
キャンバスに布を掛けて、導火線に火を点け、爆発させます。

火を消すと、そこに点々と爆破の跡が残り、モノクロームの濃淡がつきます。

今回の展覧会では、キャンバスばかりではなく、白磁を使って同様に行った作品もありました。花や鳥など四季折々の風物を白磁で作り美しく配置した白いタイルに爆破で濃淡がつくと、廃墟のような寂寥感と同時に、秘めたエネルギーをも感じさせます。

この作品を作ったときのビデオは、白い陶器の上に線香花火のように散る火花、雪のように舞い落ちる炎などを捉え、大変美しく、印象深いものでした。

あるところまでは作家が作りますが、あるところからは偶然、自然に任せる。

「易」にも通ずる哲学をそこに感じます。

同時に、花火となって人を楽しませるという本来の使い方よりも、全てを破壊してしまう殺戮者としての用途の方がポピュラーになってしまった火薬を、作家は自在に操りながら、後者の使われ方しか知らない人にその美を体感させ、両面を知る人には、また新たな意味を見出させようとしているように思えます。

それは恐らく、火薬を発明した人々の子孫だという矜持もあってのことでしょう。

彼は現代作家として世界各地に招聘され、いくつもの大がかりなプロジェクトを行っています。会場でその様子が上演されていましたが、どれにおいても、現地の人とつながり、平和を希求する強い気持ちが表れています。

と同時に、自らのルーツを問い直し、内省する姿勢をも感じ取ることができます。

作家はきっと、海外で展覧会を開けば、どこへいっても政治とのかかわりを聞かれ、立場を問われているのではないかと思います。現代美術とはそういうものだといえばそれまでですが、私などは、ずいぶんつまらない、矮小化された作品のとらえ方だし、本人もうんざりしてるんじゃないかとか思っていたのです。

しかし、会場でインタビューを見ると、彼は超然としつつも、自分は自分の土地に責任がある、自分の文化に責任がある、といった受け答えをしています。自分が受け継いだ文化を慈しみ、自分なりに解釈し、外の世界とも分け合おうとするその姿勢に強い感銘を受けました。

お客さんは結構入っているようでしたが、美術館自体が広いので、混んでいる感じはしません。後々、語り草になるような展覧会だと思います。ご都合つく方はぜひ。

2015年10月18日まで開催。
公式ページは
http://yokohama.art.museum/special/2015/caiguoqiang/
←こちらです。
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2015年05月31日

シンプルなかたち展/NAMコレクション001 ふたつのアジア地図―小沢剛+下道基行

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写真は出展作品:大巻伸嗣「リミナル・エアー スペース−タイム」

皆さまこんにちは。

ここのところ、忙しくなくはなくなかったのですが(どっちよ)、どうしても急いで観る必要があり、六本木ヒルズの「スターウォーズ展」に行ってまいりました。

空き時間の関係で、出かけたのは土曜日の午後。

この時点でもう予測がお付きかと思いますが、とにかく凄い混雑。

六本木ヒルズの森美術館っていうのが、またどこから入っていいんだかよく分からない美術館で、入り口を探し当てるまでが一苦労な上に、なぜか先にグッズ売り場に遭遇してしまい、展覧会を観る前にグッズを持ち歩いてるというナゾの展開。

とにかく、並びに並んで展覧会に行き、あまりパッとしないイラストなどを観て、とはいえ、あのテーマ曲にちょっとウキウキしちゃったりして、やっぱりエピソードW以外はあんまり面白くないなぁ…などと認識を新たにしながら見学いたしました。

絶対観に行った方がいいか、と聞かれたら、2004年の「アート オブ スター・ウォーズ展」とは比べ物にならないけれど(比較する方が間違ってますけど)、まあ、ファンなら見といたら?とは申し上げておきましょう。

観終わったら日も暮れていて、ようやく人もまばらになり、夜景を堪能したあと地上に降りてくると、30秒もしないうちにあたりがユラユラと揺れはじめてビックリ。ニュースを見ると、六本木ヒルズの多くのエレベーターがそのあと2時間半くらい止まってしまい、階段も使えなかったんだとか…。

こんなに苦労して見て(って地震の方は自然現象だからカウントしないにしても)、成果もあまり挙がらなかったのでガッカリでしたが、共通券で入れたもう1つの展覧会「シンプルなかたち展」の方は、とても良かったです。

実は、面白そうだとは思っていたのですが、わざわざ六本木まで行くのが面倒…とか罰当たりな事を考えていたところでした。ただ、これだけを見ようにも、もれなくスターウォーズがついてくるので、混雑は覚悟するか、お休みの合う方は平日にしておいた方が無難です。

会場は土曜日だというのに空いていて、作品をじっくり楽しむことができました(泣)

入ってまず、目にするのが石のコレクションです。

綺麗な縞もようの入った、ル・コルビジェのお気に入りの石(拾い物)とか、すべすべして手触りよさそうな石(拾い物)とか、オブジェとかではなくて、ただ自然界にあるもの。

同じ部屋に飾られている、杉本博司のモノクロ写真「スペリオール湖 カスケード川」も、白っぽい空をバックに、湖が茫漠と広がっているだけ。

こういうのを最初に見てしまうと、シンプルさを追求した人工のオブジェなどは逆にどこが良いのかよく分からなくなってしまい、困ったもんです。

とはいえ、ルチオ・フォンタナの、赤いキャンバスにネコの爪痕三本!みたいな作品とか、やはりそれなりにグッとくるものがございました。

現代作品のみならず、発掘物などもまぜこぜに展示してあり、それがまたハッとするほどミニマルだったりするのも面白いですね。

大汶口文化の白陶鬹(はくとうき)という白い器は、鳥の形を象ってるそうなのですが、この形、いつまで見てても見飽きません↓ 紀元前4100〜2000年に作られたもの、ってずいぶん古いけど、とてもそんな風には見えません。

http://www.npm.gov.tw/exh99/sharing/jp2.html

かと思うと、どう見たってこれは「クレヨンしんちゃん」だろ、と思うような中南米の出土品とか。

逆に現代のエルズワース・ケリーの素描みたいに、額装がなかったら分かる人にしか分からなさそうな作品もあるし。

アンリ・マティス「ジャズ」が出てたのも嬉しかったです。

最後の部屋は、「かたちの謎」というコーナーなんですが、要は黒い物体の部屋(笑)。
カールステン・ニコライの「アンチ」は黒い多面体。中にテルミンとか入っているそうで、ツボ(?)を触ると「ぶ〜ん」と鳴りだします。

そして、黒い物体といえば、ガンツ…じゃなく、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』に登場する黒いモノリスも、期待をうらぎらず、ちゃんと飾られています。オブジェ本体じゃなくて、小さいスチル写真だったのが残念でしたが、「在る」ということが重要なので、良いんです、これで。

テーマありきの展示なので、キュレーターの腕がなる展覧会だったでしょうが、他にもいろいろな展示ができそうで面白いテーマですね。

美術館の中は当然ながら撮影禁止なのですが、面白いことに、展示されている3つのインスタレーション、

オラファー・エリアソン「丸い虹」
アンソニー・マッコール「円錐を描く線」
大巻伸嗣「リミナル・エアー スペース−タイム」

は自由に撮影することができます。

撮影される、という行為も含めてインスタレーションなのか、お客さんのニーズにこたえているのか、理由はよくわかりませんが、「スターウォーズ展」でも撮影ポイントがあったし、最近の展覧会ではこれが主流なんでしょうね。海外の美術館では撮影OKなところが多いですし…。

私なども、以前は、写真を撮ると自分の目でちゃんと見なくなるから、と思って、許可されてるときもあまり撮らなかったのですが、写真の記録というのは、あると意外に役に立つこともあるので、今になってかなり後悔しております…。

それから、別室での展示でしたが、「ふたつのアジア地図」という写真展もなかなか良かったです。

ことに、下道基行さんのサハリンや台湾、長春などで撮られた「鳥居」の写真は、歴史の文脈と切り離して眺めても非常にインパクトのある作品で、思わずじっと眺めてしまいました。

両展とも、森美術館(六本木ヒルズ内)にて2015年7月5日まで
公式サイト:http://www.mori.art.museum/contents/simple_forms/
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2014年03月16日

窓花 中国の切り紙

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三軒茶屋(世田谷区)の駅前にど〜んとそびえるキャロット・タワー。
その中に、企画展を行うスペースがあります。
今回は中国の「窓花」(窓を飾る切り紙)の素晴らしい展示をやっていました。
(以下、写真はすべて会場のもの)

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「窓花」は農家の人がハサミだけで作る、素朴な室内装飾です。中国の北、黄土高原の民家である、
ヤオトン(窖洞)を飾るために作られています。ということで、展示に関連して、ヤオトン造りの過程を記録した映画が上映されるというので、行ってみました。

ヤオトンというのは、中国の黄土高原地帯に昔からある伝統的な住居のことなんですが、
これがリアルにホビット村なんだな。
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黄土高原はめったに雨が降らない乾いた土地なので、地面に横穴を開けて、そこに人が住んでるんです。住民たちによると、冬は暖かく、夏は涼しくて、エアコン要らずの大変エコな住居らしい(その割に、中にはパソコンがあったり衛星放送を見てたりと電気は使ってるっぽいけど)。

これをどうやって作るのか、以前から大変興味があったので、めったにないチャンスと上映会に飛びついてみたわけです。監督さんは、ヤオトン暮らしに魅せられてわざわざ北京電影学院に留学し、このフィルムを撮ったというフランス人女性、エロディー・ブロッソさん。

家は結果的に丈夫に建つんですけど、見てるだけで疲れるほど作業が大変そう。建築予定地の土を搗き固めるところから始まり、遙か山の下の方から石を切り出してきて運び上げ、「人力で」ブロック状に加工します。ヤオトンの外側に置かれている石にはとても綺麗な斜めの飾り模様みたいなものが入っているんですが、何とその模様も全部ノミで手彫り! 作業の様子は映画でも見られますが、とても綺麗に仕上がるのと、とても大変そうなのと両方の意味でちょっと信じられないような光景です。

基礎を作ったら、今度は風水師が呼ばれます。占い盤を持っていることを除けば、ビジュアルは工務店のおっさんそのもの。でも、家の風水の良しあしでその後の一家の運命も変わってしまう(風水師談)ので、あなどれません。家の向きが決定すると、石をどんどん敷いていきます。

その上にアーチを築きます。ここまで来ると、内部の形を含め、トンネルを作る工事とそっくりです。壁を築き、黄土を載せ(湿度を調整する役割があるそうです。日本でいったら珪藻土みたいな役割でしょうか)、庇を作り…と工事は人海戦術で着々と進みます。

家のファサードには明り取りを兼ね、趣向を凝らした木製の木枠が嵌められます。実物も会場に展示されていましたが、家によって異なり、とても美しいものです。

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この模様、施主の好みで決めることはできないらしく、ヘンな模様を選ばれないように、風水師にはしっかりごちそうしなければならないんだとか…。

家が基本的に出来上がると、土地神をお祀りします。お札に文字を書いていくのですが、たぶん地元の人なんだろうけど、めちゃ達筆。祭文の読み方もとても興味深かったです。お守りを家の基礎に埋めて封印してしまうのは、日本のやり方と同じですね。

こうして建てあがるまでに40日。後は住む人が内装や家具は自分で配置するのだそうです。カメラはヤオトンの中にも入っていきますが、トレーラーハウスみたいな印象で、いろいろなものが最低限、合理的に配置されているし、小上がりがベッドになっていて、とても住みやすそう。

家もできたし、良かったね、というところで映画は終わるんですが、上映後の質疑応答ではもっともな質問が次々と。

ヤオトンって、山にトンネル掘って作る袋小路屋敷形式かと思ってたんですけど、実際見ると、要は平屋の連棟式一戸建てってことですか?
――いえいえ、元々は横穴を掘っていたんです。しかも、白川郷みたいにぽつんと、というのではなく、この地方一帯にヤオトンがあるんです(ホント、リアルホビット庄です)。ただ、最近の異常気象でそのタイプのヤオトンが崩落する事故があり、石造りが奨励されたんです。建て替えには政府の補助金もでました、が…

黄土高原って雨降らないのかと思ったら、結構雨やら雪やら降ってましたよね。
――そうなんです。実は、未曽有の大雨に襲われ、石造りのヤオトンさえ崩落してしまいました。で、政府ももうヤオトンは危険なので補助を出すのはやめて、一般住宅の建築を奨励しているそうです。だから、将来ヤオトンはなくなってしまうかもしれません。もともと、ヤオトンというのは1回作ると30年、いえ、何百年単位の、とても長く使えるものでした。ここの展示に持ってきたファサードは清代のもので、元は木工師のヤオトンのものでしたが、もう人が住まなくなったので譲り受けてきました。

なんと、異常気象の影響がこんな形で…。

他にも、煙突はあるのか(あります。地下を通ってます!)、トイレは?(家の外にあります)などなど、いろいろな質問が出ていました。

上映スペースの外には2フロアを使って展示があります。とても厳しい生活なんだろうけど、展示から見る限り、何でも可愛く、味があります。少ないものを大事に使っているだろうな、窓の外に花畑などがない分、自分たちで工夫して、生活をうるおいを持たせているんだなというのが、よく分かります。

余り布に丁寧に刺繍して作る靴の中敷きとか、腰掛に置くクッションとか、生活雑貨とか、可愛らしいものばかりですし、素朴ながらも、驚異の手先の器用さを感じさせます。
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こんなに素敵な展示で入場無料とは有り難い限りですが、なんと展示は3月16日いっぱいとのこと。
福岡アジア美術館とここの2か所での展示でしたが、また巡回してくれればいいのに…

とりあえず、図録がわりに本が出版されているので、そちらだけでもチェックしてみてください。!
『中国の切り紙 窓花』丹羽朋子、下中菜穂 著 エクスプランテ
(↑本の簡単な紹介は→別ブログにて)

展覧会は:
世田谷区文化生活情報センター 生活工房で2014年3月16日(日)まで開催
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2013年09月06日

アンドレアス・グルスキー展

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(絵葉書から)

ドイツの写真家、アンドレアス・グルスキーの個展を見てきました。

地下鉄にこの展覧会のポスターが貼ってあり、とても心惹かれたのでふらっと見に来ただけで、初めて見るしどんな作家なのか全然分かりませんが、非常に面白かったです。

ほとんどが見上げるほどの巨大な作品で、その壮大なスケール感とは裏腹に、細部までピントが合っている画面に引き込まれます。マクロな視点とミクロな視点が同居し、全体として均衡が取れながらも、画面のどの地点も均等に重要で、同じ注意力を注ぐことができる。

それはありきたりの光景なのに、肉眼では決して見ることのできない、フラットで不思議な世界…。

ドイツの人らしく(たぶん)、簡潔で構造的なものがお好きみたいなんですけど、幾何学的でキッチリしたものを撮っている割にというか、だからこそというか、有機的な感じを受けます。

私は上の絵葉書のような風景写真が好きだったのですが、群衆を撮った作品や、建物を撮った作品も面白いです。スーパーカミオカンデの内部など、日本を撮った作品も何点かありましたが、シカゴの取引所の写真を見た後で東京の取引所の写真を見ると、さまざま人種、色とりどりの服装の人がいるカラフルな前者と、髪も背広も濃い色でほとんど黒一色の後者のコントラストが強烈でした。

2013年9月16日まで 新国立美術館(六本木)
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2013年05月25日

貴婦人と一角獣/カリフォルニア デザイン

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中世ものが大好きなので、ずっと憧れているフランスのクリュニー中世美術館。行きたい、でも行けない(うぅ…)

と、そんなある日曜日、そんな私の目の前に、赤い紙袋を差し出す人が!
「…コレ、なんですか」
「無料でお配りしております」
「あぅ、ありがとうございます。ところでコレはなんですか」
「今度、六本木で展覧会をやるんですよ。その宣伝なんです」

ふーん、こりゃまた洒落た宣伝だこと。
紙袋に印刷された赤地に織られた貴婦人とユニコーンのモチーフ、これは有名なタペストリーの柄です。紙袋をよく見ると、国立新美術館でこのタペストリーの展覧会をやるらしい。って、そんなミイラの展示じゃあるまいし、幾ら貴重な美術品といっても壁掛け1枚を見に六本木まで行くのはちょっと…と迷いつつ、でもこれはクリュニー美術館の所蔵品だから、いくらなんでも他の展示品もちょっとは来るだろう…と、会場のHPにアクセスしてみると、
http://www.lady-unicorn.jp/
なかなか面白そうなので行ってみることにしました。

このタピストリーについてはおぼろげな図像のイメージしか持っていなかったので、展示をみて初めて、これが6枚で1つの作品になっていること、1つ1つのタピストリーの図案にはそれぞれ寓意が込められていること、を知り、大変興味を惹かれました。

この作品は、描かれた人物の服装や髪形、文様のスタイルから、1500年ころ、ゴシックの末期に織られたものとされています。注文主ははっきりとは分かっておらず、画面に描かれている紋章から、ブルターニュ地方のアルシー城の城主、ル・ヴィスト家と推定されています。

展示はこのタピストリーを6面にぐるりと配したスペースと、関連する展示品を集めたスペースとに分かれていますが、軽く仕切られているだけなので、タピストリーを見た後、展示品と説明を読み、また気になるタペストリーを眺める、という鑑賞の仕方ができる、よく考えられた構成になっています。

タピストリーは見上げるような大きさで、そのうちの5枚は視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の5つを表すと考えられています。絵柄をよく見ると、楽器や花の匂いを嗅いでいるサルなど、五感を象徴する事物が描きこまれています。中世にはこのように、寓意を表す美術品がいろいろと作られたらしく、展示にも類例が挙げられていました。

タペストリーの制作年代を推定する決めてとなった、当時の服装や流行の図像スタイルについても、紹介の展示があります。この時代のファッションはスレンダーで、華美ではないのですが凝っており、今取り入れたらカッコいいだろうなぁというような意匠にも惹かれてしまいます。

タピストリーの地紋に描かれた草花や動物を紹介するコーナーもあります。図柄の背景には、空にあたる部分にも、大地にあたる部分にも、千花文様(ミル・フルール)と呼ばれる色とりどりの植物が所狭しと敷き詰められており、それがタペストリーを豪華に見せています。また、ウサギやキツネ、鳥など一角獣以外のちいさな動物も画面のあちこちにちりばめられており、見ていて飽きません。おそらく主題同様、装飾という以外にも、たとえば豊饒とか、何らかの寓意があるのでしょう。

五感を表すタピストリーは図柄だけですが、最後の1枚には文字が書かれています。野に立っている他の5枚と異なり、人物は豪華な幔幕を背にしており、その上部に「Mon seul désir 我が唯一の望み」と記されています。

我が唯一の望み…。

謎めいた言葉です。これが何を意味するかについては定説がなく、五感に続くものとして第六感を表すのであろうとか、中世当時の考え方から推して、愛を意味するのであろうとか、いろいろな説があるようです。

六本木国立新美術館のワンフロアを半分くらい使った展示で、それほど大規模ではありませんでしたが、細部までじっくり分析した展示が面白く、会場を出たら2時間近く経っていました。図録もとてもよくできていて、読み応えがあります。
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冒頭に、このタピストリーに触発された他作品についての言及があるのですが、そこで挙げられていたのは
「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」。ファースト・ガンダム(本放送で見ましたとも!)以降見てないので、へぇこんな作品あるんだ?というのがまず驚きでしたが、紹介を読むと、タピストリー―の寓意をうまく設定に使っているらしい。長い話みたいですけど、ちょっと見てみたくなりました。いまどきの学芸員さんは、サブカルもちゃんと押さえているんですね。っていうか、まさかUC見てこの展覧会を企画したんじゃ…?ってそんなことないか。

カリフォルニアデザイン

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ついでというと語弊がありますが、下のフロアでは「カリフォルニア・デザイン1930-1965」の展示があり、そちらも覗いてみました。先ほどの展示の半券をもっていたのでお安く入れて有難いことです。
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住宅から水着まで、職人的な技と工業デザインがちょうどいい具合にかみ合っていた時代のデザインはスタイリッシュな中にも手仕事のぬくもりが感じられ、また、カリフォルニアの気候も反映されているのか明るい色遣いのものが目立ちました。映像展示も交えてイームズ夫妻が大きく取り上げられていましたが、何と言っても魅力的だったのは、入口近くのキャンピング・カー。銀色に輝く丸まっこいボディにキッチン、ベッド、リビング、シャワー施設も組み込んだコンパクトなデザインでとってもオシャレでした。これ、カリフォルニアからわざわざ運んできたんですか、と展示の横にいる人に尋ねたら、日本人が買い取ったものなんだとか。確かに日本人好みかも。いいなぁ〜!
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見学に訪れる生徒さん向けなのか、一人一部のみ、ということで無料のミニ冊子が用意されていました。半透明の表紙から透けて見える図柄が何パターンもあって、さんざん迷ったあげく地味なのをチョイス(…)。こんなおまけ(?)も楽しめる展覧会、ぜひお出かけください!

2014年7月15日まで(一角獣)
2013年6月3日まで(カリフォルニア)
 国立新美術館(六本木)


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2013年02月21日

第16回文化庁メディア芸術祭

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吉例により、今年も行ってみました、メディア芸術祭。もともとは、ブノワ・ペータース/フランソワ・スクイテンの『闇の国々』の原画が見られるというので出かけました。2Dなのに極限まで3Dな構図は、いかにもヨーロッパの作品って感じです。

で、もちろん見どころはそれだけではなく、さすが、何十万冊もある国会図書館の稀覯本から『エロエロ草紙』をいの一番にデジタル化しちゃう文化庁(きっと何か理由があるんだろうけど、まさか話題づくりってはずないですよね…)が主催だけあって、今年も妙な受賞作にはこと欠かないラインアップ。

本当はとても斬新であろう、カメラを使って入場者を取り込む作品(「ジョジョ」の展覧会で見た、「リモートロマンス」もこのお仲間ですね)がまともすぎる作品に見えてしまいます。
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ゲームでは、ビジュアルの美しい、こちらの作品、

『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』
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が面白かったです。

アニメーション作品では、こちら、
『ハイスイノナサ「地下鉄の動態」』

が気に入って、何回も見てしまいました。モノクロで基本図形だけを使った作品ですが、シンプルなだけに中毒性があるみたいです。youtubeでも見ることができます。


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千葉工業大学 東京スカイツリータウンキャンパス展示
も面白かったですね。トレス台のようなライトボックスの上にパンチ穴の開いた線画を置くと、その線画の輪郭の中にCGアニメが投影されて動きだすというものです。しかけはそれほど複雑ではないのでしょうが、実際に見るととても魅力のあるインスタレーションです。
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線画アニメでは、
『グレートラビット』和田 淳
が面白かったです。
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つれは
『布団』水尻 自子
がものすごく気に入っていました。

他に商業作品も展示されていましたが、あまりにオシャレで鑑賞者の「ほぉ…。」というため息を誘っていたのは、
『LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜』モンキー・パンチ/山本 沙代でございました。不二子ちゃん、いつもせくすぃー♪
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毎年、会期がとても短いので混んでるんですが、ご興味がおありの方は、こちらのHPへ。

国立新美術館で2013年2月24日まで開催中です。
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2010年02月06日

文化庁メディア芸術祭2010

恵比寿でやってたころから楽しみにしていた催しですが、今年も行って参りました、恒例の文化庁メディア芸術祭。審査員の頭をどついてやりたい、じゃない、頭の中をのぞいてみたい、と思ってしまう「○○省お墨付き」系のイベントと思ったら大間違い。絶対運営側に通がいる!と唸らせてくれる催しです。今年はインスタレーション作品が少なく、去年より小粒になった?ものの、相変わらず面白かったです。

入ってすぐのところに椅子がいっぱい並んだコーナーがあり、良くわからないまま席につくと(我ながら、詐欺に遭いやすい人の典型みたいな感じ)、スクリーンにカッコいい映像が流れ、プレゼンテーションが始まりました。

実はこれがなかなかの拾い物で、大変有意義でした。

プレゼンテーターは、オーストリアのリンツにあるアルスエレクトロニカというメディア芸術専門の美術館の展示ディレクター、小川 秀明さんという方でした。

アルスはこの分野では有名なコンペティションを例年行っていて、話によるとあのピクサーはここで獲った賞金を元手に会社を立ち上げたらしいです(一体賞金いくらなんだろう?)

この美術館、ハコ物行政の真逆をいくコンセプトで(ハコ自体も、HPを見て頂ければわかるとおり、とてもカッコ良いのですが)、いかに美術館が、そして展示が社会に還元できるか、周りを触発できるか、ということを常に考えているのが素晴らしいです。

中の展示に人を呼び込むことはもちろん、ラボやワークショップを中心に据えた展開、展示品が勝手に町中へ出ていくなどの仕掛けもあるそうで、知ってる人には有名なジェミノイドの展示も行ったそうです。

ご存じない方のために説明しておくと、ジェミノイドというのは大阪大学の石黒教授が作ったご本人にそっくりのロボットで(っていうか、石黒教授がロボットっぽいように思うのですが、それはまさか機m…)、自分が出張中に代わりに講義してくれたらなーというのが開発の出発点らしいです(むしろ、現段階では代返の方が向いている気がしますが)。

で、この代返ロボ、展示と言っても台の上に飾ってある訳ではなく、美術館のカフェの隅っこに座らせといて、来場者の反応を見るという実験をしたようで、爆笑モノのリアクションも多かったとか。

ジェミノイドについて地元では大々的に報道されたらしく、石黒教授本人が後から現地に到着して町に繰り出すと「あっ…食事してる」「ビール飲んでる…」と町中の注目を浴びたそうです。ははは。

そんな社会の中の技術とアートを追求するアルスエレクトロニカ、ちょっと行ってみたくなりました。毎年9月は大々的にイベントをするそうなので、オーストリアに行かれる方は是非。

さて、芸術祭の方ですが、
アート部門
エンターテインメント部門
アニメーション部門
マンガ部門
に分かれて受賞作の展示があります。
マンガ部門の大賞は「ヴィンランド・サガ」。北欧(アイスランド)が舞台のマンガが日本で受けるとは…。

原作は全く見たことがないんですが、「ナルト」のゲームが優秀作として展示されていて、その場を去りがたいほど惹きつけられてしまいました。実際にゲームを体験でき、ゲーム画面を大きなスクリーンで鑑賞することもできます。また、どういう風に設計しているか説明するビデオが横でずっと流れてるんですが、すっかり見入ってしまいました。

もう一つサプライズだったのは、特別功労賞としてアニメーター・故金田伊功氏の作品が展示されていたことです。脇に流れていた映像は嬉し恥ずかし「キューティー・ハニー」!この作品、関わってらっしゃったとは知りませんでした。このアニメ、今みると改めてその大胆さに驚かされます。今だったら放送されないんじゃ?(こんなだったっけ?)
他に、別作品の絵コンテ数枚も展示されていましたが、素晴らしいの一言でした。

銀河旋風ブライガー』のオープニングで初めてお名前を意識して以来、ずーっと憧れのアニメーターさんでした。独特の動き、光の表現、大胆な構図など、一度見たら忘れられません。こんなに早く亡くなるなんて…。心からご冥福をお祈りいたします。

ということで、これで入場無料は申し訳ない充実ぶり、当然結構混んでます。体験型の作品や、かなり近づかないと見えない作品も多いので、できれば平日に出かけたいですね。

敢えて難を言わせてもらえば、新美術館は外見やロケーションは悪くないんだけど、展示室がタダのコンベンションホールみたいなのがすごく悲しいわ…

2月14日まで。
入場無料!
新国立美術館(六本木)
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2008年05月29日

屋上庭園

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この展覧会、これまで出かけた展覧会のうちでは(わたくし的には)間違いなく上位5番には入る企画でした。チャンスがあれば是非お出かけください。

「屋上庭園」をテーマにした企画展で、これと言って中心になる展示はありません。強いていえば、出品作品がもれなく良かった珍しいケースだと思います。

そう思わせてくれた最大のポイントは、抑制のきいたストイックな作品選びにあったと言えるでしょう。館蔵品中心とはいえ、美術館主導のテーマ展というと、あれもこれもとコンセプトにそって詰め込みがちですが、今回は静かな庭園の回廊をゆっくりと巡っていくような気持ちで、用意された10通りのアプローチが楽しめました。

天井が高く、柔らかな光を天窓から取り込んでいる美術館の建物が一方の主役となっています。

入り口で迎えてくれるニコラ・ビュフの作品に、まず度肝を抜かれます。白地に黒のポスターカラーで描かれた門をくぐると、一面に広がる黒字に白抜きの線画。一見、宮殿の内装のようなきらびやかさですが、よく見るとあちこちにマンガのキャラクターのような造型が…。ドカンとかドスンとかカタカナの書き文字まであるのがご愛敬です。西洋と東洋の要素を巧みに混ぜ合わせていながら、いずれもいかにもそれらしく描かれており、力のある作品です。

当初、この展覧会を見に行くきっかけとなった藤森静雄の作品を展示している版画のスペースも良かったです。明治から昭和にかけての版画同人誌が並んでおり、実際に手にとれる復刻本もありました。いずれもこの美術館の図書館が収蔵しているものだそうで、さすが良い本を持ってるという感じでした。

次なる目玉はマティスです。まさか出品しているとは知らなかったので嬉しい驚きでした。ナチス占領時代のフランスにとどまった画家が胸中の思いを込めて制作した「ロンサール恋愛詞華集」「シャルル・ドルレアン詩集」は、前者は茶色の線画、後者は手書き文字にわずか数色の線画と非常にシンプルでありながら、心のこもった必見の作品です。挿絵と文字の配置の巧みさが強く印象に残っています。

後半は、モノクロのデッサンで構成されたブロワ・ブロワザの映像作品《Bonneville》を面白くみました。単なる3Dアニメなのかと思ったら、デッサンと紙の模型を組み合わせて作ったのだそうです。画面に降りしきる透明な物体、如何にも立体なのに、横に回ると薄っぺらで、肝心なところでホワイトアウトして切れてしまう記憶、なんだかグレッグ・イーガンのSF「順列都市」を連想してしまいました。

そして圧巻は、チラシにも使われた内海聖史の作品、「三千世界」「色彩の下」です。美術館の壁そのものを生かした作品で、天空の庭園にふさわしいスケールが最小限の要素で表現された大作です。

いつもは目玉の作品を中心に割合駆け足で見ることの多い美術展ですが、今回は本当にほっとした気持ちで、じっくり見ることができました。展示と展示の間の余白を楽しめる心のゆとりがあるときに、お出かけください。

2008年7月6日(日)まで
東京都現代美術館(清澄白河)
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2008年04月23日

スタンリー・ドンウッド個展「I LOVE THE MODERN WORLD」

レディオヘッドのトム・ヨークがソロ作品として作った「The Eraser」という、私が今のところ一番好きなアルバムがございます。どんな音楽かはなかなか一口には言えないので、気になる方はこちらからでも聞いて頂くといたしましょう。音楽が気に入ってるのはもちろんなんですが、ジャケットや歌詞カードに使われてる絵が、歌の雰囲気に大変合っているところも気に入っています。

ロンドンの旧名所新名所が、迫り来る大雨と洪水にさらわれていく、黙示録的なこの作品を作り上げたスタンリー・ドンウッド氏の個展が日本であるという噂を聞いてからひと月余り、ようやく見に行くことが出来ました。

東京画廊は、展示がほぼひと目で見渡せてしまうサイズで、それはともかく、雰囲気があまり気に入らなかったんですけど、作品はさすがに良かったです。

Eraserに使われてる絵が飾ってあったのが何より嬉しかったです。しかもお値段も割合リーズナブル(…かどうか相場を知らないのでわかりませんが、スクリーンプリントの作品で4〜5万円くらい。2か月お昼抜いたら買えるかなーと思ったけど、連れが怖かったからやめた)。

また、エッチングで描かれた、墓場を思わせる別のシリーズも見応えがありました。

HPはこちら。本個展のページから作品も見ることができます。

2008年4月26日まで。お急ぎください!
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2008年01月05日

北欧モダン デザイン&クラフト

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スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークの北欧4か国のデザイン製品を集めた展覧会。北欧系のインテリアや建築がもてはやされているせいか、来場者は20代後半〜30代くらいの若者が目立ちましたが、これらの製品の黄金期は50〜60年代で日本にもたくさん入っているので、にわかにブームになったというより、ずっと変わらず愛され続けているといった方が正しいでしょう。

会場をざっと見ただけでも、クリスティアンセンのペンダントライト、カイ・フランクのテーブルウェア、ヤコブセンの椅子、レゴブロックなどなど、まるで実家に返ったような展示品のオンパレード、きっと多くのお宅でこれらの製品が現役バリバリで使われているものと思います。もっとも、最近になるまで、誰がデザインしたのかなんてことはあまり意識していませんでしたが…。会場のディスプレイではデザイナーをピックアップしていて、顔写真も出ています。ヤコブセンなんて「デザインと顔のイメージが合わない」とか可哀想なこと言われてましたっけ。

日本の習慣に従ってか、最近のトレンドか、はたまた北欧のスタイルなのか、デザイナー名を姓、名の順に表示しているのが目を引きました。

仮に飽きても丈夫で壊れず、なかなか模様替えできない北欧スタイル(笑)、あんな巨大な人たちが使っているのに日本の狭い家にも良く合いますね。素材や色、形に、どことなく日本と共通点があったり、日本から影響を受けたりするものがあるせいでしょうか。

展示の仕方は良く工夫されているものの、なにせモノがモノだけに、展覧会へ来たというよりは見本市に来ちゃったような印象は拭えませんでしたが、200点以上が勢揃いしているのは壮観です。見ているだけで安らげる空間なうえ、名作椅子に座れるコーナーもあるのが嬉しいかも…。

2008年1月14日まで
東京オペラシティ アートギャラリー(初台)
posted by 銀の匙 at 20:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 展覧会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする